女神様は異世界でめあわせたい!

能登原あめ

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33 尻穴紳士と呼ばないで(NL)※

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* サブタイトルはあんなですが、男女恋愛ものです。
* 初めてで間違ってアナル挿入して以来「尻穴紳士」と笑われている騎士ヒーローが主役。どうしてもアナルの話題になっちゃうのでNGの方はそっと閉じてください。エロはあほです。








******


「ちょっと、聞いたわよ! シリルとデートするんだって? やめときなさいよ」
「え、うん。なんで?」

 キョトンとした顔の酒場の小柄な店員に、派手な姿の女が顔を寄せて言う。

「あんた、この街に来たばかりで知らないみたいだから言うけどさ、あいつ顔はいいけどお尻専門なんだよ。子爵家生まれだから尻穴紳士って裏で呼ばれているのさ……いいの?」

「そうなの? 結婚前提でつき合いたいって言われたんだけど、まずは食事の約束なの。やだ……怖い……気持ち悪い……どうやって断ろう」

「そんなの簡単だよ! 好きな男がいるからって言って、さっさと別の男とつき合えばいいのよ。出会いはいっぱいあるでしょ」

「そう、だよね……教えてくれてありがとう! 肉屋のチャド、どうかな?」
「あぁ、栗毛のマッチョ? 変な噂は聞いたことないよ! がんばって」

「よかったぁ……彼にも誘われてて」
「いいじゃない、応援する!」

 食事の約束をした彼女の顔を見たくて食事に来たんだが。
 2人の会話に噂の俺は割り込むことができなかった。店に背を向けふらふらと歩く。
 
 俺の名はシリル・パット・ジョンソン。
 子爵家三男で爵位は継げないが、騎士としてゆくゆくは部隊長くらいになれるはずだ。
 結婚相手としては悪くないはず。

 あの派手な女が言った話は嘘だ。
 女性経験がないのを隠して同僚たちと娼館に入った時、間違ってしまった。
 するっと後ろに入ってしまったんだ。

 さいわい、俺の相手をしてくれた女性は前も後ろも開発済みで、そのまま連続3発抜いたわけだが。

「あんた……事前に言ってくれないと。それだけ大きいとほかの女の子は急にはだめよ。準備が必要なんだから」

 間違ったとも言えなくて、次こそは童貞卒業と思ってこっそり別の娼館に入った。
 混雑していると言われてさんざん待たされた後で、青い顔した女の子にお尻は無理だと泣かれた。

「ごめんなさい! ごめんなさい! まだ入って一ヶ月で慣れてないんですぅ。お尻も一番ちっちゃい張形で練習中で!」

「……そうなんだ」
「でも姉さんたちが行ってこいって……まだ怖いんですよぉ……お客様、大蛇って聞いてますし」

「いや、それほどでも」
「何回もなんて私のお尻が……っ、うわあぁぁ~ん!」

 どうやら彼女たちの間で情報が共有されているらしい。
 色々な意味でショックを受けて俺はそのまま家へ帰った。
 それから娼館に行っていないし、なぜか一般市民にまで噂が広がって女の子とつき合うこともできない。

 泣きたいのは俺のほうだ。
 尻穴紳士と呼ばれ続けて、早5年。
 27歳だ、そろそろ結婚したい。

 どこかに俺と生涯を共にしてくれる女性はいないのか!
 お互いの手をとりあって仲睦まじく暮らしたいだけなのに!
 女神様、どれだけ祈ったら願いを叶えてくれる?

「遅くなってごめんね~♡ 時間かかっちゃった♡ お待たせ~♡」

 辺りが白く輝いて、鈴が転がるような柔らかい声が聞こえた後、1人の女性が俺の腕の中にいた。
 まさか。

「あなたが私の結婚相手? 女神様に連れてこられたの」

 俺と同じか少し年下。
 声は低くてかすれたようなウィスパーボイスは腰に響いた。

「あ、あぁ……そうだと思う」
「イケメン、マッチョ、高収入で家柄もいいんだって?」
「……そう、かもしれない」
「自信ないのね。拗らせ童貞って大好きなのよね……」

 童貞ってバレている?
 しかも大好きだと?

