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迷いの森と妖精王
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1638年 10月8日
本日の天気は晴れ。
私はあの島の一件以来、冒険の機会に恵まれなかったものの、今回名のある家から依頼が舞い込んだ。
今、私は依頼主の家のあるイングランドへと向かっている最中である。
私の乗る馬車はその依頼主からの迎えに寄越されたもので、外観は目立った装飾はされていないものの、品位を感じさせる内装がそこかしこに施されていた。
しかし、依頼主の名前を知ることが出来なかったことがひどく気掛かりである。
1638年 10月9日
本日の天気は曇り。
馬車に揺られること丸一日、緊張からか私は一睡もすることが出来なかった。
陽が傾き、空が紅に染まった頃に馬車が止まった。
馬車を出て私が顔を上げると、豪華な屋敷が私を出迎え、私は使用人の案内で屋敷の客間へと案内された。
客間は一目で高級と分かる装飾品がずらりと並べられており、ソファに少女が一人、座っていた。
私はその少女に見覚えがあり、頭を捻って思い出しているところ、久しぶりだなと少女が私に柔らかな笑顔で声を掛けてきた。
声を掛けられた私はその声で少女の正体に行き当たる。
彼女は商船に拾われた私と同室になったあの不思議な少女であった。
私が固まりながらも少女の前にあるソファに座り、用意された紅茶を一口飲み、落ち着いたところで少女が控えていた使用人を下がらせた。
瀟洒な雰囲気を身に纏い、部屋にある調度品に引けを取らないほどの金髪と白い肌は御伽噺に出てくる妖精のようであった。
戸惑っている私に少女は鈴の音のような声で笑うと、彼女はミシリス・アリアンロッドと名乗る。
私はただミシリスの言葉に頷くしかなく、名を問われ、私はこの屋敷に来て初めて口を開いた。
彼女は私の様子がおかしかったようで、また笑った。
私は酷く恥ずかしくなって顔を逸らすと、彼女の笑い声は更に大きくなった。
ひとしきり笑い終えた彼女はため息を一つ吐いて落ち着くと、私の方に視線を向ける。
私も揶揄われたことに多少腹を立てつつ彼女に向き直った。
彼女は咳払いをして私に依頼についてを語り出す。
曰く、彼女は魔術師として辺りの土地を管理しており、最近異変の起こっている場所があるらしくその調査に向かいたいのだと。
その同行者として私を呼びつけたのだ。
私は一も二もなく彼女の依頼を快諾する。
依頼を受けた私に彼女は屋敷の中の部屋を用意した。
部屋はなかなかの作りで、寝台も丁寧な仕事が行き届いており、柔らかかった。
明日の朝からの魔術師との冒険に私は今、胸を高鳴らせている。
1638年 10月10日
私は今、森の中でどうすることも出来ずにただうずくまっている。
事の経緯はこうだ。
2日の徹夜のせいか深い眠りに落ち、夢心地なまま屋敷の使用人に起こされた私は眠気まなこを擦りながら純白のテーブルリネンの敷かれたテーブルへ案内される。
私が席に着いた後にミシリスが部屋に入って来た。
彼女が席に座った後に来たのはコックの格好をした人形であった。
私は一気に眠気が覚めてその人形に釘付けになり、私は未だ自分が夢の中にいるのかと疑った。
ミシリスは気にするなと言って人形に指先で何か指示を出し、指示を出された人形はカートに乗った朝食を私達の前に並べていった。
皿の上には目玉焼きにベーコン、ベイクドビーンズ、ソーセージ、トマトが乗せられ、バスケットには焼き立てのパンが乗せられていた。
寝起きで腹の空いていた私は腹を鳴らしながら目の前のご馳走を口に運ぶ。
私はその余りの美味しさに目を剥いた。
見る間に私の口へと消えて行き、気付いた頃には私は既に食後の紅茶に手を付けていた。
一息付いたところで私は食事中のミシリスの方を見ると、彼女はパンを口に運んでおり、私は彼女が食べ終わるまでその様子を見守った。
