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第1章 死人の始まり
03 一人でうつむくより、二人で前を見て
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日本の落魄れた話しは残念ながらニュースの報道でよく聞く話しだ。中古車販売店が街路樹に除草剤を撒いたとされる事件もだが、真面目な日本人はどこへ消えたのか? それともそれは幻想に過ぎないのか。
それは世界で起きている問題に比べたら小さなものなのかもしれない。今、自分自身が巻き込まれている世界の運命と比較しても。だが、小さな問題だと油断し積もり積もればそれは山となる。静岡で起きた熱海の盛り土のようにきっかけが何であれ、あれ程の大災害を引き起こしたのだ。
人は不正したり、露骨で横柄な態度で人と接したり見下したりする。パワハラが無くならないのも、有能無能の言葉に敏感になるのも、何故世界はこうも醜いままであろうとし続けるのだろうか。
そんな自分自身はどうだろうか? 人の事が言えた口だろうか。自分自身もまた醜い心の持ち主ではないだろうか。曇った目でしか今と未来を見ることしか出来ていない自分は心が汚れているからではないのか。
少なくとも自分の心はアリス程綺麗には輝いていない。あれだけ危険な目にあっても怯む様子はない。一歩も退くことをせず立ち向かう姿は自分から見たら勇者だ。見て直ぐに分かる強さとかではない。自分にはそれが無くて、アリスにはあった。現に私は何も出来ていない。ただ怯え守ってもらっているばかりだ。足手まといじゃないのか? ハッキリ言われなくても自分がそう思う。
ただ、目標も目的もなくダラダラと生きて、ただ死ぬ勇気がないからとりあえず生きている。ゲームやアニメや映画にハマっても、その主人公達に共感することはない。自分はそんな人間じゃないしもっと平凡だし、どう生きるかと問われてもどうもこうもない。どうしようもない。お前は無能で馬鹿だと言われても、はいそうですと答えるしかない。それが真実なのだから。でも、きっと頭では分かっていてもプライドが素直になれず、気づけば誰かを呪い傷つけている。自分は正しい、あいつが間違っている、そう言いふらすことで自分の価値をなんとか留めようとしているズルい奴なんだ自分は。そんな自分はネクロマンサーのように呪いを解き放ち雰囲気を一番台無しにしている。
自分がなんでそうなってしまったのか……それは多分何かに挑戦する前に諦め続けてきたからだろう。自分には出来ない、やるだけ無駄、そんな寝そべってただ努力から逃げ続け勝ち負けの世界から遠ざかり、人生は勝ち負けだけじゃないと自分に都合のいい言い訳を並べてきたからだ。
人は戦うべき時には戦わなきゃいけない。そういった事に背を向け、自分との戦いに逃げ続けたからこそ、残ったものが自分にはなかった。自分がそれを一番分かっている筈なんだ。
だからこそ、何もしてこなかったそんな自分に嫌気を感じる。
小鳥の鳴き声が聞こえてきた。空は明るく雲はあってもいずれ晴れる。相変わらず変わることがない。変わったのは地上。呪いや害が沈殿している。光は地上からは遠く、まるで神は空か宇宙に地上から、人から離れていってしまったかのようだ。
地上ではいつ何が起こるか分からない、そういった混沌とした世界で生きづらさや不安を感じるのは当然で、その中でどう生きればいいのか分からない。生きる目的もないから何故生きるのかも分からない。なんとなくダラダラ生きて、誰かと喋るよりもスマホをいじる時間の方が長い。人として落魄れた自分はまるでゾンビだ。
「ヤマト!」
アリスは俺を呼んだ。そして我に返る。台風が過ぎ去った太陽の下はギラギラと熱せられダラダラと汗が流れ皮膚がヒリヒリとしている。目の前には大通りに沢山の人が集まっていた。前も後ろも。全て死人だ。
アリスは剣を構えている。
いや、いくらなんでも君一人でこの数は無理だ。俺達は死ぬ…… 。
アリスは振り返ってヤマトを見たとき、アリスの目に映ったのは顔面蒼白のヤマトだった。
「呪いを受けている……ヤマト、しっかりして!」
いつから? ヤマトの方は呼吸が浅く弱い。生命力が弱まっている。ネクロマンサーだ。ヤマトを死人にしようとしているんだ。
「しっかりしてヤマト!!」
肩を揺すり「強く生きろ! 生きたいと願え!」アリスは必死に意識が朦朧とするヤマトに訴え続けた。それが少し届いたのかヤマトの眉がピクリと動いた。
「ヤマト!?」
ヤマトの瞳に徐々に光を取り戻していく。心臓の鼓動はまだ生きたいと訴え強くなっていく。
「アリス……」
「ヤマト」
「俺は別に死にたいわけじゃない。死を急いでるわけじゃない。多分、生きてたら見つかるかもしれない。生きなきゃいけない理由を」
「うん」
「俺はこんなところで死んでたまるか」
ふと、自分のポケット熱く感じた。財布だ。財布の中を開けると、その中にお守りが入っていた。
