ひとつに還ろう。

雫川サラ

文字の大きさ
2 / 2

後編*

しおりを挟む
 もつれるように、柊馬を抱えてベッドに転がり込んだ。
 狭いシングルベッドに育ち盛りの男子高校生2人が乗るのはさすがに無理があるんだろう、安いスプリングが悲鳴を上げる。

 シャツのボタンをプチプチと外して、アンダーシャツをまくり上げる。
 脇腹を舐め上げると、少し塩辛い。

「ぁ……っ」

 ピク、と柊馬が反応してくれる。
 滑らかな肌は触っても舐めても心地良くて、いつもしつこく撫で回して舐めたり噛んだりしてしまう。
 でも、まだこんなのは最初のイタズラ。
 柊馬が一番弱い乳首は、じっくり焦らしてから、そっと触れるか触れないかのタッチで刺激してやる。

「……ひぁぁっ……ゃ、ぁンン!」

 ビクビクと震え、背を反り返らせて柊馬が悶える。
 胸を突き出すような格好になっているのが余計に淫らで、俺も腰にカッと熱が集まるのが分かる。
 腕をシーツに縫いとめて、尖らせた舌でツンツンと突いてやると、だんだん色づいて紅くぷっくりと勃ち上がるのが何ともいやらしい。

「ぁ、っや、そんなっ、に、したら、やだぁ……っ!」

 溶け落ちそうに甘い声で、柊馬がイヤイヤをする。

「俺には「もっとして」って言ってるように聞こえるけど……?」
「ちが、っ、ひぁ、ふぁああッン!」

 ……正直、こんなに可愛くて感じやすくてエロい柊馬を、陸上部なんて狼の群れに入り込んでいくのを許したのは俺の痛恨のミスだ。
 汗に濡れる柊馬の素肌をどれだけの男が舌舐めずりをして見ているかと思うと、自分の台詞も飛びそうになることがある。

 中学の時から足が早かった柊馬にとって、インターハイ常連のこの高校の陸上部は憧れだったらしい。
 俺は汗臭いスポーツには興味がなかったから、残念だったけど柊馬と同じ部活は選べなかった。
 演劇部は、いくつか勧誘を受けた部活の中から消去法で決めた。
 初めてみたら結構面白くて、今は結構真面目に練習に顔を出しているけど。

 散々嫌だと言われ、その声が泣き声まじりになってきた頃、俺はようやく、赤く腫れ上がった柊馬の乳首を解放した。
 俺ももう腹の中で暴れる欲望を抑えておくのは限界だった。
 俺がベルトを緩めてズボンを脱いでしまう間、柊馬も自ら脱いでいく。
 その様が柊馬も欲しがってくれているのを表しているようで、たまらなく気持ちが高ぶる瞬間だった。

 俺たちは、まだ挿入まではしたことがない。
 やり方は何となく知っているけど、柊馬を怖がらせたくなかったってことと、そもそも準備や後始末を入れるととても時間が足りなかった。
 バイトしてる奴らはその金で彼女とホテル行ったりもしていたみたいだけど、俺はそんな時間があるなら、何もできなくても柊馬と一緒にいたかった。

 ——大学へ進学したら、柊馬と一緒に2人で暮らす。絶対に!

 これが今の俺の望み。

 シャツだけを引っ掛けた格好で俺は柊馬の上に跨り、期待に震える柊馬の屹立と、自分のものをひとまとめに握って擦り始めた。

「ぃあ……ぁん、そ、ま……気持ちい…は、ぁっ」

 柊馬は目をギュッと瞑って俺にしがみつき、ただひたすら与えられる快感に耐えている。
 可愛い。

 俺はたまに柊馬の耳や首を噛みながら、できるだけゆっくり高みを目指す。
 なるべく長く、感じる柊馬を見ていたいから。

「……っふ……んんっ……あ……っんぅぅ……そ、まぁ……」
「ん……? 柊馬、気持ちい?」
「ぅん……ぃい……ぁうっ……気持ちっ……」

 鼻にかかった声で甘く啼いてくれる柊馬に、思わず頬が緩む。
 ビクビクと跳ねる身体に、パンパンに張った亀頭。
 上下に擦るたびに、どちらのものか分からない先走りで濡れた音が上がる。
 そろそろかな、と感じた俺は、ゆるゆるとした動きから、両手を使って先端と根元を同時に責めて追い立てることに集中する。

「ぃや、ぁ! ぁああ、だめっ、ひゃあん、んんっ、やぁああ……!」

 柊馬の声が高く悲鳴のように変わる。
 俺ももう限界だ。
 2人でほぼ同時に達して、白濁が噴き上がる。

 はっ、はっ、と2人分の息が部屋に響いた。
 くったりと俺にもたれかかる柊馬が愛おしくて、ティッシュで手を拭うと頭をポンポンと撫でてやる。

 ちょうどそのタイミングで、表で車の音がした。
 2人で目を見合わせる。
 母親だ。

 手早く汚れを拭き取ると部屋の窓を開け放ち、何事もなかったかのように部屋着に着替えてリビングに急いだ。
 こうして、俺たちの1日は今日も平和に過ぎていく。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる

cheeery
BL
告白23連敗中の高校二年生・浅海凪。失恋のショックと友人たちの悪ノリから、クラス一のモテ男で親友、久遠碧斗に勢いで「付き合うか」と言ってしまう。冗談で済むと思いきや、碧斗は「いいよ」とあっさり承諾し本気で付き合うことになってしまった。 「付き合おうって言ったのは凪だよね」 あの流れで本気だとは思わないだろおおお。 凪はなんとか碧斗に愛想を尽かされようと、嫌われよう大作戦を実行するが……?

平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)

優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。 本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

お酒に酔って、うっかり幼馴染に告白したら

夏芽玉
BL
タイトルそのまんまのお話です。 テーマは『二行で結合』。三行目からずっとインしてます。 Twitterのお題で『お酒に酔ってうっかり告白しちゃった片想いくんの小説を書いて下さい』と出たので、勢いで書きました。 執着攻め(19大学生)×鈍感受け(20大学生)

俺の指をちゅぱちゅぱする癖が治っていない幼馴染

海野
BL
 唯(ゆい)には幼いころから治らない癖がある。それは寝ている間無意識に幼馴染である相馬の指をくわえるというものだ。相馬(そうま)はいつしかそんな唯に自分から指を差し出し、興奮するようになってしまうようになり、起きる直前に慌ててトイレに向かい欲を吐き出していた。  ある日、いつもの様に指を唯の唇に当てると、彼は何故か狸寝入りをしていて…?

真・身体検査

RIKUTO
BL
とある男子高校生の身体検査。 特別に選出されたS君は保健室でどんな検査を受けるのだろうか?

先輩、可愛がってください

ゆもたに
BL
棒アイスを頬張ってる先輩を見て、「あー……ち◯ぽぶち込みてぇ」とつい言ってしまった天然な後輩の話

美形な幼馴染のヤンデレ過ぎる執着愛

月夜の晩に
BL
愛が過ぎてヤンデレになった攻めくんの話。 ※ホラーです

処理中です...