14 / 122
4章 光の向こう側
第4話 それはきっと始まりの
しおりを挟む
数日後、訪れた高橋さんの表情は、先日とは違ってとても晴れやかなものだった。
カウンタに掛けておてふきで手を拭いた高橋さんは、ふぅと小さな息を吐いて、口を開いた。
「あの、私、昨日の晩、渡部さんに辞退の電話を入れました」
「渡部さんと言うことは、スカウトされたお話ですね?」
佳鳴が確認する様に言うと、高橋さんは「はい」と大きく頷く。
「あれからも考えたんです。でも、店長さんが言ってくれた「目くらまし」って言葉が胸に刺さってしまって。私、芸人になりたい訳でも、歌手になりたい訳でも無いんです。お芝居が好きだから劇団に入ったんです。なので「女優になりませんか?」だったら、目くらましにやられていたかも知れません。もちろん迷いに迷うとは思うんですけど。なので今回はありがたいですし申し訳も無いんですけど、お断りしました」
「そうですか」
佳鳴は応え、にっこりと微笑む。
「高橋さんが出された結論なら、それが今のベストなのだと思います。ご納得されているなら、良かったな、と思います」
「はい!」
高橋さんは満足げに微笑んで頷いた。
「あ、注文良いですか? まずはお酒で。あとでご飯とお味噌汁ください」
「はい、かしこまりました」
佳鳴たちは料理を整える。今日のメインは鶏の水炊き風だ。処理した鶏がらと白ねぎの青い部分、生姜と日本酒と塩を使って出汁を取り、それで骨付き鶏肉と白ねぎの白い部分、白菜、椎茸、木綿豆腐をことことと煮込み、お客さまに提供する寸前に春菊に火を通して盛り付ける。
出汁にしっかりと鶏の味が出ているので、そのままでも食べていただけるが、お客さまの希望でポン酢をお出しする。
小鉢は水菜の刻みわさび和えと、ひじきとちくわの白和えだ。
「鶏のお出汁美味しい~。置いておいて、あとでご飯に掛けて食べよう。絶対美味しいやつだ!」
出来たら鶏だしも味わって欲しかったので、スプーンをこっそり添えている。高橋さんは具を食べる前に鶏だしを口に含み、うっとりと目を細めた。
スプーンはその役割をしっかりと果たしていて、ほとんどのお客さまが見事に鶏だしを飲み干してくれていた。
そうしていつものハイボールとともに食事を進めていると、また常連さんが訪れる。岩永さんだった。
「こんばんは。お酒でお願いします。ビールで。あ、高橋さん」
入ってくるなり注文をし、高橋さんに気付いて笑みを浮かべる。
「公演、本当に良かったよ。次も行かせてもらうね」
岩永さんの言葉に、高橋さんは「ありがとうございます!」と満面の笑みを浮かべた。
岩永さんは高橋さんのふたつ離れた席に掛ける。おしぼりを受け取り、続けてビールを受け取って、美味しそうにグラス半分をぐいと煽っては、はぁ~と心地良さそうな溜め息を吐いた。
続けて料理を受け取り、ゆったりと食べ始める。
そうしていると、またお客さまが訪れる。
「いらっしゃいま、せ」
迎えた千隼が一瞬戸惑ったのは、そのお客さまが渡部さんだったからだ。高橋さんをスカウトした人である。
高橋さんもドアが開く音に反応したのか首をひねり、「あ」とそのまま固まった。
渡部さんはせかせかと店内に入って来て、高橋さんの隣に腰掛けた。
「高橋さん! 押し掛けてごめんね!」
渡部さんが叫ぶ様に言うと、それまでくつろいでいた他のお客さまが「何だ?」「何だ?」とざわつき、次にはなだらかに静かになる。
「電話でのお話は分かったわ。でもやっぱり直接会って話がしたかったの。どうして駄目だったの?」
高橋さんはうろたえて、「あ、あの」と言い淀む。それを見て渡部さんは詰め寄る様に前のめりになっていた姿勢を正した。
