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第4章 第二性

8話 嵐のように**

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 板張りの床にあやかしが荒っぽく自らの着物を脱ぎ捨て敷いた上に仰向けに転がされ、力強いその腕が有無をいわせず蘇芳の身体を暴いていく。
 するりと肌を撫でられ、指の腹で敏感な場所を擦られるだけで蘇芳はびくびくと跳ねた。二回り以上も体格の違う大きな身体にのしかかられ、身動きできない中で一方的に与えられる甘美な刺激に息もつけない。
「はッ、ぁ、あ、んッ」
 粗暴とも言える仕草でまさぐられるのに、それがそれだけあやかしも昂っているしるしのようで、あてられるように蘇芳も一層乱れた。
「ッん、あ、あぁ……!」
 はだけられた着物はもう腕にかろうじて巻き付いているだけの布切れと化し、肌を晒した蘇芳はあやかしに貪られながら歓喜の声をあげる。あやかしの肌とじかに触れ合うだけで、そこから蕩けるような愉悦が広がった。
「ぅんッ、あ、やッ、そこ、もう、」
 しきりと肌の上を味わうようにうごめく手指の感触だけで痺れるほどの快感に溺れそうなのに、たたみかけるように首筋に噛みつかれ、胸の尖を吸われて、過ぎる刺激に蘇芳は身を捩った。
 両の腕を固定されて否応なく身体を開かれ、射抜くような金の瞳に痴態の全てを曝け出している。
 見られている、ということに羞恥よりも興奮が勝り、しどけなく開いた足の間の後孔からはとろとろと溢れ出たものが身体の下に敷かれた着物に濃いしみを作っている。
「やだッ、も、また、あ、んんッ!」
 身体中を舐められ、齧られ、まるで獣にじゃれつかれているようなのに、身体はその一つ一つの刺激に敏感に反応してしまう。
 節高く長い指が後孔に挿れられた時は、突き抜けるような快感にそれだけで達した。後孔に埋められた指は蘇芳の指では届かなかった、酷く感じるところを無遠慮に何度も往復して、なす術なく追い上げられた蘇芳の屹立が何度目になるかもう分からない白濁を噴く。
 出しても出しても渇きは止まらない。自分で収められずひたすら耐えた悪夢のような記憶が蘇って、蘇芳の目尻からは涙が溢れた。
 不意に、蘇芳の太腿に、熱いものが掠めた。
「ぁ、……ッ」
 硬く猛った、その感触は見なくても分かる。ずくん、と臍の下が疼き、脳が沸騰しそうなほど、欲しくてたまらない。
 恐れも迷いも感じる余裕のないほどに、蘇芳の頭の中はそれで埋めてほしい、貫かれたいという思いでいっぱいになった。そうしてもらわなければ、自分はずっとこのまま苦しいだけだ。
「ゃ、ッそれ、ほしい、ッ」
 足をあやかしに巻きつけて、全身で訴えた。
 そんな蘇芳を、あやかしが眉を顰めてきつい目つきで睨みつける。
「お前、……ああ、もう、クソッ」
 並の人間が見れば気を失うに違いないほどの恐ろしい顔つき、声なのに、それにさえ蘇芳の身体は悦んだ。
 衝動のままに首に腕を巻き付けて引き寄せ、力の限りに抱き締める。少しでも想いを伝えたくて、熱を移すように懸命に身体を擦り付けた。
 ‪—‬—欲しい。このあやかしが。
 全身が燃えるように熱くて、それを鎮められるのはこの目の前のあやかししかいないと、本能が叫ぶ。その思いに呼応するように、こぷりと後孔が蜜を溢れさせるのが分かる。
 蘇芳の頭のすぐ上で、ぐうっと獣の唸り声のようなものが響いた。
 とんでもない力で身体を引き剥がされ、床に叩きつけられて、一瞬蘇芳の息が止まった。次の瞬間には足を思い切り広げられ、抱え上げられて、熱いものが濡れそぼった小さな孔に押し当てられる。
「ひ、あ、ア、あああああ……ッ!」
 一気に突き入れられた衝撃と、待ち望んだ初めて知る圧迫感。腹が裂けてしまうのではないかと思うほどの存在感を、蘇芳の蜜壺は嬉々として飲み込み、締め付ける。腹に広がる濡れた感触に、知らず達していたのを感じ取るが、それをしかと意識で捉える間もなく、蘇芳は嵐のような悦楽に翻弄された。
「あ、あ、ッそこ、すご、やああッ」
 逞しい腕に抱き込まれるようにして、濡れた孔を無遠慮に穿たれ、肉壁を擦り上げられ、奥を責められて、蘇芳は身も世もなく泣き喘いだ。あまりに激しい快感にこのまま死んでしまうのではとさえ思える恐ろしいような心地に、目の前のあやかしに縋りたくなる。
 もう出ない、と思うのも初めてなら、それでも際限なく上り詰めるのも未知の感覚だった。
 くらくらするような濃い匂いに包まれ、込み上げる多幸感に全身で酔いしれる。これが現実なのかも次第にわからなくなって、蘇芳はただ激情に飲まれ、泣きたくなるような充足感に身を任せた。
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