「私は、穴掘キキ」
「穴掘り喜々……?」

 少し不穏な響きなのだが、まさか名前か?
 俺の態度を不思議に思ったのか、彼女が首をかしげて言う。

「キキが名前で、穴掘が名字なの。あなたは?」
「キキ、か。俺はシリル・パット・ジョンソン。シリルが名前だ」

「シリルね、よろしく」

 お互いのことを話すうちに、彼女は俺より3つ年上だと知って驚いた。

「年上は嫌?」
「嫌なわけない。キキのこと……キレイだと思う。いや、すごくキレイだし可愛いし、色っぽい。声も好きだ。本当に女神様がこんなに素敵な女性を連れてきてくれるとは」

 この5年、祈り続けてよかった。

「本当? 嬉しい。泣いたまま寝ちゃって、今の声はかすれてるけど、普段はもう少し声が出るから。腐女子たるもの、周りに溶け込むために身だしなみには気をつけているの」

 円滑な社会人生活を送るためにヲタバレNG、などとよくわからない単語で話し出したものの、彼女のいた世界も貴族社会と通じるものがあるのかもしれない。

「婦女子……レディは大変だな」
「そうね、でも。シリルと一緒ならがんばれそう」
「あぁ、俺もキキと一緒なら、なんだって乗り越えられそうだ!」

 とうとう尻穴紳士の汚名を返上の時がきた。
 下半身に血液が集中して痛い。
 
「じゃあ、私が一から教えてあげる」
「一、から……」

 ごくりと唾を飲み込むと、彼女が笑って俺の胸に手を当てた。

「胸板、すごいね、たくましい……心音速い。さっそく気持ちいいことしようか?」
「……あぁ、その前に……。俺と結婚してくれる? キキのこと逃したくないんだ。ここにサインしてほしい」

 いつでもサインできるように持ち歩いていた婚姻届を彼女の前に差し出す。

「もちろん! 何もかも捨ててここにきたんだもん! 結婚するする詐欺のヘタレオッサンはもう忘れた。シリルの潔いところ、好き」

 ためらいなくサインした彼女もイヤな思いをしてきたのかもしれない。

「俺はどんなことがあっても離婚しない。キキを大事にする。ずっと好きだって言ってもらえるように、努力する。毎週デートしよう」

「本当? 約束だよ? ほかに好きな女ができたとか言って追い出さないでね」
「そんなことするわけない。この先俺はキキしか愛せない」

 背伸びしたキキが俺の唇にキスをした。
 ファースト、キッス!

「……赤くなって可愛い。ずっと私を見ていてね。幸せになろう」
「もちろんだ! 一緒に幸せになろう」

 その後、彼女は俺を優しく導いてくれた!
 あああ~‼︎
 全然違う!

「キキ、気持ちいい……」

 あったかくてぬるぬるしていて、俺を優しく包み込んで、時にきつく締めつけてくる。
 
「んっ、私も」

 中が動いてる。
 うう~!
 絞られる、俺は天国を見つけてしまったようだ。

「いっぱい、出していいよ」
「……ん、ありがとう」

 一回じゃ終われないと思ってた!
 腰が止まらない~‼︎
 おりゃ、おりゃ。

「何回でもっ、つき合うから……あっ!」
「キキ、好きだ」

 最高だー!
 きっと彼女と出会うために試練があったんだ。
 お゛お゛ぉ~、声が漏れそう。

「シリル可愛い」

 え?
 なんか漏れてた?

「キレイだよ、キキ」

 キリッとした顔で伝えた俺は、彼女の魅惑のテクですぐにフィニッシュを迎えてしまった。

「ありがとう、キキ。……初めてで、こんなに最高の経験をさせてもらえるとは」

 泣きそうになって唇がぷるぷる震える俺に、包み込むような優しい笑顔を浮かべて、胸元へ頭を抱き寄せてくれた。

 ありがとう、おっぱい。
 ありがとう、キキ。幸せだ……。

「私もとっても幸せ」
「俺も……もう一度いい?」
「もちろん! 抱きつぶされるのが私の夢なの!」
「本当? 夢みたいだ」

 そのまま5ラウンドほど一緒に楽しんで、イチャイチャした後は耐久戦で明け方に朦朧もうろうとしたキキを揺さぶって、もう無理との言葉を聞いて、お互い気を失うように眠った。

 素晴らしい、夢のような夜は一生忘れられない。
 これでもう尻穴紳士と呼ばれることはもうないはずだ。

 そう思って彼女と結婚して1ヵ月後、尻穴紳士の豪傑とキキが呼ばれていることを知る。
 俺たちのプレイ内容はさらっと騎士団に漏らしたが、ノーマルプレイだぞ。

 なぜだ。
 いや、尻穴専門と噂の俺と結婚した彼女の呼び名として正しいのかもしれない。

 だが今、尻穴を狙われているのは俺なのだ!
 真の尻穴紳士になんてなりたくない。



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