彼女は紅茶を飲み干し、私が彼女を見つめていることに気付くと、彼女は微笑みを浮かべて私を見つめ返してきた。
私は彼女の息を飲むような美しさに私は固まってしまう。
朝食を食べ終えた私達は荷物を見繕って屋敷を出ると、屋敷の前に私を迎えに来た馬車が屋敷の門前で止まっていた。
私がいざ馬車に乗るという時にミシリスから目隠しをされて馬車の中に放り込まれた。
余りの事に困惑する私を他所に馬車は馬の嗎と共に走り始め、私が目的地に着いた頃は目が回ってしまい馬車から出た途端に吐いてしまった。
私が落ち着いた後、ミシリスは眼前にある暗い森に姿を消しており、私は急いで御者に礼を言ってミシリスを追いかけた。
追いかけていればすぐに追いつけると思っていた私は気付けば森の奥にまで入り込んでおり、頭の上から僅かに注ぐ木漏れ日だけが頼りだった。
どれだけ歩けど見えない少女の背中を森の中で必死で探す。
しかし、結局鳥の声だけが響く森は私をあの巨人の島の時のように孤独で苛もうとするが、前回の経験もあった私は気を持ち直した。
私は息を整えるついでにこうして手帳にこれまでの動向を書き並べている。
もう少しだけ歩いてみようと思うが、どうにも私は嫌な予感がしてならない。
1628年 10月11日
昨日は何の成果も無く適当に見つけた木の洞で就寝した。
存外の心地良さに癒されたが、森を出ない事には何も出来ないと私は塩漬け肉と硬いパンを朝食に摂って歩き始めた。
今日はミシリスの足跡を探してその跡を追いかけようと彼女の足跡を探すがどこにもそれらしい痕跡は無く、そもそも人の入った痕跡がどこにも見当たらなかった。
昨日の彼女の口ぶりからして日常的にこの森に足を運んでいるはずだが、どれほど探してもやはり見つかず、私は寝床にしている木の洞に戻って手帳に書き記す。
1628年 10月12日
不思議なことにこの森は昼夜の区別が無いようであった。
長いこと地下生活に慣れていた私は日の有無で特段の苦労はしないものの、やはり昼夜の区別が無いと違和感を覚える。
持って来た水はもう半分を切っており、ミシリスの捜索は一旦切り上げて早く水源を見つけなければ危ない。
1628年 10月13日
水音に目を覚ました私が外を見ると、小雨が森を水浸しにしていた。
水を切らしていた私には嬉しい事だが、今日は一日中この暗い洞の中で外を見るしかないだろう。
1628年 10月14日
雨が落ち着いた頃、私は外に出て水を吸ってぬかるんだ道を気を付けなながら進む。
森はまだ目覚めていないのか、目を凝らさなければ辺りが見えなかった。
今日こそはミシリスを見つけよう。
見てしまった。
あれは何だ。
私は何を見てしまったんだ。
頭が混乱している。
骸骨を岩か何かに取り付けたような黒い不定形なモノが私が森を進んでいる最中に突然視界の端に現れた。
私は急いで身を隠して息を潜め、あの不気味で異質なモノから逃げ仰せた。
あのような生物は見たことがない。
巨人達よりも遥かに人智を超えた何かに私には映った。
洞に戻った私は恐怖で胸が締め付けられながら体を縮めている。
1628年 10月15日
恐怖心より好奇心の優った私は、化け物がいたあの場所にもう一度向かった。
私は心臓を高鳴らせてゆっくりと化け物のいた場所に辿り着くが、そこには丸い無彩色の球が落ちているだけだった。
1628年 10月16日
私は再びミシリスを探そうと身支度して洞を出ると、目の前に真白い服装をした人が立っていた。
腰を抜かした私にその人物は手を差し出して来て、私はその手を取る。
その手に体温は無く、人の手を触っているように感じなかったが不思議と恐怖心は無かった。
私を立たせた者は私に目隠しをするよう言うと、私はそれに頷いて目隠しをする。
一瞬だけ強い光が私を包み、光が落ち着いた頃に目を開けると驚愕の光景が広がっていた。
ただただ暗いだけであった森は様々な色の光で満たされた美しい姿に様変わりしており、見たこともない動物達が私を木の上から見下ろしていた。
