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第3章 終焉
02 決意
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エギルが船酔いをしたのか海に向かって嘔吐を始め、それを見た漁師達が大笑いした。その船の横を沢山の魚が一斉に横切る。それを見たデイヴィスは「なんだ?」と不思議そうにした。
ふと、風が吹いた。彼方の夕焼けに一つの影が現れた。それは魔法の祈りよりも絶望の方がこの世はよく響く。聞いたことのない生き物の鳴き声。
「なんだあれは……」
翼を生やし此方に向かって飛んでいるのは赤色の大きなドラゴンだった。
「ドラゴン!? この世界にドラゴンがいるんですか!?」
「いや、そんな馬鹿な……ドラゴンなんて空想上の生き物だろう」
「それじゃあれは」
「知るか」
船長はスピードを上げて逃げる。ドラゴンは直進のまま飛び続けていた。
「死人の次はドラゴンかよ……」
翼には炎のような模様があり、黄金に輝く瞳の眼光は鋭くまるでその目で遠くを見渡せてしまうんじゃないかと思わせる程だ。そのドラゴンの体はごっつく、よくあんなものが空を飛んでられるかと感じるが、だからこそ空想上の生き物だと誰も存在を今まで信じてこなかったんだろう。だが、目の前にあるのは事実だ。あれは空想の生き物ではなかった。少なくともこの世界では。
「何でなんだよ……」
突然エギルはそう口にした。
「何で俺達がこんな目に合わなきゃいけないんだよ。どうしてなんだよ!?」
「おい、どうした?」とデイヴィス。
「家族も友達も家も奪われ、行く宛もなく、いつ死人になるのか、死ぬのかも分からないっていうだけでもういっぱいいっぱいだって言うのに、更にドラゴンだって? おい、神よ。俺達に死ねと言ってるのか? どうなんだよ! これ以上、俺達にどうしろって言うんだ。こいつ達が言っていた人間の業のせいなのか? 俺達が悪いのか? 沢山の人が死ななきゃならない程、俺達はそんなに罪深いことをしたのか? 子供はどうなんだ? 生まれたばかりの赤子は? そいつらが何をしたって言うんだ? 人間ってだけで全員裁かれなきゃならないのか? 戦争をしたのだって俺よりずっと大人がやったことだろ? そいつらはもうとっくにくたばったよ。それなのに、その責任を俺達に背負わせるのかよ! なぁ? 答えろよ! そこで見てるなら何か言えよクソ野郎」
「落ち着け」
「神なんてクソ野郎だ……そんな神、いなくたっていいじゃないか。どうせ俺達は終わりなんだからよ……俺の妹はまだ……生まれたばっかだったんだぞ……」
気づいたらエギルは大粒の涙を流していた。
「なんでお前達はそんなに平気なんだよ……何でそんな前向きなんだよ……」
「平気なわけあるか。街が燃えて、沢山の人が死んで、平気な奴なんているかよ。頭から悲鳴が離れやしない。皆、お前と同じさ。だからって、ここで諦めるわけにはいかない。簡単に諦めて死んでやるもんか。でなきゃ、負けたみたいで悔しいだろ。もし、これが人の仕業か神の仕業か悪魔の仕業かは知らんが、俺は最後まで抗うぜ。おい、ヤマト。俺はお前がそいつと戦うっていうなら、付き合うぜ」
「え?」
「お前が戦うっていうならな。どうする?」
「……戦うよ。どんな相手だろうと」
「決まりだな」
二人の漁師も「俺達もやるぜ」と答えた。
「お前一人でやる必要なんかないんだ」
すると、エギルは涙を拭き「俺も」と言った。
デイヴィスは舵を握る手が自然と力が入った。
「いいじゃねぇか! どうやら、俺達の行き先は決まったようだ」
空を飛ぶドラゴンは俺達の船を追わず大陸の方へ向かって飛んだ。
「あっちの方向は村だな」
ジャスミンとテイラーはハッとした。
「まずは村だな」
船はスピードを上げた。
ふと、風が吹いた。彼方の夕焼けに一つの影が現れた。それは魔法の祈りよりも絶望の方がこの世はよく響く。聞いたことのない生き物の鳴き声。
「なんだあれは……」
翼を生やし此方に向かって飛んでいるのは赤色の大きなドラゴンだった。
「ドラゴン!? この世界にドラゴンがいるんですか!?」
「いや、そんな馬鹿な……ドラゴンなんて空想上の生き物だろう」
「それじゃあれは」
「知るか」
船長はスピードを上げて逃げる。ドラゴンは直進のまま飛び続けていた。
「死人の次はドラゴンかよ……」
翼には炎のような模様があり、黄金に輝く瞳の眼光は鋭くまるでその目で遠くを見渡せてしまうんじゃないかと思わせる程だ。そのドラゴンの体はごっつく、よくあんなものが空を飛んでられるかと感じるが、だからこそ空想上の生き物だと誰も存在を今まで信じてこなかったんだろう。だが、目の前にあるのは事実だ。あれは空想の生き物ではなかった。少なくともこの世界では。
「何でなんだよ……」
突然エギルはそう口にした。
「何で俺達がこんな目に合わなきゃいけないんだよ。どうしてなんだよ!?」
「おい、どうした?」とデイヴィス。
「家族も友達も家も奪われ、行く宛もなく、いつ死人になるのか、死ぬのかも分からないっていうだけでもういっぱいいっぱいだって言うのに、更にドラゴンだって? おい、神よ。俺達に死ねと言ってるのか? どうなんだよ! これ以上、俺達にどうしろって言うんだ。こいつ達が言っていた人間の業のせいなのか? 俺達が悪いのか? 沢山の人が死ななきゃならない程、俺達はそんなに罪深いことをしたのか? 子供はどうなんだ? 生まれたばかりの赤子は? そいつらが何をしたって言うんだ? 人間ってだけで全員裁かれなきゃならないのか? 戦争をしたのだって俺よりずっと大人がやったことだろ? そいつらはもうとっくにくたばったよ。それなのに、その責任を俺達に背負わせるのかよ! なぁ? 答えろよ! そこで見てるなら何か言えよクソ野郎」
「落ち着け」
「神なんてクソ野郎だ……そんな神、いなくたっていいじゃないか。どうせ俺達は終わりなんだからよ……俺の妹はまだ……生まれたばっかだったんだぞ……」
気づいたらエギルは大粒の涙を流していた。
「なんでお前達はそんなに平気なんだよ……何でそんな前向きなんだよ……」
「平気なわけあるか。街が燃えて、沢山の人が死んで、平気な奴なんているかよ。頭から悲鳴が離れやしない。皆、お前と同じさ。だからって、ここで諦めるわけにはいかない。簡単に諦めて死んでやるもんか。でなきゃ、負けたみたいで悔しいだろ。もし、これが人の仕業か神の仕業か悪魔の仕業かは知らんが、俺は最後まで抗うぜ。おい、ヤマト。俺はお前がそいつと戦うっていうなら、付き合うぜ」
「え?」
「お前が戦うっていうならな。どうする?」
「……戦うよ。どんな相手だろうと」
「決まりだな」
二人の漁師も「俺達もやるぜ」と答えた。
「お前一人でやる必要なんかないんだ」
すると、エギルは涙を拭き「俺も」と言った。
デイヴィスは舵を握る手が自然と力が入った。
「いいじゃねぇか! どうやら、俺達の行き先は決まったようだ」
空を飛ぶドラゴンは俺達の船を追わず大陸の方へ向かって飛んだ。
「あっちの方向は村だな」
ジャスミンとテイラーはハッとした。
「まずは村だな」
船はスピードを上げた。
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