「ごめんね。電話ではあまりちゃんと話が出来なかったから。きちんと話がしたいなって思ったの」
渡部さんの言葉に、高橋さんは「ん」と喉を鳴らし、気合いを入れる様にハイボールをひと口飲んだ。
「あの、お申し出は本当にありがたいと思っています。ですが、私は歌手になりたい訳でも、芸人さんになりたい訳でも無いんです」
「ええ、そうね。そう言っていたわね。でも今は歌手スタート、芸人スタートで、ドラマに出て俳優活動をする人もたくさんいるわよ」
「でもそれは、売れてなんぼ、ですよね」
高橋さんが言うと、渡部さんは窮した様に口を閉じる。
「その段階に行けるまで耐えられるかどうかが判りません。それに女優さんとしてお声掛けいただいた訳じゃ無いってことは、まだそのレベルに達していないってことですよね。私にはその覚悟がありません。1番好きじゃないことをしながら、芸能界に居続けられる覚悟が。なのでお断りしました」
高橋さんがそうはっきりと言うと、渡部さんは困った様に小さく息を吐いた。
「そんなあなたを守るのが、マネージャーである私たちの仕事よ。それでも?」
「はい。もうこんなチャンスは無いと思います。ですけど、もし、もし将来、渡部さんが私の演技を認めてくださって、女優としてスカウトしたいって思ってくださったら、その時にはお声を掛けてくださったら、多分私は喜んで受け入れると思います。親は反対するでしょうけど、バトルも厭いません」
「……そう」
渡部さんはそう言い、また小さく息を吐いた。
「解ったわ。今回は引き下がるわ。でも完全に諦めた訳じゃ無い。私は地元がここだから、次の公演も見させてもらうわよ。次の予定は決まってるのかしら。おおまかでも」
「来年だと思います。うちは年に1度の公演なので」
「そんなに先なのね! でもそうね、1年また研鑽を重ねてもらって、また力を付けてもらったら、来年の私の評価もまた変わるかも知れないわね」
高橋さんは曖昧に笑みを浮かべる。劇団員は真剣であるものの、週に1度の練習でどこまで伸びるか。それは高橋さん次第なのだろうが。
「じゃあ私はこれで失礼するわね」
そう言って立ち上がり掛けた渡部さんに、ひとつ離れた席にいる岩永さんが「おいおい」と咎める。
「何も注文しないで行くのか? ここ飲食店だよ」
「あ!」
渡部さんはそう声を上げて口を押さえる。高橋さんと話をすることに夢中で、すっかりと忘れていた様だった。渡部さんは慌てて座り直した。
「ごめんなさい、うっかりしてたわ。ええとゆっくりしてる時間は無いの。ウーロン茶と、何か軽くつまめるもの……」
そう言って渡部さんはきょろきょろとカウンタに目を走らす。そこで岩永さんがこの煮物屋さんのシステムを簡潔に説明した。
「そうなの? じゃあ本当にごめんなさい、ウーロン茶だけって良いかしら」
「はい、大丈夫ですよ」
佳鳴がにっこりと応える横で、千隼がウーロン茶を用意する。氷を適度に入れたグラスに、冷たいウーロン茶を8分目に注ぎ、台に上げる。
「お待たせしました」
「ありがとう」
渡部さんはウーロン茶を受け取ると、ごっごっと喉を鳴らしながら一気に飲み干してしまった。グラスにはほとんど溶けていない氷がしっかりと残される。
「慌ただしくてごめんなさい。今度プライベートで帰って来た時に、ゆっくり寄らせてもらいますね。岩永くん、来年の高橋さんの公演が決まったら真っ先に連絡ちょうだいよ」
「解ったよ」
岩永さんが苦笑しながら応え、渡部さんは今度こそ立ち上がる。
「お邪魔しました。高橋さん、また!」
渡部さんはそう言い残して、会計を済ませてばたばたと店を出て行った。