私が森の姿に呆気に取られていると、私の後ろからミシリスが声を掛けてきた。
振り向いた私に軽い口調で一言謝罪を述べたミシリスに私は憤りを覚えつつ、彼女にこの森について聞いた。
曰く、この森は多くの妖精が集まり、王の支配の下で暮らしている森だそうで、私が迷い込んだのはココとは別の領域だそうだ。
そこは本来人が入れぬ領域であり、私の見たあの化け物は◼️◼️◼️◼️らしい。
私の隣で黙っている人物にその正体を聞くと、彼は自分を妖精王と名乗った。
妖精王は寛大にも私を食事に招待してくれ、私は今まで味わったこともないような美味な果実を思う存分食した。
その後、妖精王が私達に寝床を用意してくれ、疲れを癒してくれと親切にしてくれた。
明日は名残惜しいがすぐにここを発つのだそうだ。
1628年 10月17日
妖精王は私に迷惑を掛けた礼と言って一本のナイフを渡した。
そのナイフの刀身は美しい黒であり、私は妖精王からの賜り物を大事に荷物の中に入れた。
私達は妖精王の案内に従い、森を出た。
森から出てすぐに私達は馬車に乗ってミシリスの屋敷に戻り、私は屋敷に戻ってすぐに部屋の机で手帳を見返している。
短い間であったが充実した冒険が出来たように思うが、あの化け物の正体は隠しておこうと思う。
1628年 10月18日
私は7日前と同じく屋敷の豪華な朝食を頂き、紅茶を飲むミシリスにあの化け物から出たであろうあの無彩色の球を見せると、彼女は大きく口を開けて笑い始めた。
何が面白かったのかは分からないが、私は首を傾げながらも彼女がこれの正体について全く答える気が無かったようなので球をポケットにしまって荷造をし、ミシリスから依頼の料金を受け取った後に家を出た。
結局依頼は彼女の後をついて行けばそれで良かったらしく、その間彼女が何をしていたのか結局何も答えてはくれなかった。
私は帰りの馬車に乗りながらあの不思議な森について思い返すが、どうにも私は手帳にある化物についてその姿を思い出せないでいる。
私は一体何を見たのだろう。
それに、私のポケットの中にあるこの無彩色の球は一体何なのだろうか。
本日の天気は晴れ。
私はあの島の一件以来、冒険の機会に恵まれなかったものの、今回名のある家から依頼が舞い込んだ。
今、私は依頼主の家のあるイングランドへと向かっている最中である。
私の乗る馬車はその依頼主からの迎えに寄越されたもので、外観は目立った装飾はされていないものの、品位を感じさせる内装がそこかしこに施されていた。
しかし、依頼主の名前を知ることが出来なかったことがひどく気掛かりである。
1638年 10月9日
本日の天気は曇り。
馬車に揺られること丸一日、緊張からか私は一睡もすることが出来なかった。
陽が傾き、空が紅に染まった頃に馬車が止まった。
馬車を出て私が顔を上げると、豪華な屋敷が私を出迎え、私は使用人の案内で屋敷の客間へと案内された。
客間は一目で高級と分かる装飾品がずらりと並べられており、ソファに少女が一人、座っていた。
私はその少女に見覚えがあり、頭を捻って思い出しているところ、久しぶりだなと少女が私に柔らかな笑顔で声を掛けてきた。
声を掛けられた私はその声で少女の正体に行き当たる。
彼女は商船に拾われた私と同室になったあの不思議な少女であった。
私が固まりながらも少女の前にあるソファに座り、用意された紅茶を一口飲み、落ち着いたところで少女が控えていた使用人を下がらせた。
瀟洒な雰囲気を身に纏い、部屋にある調度品に引けを取らないほどの金髪と白い肌は御伽噺に出てくる妖精のようであった。
戸惑っている私に少女は鈴の音のような声で笑うと、彼女はミシリス・アリアンロッドと名乗る。
私はただミシリスの言葉に頷くしかなく、名を問われ、私はこの屋敷に来て初めて口を開いた。
彼女は私の様子がおかしかったようで、また笑った。
私は酷く恥ずかしくなって顔を逸らすと、彼女の笑い声は更に大きくなった。
ひとしきり笑い終えた彼女はため息を一つ吐いて落ち着くと、私の方に視線を向ける。
