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その26.文学フリマ39 書き下ろし番外編(前編)
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※筆者前置き
本編は、2024年12月1日に、サークル若夏が出した文学フリマ39用の同人冊子に掲載済のものですが、全然売れなかった様ですので原文まま、知らん顔してここにUpさせていただきました(w)それにこの冊子、委託販売もしてないんですよね……と言う訳で、どうぞお楽しみ下さい。
********
「どうして……こうなった………」
「えっ、ちょっと待ってよヨリ。今回はエロやR―18一切禁止って……どういう事?」
「どうしたもこうしたも無いわよお兄ちゃん。サークル若夏の結先生が、私達の宣伝の為に、文学フリマ用の冊子のページを空けてくれたのよ。だからその御厚意に応えないのは、S級冒険者として恥なんだって!!」
「そっかー。でもせっかくの冊子なんだから、僕とヨリのxxとか○○を赤裸々に書いた方がウケがよくないか?」
「何言ってんのよお兄ちゃん。あの格調高い文学フリマよ⁉ 私達、実の兄妹でヤリまくってるところなんか書いたら、サークル若夏が永久追放されるわよ」
「そっか……それじゃ仕方ない。性行為も汁っ気もないお話で行こうじゃないか……でも、そんなのあったか?」
「ほら……こないだの……」
「ああー。ジルさんね。それじゃ、それで行こうか」
僕とヨリは実の兄妹だ。事故で両親を亡くし現世に絶望していた時、謎の黒服サングラスの男の勧めで、親の遺産全部をつぎ込んで異世界転移し、そこで冒険者稼業を始めた。そしてとある事件を契機に実の兄妹でヤッちゃって……その後、ノアナさんやリーマ姫とパーティを組んで、ギルドのカミーユさんにいい様に利用されながら、
S級冒険者として日々、ドキドキワクワクの生活を送っている。
まあ、詳しくはアルファポリスさんに掲載されている『冒険者兄妹(仮)』の本編を絶対読んでほしい。
◇◇◇
「あー、お兄さん。丁度よかった。ちょっとお願いがあるんだけど」
いつもの様に朝一みんなでギルドにクエストを漁りにいったら、カミーユさんに声をかけられた。
「なんか出物のクエストありますかー?」
「えっとね。王都の冒険者教会本部から、うちの支部の実力をみたいって監査官が来ててね。それでうちのギルドのエースであるお兄さんとヨリちゃんにその人の面倒みてもらえないかなーって」
「えー。監査とか面倒くさそう……」ヨリが露骨に嫌な顔をする。
「大丈夫。大丈夫。監査って言っても、クエストに同行して、クエストのランクと対応する冒険者のランクがちゃんと合致してて、ギルメンに無理させていないかを見るだけなんで、一日その人と同行してもらうだけだから」
「いや、カミーユさんの大丈夫……はあてになりませんよね?」僕も怪訝な顔をする。
「そんなー。大丈夫だって……あっ、丁度その人が来たわ。おーい。ジルさーん!」
カミーユさんに呼ばれ、ぱっと見、十代半ば位のエルフの女の子がこちらに歩み寄ってきた。
「カミーユさん。ボクを呼んだ?」
「ええジルさん。この方が先ほどお話したS級のお兄さんとヨリちゃん。それとそのパーティーメンバーのノアナさんとリーマ姫」
「はじめまして。ボクは王都の冒険者協会本部所属の冒険者監査官。ジルと言います。どうぞよろしく」
「ちょっとちょっと。お兄ちゃん。何、この子。めっちゃ可愛いんですけど……それなのにボク言葉って……萌えるわー」
ヨリが身もだえているが、確かにそうだ。エルフとはいえ、確かにこの美しさは尋常じゃない。美しい長い髪をちょい上目でサイドツインテにし、スレンダーな身体にフリフリのドレスをまとっていて、冒険者と言われなければ、どこぞの深窓の令嬢か魔法少女かという趣で、それでいてボクって……ギャップ半端ねー。
僕もヨリも一発で彼女の魅力にKOされてしまい、クエストの監査同行を引き受ける運びになった。
「そんじゃーお兄さん、ヨリちゃん。クエストどれにする? あんまり簡単すぎちゃ、ジルさんが退屈しちゃうだろうし……」とカミーユさんが言う。
「でもあんまり難易度高いやつだと、ジルさんに危険が及んでもまずいし……」
僕の心配をよそに、ジルさんが言う。
「お言葉ですがお兄さん。ボクもそれなりの冒険者を自負しています。たとえ高難易度のクエストでも、自分の身くらい自分で守れますから、お気になさらず受けたいものを受けて下さい」
「そうですかぁ……」うーん。王都の冒険者は貫禄があるなー。
「それじゃーお兄さん。このプラチナゴブリンの群れの討伐は?」
カミーユさんが一枚のクエスト依頼票をテーブルに出した。
「プラチナゴブリン? それって結構知能の高いゴブリンだっけ?」
「そうよヨリちゃん。普通のやつより賢いから、力任せには退治出来ないわ。頭と身体両方使わないとしんどいから、監査官のジルさんに実力をアピールするチャンスよ」
「ふーん。それじゃそれで行こっか?」
こうして僕達のパーティーは翌朝、ジルさんと合流し、プラチナゴブリンの群れの討伐に出発した。
⇒後編へGo!
