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8 森の中の洋館へ①
しおりを挟む* ほんのりホラー風味です(怖くはありません)
******
「海、じゃなかったのか……?」
おかしい。
ここは潮の匂いもしないし、砂浜も海も見えないぞ!
「何をしている? ウィルフレッド、入るぞ」
にこっと笑って俺の手を引っ張るけど!
ここって、アレでしょ?
古めかしくて、今にも崩れ落ちそうな洋館。
壁面はツタが絡み、背景の森に馴染んでいる。
おどろおどろしい雰囲気。
「いらっしゃいませ」
愛想のない平坦な声。
薄暗い入り口に立つお姉さんはなぜかベールをかぶっている。
一歩踏み込むと夏なのにひんやりした薄暗い空間。
最低限のろうそくがゆらゆら揺れて、今消えた!
消えちゃったよおぉ~⁉︎
怖っ。
思わずジェラルドに張りつく。
「二人きりになれるのが嬉しいのか?」
抱き寄せてくれるけどさー。
そりゃ嬉しいけどね?
ここ、どう見てもお化け屋敷だよねぇ⁉︎
ジェラルドはもしかして俺が話した林間学園の話が羨ましかったのかなぁ?
考えてみたら、テントの中は男だけで泊まっているわけだし、もちろんただの友達だけど。
ご飯がまずかった以外はめちゃくちゃ楽しかった。
だから俺と二人の夏の思い出を作りたかった、というか。
新しい記憶に塗り替えたかった?
まったくヤキモチを焼くにも程がある。
まぁ、嫌な気分じゃないけどね。
そういうわけできっと俺と肝試しがしたいのかも。
原作にはもちろんそんなシーンはなかったけど、きっとこの世界にも肝試しというイベントはあるんだなぁ。
ウィルフレッドとして生まれてからは体験したことないけどね。
きっと二次創作のホラー枠があったのかもしれない。
ホラー企画っての?
そんなふうに現実逃避しながら、薄暗い廊下を歩く。
足音がムダにコツコツ響くんだ。
ぴちゃん、ぴちゃんって水の音がする。
老朽化? 演出?
わからないけど、薄気味悪い。
長い影が伸びて悪魔みたいに見えるし、もしコウモリが飛んできても、やっぱりって思うはず。
案内をしてくれるお姉さんが奥へ奥へと進む。
所々ちっちゃな窓があるだけで、曲がり角には甲冑が飾られているんだが?
もしかして突然動き出して驚かせるのかもしれない。
なんて恐ろしいところだ!
そこは花を飾って明るくしようよ~!
横を通り過ぎた時、カシャンと音がした。
お姉さんが脚を止めて、ゆっくり振り返る。
「彼はロジャーと言って私達の安全をいつでも見守っています。安心してお過ごしくださいませ」
いやいやいや。
今のカシャンって音、なに?
なんか動いたの⁇
「……素晴らしい施設ですね」
ジェラルドはそんなこと言っているけど、なんの評価かな?
やっぱりお化け屋敷なんだよね、そう言って!
案内人がいないと迷子になる、巨大迷宮ってことだよね。
いやだ、いやだ、長居したくない。
絶対こんなところ一人じゃ歩けないよ?
ロジャーの横を早足で進み、いつの間にかジェラルドの背中に張りついて、ちらちら背後をうかがう。
ロジャー、追いかけてきたら怖いし!
ジェラルドは俺を見てふ、っと嬉しそうに笑っている。
頼りになるからいいんだけどさぁ。
「……こちらの静謐の間をご利用くださいませ。夕食は二時間後を予定しておりますが、何かございましたら室内のベルでお知らせください。ロジャーが飛んでまいります」
は? ロジャー⁉︎
「ありがとう。夕食はそれでいい。日付けが変わる頃、軽い夜食を用意してもらえるかな? 朝食はベルを鳴らすのでテラスにお願いしたい」
「承知いたしました」
夕食はまぁ、いいとしよう。
朝食?
やっぱりここに泊まるの?
かーえーりーたーいー‼︎
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