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第29話 ヒロへの想い。
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第29話 ヒロへの想い。
ドアの向こうにいたのは短い銀髪の女性だった。
白衣を着ている事から医者かもしれない。
「……あなたは誰ですか?」
警戒しながら尋ねると女性はにっこりと微笑んで答えた。
「私は神威由紀。あなたの治療を担当した医師よ」
「……ここは本当に安全なのですか?」
カレンが聞きたかったのはエナジーとか魂とかの研究結果じゃない。
人々に迫害された事で受けた心の傷は大きく身体は修復したが心は不安でいっぱいだ。
その心を癒す為には時間が必要だ。
だからまずはここが安全かどうか知りたかった。
由紀と名乗った女性は少し困ったような顔をして答える。
「そうね。まずあなたがいる場所は北海道の山中にある秘密の研究所。ここは亡き雛月博士の意志を継いだ医者や科学者とその家族が暮らしているわ」
そういって由紀は自分の胸に手を当てて自己紹介をする。
どうやら信用してもいいらしい。
だがまだ油断はできない。
服が欲しいと言うと由紀はすぐに用意してくれた。
白いブラウスに黒いスカートを身に着けると少しだけ心が落ち着いた気がした。
「お腹空いているでしょう?ヒロ、カレンさんの食事を持ってきて」
神威由紀がそういうと優しそうな顔立ちの少年がトレイを手に入ってきた。
短い黒髪でカレンと同い年くらいだろうか。
美少年とまでは言わないが整った顔立ちをしている。
初めて見るのになぜか心が落ち着く。
少年はカレンを見ると嬉しそうに微笑んだ。
食事は病院食のようなものだったが、味は悪くなく、カレンはあっという間に平らげてしまった。
食べ終わるとカレンは同い年くらいの少年に話しかけた。
「僕は神威ヒロ。神威由紀の弟です」
彼はそう言って自己紹介を始める。
自分たちが改良したバスタースーツで戦っていること。
ダークネスシャドーの侵略はまだ続いている事。
自分がヒーローとして戦っていること。
ダークネスシャドーとの戦いはまだ終わっていないこと。
「カレンさんはまだ生き返ったばかりで安定していないんだ。また来るからその時に続きを話すね」
「うん。ボクも聞かなくちゃいけない事が沢山あるよ。またお話しようね」
そう言って微笑むカレンを見てヒロが照れたように笑う。
ヒロと話しているうちに体調が不安定なのか眠くなってしまいその日は眠る事にした。
◆◆◆
それから数日が経過し、ようやくカレンの精神状態も安定してきた頃、ヒロと一緒に散歩することになった。
ヒロに連れられて外に出るとそこには美しい自然があった。
空気が美味しいし木々の緑はとても綺麗だ。
何より人がいないのがいい。
都会では人の目があるので安心して歩けない。
そんな事を考えていると目の前に巨大な木が現れた。
樹齢何年なのだろう。
とても大きな樹木だ。
まるで巨人のような大きさだ。
こんな立派な大樹を見たのは初めてだ。
「すごいでしょ。樹齢2000年くらいだって」
隣にいるヒロが話かける。
出撃の合間にヒロはカレンのそばにいてくれる。
多分気遣ってくれているようだ。
今まで男性といえばクラスメートとちょっと話しただけのカレンにとって、こんなに長く話をした男の子は初めてだった。
「うん。すごく大きくて立派だね。ヒロはここに来たことがあるの?」
「カレンさんと一緒に来たことがあるよ」
「そうなの?」
「うん。僕のお母さんとカレンさんのお父さんは兄妹なんだ。だから僕とカレンさんは親戚なんだよ」
そのままヒロが何かを言いかけた時、突然カレンの胸が苦しくなった。
立っていられないほどの激痛に膝をつく。
「カレンさん!?」
ヒロはカレンに駆け寄る。
カレンはヒロに抱きかかえられながら意識を失ってしまった。
◆◆◆
カレンは夢を見ていた。
夢の中でカレンは神威ヒロに抱かれていた。
ヒロはカレンの胸を優しく愛撫している。
カレンの乳首を吸い、微笑みながら何度もキスをしてくれる。
「愛してる。世界中の誰より僕はカレンを愛している」
夢の中のヒロはそう言ってくれる。
優しい性行為。
今までの怪人とは違い恋人のように愛してくれる。
夢の中でカレンは幸福に包まれた喘ぎを漏らし、安心しきった声を上げていた。
そんな幸せな夢を見て、目を覚ますとそこにヒロがいてくれた。
ヒロはカレンが目を覚ますまでずっと手を握っていてくれた。
「カレンさん大丈夫?」
「う…うん大丈夫」
そういってカレンは目をそらす。
まさか夢の中でヒロとSEXしていたといえるはずも無く無性に恥ずかしかった。
でもなぜだろう。
夢の中でSEXしていた事が恥ずかしいのではない気がする。
むしろもっとして欲しいと思っている自分に驚いたのだ。
自分の中に芽生えつつある感情に戸惑いながらもそれを表に出さないようにする。
今は戦いに集中しなければならないのだ。
それに自分はもう処女ではない。
もう汚れているのだから自分が恋をしているなんて。
そんな資格は無いとカレンは思っていた。
(それにしてもあの夢は何だったのだろう?)
(カレンの夢の事ですか?)
(ち!違うよ!!)
(そうですか?)
(そうよ!!)
AI・マシロとそんな会話をしていると部屋にブザー音が鳴った。
ヒロが出撃する合図だ。
名残惜しそうに手を離したヒロが立ち上がり急いで部屋から出ていこうとする。
その後姿にカレンは切なくなった。
「僕行かなきゃ。帰ってきたらまたカレンさんと話したいな」
「うん……早く帰ってきてね」
「頑張って早く帰ってくるよ」
そう言うとヒロは優しく微笑んでから部屋を出て行った。
一人残されたカレンは先ほどの夢の事を考える。
夢の中のヒロは優しかった。
もしあんなふうに抱いてもらえたらどんなに幸せだろう。
そう思うとカレンは顔が赤くなるのを感じた。
何を考えているのだろう。
ヒロが戦っている最中にこんな事を考えるなんてどうかしてる。
(カレンさん。きっとカレンさんはヒロ君の事が好きなんですよ)
AI・マシロがそう言ってくれるが辛い。
自分は汚れた身体なのだから。
誰かに愛してもらう資格なんてもう無い。
そう考えたら悲しくて涙が出てきた。
カレンはベッドの上で膝を抱える。
これからどうしたらいいんだろう。
戦う事なんてできない。
だけどこのままここにいてもいいのか。
答えは出ない。
その時、カレンの脳裏にある光景が浮かんだ。
それは自分を助けるために悪の組織ダークネスシャドーに堕ちた和美の姿。
彼女は最後までカレンの心配をしていた。
(カレンはもう戦わなくていいんだよ)
和美はそう言った。
カレンも戦いたくはない。
自分にあんな扱いをした人々の為に戦うなんて無理だと思った。
こんな思考をしているのは自分の心が傷ついているからだとわかってはいるけどそう思ってしまう。
「ヒロ……ボクどうしたらいいの?」
こんな思考を知ったらヒロはボクを軽蔑するに決まっている。
正義のヒーローの彼はきっと迷いなく戦えるのだろう。
そして最後までカレンと人々を守って死ぬのだ。
ヒロはそういう人だと最近知り合ったばかりなのにカレンにはそれがわかってしまう。
(カレンさんはどうしたいんですか?)
(ボクは……)
AI・マシロの質問にカレンは迷っていた。
今の自分はダークネスシャドーと戦う事ができるのだろうか。
その答えが出せないまま時間だけが過ぎていく。
答えを出すにはまだ早いのかもしれない。
そう考えて、カレンはヒロが帰ってくるまで横になる事にした。
(ヒロ…無事に帰ってきて)
今はその気持ちで一杯だった。
ドアの向こうにいたのは短い銀髪の女性だった。
白衣を着ている事から医者かもしれない。
「……あなたは誰ですか?」
警戒しながら尋ねると女性はにっこりと微笑んで答えた。
「私は神威由紀。あなたの治療を担当した医師よ」
「……ここは本当に安全なのですか?」
カレンが聞きたかったのはエナジーとか魂とかの研究結果じゃない。
人々に迫害された事で受けた心の傷は大きく身体は修復したが心は不安でいっぱいだ。
その心を癒す為には時間が必要だ。
だからまずはここが安全かどうか知りたかった。
由紀と名乗った女性は少し困ったような顔をして答える。
「そうね。まずあなたがいる場所は北海道の山中にある秘密の研究所。ここは亡き雛月博士の意志を継いだ医者や科学者とその家族が暮らしているわ」
そういって由紀は自分の胸に手を当てて自己紹介をする。
どうやら信用してもいいらしい。
だがまだ油断はできない。
服が欲しいと言うと由紀はすぐに用意してくれた。
白いブラウスに黒いスカートを身に着けると少しだけ心が落ち着いた気がした。
「お腹空いているでしょう?ヒロ、カレンさんの食事を持ってきて」
神威由紀がそういうと優しそうな顔立ちの少年がトレイを手に入ってきた。
短い黒髪でカレンと同い年くらいだろうか。
美少年とまでは言わないが整った顔立ちをしている。
初めて見るのになぜか心が落ち着く。
少年はカレンを見ると嬉しそうに微笑んだ。
食事は病院食のようなものだったが、味は悪くなく、カレンはあっという間に平らげてしまった。
食べ終わるとカレンは同い年くらいの少年に話しかけた。
「僕は神威ヒロ。神威由紀の弟です」
彼はそう言って自己紹介を始める。
自分たちが改良したバスタースーツで戦っていること。
ダークネスシャドーの侵略はまだ続いている事。
自分がヒーローとして戦っていること。
ダークネスシャドーとの戦いはまだ終わっていないこと。
「カレンさんはまだ生き返ったばかりで安定していないんだ。また来るからその時に続きを話すね」
「うん。ボクも聞かなくちゃいけない事が沢山あるよ。またお話しようね」
そう言って微笑むカレンを見てヒロが照れたように笑う。
ヒロと話しているうちに体調が不安定なのか眠くなってしまいその日は眠る事にした。
◆◆◆
それから数日が経過し、ようやくカレンの精神状態も安定してきた頃、ヒロと一緒に散歩することになった。
ヒロに連れられて外に出るとそこには美しい自然があった。
空気が美味しいし木々の緑はとても綺麗だ。
何より人がいないのがいい。
都会では人の目があるので安心して歩けない。
そんな事を考えていると目の前に巨大な木が現れた。
樹齢何年なのだろう。
とても大きな樹木だ。
まるで巨人のような大きさだ。
こんな立派な大樹を見たのは初めてだ。
「すごいでしょ。樹齢2000年くらいだって」
隣にいるヒロが話かける。
出撃の合間にヒロはカレンのそばにいてくれる。
多分気遣ってくれているようだ。
今まで男性といえばクラスメートとちょっと話しただけのカレンにとって、こんなに長く話をした男の子は初めてだった。
「うん。すごく大きくて立派だね。ヒロはここに来たことがあるの?」
「カレンさんと一緒に来たことがあるよ」
「そうなの?」
「うん。僕のお母さんとカレンさんのお父さんは兄妹なんだ。だから僕とカレンさんは親戚なんだよ」
そのままヒロが何かを言いかけた時、突然カレンの胸が苦しくなった。
立っていられないほどの激痛に膝をつく。
