37 / 45
本編
32話 帰還
しおりを挟む
森にある小屋。
小屋には、この森の領主であるアルバート伯父様が来ていた。
「リスター卿、もう一度言ってくれないか。王都に戻れと聞こえたのだが、気のせいか?」
「いいえレオン王子殿下。その言葉の通りですよ」
レオン王子殿下は、伯父様の言葉にあからさまに機嫌が悪くなった。
それも仕方ありません。今、王都に戻ればどうなるかは目に見えて分かります。
「そう怒らないで聞いてほしい。さきほども言ったではないか、状況が変わったと」
「話しを聞こう」
伯父様はそう言うと、懐から一枚の紙を取り出した。
「これを」と言いながら、紙を差し出して来る。
「今の王家には、レオン王子殿下を捕まえるだけの力はありませんよ」
レオン王子殿下は、話しを聞きながら渡された紙に目を通していく。
「先日、報告したアーヴァイン公爵領での動きが活発になり、その動きが王都にまで広がりました」
「反乱、いや革命......か」
「ええ、革命と言えるでしょうね」
レオン王子殿下は、渡された紙を机に置いた。
「これは事実か?」
「嘘偽りのない事実のみが記載されています」
「そうか。いつかは、こうなるだろうとは思ってはいたが、こうも早いとは思いもしなかった」
レオン王子殿下は、ため息をつきながら言葉を続ける。
「父上と兄上がここまでとは......」
「いづれはこうなることは目に見えていました」
「その、どうしてアーヴァイン公爵領の領民たちが王都に?」
私は、気になった疑問を聞いてみた。
王都と公爵領は、それほど離れてはいないけれど近くもありません。
領民であれば、馬車に乗るのもそう簡単なことではないので、どうしたのでしょう。
アルバート伯父様は、微笑みながら言いました。
「それはね、シルヴィア。君の父と妹が王家を頼って王都に逃げたからだよ」
「まぁ、お父様とセレナは無事だったのね。良かったですわ」
「シルヴィアは本当に優しい子だね......」
伯父様は、私のことを真っ直ぐに見つめながら言いました。
私は、昔からこの真っ直ぐな目が大好きです。
伯父様は、子供の私にもいつも真剣に話しをしてくれたのを覚えています。
私の方を見るのを辞めて、レオン王子殿下の方を向いた。
そしてまた別の紙を取り出して、渡した。
「これは?」
「最近王都で出たものです」
レオン王子殿下は、その紙を見るとガタンっと音を立てながらイスから立ち上がった。
顔に手のひらを当てながら、大きなため息をついた。
「シルヴィア、俺は王都に行く」
「私もついて行きますわ」
私は、置いて行かれないように立ち上がりながら言った。
その様子を見て、レオン王子殿下は「はぁ」と言う。
「シルヴィアは決めたら変えないからな......」
「あら、どこかのやさぐれ王子よりはマシですわ」
私は、嫌味を込めて言った。
「分かった、分かったよシルヴィア。一緒に行こう」
「ええ」
レオン王子殿下は、笑いながら両手をあげて降参と言ってきた。
「シルヴィアとレオン王子殿下は仲が良いのだね......」
伯父様は、どこか悲しそうに言う。
「よし、王都までの手配は任せてくれないか」
こうして、私たちは王都へと行くことになりました。
◇
王都付近まで来ると、私たちが乗っている馬車が急に止まりました。
何かあったのでしょうか。
「すまないが、ここから先は通行止めにさせてもらっている」
「俺たちは王都に用があるんだ」
外からは、御者をしているクライヴと別の男性の声が聞こえてくる。
何かを話し合っているようです。
「それなら、乗っている全員降りて顔を見せてもらおうか」
「なっ! 誰が乗っているのか分かっているのか!」
クライヴがあわてたように言う。
周囲にいる護衛メンバーたちは、剣を引き抜こうとした。
それをレオン王子殿下は、馬車の中からとめる。
「やめろ。俺なら構わん」
そう言うと、馬車から降りた。
私たちも、一緒に降りることにしました。
「まさか、シルヴィア様っ!?」
私が馬車から降りると、先程まで話していた男性は目をまん丸にして驚いた。
それと同時に、周囲にいた他の人たちもざわざわとし始める。
「ってことは、あなたはレオン様ですか?」
「ああ、この俺がレオン・クライトンで間違いない」
「なんと言うことだ」
レオン王子殿下が名乗ると、おおっーと言う歓声が聞こえてくる。
歓声が聞こえたことで、周囲をよく見るといつもとは違うことに気がつきました。
いつもの王都よりも人が多く、武装をしている人までいるようです。
