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⑴
5 運動会がイベントなんだからね!
しおりを挟む「……勝って、よかったな」
表情と釣り合ってないから。
もー、しかたないな。
「ジェラルド、これからリレーなんでしょ? 応援するから頑張って!」
五組はもちろん負ける気ないけど。
まぁ、俺は出ないし。
「……わかった。じゃあ、元気を分けてくれ」
そっか、ジェラルドは細マッチョだけど、一組だし体力あまりないのかな。
「いいよ」
ジェラルドの背中を叩いて励まそうと腕を伸ばしたら、なぜかガシッと抱きしめられた。
「ジェラ、ルド……?」
ざわついてるよ!
ちょっと、何コレ。
みんなも見ないで‼︎
「パワーチャージしてるだけだ」
ジェラルドのパワーチャージはそれで足りるのか?
確か、運動会の前に一度体育委員と愉しんで程よくリラックスした状態で出場するんじゃなかったっけ。
でも、今朝からずっと一緒にいてそんな姿は見ていない。
リレーは確か、二人抜きするけど五組の圧勝だった記憶。
「……それで、大丈夫?」
やばっ、何言っちゃったんだ、俺!
思い出せ、思い出せ。
原作のイベントは騎馬戦の後がメインだ!
闘ってムラムラってして、騎馬戦で負けた相手を喰べちゃうんだ。
精力マウント取るんだったかな。
相手は誰……誰だった?
「じゃあ、リレー勝ったらご褒美くれよ。今はコレでいい」
耳元でささやいた後、ぱくりと耳たぶを喰んだ。
「~~っっ‼︎」
手慣れてる!
顔熱い!
周りにいた奴らも不自然に視線を逸らす。
「……応援しろよな」
ジェラルドの背中をぼんやり見送りながら、騎馬戦は一組から俺達五組まで五方向から入り乱れての全力戦だって思い出した。
毎回ゴリ押しする五組を、他の組が作戦立てて打ち勝とうとするこのやり方は、練習でも毎回勝組が違うから盛り上がる。
もちろん練習だし、どの組も探り合って百パーセントの力なんて出さない。
この学園では棒倒しの次に怪我人が多いってのも納得。
つまり、ジェラルドがリレーに勝ったらご褒美で、ナニかされ。
騎馬戦でジェラルドに勝ったら、喰べられるってこと⁉︎
なんでなのか、本編とずれがあるけれど俺ジェラルド呼びだし、俺はチガウ、俺はチガウ……。
要は近づかなければいいんだ。
気もそぞろに応援した結果、五組のアンカーが転んで、奇跡の一組が勝利した。
頭のいい奴がみんな運動できないわけじゃないしね。
五組はほぼ優勝が確定してるから、完全優勝ができず悔しそうだけど、最後の騎馬戦に燃えている。
俺、この状況で上に乗るの嫌だ~!
「ウィル、まずは気楽に行こう。大将を狙わなくていい。他から潰していくぞ」
予定外に家庭科部部長とその友人達の上に乗せられて、言われるままに突き進んだ。
で、目の前にジェラルド登場。
五組の大将はつい先ほど敗れた。
なんか、途中からこうなるって思った。
こっちの大将、猪突猛進なんだもん。
そして、今一騎討ちの図。
観戦してる奴ら、めっちゃ盛り上がってる。
俺もそっちがよかった~‼︎
「ウィルフレッド、観念しろ」
ジェラルドがにこりと笑う。
怖い、怖い。
それに対して部長が叫ぶ。
「ウィル、おまえなら取れる! 俺達最後の運動会を有終の美で飾らせてくれ!」
三連続、優勝させろって?
でもコレ勝つと俺にも喰べられフラグ立つんじゃない?
「いつでも、かかってこい」
「ウィル、行くぞ!」
先輩達ががなる。
あーもー!
とりあえず、体の大きさも腕の長さもジェラルドとたいしてかわりない。
もう、やるしかない‼︎
夢中で手を振り回した結果、俺はジェラルドの兜(体育帽)を手にしていた。
まるでスローモーションみたいにジェラルドの腕をかわし、頭から払い落とすようにスルッと奪って握っていたんだ。
「…………取れた……?」
「ウィル、やったな! 俺達優勝だ‼︎」
うん、まぁ、リレー終わった時点でも五組優勝はほぼ決まってたけどね?
「はい、優勝ですね!」
そのくらい笑顔で答えるくらいできるよ!
ホイッスルが鳴り、俺は下ろされた後三人にガッチリハグされた。
「ありがとう! 直前にお前を(他のチームから)奪って悪かった!」
「いえ、全然……(みんな)大丈夫ですよ……」
「いや、無理やりだったよな! 無理させたから、この後ゆっくり休めよ!」
「(緊張して)脚に力はいらないだろ? 本ッ当に……素直でかわいい奴だな。もう一回闘いたいくらいだ。ははっ」
「……先輩達だから、俺、安心して任せました、から……」
そんな会話をして喜び合っていたら背中がぞくっとして、チラッと後ろを振り返った。
「……!」
あまりの不穏な空気に、思わず先輩達の背中をバンバン叩く。
まぁ、三人ともマッチョだからそれくらい何ともなさそうだけど。
「ん? あぁ、なんだ。……ははっ、悪い、悪い」
部長がジェラルドを見て笑って離れてくれた。
もんのすごい不機嫌な顔なんだけど、部長は怖がるどころか笑うなんて、懐深い!
尊敬する~! おおらか~!
「他意はない。この後の閉会式……は、具合が悪くなったって他の奴らに伝えておくよ」
そう言って俺の背をジェラルドの方へ押した。
待って! 生贄⁇
部長達はそう言って去り、俺はなぜか腕を掴まれ校舎の裏へ。
ん?
なんで⁉︎
連行されるの、俺じゃないよ?
思い出した……。
この後喰べられちゃうのって、部長達の上に乗る予定だった図書委員長で、俺と交代したから……⁉︎
「ウィルフレッド。どういうことだ?」
「なにが、デショウ?」
「いや、だから……さっき、奪ったとか無理やりとか、脚に力が入らないとか……お前、体は大丈夫なのか?」
一体、なんの話?
「いや、悪い。ストレートに聞きすぎた。よし、このまま部屋に戻るぞ」
「へ⁉︎」
いきなり抱き上げられて寮の方へと歩き出した。
「いや、降ろして! 俺歩けるし!」
なに、なに、怖い、怖い。
「(今以上に)痛い思いしたくなかったら、黙ってろ」
「…………」
連れて来られたのは三階にあるジェラルドの部屋。
体格差はほとんどないのに、持ち上げてここまで運んでくるって、俺との体力差すごいな。
俺、無理だ。
それにしても原作にこんなシーンなかったぞ?
校舎裏で致してたし。
「待ってろ……今風呂を用意してくるから」
運動会の後だし、汗流せってこと?
それから、喰べちゃうつもり⁇
でも、原作はどうなってるの?
回避、回避!
「いや、先にドウゾ。俺の部屋にもシャワーあるし」
「バスタブはないだろ。浸かっていけ」
使ってイけ?
いきなりお風呂プレイはハードだからッ!
「いや、ダイジョウブ、デス。……ホントウニ……」
睨みあう俺達だったけど、ジェラルドがフゥッとため息をついた。
「仕方ない、俺が世話してやる」
そうじゃなーーい!
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