「カレンさん!?」
ヒロはカレンに駆け寄る。
カレンはヒロに抱きかかえられながら意識を失ってしまった。
◆◆◆
カレンは夢を見ていた。
夢の中でカレンは神威ヒロに抱かれていた。
ヒロはカレンの胸を優しく愛撫している。
カレンの乳首を吸い、微笑みながら何度もキスをしてくれる。
「愛してる。世界中の誰より僕はカレンを愛している」
夢の中のヒロはそう言ってくれる。
優しい性行為。
今までの怪人とは違い恋人のように愛してくれる。
夢の中でカレンは幸福に包まれた喘ぎを漏らし、安心しきった声を上げていた。
そんな幸せな夢を見て、目を覚ますとそこにヒロがいてくれた。
ヒロはカレンが目を覚ますまでずっと手を握っていてくれた。
「カレンさん大丈夫?」
「う…うん大丈夫」
そういってカレンは目をそらす。
まさか夢の中でヒロとSEXしていたといえるはずも無く無性に恥ずかしかった。
でもなぜだろう。
夢の中でSEXしていた事が恥ずかしいのではない気がする。
むしろもっとして欲しいと思っている自分に驚いたのだ。
自分の中に芽生えつつある感情に戸惑いながらもそれを表に出さないようにする。
今は戦いに集中しなければならないのだ。
それに自分はもう処女ではない。
もう汚れているのだから自分が恋をしているなんて。
そんな資格は無いとカレンは思っていた。
(それにしてもあの夢は何だったのだろう?)
(カレンの夢の事ですか?)
(ち!違うよ!!)
(そうですか?)
(そうよ!!)
AI・マシロとそんな会話をしていると部屋にブザー音が鳴った。
ヒロが出撃する合図だ。
名残惜しそうに手を離したヒロが立ち上がり急いで部屋から出ていこうとする。
その後姿にカレンは切なくなった。
「僕行かなきゃ。帰ってきたらまたカレンさんと話したいな」
「うん……早く帰ってきてね」
「頑張って早く帰ってくるよ」
そう言うとヒロは優しく微笑んでから部屋を出て行った。
一人残されたカレンは先ほどの夢の事を考える。
夢の中のヒロは優しかった。
もしあんなふうに抱いてもらえたらどんなに幸せだろう。
そう思うとカレンは顔が赤くなるのを感じた。
何を考えているのだろう。
ヒロが戦っている最中にこんな事を考えるなんてどうかしてる。
(カレンさん。きっとカレンさんはヒロ君の事が好きなんですよ)
AI・マシロがそう言ってくれるが辛い。
自分は汚れた身体なのだから。
誰かに愛してもらう資格なんてもう無い。
そう考えたら悲しくて涙が出てきた。
カレンはベッドの上で膝を抱える。
これからどうしたらいいんだろう。
戦う事なんてできない。
だけどこのままここにいてもいいのか。
答えは出ない。
その時、カレンの脳裏にある光景が浮かんだ。
それは自分を助けるために悪の組織ダークネスシャドーに堕ちた和美の姿。
彼女は最後までカレンの心配をしていた。
(カレンはもう戦わなくていいんだよ)
和美はそう言った。
カレンも戦いたくはない。
自分にあんな扱いをした人々の為に戦うなんて無理だと思った。
こんな思考をしているのは自分の心が傷ついているからだとわかってはいるけどそう思ってしまう。
「ヒロ……ボクどうしたらいいの?」
こんな思考を知ったらヒロはボクを軽蔑するに決まっている。
正義のヒーローの彼はきっと迷いなく戦えるのだろう。
そして最後までカレンと人々を守って死ぬのだ。
ヒロはそういう人だと最近知り合ったばかりなのにカレンにはそれがわかってしまう。
(カレンさんはどうしたいんですか?)
(ボクは……)
AI・マシロの質問にカレンは迷っていた。
今の自分はダークネスシャドーと戦う事ができるのだろうか。
その答えが出せないまま時間だけが過ぎていく。
答えを出すにはまだ早いのかもしれない。
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