伯父様が言っていた通りで、革命が起ころうとしているのかもしれません。
「シルヴィア様、お会いできて光栄であります。それにレオン様も......」
男性は、頭を下げる。
それを見た周囲の人たちも、頭を下げ始める。
「私で良ければ、王都までご案内します。どうぞこちらに......」
「ありがとうございますわ」
「すまないな」
私たちは、再び馬車へと乗り込んで案内されるがままに進み始める。
私たちが乗る馬車が進むごとに、周囲からは歓声があがる。
「シルヴィア様が帰って来たぞぉぉーー」
「おおっーー」
あちこちで、大きな声が聞こえてくる。
騒がしくはありますが、悪い気はしませんでした。
歓声があがる中、王都を進みました——。
小屋には、この森の領主であるアルバート伯父様が来ていた。
「リスター卿、もう一度言ってくれないか。王都に戻れと聞こえたのだが、気のせいか?」
「いいえレオン王子殿下。その言葉の通りですよ」
レオン王子殿下は、伯父様の言葉にあからさまに機嫌が悪くなった。
それも仕方ありません。今、王都に戻ればどうなるかは目に見えて分かります。
「そう怒らないで聞いてほしい。さきほども言ったではないか、状況が変わったと」
「話しを聞こう」
伯父様はそう言うと、懐から一枚の紙を取り出した。
「これを」と言いながら、紙を差し出して来る。
「今の王家には、レオン王子殿下を捕まえるだけの力はありませんよ」
レオン王子殿下は、話しを聞きながら渡された紙に目を通していく。
「先日、報告したアーヴァイン公爵領での動きが活発になり、その動きが王都にまで広がりました」
「反乱、いや革命......か」
「ええ、革命と言えるでしょうね」
レオン王子殿下は、渡された紙を机に置いた。
「これは事実か?」
「嘘偽りのない事実のみが記載されています」
「そうか。いつかは、こうなるだろうとは思ってはいたが、こうも早いとは思いもしなかった」
レオン王子殿下は、ため息をつきながら言葉を続ける。
「父上と兄上がここまでとは......」
「いづれはこうなることは目に見えていました」
「その、どうしてアーヴァイン公爵領の領民たちが王都に?」
私は、気になった疑問を聞いてみた。
王都と公爵領は、それほど離れてはいないけれど近くもありません。
領民であれば、馬車に乗るのもそう簡単なことではないので、どうしたのでしょう。
アルバート伯父様は、微笑みながら言いました。
「それはね、シルヴィア。君の父と妹が王家を頼って王都に逃げたからだよ」
「まぁ、お父様とセレナは無事だったのね。良かったですわ」
「シルヴィアは本当に優しい子だね......」
伯父様は、私のことを真っ直ぐに見つめながら言いました。
私は、昔からこの真っ直ぐな目が大好きです。
伯父様は、子供の私にもいつも真剣に話しをしてくれたのを覚えています。
私の方を見るのを辞めて、レオン王子殿下の方を向いた。
そしてまた別の紙を取り出して、渡した。
「これは?」
「最近王都で出たものです」
レオン王子殿下は、その紙を見るとガタンっと音を立てながらイスから立ち上がった。
顔に手のひらを当てながら、大きなため息をついた。
「シルヴィア、俺は王都に行く」
「私もついて行きますわ」
私は、置いて行かれないように立ち上がりながら言った。
その様子を見て、レオン王子殿下は「はぁ」と言う。
「シルヴィアは決めたら変えないからな......」
「あら、どこかのやさぐれ王子よりはマシですわ」
私は、嫌味を込めて言った。
「分かった、分かったよシルヴィア。一緒に行こう」
「ええ」
レオン王子殿下は、笑いながら両手をあげて降参と言ってきた。
「シルヴィアとレオン王子殿下は仲が良いのだね......」
伯父様は、どこか悲しそうに言う。
「よし、王都までの手配は任せてくれないか」
こうして、私たちは王都へと行くことになりました。
◇
王都付近まで来ると、私たちが乗っている馬車が急に止まりました。
何かあったのでしょうか。
「すまないが、ここから先は通行止めにさせてもらっている」
「俺たちは王都に用があるんだ」
外からは、御者をしているクライヴと別の男性の声が聞こえてくる。
何かを話し合っているようです。
「それなら、乗っている全員降りて顔を見せてもらおうか」
「なっ! 誰が乗っているのか分かっているのか!」
クライヴがあわてたように言う。
周囲にいる護衛メンバーたちは、剣を引き抜こうとした。