私も揶揄われたことに多少腹を立てつつ彼女に向き直った。
彼女は咳払いをして私に依頼についてを語り出す。
曰く、彼女は魔術師として辺りの土地を管理しており、最近異変の起こっている場所があるらしくその調査に向かいたいのだと。
その同行者として私を呼びつけたのだ。
私は一も二もなく彼女の依頼を快諾する。
依頼を受けた私に彼女は屋敷の中の部屋を用意した。
部屋はなかなかの作りで、寝台も丁寧な仕事が行き届いており、柔らかかった。
明日の朝からの魔術師との冒険に私は今、胸を高鳴らせている。
1638年 10月10日
私は今、森の中でどうすることも出来ずにただうずくまっている。
事の経緯はこうだ。
2日の徹夜のせいか深い眠りに落ち、夢心地なまま屋敷の使用人に起こされた私は眠気まなこを擦りながら純白のテーブルリネンの敷かれたテーブルへ案内される。
私が席に着いた後にミシリスが部屋に入って来た。
彼女が席に座った後に来たのはコックの格好をした人形であった。
私は一気に眠気が覚めてその人形に釘付けになり、私は未だ自分が夢の中にいるのかと疑った。
ミシリスは気にするなと言って人形に指先で何か指示を出し、指示を出された人形はカートに乗った朝食を私達の前に並べていった。
皿の上には目玉焼きにベーコン、ベイクドビーンズ、ソーセージ、トマトが乗せられ、バスケットには焼き立てのパンが乗せられていた。
寝起きで腹の空いていた私は腹を鳴らしながら目の前のご馳走を口に運ぶ。
私はその余りの美味しさに目を剥いた。
見る間に私の口へと消えて行き、気付いた頃には私は既に食後の紅茶に手を付けていた。
一息付いたところで私は食事中のミシリスの方を見ると、彼女はパンを口に運んでおり、私は彼女が食べ終わるまでその様子を見守った。
彼女は紅茶を飲み干し、私が彼女を見つめていることに気付くと、彼女は微笑みを浮かべて私を見つめ返してきた。
私は彼女の息を飲むような美しさに私は固まってしまう。
朝食を食べ終えた私達は荷物を見繕って屋敷を出ると、屋敷の前に私を迎えに来た馬車が屋敷の門前で止まっていた。
私がいざ馬車に乗るという時にミシリスから目隠しをされて馬車の中に放り込まれた。
余りの事に困惑する私を他所に馬車は馬の嗎と共に走り始め、私が目的地に着いた頃は目が回ってしまい馬車から出た途端に吐いてしまった。
私が落ち着いた後、ミシリスは眼前にある暗い森に姿を消しており、私は急いで御者に礼を言ってミシリスを追いかけた。
追いかけていればすぐに追いつけると思っていた私は気付けば森の奥にまで入り込んでおり、頭の上から僅かに注ぐ木漏れ日だけが頼りだった。
どれだけ歩けど見えない少女の背中を森の中で必死で探す。
しかし、結局鳥の声だけが響く森は私をあの巨人の島の時のように孤独で苛もうとするが、前回の経験もあった私は気を持ち直した。
私は息を整えるついでにこうして手帳にこれまでの動向を書き並べている。
もう少しだけ歩いてみようと思うが、どうにも私は嫌な予感がしてならない。
1628年 10月11日
昨日は何の成果も無く適当に見つけた木の洞で就寝した。
存外の心地良さに癒されたが、森を出ない事には何も出来ないと私は塩漬け肉と硬いパンを朝食に摂って歩き始めた。
今日はミシリスの足跡を探してその跡を追いかけようと彼女の足跡を探すがどこにもそれらしい痕跡は無く、そもそも人の入った痕跡がどこにも見当たらなかった。
昨日の彼女の口ぶりからして日常的にこの森に足を運んでいるはずだが、どれほど探してもやはり見つかず、私は寝床にしている木の洞に戻って手帳に書き記す。
1628年 10月12日
不思議なことにこの森は昼夜の区別が無いようであった。
長いこと地下生活に慣れていた私は日の有無で特段の苦労はしないものの、やはり昼夜の区別が無いと違和感を覚える。
持って来た水はもう半分を切っており、ミシリスの捜索は一旦切り上げて早く水源を見つけなければ危ない。
1628年 10月13日
水音に目を覚ました私が外を見ると、小雨が森を水浸しにしていた。
水を切らしていた私には嬉しい事だが、今日は一日中この暗い洞の中で外を見るしかないだろう。
1628年 10月14日
雨が落ち着いた頃、私は外に出て水を吸ってぬかるんだ道を気を付けなながら進む。
森はまだ目覚めていないのか、目を凝らさなければ辺りが見えなかった。
今日こそはミシリスを見つけよう。
見てしまった。
あれは何だ。
私は何を見てしまったんだ。
頭が混乱している。
骸骨を岩か何かに取り付けたような黒い不定形なモノが私が森を進んでいる最中に突然視界の端に現れた。
私は急いで身を隠して息を潜め、あの不気味で異質なモノから逃げ仰せた。
あのような生物は見たことがない。
巨人達よりも遥かに人智を超えた何かに私には映った。
洞に戻った私は恐怖で胸が締め付けられながら体を縮めている。
1628年 10月15日
恐怖心より好奇心の優った私は、化け物がいたあの場所にもう一度向かった。
私は心臓を高鳴らせてゆっくりと化け物のいた場所に辿り着くが、そこには丸い無彩色の球が落ちているだけだった。
1628年 10月16日
私は再びミシリスを探そうと身支度して洞を出ると、目の前に真白い服装をした人が立っていた。
腰を抜かした私にその人物は手を差し出して来て、私はその手を取る。
その手に体温は無く、人の手を触っているように感じなかったが不思議と恐怖心は無かった。
私を立たせた者は私に目隠しをするよう言うと、私はそれに頷いて目隠しをする。
一瞬だけ強い光が私を包み、光が落ち着いた頃に目を開けると驚愕の光景が広がっていた。
ただただ暗いだけであった森は様々な色の光で満たされた美しい姿に様変わりしており、見たこともない動物達が私を木の上から見下ろしていた。
私が森の姿に呆気に取られていると、私の後ろからミシリスが声を掛けてきた。
振り向いた私に軽い口調で一言謝罪を述べたミシリスに私は憤りを覚えつつ、彼女にこの森について聞いた。
曰く、この森は多くの妖精が集まり、王の支配の下で暮らしている森だそうで、私が迷い込んだのはココとは別の領域だそうだ。
そこは本来人が入れぬ領域であり、私の見たあの化け物は◼️◼️◼️◼️らしい。
私の隣で黙っている人物にその正体を聞くと、彼は自分を妖精王と名乗った。
妖精王は寛大にも私を食事に招待してくれ、私は今まで味わったこともないような美味な果実を思う存分食した。
その後、妖精王が私達に寝床を用意してくれ、疲れを癒してくれと親切にしてくれた。
明日は名残惜しいがすぐにここを発つのだそうだ。
1628年 10月17日
妖精王は私に迷惑を掛けた礼と言って一本のナイフを渡した。
そのナイフの刀身は美しい黒であり、私は妖精王からの賜り物を大事に荷物の中に入れた。
私達は妖精王の案内に従い、森を出た。
森から出てすぐに私達は馬車に乗ってミシリスの屋敷に戻り、私は屋敷に戻ってすぐに部屋の机で手帳を見返している。
短い間であったが充実した冒険が出来たように思うが、あの化け物の正体は隠しておこうと思う。
1628年 10月18日
私は7日前と同じく屋敷の豪華な朝食を頂き、紅茶を飲むミシリスにあの化け物から出たであろうあの無彩色の球を見せると、彼女は大きく口を開けて笑い始めた。
何が面白かったのかは分からないが、私は首を傾げながらも彼女がこれの正体について全く答える気が無かったようなので球をポケットにしまって荷造をし、ミシリスから依頼の料金を受け取った後に家を出た。
結局依頼は彼女の後をついて行けばそれで良かったらしく、その間彼女が何をしていたのか結局何も答えてはくれなかった。
私は帰りの馬車に乗りながらあの不思議な森について思い返すが、どうにも私は手帳にある化物についてその姿を思い出せないでいる。
私は一体何を見たのだろう。
それに、私のポケットの中にあるこの無彩色の球は一体何なのだろうか。
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