そんな渡部さんを高橋さんはやや呆然と、そして岩永さんは苦笑いしながら見送った。他のお客さまもことの成り行きが気になったのか、静かに見守ってくれていた。
「ごめんね、高橋さん。渡部がどうしても高橋さんと直接話がしたいって言うから、俺が連絡したんだよ。嫌な思いさせちゃったね」
岩永さんが言うと、高橋さんは「いいえ」と首を振る。
「私も直接お話が出来て良かったです。電話じゃ確かにちゃんと思っていることを伝えられないですもんね。渡部さんが聞いてくださって、良かったです」
「そう言ってもらえたらほっとするよ」
「はい」
高橋さんは言って、安心した様に笑みを浮かべた。
高橋さんはこれからも、クラブ活動の延長の様な劇団で活動を続けるのだろう。だがその心中は今までとは違うかも知れない。自分の成長によっては、それで身を立てられるかも。そう思えば、取り組み方も変わって来るだろうか。
将来、芸能界で活躍する高橋さんを、テレビや舞台などで見られる様になるのだろうか。それはまた、とても楽しみではあるのだった。
カウンタに掛けておてふきで手を拭いた高橋さんは、ふぅと小さな息を吐いて、口を開いた。
「あの、私、昨日の晩、渡部さんに辞退の電話を入れました」
「渡部さんと言うことは、スカウトされたお話ですね?」
佳鳴が確認する様に言うと、高橋さんは「はい」と大きく頷く。
「あれからも考えたんです。でも、店長さんが言ってくれた「目くらまし」って言葉が胸に刺さってしまって。私、芸人になりたい訳でも、歌手になりたい訳でも無いんです。お芝居が好きだから劇団に入ったんです。なので「女優になりませんか?」だったら、目くらましにやられていたかも知れません。もちろん迷いに迷うとは思うんですけど。なので今回はありがたいですし申し訳も無いんですけど、お断りしました」
「そうですか」
佳鳴は応え、にっこりと微笑む。
「高橋さんが出された結論なら、それが今のベストなのだと思います。ご納得されているなら、良かったな、と思います」
「はい!」
高橋さんは満足げに微笑んで頷いた。
「あ、注文良いですか? まずはお酒で。あとでご飯とお味噌汁ください」
「はい、かしこまりました」
佳鳴たちは料理を整える。今日のメインは鶏の水炊き風だ。処理した鶏がらと白ねぎの青い部分、生姜と日本酒と塩を使って出汁を取り、それで骨付き鶏肉と白ねぎの白い部分、白菜、椎茸、木綿豆腐をことことと煮込み、お客さまに提供する寸前に春菊に火を通して盛り付ける。
出汁にしっかりと鶏の味が出ているので、そのままでも食べていただけるが、お客さまの希望でポン酢をお出しする。
小鉢は水菜の刻みわさび和えと、ひじきとちくわの白和えだ。
「鶏のお出汁美味しい~。置いておいて、あとでご飯に掛けて食べよう。絶対美味しいやつだ!」
出来たら鶏だしも味わって欲しかったので、スプーンをこっそり添えている。高橋さんは具を食べる前に鶏だしを口に含み、うっとりと目を細めた。
スプーンはその役割をしっかりと果たしていて、ほとんどのお客さまが見事に鶏だしを飲み干してくれていた。
そうしていつものハイボールとともに食事を進めていると、また常連さんが訪れる。岩永さんだった。
「こんばんは。お酒でお願いします。ビールで。あ、高橋さん」
入ってくるなり注文をし、高橋さんに気付いて笑みを浮かべる。
「公演、本当に良かったよ。次も行かせてもらうね」
岩永さんの言葉に、高橋さんは「ありがとうございます!」と満面の笑みを浮かべた。
岩永さんは高橋さんのふたつ離れた席に掛ける。おしぼりを受け取り、続けてビールを受け取って、美味しそうにグラス半分をぐいと煽っては、はぁ~と心地良さそうな溜め息を吐いた。