本編は、2024年12月1日に、サークル若夏が出した文学フリマ39用の同人冊子に掲載済のものですが、全然売れなかった様ですので原文まま、知らん顔してここにUpさせていただきました(w)それにこの冊子、委託販売もしてないんですよね……と言う訳で、どうぞお楽しみ下さい。
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「どうして……こうなった………」
「えっ、ちょっと待ってよヨリ。今回はエロやR―18一切禁止って……どういう事?」
「どうしたもこうしたも無いわよお兄ちゃん。サークル若夏の結先生が、私達の宣伝の為に、文学フリマ用の冊子のページを空けてくれたのよ。だからその御厚意に応えないのは、S級冒険者として恥なんだって!!」
「そっかー。でもせっかくの冊子なんだから、僕とヨリのxxとか○○を赤裸々に書いた方がウケがよくないか?」
「何言ってんのよお兄ちゃん。あの格調高い文学フリマよ⁉ 私達、実の兄妹でヤリまくってるところなんか書いたら、サークル若夏が永久追放されるわよ」
「そっか……それじゃ仕方ない。性行為も汁っ気もないお話で行こうじゃないか……でも、そんなのあったか?」
「ほら……こないだの……」
「ああー。ジルさんね。それじゃ、それで行こうか」
僕とヨリは実の兄妹だ。事故で両親を亡くし現世に絶望していた時、謎の黒服サングラスの男の勧めで、親の遺産全部をつぎ込んで異世界転移し、そこで冒険者稼業を始めた。そしてとある事件を契機に実の兄妹でヤッちゃって……その後、ノアナさんやリーマ姫とパーティを組んで、ギルドのカミーユさんにいい様に利用されながら、
S級冒険者として日々、ドキドキワクワクの生活を送っている。
まあ、詳しくはアルファポリスさんに掲載されている『冒険者兄妹(仮)』の本編を絶対読んでほしい。
◇◇◇
「あー、お兄さん。丁度よかった。ちょっとお願いがあるんだけど」
いつもの様に朝一みんなでギルドにクエストを漁りにいったら、カミーユさんに声をかけられた。
「なんか出物のクエストありますかー?」
「えっとね。王都の冒険者教会本部から、うちの支部の実力をみたいって監査官が来ててね。それでうちのギルドのエースであるお兄さんとヨリちゃんにその人の面倒みてもらえないかなーって」
「えー。監査とか面倒くさそう……」ヨリが露骨に嫌な顔をする。
「大丈夫。大丈夫。監査って言っても、クエストに同行して、クエストのランクと対応する冒険者のランクがちゃんと合致してて、ギルメンに無理させていないかを見るだけなんで、一日その人と同行してもらうだけだから」
「いや、カミーユさんの大丈夫……はあてになりませんよね?」僕も怪訝な顔をする。
「そんなー。大丈夫だって……あっ、丁度その人が来たわ。おーい。ジルさーん!」
カミーユさんに呼ばれ、ぱっと見、十代半ば位のエルフの女の子がこちらに歩み寄ってきた。
「カミーユさん。ボクを呼んだ?」
「ええジルさん。この方が先ほどお話したS級のお兄さんとヨリちゃん。それとそのパーティーメンバーのノアナさんとリーマ姫」
「はじめまして。ボクは王都の冒険者協会本部所属の冒険者監査官。ジルと言います。どうぞよろしく」
「ちょっとちょっと。お兄ちゃん。何、この子。めっちゃ可愛いんですけど……それなのにボク言葉って……萌えるわー」
ヨリが身もだえているが、確かにそうだ。エルフとはいえ、確かにこの美しさは尋常じゃない。美しい長い髪をちょい上目でサイドツインテにし、スレンダーな身体にフリフリのドレスをまとっていて、冒険者と言われなければ、どこぞの深窓の令嬢か魔法少女かという趣で、それでいてボクって……ギャップ半端ねー。
僕もヨリも一発で彼女の魅力にKOされてしまい、クエストの監査同行を引き受ける運びになった。
「そんじゃーお兄さん、ヨリちゃん。クエストどれにする? あんまり簡単すぎちゃ、ジルさんが退屈しちゃうだろうし……」とカミーユさんが言う。
「でもあんまり難易度高いやつだと、ジルさんに危険が及んでもまずいし……」
僕の心配をよそに、ジルさんが言う。
「お言葉ですがお兄さん。ボクもそれなりの冒険者を自負しています。たとえ高難易度のクエストでも、自分の身くらい自分で守れますから、お気になさらず受けたいものを受けて下さい」
「そうですかぁ……」うーん。王都の冒険者は貫禄があるなー。
「それじゃーお兄さん。このプラチナゴブリンの群れの討伐は?」
カミーユさんが一枚のクエスト依頼票をテーブルに出した。
「プラチナゴブリン? それって結構知能の高いゴブリンだっけ?」
「そうよヨリちゃん。普通のやつより賢いから、力任せには退治出来ないわ。頭と身体両方使わないとしんどいから、監査官のジルさんに実力をアピールするチャンスよ」
「ふーん。それじゃそれで行こっか?」
こうして僕達のパーティーは翌朝、ジルさんと合流し、プラチナゴブリンの群れの討伐に出発した。
⇒後編へGo!
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