アリスは「それを身に肌に身に着けて」と言って赤い紐を渡した。
ヤマトは頷くとお守りに紐を通しそれを首にかけた。
直後、死人がバタバタと倒れ始めた。
「呪いにヤマトは勝ったんだ。言葉と同じように本人に呪いが返ったんだ」
アリスが言っていたように死人にということか…… 。
「俺、どうなってた?」
「死人になりかけてた。そのお守りがヤマトを守ったの」
ヤマトは胸あたりにぶら下がっているお守りに手を当てた。
「ただのお守りだと思ってた」
「物に霊や神が宿るの。ご神木とかね。そのお守りにもそれを宿せる」
「多分、アリスが必死に俺を呼んでくれたから、このお守りにそんな力が宿ったんだと思う」
「私? 私がやった……」
「俺にはそんな力ないから」
俺はふと思い出し腕時計を見た。時刻は13時58分を過ぎていた。もうすぐで14時だと思ったが、そういえば時計が狂っていたことを思い出した。
「今何時か分からないな」
「その時計正しいよ」
「え?」
「呪いが消えたから」
「でも、そんなに時間は経っていない筈だよ」
「その時計が狂ったとき、私達の流れる時間も呪いで狂ったの」
「そう……だったんだ。ってことは!?」
「時間だね。ごめん、巻き込んで」
「いや……俺は何も出来なかった。むしろ君に守ってもらってばかりで足手まといだった」
「ううん。地球について色々知れたし、ネクロマンサーは今の呪いのはね返りで倒せたと思うから、一つの問題は解決できた。それはヤマトが生きるのを諦めなかったおかげだよ」
「そっか……俺、初めてだよ。誰かのためになれたのは」
アリスは光出す。アリスは鞄から魔法のコンパスを取り出した。魔法のコンパスの針が勝手に動き出しアリスの世界を指した。
「それじゃヤマト。あなたのこと忘れない」
「俺もアリスを忘れない」
こうしてアリスは白い光に包まれ見えなくなった。
不思議な体験だった。体験という程自分は何もしていないのだが、それでもこの運命は偶然ではない気がした。それに、これを単に偶然で終わりにしたくない。多分、神様はこれを期に変われと言っているのだろう。人はそう簡単に変われない、それなりの努力と意識が必死だからだろう。
ハッと気づくと空が紫色になっている。青い流れ星が見え、見慣れない星が見える。大通りは消え、そこは草原が広がっていた。
「え? ヤマト……」
目の前には自分の世界に戻った筈のアリスが立っていた。
「アリス?」
「ええー!?」「ええー!?」
「ヤマトこっちの世界に来ちゃったの!?」
「どうなってるんだ!?」
どうやらこの運命はまだ続きがあるようだった。
とりあえず俺は溜め込んだ大学生の溜め息をとっとと吐き出して、新しい酸素を吸うことにした。まるで、新しいことが本格的に始まる前の深呼吸をするかのように。
それは世界で起きている問題に比べたら小さなものなのかもしれない。今、自分自身が巻き込まれている世界の運命と比較しても。だが、小さな問題だと油断し積もり積もればそれは山となる。静岡で起きた熱海の盛り土のようにきっかけが何であれ、あれ程の大災害を引き起こしたのだ。
人は不正したり、露骨で横柄な態度で人と接したり見下したりする。パワハラが無くならないのも、有能無能の言葉に敏感になるのも、何故世界はこうも醜いままであろうとし続けるのだろうか。
そんな自分自身はどうだろうか? 人の事が言えた口だろうか。自分自身もまた醜い心の持ち主ではないだろうか。曇った目でしか今と未来を見ることしか出来ていない自分は心が汚れているからではないのか。
少なくとも自分の心はアリス程綺麗には輝いていない。あれだけ危険な目にあっても怯む様子はない。一歩も退くことをせず立ち向かう姿は自分から見たら勇者だ。見て直ぐに分かる強さとかではない。自分にはそれが無くて、アリスにはあった。現に私は何も出来ていない。ただ怯え守ってもらっているばかりだ。足手まといじゃないのか? ハッキリ言われなくても自分がそう思う。
ただ、目標も目的もなくダラダラと生きて、ただ死ぬ勇気がないからとりあえず生きている。ゲームやアニメや映画にハマっても、その主人公達に共感することはない。自分はそんな人間じゃないしもっと平凡だし、どう生きるかと問われてもどうもこうもない。どうしようもない。お前は無能で馬鹿だと言われても、はいそうですと答えるしかない。それが真実なのだから。でも、きっと頭では分かっていてもプライドが素直になれず、気づけば誰かを呪い傷つけている。自分は正しい、あいつが間違っている、そう言いふらすことで自分の価値をなんとか留めようとしているズルい奴なんだ自分は。そんな自分はネクロマンサーのように呪いを解き放ち雰囲気を一番台無しにしている。
自分がなんでそうなってしまったのか……それは多分何かに挑戦する前に諦め続けてきたからだろう。自分には出来ない、やるだけ無駄、そんな寝そべってただ努力から逃げ続け勝ち負けの世界から遠ざかり、人生は勝ち負けだけじゃないと自分に都合のいい言い訳を並べてきたからだ。
