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6 学園祭はロメジュリじゃなくて②
しおりを挟む「じゃあ、早速始めよう」
マジックのネタばらしを教えてもらったら、みんなあっさりやり方を覚えた。
さすが、頭のいい生徒会役員達。
会長は器用ですぐにスムーズにできるようになったし、くまちゃん先輩の穏やかで楽しい話術で盛り上がると思う!
あともうちょっとスムーズにできるようになれば。
俺も箱に入って笑ってればいいって言うからすごく楽。
ジェラルドが黙々と刺して、音楽と照明で司会が盛り上げる予定。
ちょっと不安。
最後にするには地味じゃない?
「衣装はこっちで用意させてもらうよ」
会長、意外と力入れてる!
実は裁縫工房を持っていてすでに仕立て屋を経営しているんだとか。
「宣伝になるから気にしないで欲しい」
会長、やり手!
それぞれクラスの出し物だってあるし、楽ができてよかった、と、俺はその時思ったんだ。
学園祭当日。
デジャヴ。
出来上がった衣装は、前世でも似たようなものを着たことあるような?
「ウィル、ちょっと待て。こんなふうに着たほうがいいだろう」
会長が俺のヒラッヒラのブラウスのリボンを結び直したんだ。
この感じ、懐かしいなぁって。
ここでもデジャヴ。
じっと立つ俺を見て、会長がふ、と笑った。
なんだろう、これ。
次の瞬間後ろから冷気みたいなものを感じてソーッと振り向く。
ジェラルド、目が怖い!
あとで許さないぞって感じ?
「会長、もういいでしょう?」
ジェラルドの声、低ッ!
トン、と会長に背中を押されたけれど!
イヤッ、ちょっと怖い‼︎
「ウィルフレッド、本番だ」
まさか、このまま始まるのー⁉︎
通しで練習してないよね?
「お待たせしました。生徒会によるマジックショーの始まりです!」
司会の声にスーッと会長が舞台に立って、挨拶した後、スマートに口からトランプを出してワッと湧いた。
イケメンだもんね。
クールだよね。
客席の半数は女性。
まぁだいたい保護者って感じだけど。
くまちゃん先輩チームが和やかに、ゆるやか~に笑いをとっていて、ドキドキしながら眺める。
「みんな慣れたもんだな。……ウィルフレッド、緊張してる?」
ジェラルドはなぜか俺の肩に腕を回し、小声で話しかけてくる。
「そんなことないけど」
俺、箱の中で立ってるだけだし。
ジェラルドは剣刺すだけで、音楽と司会が盛り上げてくれることになってるし。
まさか、ジェラルド緊張してる?
こういう時は人参をチラつかせればいいんだよね、多分。
「ジェラルド、成功したらご褒美をやるよ」
フランクフルトとか、うまうまチキンとか肉がいいかな。
「……わかった。よし、たくさん喰わせろ」
「ん?」
ちょうど俺たちの番がきて、はりきって舞台に出た。
「……愛しいジュリアンが、箱に入りました~! さぁ、ロメオ! 愛をとるか、家の存続をとるか、さぁ! どっちだ?」
おかしいな。
盛り上げようと司会がロメジュリ風ストーリーをぶちこんできた。
打ち合わせでも、本番はもっと盛り上げるって言っていたけど、練習はこんなじゃなかったのに。
「ジュリアン……すまない!」
ジェラルド、ノリノリだなぁ!
俺、箱の中でよかったよ。
「……これで全ての剣が、おさまったぁ! さぁ、ジュリアンは大丈夫なのか⁉︎」
ドラムロールが鳴って、くるりと箱を一周回してから全ての剣を抜き、扉が開いた。
俺は差し出されたジェラルドの手を取り箱から出た。
ふー、やれやれ。
「二人の愛の力で、見事に障害をのりこえましたぁ! そんな二人に盛大な拍手を‼︎」
ぐいっと引っ張られて抱きしめられると、ニヤッと笑ったジェラルドの唇が重なった!
えっ⁉︎
キャーって歓声が上がったけれど。
ちょっと、待って‼︎
「感無量です! どうぞお幸せに! 皆様、より一層盛大な拍手を!」
え?
何この終わりかた?
辱めだよ、これ!
「……あとで、両親に紹介する」
ジェラルドの両親?
待って、嘘でしょ⁉︎
夏休みは友人としてお世話になった二人だよ?
カチンコチンになった俺は訳のわからないまま、知ってたぞって笑うジェラルドの両親に息子をよろしくと言われた。
ここはロメジュリみたいに反対されるところじゃないの⁉︎
それなら、俺がいうことは。
「こ、これからも、よろしくお願いしますッ」
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お読みくださりありがとうございました。
ふわふわのお話で、オチがアレですみません!
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