それをレオン王子殿下は、馬車の中からとめる。
「やめろ。俺なら構わん」
そう言うと、馬車から降りた。
私たちも、一緒に降りることにしました。
「まさか、シルヴィア様っ!?」
私が馬車から降りると、先程まで話していた男性は目をまん丸にして驚いた。
それと同時に、周囲にいた他の人たちもざわざわとし始める。
「ってことは、あなたはレオン様ですか?」
「ああ、この俺がレオン・クライトンで間違いない」
「なんと言うことだ」
レオン王子殿下が名乗ると、おおっーと言う歓声が聞こえてくる。
歓声が聞こえたことで、周囲をよく見るといつもとは違うことに気がつきました。
いつもの王都よりも人が多く、武装をしている人までいるようです。
伯父様が言っていた通りで、革命が起ころうとしているのかもしれません。
「シルヴィア様、お会いできて光栄であります。それにレオン様も......」
男性は、頭を下げる。
それを見た周囲の人たちも、頭を下げ始める。
「私で良ければ、王都までご案内します。どうぞこちらに......」
「ありがとうございますわ」
「すまないな」
私たちは、再び馬車へと乗り込んで案内されるがままに進み始める。
私たちが乗る馬車が進むごとに、周囲からは歓声があがる。
「シルヴィア様が帰って来たぞぉぉーー」
「おおっーー」
あちこちで、大きな声が聞こえてくる。
騒がしくはありますが、悪い気はしませんでした。
歓声があがる中、王都を進みました——。
0
あなたにおすすめの小説
婚約破棄のススメ!王子の「真実の愛」見つけて差し上げます
パリパリかぷちーの
恋愛
公爵令嬢メロア・クレーベルの隣には、非の打ち所がない完璧すぎる婚約者、ジークハルト王子が君臨している。このまま結婚すれば、待っているのは「王妃教育」と「終わらない公務」という名の過労死コース……。
「嫌ですわ! わたくし、絶対に婚約破棄して隠居してみせますわ!」
決意したメロアは、入学したての学園で、王子の「真実の愛の相手(ヒロイン)」を見つけ出し、自分を捨ててもらうという作戦を開始する。
悪役令嬢の断罪――え、いま婚約破棄と?聞こえませんでしたわ!
ちゃっぴー
恋愛
公爵令嬢アクア・ラズライトは、卒業パーティーの最中に婚約者であるジュリアス殿下から「悪役令嬢」として断罪を突きつけられる。普通なら泣き崩れるか激昂する場面――しかし、超合理的で節約家なアクアは違った。
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
【完結】私が誰だか、分かってますか?
美麗
恋愛
アスターテ皇国
時の皇太子は、皇太子妃とその侍女を妾妃とし他の妃を娶ることはなかった
出産時の出血により一時病床にあったもののゆっくり回復した。
皇太子は皇帝となり、皇太子妃は皇后となった。
そして、皇后との間に産まれた男児を皇太子とした。
以降の子は妾妃との娘のみであった。
表向きは皇帝と皇后の仲は睦まじく、皇后は妾妃を受け入れていた。
ただ、皇帝と皇后より、皇后と妾妃の仲はより睦まじくあったとの話もあるようだ。
残念ながら、この妾妃は産まれも育ちも定かではなかった。
また、後ろ盾も何もないために何故皇后の侍女となったかも不明であった。
そして、この妾妃の娘マリアーナははたしてどのような娘なのか…
17話完結予定です。
完結まで書き終わっております。
よろしくお願いいたします。
婚約破棄された悪役令嬢、放浪先で最強公爵に溺愛される
鍛高譚
恋愛
「スカーレット・ヨーク、お前との婚約は破棄する!」
王太子アルバートの突然の宣言により、伯爵令嬢スカーレットの人生は一変した。
すべては“聖女”を名乗る平民アメリアの企み。でっち上げられた罪で糾弾され、名誉を失い、実家からも追放されてしまう。
頼る宛もなく王都をさまよった彼女は、行き倒れ寸前のところを隣国ルーヴェル王国の公爵、ゼイン・ファーガスに救われる。
「……しばらく俺のもとで休め。安全は保証する」
冷徹な印象とは裏腹に、ゼインはスカーレットを庇護し、“形だけの婚約者”として身を守ってくれることに。
公爵家で静かな日々を過ごすうちに、スカーレットの聡明さや誇り高さは次第に評価され、彼女自身もゼインに心惹かれていく。
だがその裏で、王太子とアメリアの暴走は止まらず、スカーレットの両親までもが処刑の危機に――!
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる