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1 週明けのウィルフレッド
しおりを挟むside ジェラルド
「今日は休んだらどうだ?」
晴れて二人が結ばれた週明け。
いつも以上に可愛いウィルフレッドがあくびをした。
目元に涙がたまるのも、鼻から漏らす息もなんだか色っぽい。
「ふぇ……? なんで? 俺皆勤賞狙っているんだけどォ」
気怠げに制服を着る様子に、もう一度ベッドに連れ戻したくなる。
「勉強イマイチな分、他で頑張らないと色々大変になっちゃうし」
ウィルフレッドの勉強は壊滅的だった。
しかたなく一緒に通うことにしたものの、歩き方が頼りなくて思わず腰に手を添えた。
「今日、部活は?」
「……んー、出なくていいかな」
ほぼ毎日楽しそうに通っていたのに、この間からなにか少し変だ。
「言ってみろ。何があった?」
「……何ってこともないけど、眠たいし疲れてるし、ちょっと先生が苦手だな~って」
「……そうか」
ウィルフレッドはわかりやすい。
とにかく存在自体が可愛いし、かまいたくなるし、どこかにしまいたくなる。
しまいたくなるのは俺だけじゃないだろう?
まさか、家庭科部の先生に監禁されそうになったのか?
……考えられなくもない。
「ウィルフレッド、困る前に言え」
「え? 困る前に? 何を?」
「わからないのか?」
俺が先回りするしかない。
「先生、俺、ウィルフレッドとつき合っているんです。手は出さないでくださいね」
昼休みに家庭科室へ向かうと、先生がのんびりコーヒーを飲みながら俺を見上げた。
「あぁ、やっぱりあんなところに噛み跡を残すのは、あなたでしたか」
「もう先生のコレクションにはなりませんよ」
おっとりして見えるけど肉食なのは有名な話で、小さくて可愛い、誰にも染まっていない生徒を手に入れるのが好きなの男だ。
理事長の甥だから誰も文句は言えないのか、言わないのか。
これまでの傾向からウィルフレッドは対象外だと思っていたから油断した。
あいつの可愛さは全世界共通だったか。
先生は大袈裟に眉を上げてから、ゆっくり首を横に振る。
「それはそれは、残念ですね。まぁ、素敵な子はたくさんいますから、いいでしょう」
「……約束ですよ」
この先生はあっさり片づいた。
これからも、ウィルフレッドに関することはすべてこんなふうに簡単に済めばいいのだが。
「ウィルフレッド、帰るぞ」
放課後、初めて教室まで迎えに行きウィルフレッドに気がある奴はいないかとギロリと辺りを見回す。
なぜか蜘蛛の子を散らすようにさっといなくなった。
つまり、特に問題はないだろう。
「ジェラルド、えっと……わざわざいいのに」
ちょっと困ったように言うから、後頭部を撫でながら目を覗き込んだ。
「何か邪魔したか?」
「いや、そうじゃない。けど……みんなびっくりして、帰っちゃったし」
「それなら何も問題ないだろ」
「え? そうかな? 俺の楽しい学校生活が……」
「俺はお前だけがいれば楽しい」
「…………」
お前もそうだったらいいのに。
何も答えないから唇を重ねた。
「んっ、ここっ……がっこ、だからぁっ……」
最初ジタバタしていたウィルフレッドが俺にギュッとしがみついて、キスに応え始める。
「好きだ」
「んっ……はぁ……。俺も好きだけどォ! ここ、俺の、教室だし! 誰かに見られたら俺……」
「恋人だと言えばいい」
可愛いな。抵抗する意味なんてないのに。
「でも! ジェラルド……」
「でも?」
「……恥ずかしい」
赤い顔をして答えるから、愛しくてたまらなくて、きつく抱きしめる。
もちろん、さっき出て行ったクラスメイトが様子を見に戻ってのぞいていたことも教えてやらない。
このクラスはこれで、もう大丈夫だろう。
来年は、新入生に牽制しないといけないな。
さっさと生徒会の名簿に名前を加えてしまおう。
この先、俺達の仲を誰にも邪魔させない。
「……ジェラルド、早く部屋に戻ろう」
「あぁ」
ウィルフレッドが二人きりになりたがっている。
今夜も楽しい夜を過ごせそうだ。
******
ジェラルド視点にしてみたら、溺愛?執着?って言うよりあほになっちゃった気がします。
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