人は戦うべき時には戦わなきゃいけない。そういった事に背を向け、自分との戦いに逃げ続けたからこそ、残ったものが自分にはなかった。自分がそれを一番分かっている筈なんだ。
だからこそ、何もしてこなかったそんな自分に嫌気を感じる。
小鳥の鳴き声が聞こえてきた。空は明るく雲はあってもいずれ晴れる。相変わらず変わることがない。変わったのは地上。呪いや害が沈殿している。光は地上からは遠く、まるで神は空か宇宙に地上から、人から離れていってしまったかのようだ。
地上ではいつ何が起こるか分からない、そういった混沌とした世界で生きづらさや不安を感じるのは当然で、その中でどう生きればいいのか分からない。生きる目的もないから何故生きるのかも分からない。なんとなくダラダラ生きて、誰かと喋るよりもスマホをいじる時間の方が長い。人として落魄れた自分はまるでゾンビだ。
「ヤマト!」
アリスは俺を呼んだ。そして我に返る。台風が過ぎ去った太陽の下はギラギラと熱せられダラダラと汗が流れ皮膚がヒリヒリとしている。目の前には大通りに沢山の人が集まっていた。前も後ろも。全て死人だ。
アリスは剣を構えている。
いや、いくらなんでも君一人でこの数は無理だ。俺達は死ぬ…… 。
アリスは振り返ってヤマトを見たとき、アリスの目に映ったのは顔面蒼白のヤマトだった。
「呪いを受けている……ヤマト、しっかりして!」
いつから? ヤマトの方は呼吸が浅く弱い。生命力が弱まっている。ネクロマンサーだ。ヤマトを死人にしようとしているんだ。
「しっかりしてヤマト!!」
肩を揺すり「強く生きろ! 生きたいと願え!」アリスは必死に意識が朦朧とするヤマトに訴え続けた。それが少し届いたのかヤマトの眉がピクリと動いた。
「ヤマト!?」
ヤマトの瞳に徐々に光を取り戻していく。心臓の鼓動はまだ生きたいと訴え強くなっていく。
「アリス……」
「ヤマト」
「俺は別に死にたいわけじゃない。死を急いでるわけじゃない。多分、生きてたら見つかるかもしれない。生きなきゃいけない理由を」
「うん」
「俺はこんなところで死んでたまるか」
ふと、自分のポケット熱く感じた。財布だ。財布の中を開けると、その中にお守りが入っていた。
アリスは「それを身に肌に身に着けて」と言って赤い紐を渡した。
ヤマトは頷くとお守りに紐を通しそれを首にかけた。
直後、死人がバタバタと倒れ始めた。
「呪いにヤマトは勝ったんだ。言葉と同じように本人に呪いが返ったんだ」
アリスが言っていたように死人にということか…… 。
「俺、どうなってた?」
「死人になりかけてた。そのお守りがヤマトを守ったの」
ヤマトは胸あたりにぶら下がっているお守りに手を当てた。
「ただのお守りだと思ってた」
「物に霊や神が宿るの。ご神木とかね。そのお守りにもそれを宿せる」
「多分、アリスが必死に俺を呼んでくれたから、このお守りにそんな力が宿ったんだと思う」
「私? 私がやった……」
「俺にはそんな力ないから」
俺はふと思い出し腕時計を見た。時刻は13時58分を過ぎていた。もうすぐで14時だと思ったが、そういえば時計が狂っていたことを思い出した。
「今何時か分からないな」
「その時計正しいよ」
「え?」
「呪いが消えたから」
「でも、そんなに時間は経っていない筈だよ」
「その時計が狂ったとき、私達の流れる時間も呪いで狂ったの」
「そう……だったんだ。ってことは!?」
「時間だね。ごめん、巻き込んで」
「いや……俺は何も出来なかった。むしろ君に守ってもらってばかりで足手まといだった」
「ううん。地球について色々知れたし、ネクロマンサーは今の呪いのはね返りで倒せたと思うから、一つの問題は解決できた。それはヤマトが生きるのを諦めなかったおかげだよ」
「そっか……俺、初めてだよ。誰かのためになれたのは」
アリスは光出す。アリスは鞄から魔法のコンパスを取り出した。魔法のコンパスの針が勝手に動き出しアリスの世界を指した。
「それじゃヤマト。あなたのこと忘れない」
「俺もアリスを忘れない」
こうしてアリスは白い光に包まれ見えなくなった。
不思議な体験だった。体験という程自分は何もしていないのだが、それでもこの運命は偶然ではない気がした。それに、これを単に偶然で終わりにしたくない。多分、神様はこれを期に変われと言っているのだろう。人はそう簡単に変われない、それなりの努力と意識が必死だからだろう。
ハッと気づくと空が紫色になっている。青い流れ星が見え、見慣れない星が見える。大通りは消え、そこは草原が広がっていた。
「え? ヤマト……」
目の前には自分の世界に戻った筈のアリスが立っていた。
「アリス?」
「ええー!?」「ええー!?」
「ヤマトこっちの世界に来ちゃったの!?」
「どうなってるんだ!?」
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