続けて料理を受け取り、ゆったりと食べ始める。
そうしていると、またお客さまが訪れる。
「いらっしゃいま、せ」
迎えた千隼が一瞬戸惑ったのは、そのお客さまが渡部さんだったからだ。高橋さんをスカウトした人である。
高橋さんもドアが開く音に反応したのか首をひねり、「あ」とそのまま固まった。
渡部さんはせかせかと店内に入って来て、高橋さんの隣に腰掛けた。
「高橋さん! 押し掛けてごめんね!」
渡部さんが叫ぶ様に言うと、それまでくつろいでいた他のお客さまが「何だ?」「何だ?」とざわつき、次にはなだらかに静かになる。
「電話でのお話は分かったわ。でもやっぱり直接会って話がしたかったの。どうして駄目だったの?」
高橋さんはうろたえて、「あ、あの」と言い淀む。それを見て渡部さんは詰め寄る様に前のめりになっていた姿勢を正した。
「ごめんね。電話ではあまりちゃんと話が出来なかったから。きちんと話がしたいなって思ったの」
渡部さんの言葉に、高橋さんは「ん」と喉を鳴らし、気合いを入れる様にハイボールをひと口飲んだ。
「あの、お申し出は本当にありがたいと思っています。ですが、私は歌手になりたい訳でも、芸人さんになりたい訳でも無いんです」
「ええ、そうね。そう言っていたわね。でも今は歌手スタート、芸人スタートで、ドラマに出て俳優活動をする人もたくさんいるわよ」
「でもそれは、売れてなんぼ、ですよね」
高橋さんが言うと、渡部さんは窮した様に口を閉じる。
「その段階に行けるまで耐えられるかどうかが判りません。それに女優さんとしてお声掛けいただいた訳じゃ無いってことは、まだそのレベルに達していないってことですよね。私にはその覚悟がありません。1番好きじゃないことをしながら、芸能界に居続けられる覚悟が。なのでお断りしました」
高橋さんがそうはっきりと言うと、渡部さんは困った様に小さく息を吐いた。
「そんなあなたを守るのが、マネージャーである私たちの仕事よ。それでも?」
「はい。もうこんなチャンスは無いと思います。ですけど、もし、もし将来、渡部さんが私の演技を認めてくださって、女優としてスカウトしたいって思ってくださったら、その時にはお声を掛けてくださったら、多分私は喜んで受け入れると思います。親は反対するでしょうけど、バトルも厭いません」
「……そう」
渡部さんはそう言い、また小さく息を吐いた。
「解ったわ。今回は引き下がるわ。でも完全に諦めた訳じゃ無い。私は地元がここだから、次の公演も見させてもらうわよ。次の予定は決まってるのかしら。おおまかでも」
「来年だと思います。うちは年に1度の公演なので」
「そんなに先なのね! でもそうね、1年また研鑽を重ねてもらって、また力を付けてもらったら、来年の私の評価もまた変わるかも知れないわね」
高橋さんは曖昧に笑みを浮かべる。劇団員は真剣であるものの、週に1度の練習でどこまで伸びるか。それは高橋さん次第なのだろうが。
「じゃあ私はこれで失礼するわね」
そう言って立ち上がり掛けた渡部さんに、ひとつ離れた席にいる岩永さんが「おいおい」と咎める。
「何も注文しないで行くのか? ここ飲食店だよ」
「あ!」
渡部さんはそう声を上げて口を押さえる。高橋さんと話をすることに夢中で、すっかりと忘れていた様だった。渡部さんは慌てて座り直した。
「ごめんなさい、うっかりしてたわ。ええとゆっくりしてる時間は無いの。ウーロン茶と、何か軽くつまめるもの……」
そう言って渡部さんはきょろきょろとカウンタに目を走らす。そこで岩永さんがこの煮物屋さんのシステムを簡潔に説明した。
「そうなの? じゃあ本当にごめんなさい、ウーロン茶だけって良いかしら」
「はい、大丈夫ですよ」
佳鳴がにっこりと応える横で、千隼がウーロン茶を用意する。氷を適度に入れたグラスに、冷たいウーロン茶を8分目に注ぎ、台に上げる。
「お待たせしました」
「ありがとう」
渡部さんはウーロン茶を受け取ると、ごっごっと喉を鳴らしながら一気に飲み干してしまった。グラスにはほとんど溶けていない氷がしっかりと残される。
「慌ただしくてごめんなさい。今度プライベートで帰って来た時に、ゆっくり寄らせてもらいますね。岩永くん、来年の高橋さんの公演が決まったら真っ先に連絡ちょうだいよ」
「解ったよ」
岩永さんが苦笑しながら応え、渡部さんは今度こそ立ち上がる。
「お邪魔しました。高橋さん、また!」
渡部さんはそう言い残して、会計を済ませてばたばたと店を出て行った。
そんな渡部さんを高橋さんはやや呆然と、そして岩永さんは苦笑いしながら見送った。他のお客さまもことの成り行きが気になったのか、静かに見守ってくれていた。
「ごめんね、高橋さん。渡部がどうしても高橋さんと直接話がしたいって言うから、俺が連絡したんだよ。嫌な思いさせちゃったね」
岩永さんが言うと、高橋さんは「いいえ」と首を振る。
「私も直接お話が出来て良かったです。電話じゃ確かにちゃんと思っていることを伝えられないですもんね。渡部さんが聞いてくださって、良かったです」
「そう言ってもらえたらほっとするよ」
「はい」
高橋さんは言って、安心した様に笑みを浮かべた。
高橋さんはこれからも、クラブ活動の延長の様な劇団で活動を続けるのだろう。だがその心中は今までとは違うかも知れない。自分の成長によっては、それで身を立てられるかも。そう思えば、取り組み方も変わって来るだろうか。
将来、芸能界で活躍する高橋さんを、テレビや舞台などで見られる様になるのだろうか。それはまた、とても楽しみではあるのだった。
10
あなたにおすすめの小説
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
病弱な第四皇子は屈強な皇帝となって、兎耳宮廷薬師に求愛する
藤原 秋
恋愛
大規模な自然災害により絶滅寸前となった兎耳族の生き残りは、大帝国の皇帝の計らいにより宮廷で保護という名目の軟禁下に置かれている。
彼らは宮廷内の仕事に従事しながら、一切の外出を許可されず、婚姻は同族間のみと定義づけられ、宮廷内の籠の鳥と化していた。
そんな中、宮廷薬師となった兎耳族のユーファは、帝国に滅ぼされたアズール王国の王子で今は皇宮の側用人となったスレンツェと共に、生まれつき病弱で両親から次期皇帝候補になることはないと見限られた五歳の第四皇子フラムアーク付きとなり、皇子という地位にありながら冷遇された彼を献身的に支えてきた。
フラムアークはユーファに懐き、スレンツェを慕い、成長と共に少しずつ丈夫になっていく。
だがそれは、彼が現実という名の壁に直面し、自らの境遇に立ち向かっていかねばならないことを意味していた―――。
柔和な性格ながら確たる覚悟を内に秘め、男としての牙を隠す第四皇子と、高潔で侠気に富み、自らの過去と戦いながら彼を補佐する亡国の王子、彼らの心の支えとなり、国の制約と湧き起こる感情の狭間で葛藤する亜人の宮廷薬師。
三者三様の立ち位置にある彼らが手を携え合い、ひとつひとつ困難を乗り越えて掴み取る、思慕と軌跡の逆転劇。
【完】25年後、君と答え合わせ
こころ ゆい
ミステリー
※完結いたしました。初めてのコンテストで、完結まで辿り着けたこと。全ては読者の皆様のおかげです。本当に、本当に、ありがとうございました!
