紋章最強の転生者はほのぼの生活したい(希望形)

燕上ゆうき(旧名:クゲルブ)

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1章【緑の竜と新しき伝説】

12話─彼のお話

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 ここにとある少年がいる。

 彼の名前はカルス。ルクアーサル魔術学校の生徒だ。

 その学校ではBクラスに所属し、クラス長を務めている。


 彼の1日は夜明けから始まる。


「行ってらっしゃいませ、お坊ちゃま」

「いってきます、じいや」


 彼は寮を借りておらず、同じ街から馬車で通っている。

 少しばかり揺られて学校に到着すると、カルスはBクラスの教室ではなく、「集長室」という部屋にきた。


「マノルさーん…は、今日も外校体験だったな」


 マノルというのは、カルスの尊敬している人物であり、Sクラスのクラス長だ。


 マノルはルノワール侯爵の息子である。

 彼の親が持つ領土では、彼は熱い人気がある。

 階級、生まれ、種族関係なく接し、弱いものいじめは許さない。

 善か悪かは自分の感情より中立性で判断し、自分より他人を優先する。


 そんな完璧なような彼だが、もちろん弱点もある。


 野菜が嫌いでお化けが怖い。

 本人は否定しているが結構な女好きで特に胸が好き。


 そんな彼は、言い方はあれだがカルスを更生させた。

 クラス長の仕事もあまりやる気がなく、平民貴族との差別意識を持っていた彼を1ヶ月かけて更生させた。

 洗脳などは一切使わず、自分の信念を伝えたり、カルスの意見を聞き、それを時には肯定し、時には否定した。


 そんなこんなでカルスは更生し、マノルを敬うようになった。


「では、今日の会議を始める」


 少し時間が経つと、全クラスのクラス長が集まった。

 会議の議長を務めるのは、いつもであればSクラスのクラス長だが、今日はそのクラス長が外校体験のため、Aクラス長が務めている。


「今日の議題は───」




☆☆☆




 そんかクラス長の会議も終わりが近づいた。


「さて、今回の会議はこれで終わりだ。それと、今日の午後から3日間、来週に迫った学園長の外校集会の下見に行くから、準備をしておくように」

「午後の授業はどうなるんですか?」

「それは問題ない。午後はちゃんと先生方々に許可はもらって公欠とさせてもらうようにしてある」

「わかりました」


 そして会議は終わった。




☆☆




 その日の午後、カルスは校門前にいた。


「よし、全員集まったな?ならば行くぞ」


 先生が先導し、クラス長たちは馬車へと乗る。

 一緒に行くこの先生は、どのクラスの担任でもなければどの科目も担当していない。

 彼は保険の先生(保健ではなく保険)であり、万が一に他の先生が出れなかった時の代わりの先生だ。

 まあ他の先生が出れない時はあまりないので、いつも暇な彼は内心結構ウキウキしていた。


(久々の先生らしいことがきたああああああ!!!)


 そんなことはだれも知らず、馬車は動き始める。




☆☆☆




 7人のクラス長がラークアについたのは日が暮れる寸前だ。


「さて、ようやくついたな。宿泊先は学園長が泊まる所と同じ所をとってある」


 ラークアが別名魔法の街と言われるのには理由がある。

 それは街の中央にカガア魔術高学院という魔法に関してはトップクラスの学校がある。

 カガア魔術高学院は面積は王城の2倍ほどの面積を持ち、在学生、講師などこの学校に務めている人の合計は1万を超える。

 そんな街では、魔術に関してはやはり最先端で、街中は光魔法を付与させた「光魔灯」という魔法具が多く使われており、日が暮れそうになっても昼間のように明るい。


「さて、ここがその宿泊施設だ」


 馬車が止まったのは、カガア魔術高学院から歩いてすぐの所にある、高級旅館だ。

 引率の先生は、馬車から降りて旅館へと入っていった。


「いらっしゃいませ、本日はどのようなご利用でしょうか?」


 この旅館では、お金はかかるが宿泊だけではなく一部サービスだけを使用する。ということも可能だ。

 料理だけ。や、荷物のお預けだけ。などといったようなものだ。


「宿泊をしたい。予約はしてあるんだが」


 そう言って懐から取り出した紙には、8部屋分の部屋の予約が書いてある。


「ルクアーサル魔術学校の生徒様たちですね、ご案内します」


 そして、8人はスタッフに部屋まで案内された。


 借りた部屋は人数分の八部屋。カルスは案内された部屋へ入り、荷物を倉庫へと入れて鍵をかけた。

 鍵を胸ポケットに入れると、外へ出た。


 人気ひとけのない路地へと歩くと、彼は詠唱を始めた。


「『騙せ騙せよ我の身よ、隠れ隠れろ我の声、我の気配を消し給え』」


 カルスが使った詠唱魔法は、自分の気配を低下させる気配減少魔法だ。

 これを使うと、他人は注目しない限りカルスをカルスだと認識は出来なくなる。

 気配は減少であり無くなるわけではないため、気配察知系の感性が強いひとや、その魔法を使われた場合にはバレてしまうのが欠点だ。


 この魔法は無属性魔法であり、使おうと思えば誰にでも使える魔法だ。

 ただ、この魔法を使える人は少ない。

 理由としてはこれが無属性ということにある。


 火や水などのイメージは簡単だ。だが無属性というのはイメージがしずらい。

 「無」をイメージしろ。と言われて「これだ!」というイメージは湧きにくいのが無属性だ。

 しかも、この魔法のように自分に関わることなら尚更だ。

 無属性のイメージがちゃんとしてないといけない上に、自分を知ってなければいけない。

 それは性格はもちろん、容姿体型、自分の好きなものに嫌いなものなど様々なことだ。


 カルスがこれが使えるようになったのも、マノルの影響が大きい。

 マノルにより、カルスがカルスという人物がどのような人間か分かったのだ。

 カルスがこの魔法を使ったのにはちゃんとした理由がある。

 勿論、悪さをするため─とかではない。

 彼は夜の街がどのような状況なのかを調べようと思い、この行動に出ている。


「魔術の街だし、この時間だとあまり人は出入りしないと思ったら意外と活気があるんだな」


 魔法の光に照らされている街は、王都並の賑わいがある。


「こんな騒いでる人が多いと…大変そうだな」


 大変そう、と言ったのは、彼のイメージとして「魔術研究をしている人たちは夜遅くまで起きて研究をしている」というのがあるためだ。無論、そのイメージは合っている。

 夜遅くまで研究し、寝ようとしたらこの騒ぎ、眠れないのかと思うカルスだが、実のところ研究者達はそんなことより眠気の方が勝るためにうるさくても寝られるのだ。


「治安は…いい方だな」


 王都だと、時々乱暴なことをしたりする人がいるのだが、この街だとカルスが見た限りでは1人もいない。

 ここまで治安がいいのは、誰もが探知系の魔法を持ってる人が多いと思っているためだ。

 質が悪い探知魔法でも、ある程度の動きがわかる程度はあるため暴力などがあった場合は壁を挟んでいようとしてもわかる。

 まあ、同様の理由でここで結婚している人はいない。

 理由は……おっと誰か来たようだ。


「うん、この街なら大丈夫だろう」


 そう言ってカルスは旅館へと戻って行った。


 その後、7人のクラス長はここでのやることを終えてコンルースへと戻った。
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