もの狂い

能登原あめ

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3 ドランド※

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 辺境伯夫人のための寝室には、今夜のために催淫効果のある甘い香がたかれていた。
 毎晩使わなければ身体に負担になるものでもない。
 女たらしの父がよく使用していたから、身体を持て余した女に絡まれたのを思い出して不快になる。
 
 父は新しい女を連れてきては飽きた女を捨てた。
 兄弟姉妹は十人を超えていただろう。
 みんな欲深く、辺境伯の地位や土地、すべてのものを欲しがって争った。

 結局残ったのは自分だけ。
 貧乏貴族出身の母もこんな屋敷の侍女にならなければ今も生きていたかもしれない。
 何もいらなかったのに、今は余計な責任がついて回る立場だ。

 欲深く汚い血は残したくない。
 ドランドは父のようにはならないと決めていた。
 迎える花嫁について頭を悩ませていたが、従弟だという男からの話はしっかり調べて承諾したのだ。
 この結婚に不満はない。

「ドランド様……っ!」

 美しい顔立ちに少年のようなほっそりした身体つき。
 今夜妻となったばかりのヴィルジニアが慌てて身体を隠そうとする。

「続けてくれ。純潔かどうか確認するためにきた」
「……⁉︎ そんな……! 本当に……?」

 ベッドの脇に置かれた椅子に腰を下ろす。
 今まで女に欲情したことはなく、必要があれば男娼を相手にしてきた。
 身体の大きいドランドにとって、女は弱くて壊れそうに思える。
 
 父の相手をしていた色香を前面に出した肉感的な女が特に苦手だった。
 しかしヴィルジニアは背も高く脚が長いのが、鑑賞するに値する。悪くない。

「……すでに誰かの子を宿していたらかなわないからな。聞いたと思うが従弟殿エディとの子を次期辺境伯として迎えよう」

 ドランドの言葉にエディが声をとがらせる。

「ヴィーはちゃんとしたレディです。僕が責任をもって初めてだと証明します」

 ヴィルジニアの従者として長くそばにいた男だ。
 すでに手を出していてもおかしくないが、彼はドランドをまっすぐ見つめる。
 ヴィルジニアを深く愛し、崇め、仄暗い執着をにじませる様子にうらやましく思った。
 
 それほど人を愛したことなどない。
 彼女が特別なのかとほんの少し興味がわいた。
  
 先程までのやりとりに聞き耳を立てていたのだが、ヴィルジニアはエディに深い想いを抱いている様子はなく、元々恋人同士というわけではないらしい。

 長くこの部屋にいたせいか、彼女はすでに深く考えることはできないようだった。
 それでいい。
 彼女は次期辺境伯の母となる立場だ。
 エディと視線を合わせて頷くと、彼がうやうやしく彼女の身体に触れる。

 ヴィルジニアがちらりとドランドを見たけれど、すべてを諦めたように目を閉じた。

「ヴィーはすべてきれいですね」
「やっ、見ないで……!」

 エディが彼女の膝を左右に大きく開くと、恥ずかしいのか脚を閉じようとして彼の頭をはさんでしまった。
 貴族の女だから……いや、初めてだからこその恥じらいなのかもしれない。
 どうせすぐ男を欲しがるようになる。

「力を抜いてください。ヴィー、痛くしたくないんです」
「でも……ああっ!」

 脚の間に唇を寄せる。
 花芽をとらえると、彼女の身体がはずんでベッドがきしむ。

「ここ、気持ちいいですか? よかった、濡れてきました」
「エディ、恥ずかしいわ……言わないで、あっ、あ、あぁ!」

 ドランドはベッドサイドに置かれた酒に手を伸ばしてグラスに注いだ。
 いまだ恥ずかしそうに身体を明け渡す様子をぼんやり眺めながらブランデーを口に含む。

 2人とも若く、初々しい。
 エディが蜜口に指を挿し入れ拡げていく様子もたどたどしい。

「……ううっ、……ん、…………あっ、ん」
「どうです? ヴィー、いいですか?」
「わ、からない、わ」
 
 ようやく2本の指がなんなく動くようになったところで上向いた雄芯を蜜口に押しつけた。

「ん……ぅっ」

 時々苦しそうにヴィルジニアが眉根を寄せるのを見て、これで経験があったら名女優だと思った。

「痛っ……エディ、無理よ」
「あと、少しです、から……」
 
 エディがぐっと腰を押し進めてすべてを収める。

「いあぁ――!」
「……全部入りましたよ」
 
 甘さのないヴィルジニアの苦し気な叫び声と、目をギラギラさせて満足げにつぶやくエディと。
 催淫効果があるはずなのに甘い香だけでは彼女には十分じゃなかったらしい。

 純血だと確認したんだからこのまま立ち去れ。

 そう思うのに自分の妻だからとか、最後まで見届けるべきだとかおのれに言い訳してしまう。
 エディが初めての彼女の脚を折りたたむようにして奥まで突こうとする様子に――。

「見ていられないな」
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