東山 花乃(ひがしやま かの)24歳。
花乃は、病気に侵され、小さい頃から目がほとんど見えていない。身体も一部麻痺している。
そんな彼女には異性の親友がいた。
手越 千春(てごし ちはる)29歳。
5歳の頃、院内で出会った男の子。成長して医師になり、今では花乃の担当医をしてくれている。
千春の祖父は、花乃の入院する大きな病院の医院長。千春は将来この病院を継ぐ跡取りだ。
花乃と出会った頃の千春は、妙に大人びた冷めた子供。人を信用しない性格。
交流を続けるなかで、花乃とは友人関係を築いていくが、まだどこか薄暗い部分を抱えたまま。
「ずっと友達ね」
無邪気に笑う花乃に、千春は言った。
「ずっと友達、なんてありえない」
「...じゃぁ、25年後、答え合わせをしましょう?」
「25年後?」
「そう。25年後、あなたと私がまだ友達か。答え合わせするの」
「いいけど...どうして25年後なの?」
「...それは秘密。25年後のお楽しみだよ」
そんな会話を出会った頃したことを、千春は覚えているだろうか。花乃は、過保護な千春や両親、友人たちに支えられながら、病気と向き合っていく。
しかしーー。
ある日、花乃は千春に関する不穏な噂を耳にする。
それをきっかけに、花乃は千春にまつわるある事実を知ることになっていくーー。
25年後、花乃と千春が出した答えとは?
🌱この物語はフィクションです。登場人物、建物、題材にされているもの、全て作者の考えた架空のものです。実際とは異なります。
🌱医療行為として、チグハグな部分があるかもしれません。ご了承頂けると幸いです。
あまりさんののっぴきならない事情
菱沼あゆ
キャラ文芸
強引に見合い結婚させられそうになって家出し、憧れのカフェでバイトを始めた、あまり。
充実した日々を送っていた彼女の前に、驚くような美形の客、犬塚海里《いぬづか かいり》が現れた。
「何故、こんなところに居る? 南条あまり」
「……嫌な人と結婚させられそうになって、家を出たからです」
「それ、俺だろ」
そーですね……。
カフェ店員となったお嬢様、あまりと常連客となった元見合い相手、海里の日常。
Emerald
藍沢咲良
恋愛
教師という仕事に嫌気が差した結城美咲(ゆうき みさき)は、叔母の住む自然豊かな郊外で時々アルバイトをして生活していた。
叔母の勧めで再び教員業に戻ってみようと人材バンクに登録すると、すぐに話が来る。
自分にとっては完全に新しい場所。
しかし仕事は一度投げ出した教員業。嫌だと言っても他に出来る仕事は無い。
仕方無しに仕事復帰をする美咲。仕事帰りにカフェに寄るとそこには…。
〜main cast〜
結城美咲(Yuki Misaki)
黒瀬 悠(Kurose Haruka)
※作中の地名、団体名は架空のものです。
※この作品はエブリスタ、小説家になろうでも連載されています。
※素敵な表紙をポリン先生に描いて頂きました。
ポリン先生の作品はこちら↓
https://manga.line.me/indies/product/detail?id=8911
https://www.comico.jp/challenge/comic/33031
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
汐埼ゆたか
キャラ文芸
准教授の藤波怜(ふじなみ れい)が一人静かに暮らす一軒家。
そこに迷い猫のように住み着いた女の子。
名前はミネ。
どこから来たのか分からない彼女は、“女性”と呼ぶにはあどけなく、“少女”と呼ぶには美しい
ゆるりと始まった二人暮らし。
クールなのに優しい怜と天然で素直なミネ。
そんな二人の間に、目には見えない特別な何かが、静かに、穏やかに降り積もっていくのだった。
*****
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
※他サイト掲載
【完結】過保護な竜王による未来の魔王の育て方
綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
ファンタジー
魔族の幼子ルンは、突然両親と引き離されてしまった。掴まった先で暴行され、殺されかけたところを救われる。圧倒的な強さを持つが、見た目の恐ろしい竜王は保護した子の両親を探す。その先にある不幸な現実を受け入れ、幼子は竜王の養子となった。が、子育て経験のない竜王は混乱しまくり。日常が騒動続きで、配下を含めて大騒ぎが始まる。幼子は魔族としか分からなかったが、実は将来の魔王で?!
異種族同士の親子が紡ぐ絆の物語――ハッピーエンド確定。
#日常系、ほのぼの、ハッピーエンド
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/08/13……完結
2024/07/02……エブリスタ、ファンタジー1位
2024/07/02……アルファポリス、女性向けHOT 63位
2024/07/01……連載開始
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる