【R18】異世界なら彼女の母親とラブラブでもいいよね!

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第二章 第二部

第33話 プローブ

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 結局、スタンフォードの件は進展がないまま、俺とクローデルさんとシーナは、日本でただ待っていても仕方ないと、ジョージさんに頼んで、またネバダの秘密基地まで連れて来てもらった。
 俺とクローデルさんがスタンフォードの顔を見たのはまあ十年以上ぶりになる訳だが、そう言われなければ本人と分からない位、髪もひげも伸び放題で顔もゲッソリやつれていた。
 カナダのケベック州の雪山の中をフラフラ歩いていて行き会った列車に保護されたらしいが……マシウス博士が言うには、ニュージャージーに連れて行けの一点張りで後は何も話してくれないとの事だ。そして持ち物は遺灰が入っていると思われる小さな壺だけなのだそうだ。ニュージャージーは、彼の恋人だったカトレア・モー博士の故郷との事なので、そこに墓でも建てるつもりなのか……あるいはそこで自分も死のうとでも考えているのか。
 スタンフォードが発見された周辺にゲートがないか、米軍がカナダ政府と協力して調べたらしいが、それらしいものは発見されていない。まあそもそもが、かなり山深い所で真冬でもあり、そう簡単には見つからないかもしれない。

 スタンフォードは俺とクローデルさんの顔を一瞥《いちべつ》して、ぷいっとソッポを向いた。
「なあ。スタンフォードさん。俺の顔は覚えてるだろ? 俺もこのクローデルさんもあっちの住人だ。頼むよ。あんたがどうやってこっちに来たのか教えてくれないか? 俺達は出来ればそれを使ってあっちに帰りたいんだ」
「…………俺の要件はただ一つ。俺とカトレアをニュージャージーで解放しろ。後の事は一切しゃべるつもりはない」

 マシウス博士が言う。
「スタンフォードさん。あなたの協力具合によっては、軍はあなたの条件を呑んでも良いと言っています。司法取引と言う訳じゃないけど……あなたもAWCCの協力者になってくれると言うなら善処しますよ」
「お断りだ。俺はゲートにもそれに関する連中にも一切しっぽを振らない。俺の中にはそいつらに対する憎しみしかないのだ。だから気に入らないなら俺をさっさと処刑しろ。それでカトレアと一緒に埋葬だけしてくれればいい」
 
「やれやれ。本当にかたくなですね」マシウス博士が言うにはずっとこんな調子で、会話が堂々巡りをしているらしい。
「あの博士。俺をスタンフォードさんと二人きりで話し合わせていただけませんか?」
「雄太さん、何か策でも? 構いませんが暴力はダメですよ」
 そして通訳を残し、マシウス博士やクローデルさんたちは全員外に出て貰った。

「スタンフォードさん。改めてお願いします。あなたの知っている事を俺……私に教えて下さい。この通りです!!」そう言って俺は額を床にこすりつけた。
「ふん。日本人の得意な土下座というやつか。まあ、土下座をしようが、ぶん殴られ様が、俺の気持ちは変わらん。俺は俺からカトレアを奪ったゲートに関わる一切が大嫌いなのだよ!」
「あなたの気持ち……わかる様な気がしています」
「ふん。お前に何が分かる。お前はあっちでちゃんと生き延びて、こちらにちゃんと戻ってきている。それで十分だろ!」

「あっちには……おれの最愛の人がいるんです!! そして娘も……正直、俺は、あんたの事なんかどうでもいいし、あんたがこの先どうなろうと知ったこっちゃない。だけど……お願いです。俺はあっちに戻りたいんです。星《あかり》さんと花梨に会って抱きしめたいんです!! ですからどうか、あなたの知っている事を教えて下さい。お願いです……」
「…………」
 
 俺はそのまま土下座を続け、五分以上は経っただろうか。その間ずっと沈黙していたスタンフォードが立ち上がり、俺の肩に手を置いた。

「お前も俺と同じと言う事か……いや、違うな。お前は最愛の人があちらで生きている事が分かっている……うらやましい限りだ……分かった。雄太と言ったな。お前に免じて協力しよう」
「あっ……ありがとう……有難う御座います!」

 ◇◇◇

「成程。あの時、通訳してくれた女性がお前の妻だったのか。二人きりであちらに飛ばされ、そこで子も出来たという事か。ならば雄太があちらに戻りたいという気持ちに嘘偽りはなかろう。だから俺は雄太に免じて、知ってる事を話す。だからこの話が済んだら俺を解放し、ニュージャージーに送り届けてくれ」
 そういうスタンフォードにマシウス博士がわかったわと返事をした。

 すでにスタンフォードは広い部屋に移され、そこには俺達や研究所、軍の人達が集まっている。そしてスタンフォードが今回の経緯を時系列に順を追って話し始めた。

「帝国軍に拾われた俺は、ゲートの技術者として転移研究班に入り、自然発生ゲートを捕捉する研究に従事した」
「えー。でも私、あなたの事知らないわー」シーナがそう言う。
「ああ。お前が飛ばされたレーナ少尉の妹か。多分お前とは入れ違いだ。それにしてもよく生きていたもんだ。それを知ったら少尉が喜ぶだろう。少尉はお前を探したい一心で、ゲートの研究を続けていたと言っても過言ではないからな」
「細かい話は後で。まずは大筋を説明してもらいましょう」
 マシウス博士がスタンフォードに話の続きを促した。
 
 そして彼は、王宮地下のシステンメドルのゲートが、俺達の出発後に爆発し、帝国とツェルラント王国の共同チームが新たなゲートの捕捉・固定に取り掛かった事。そのためのエネルギーとして、メロンが開発した充電池が役に立った事。向こう側のゲートは固定出来たが、その時点でスタンフォードが飛び込んでしまい、自分はこちらに出たが、こちら側のゲートは多分固定出来なかったであろう事を、つらつらと説明した。

 そうか。そんな事になっていたのか。それにしても、メロンのやつ、やったな! そう感慨に浸っていた俺の脇でクローデルさんが叫んでいる。
「あんた何やってるのよ。ちゃんとこっち側のゲートが固定出来てから飛び込めば何も問題なかったじゃない!?」はは、かなりお怒りだが、まあ後の祭りだな。
 そんなの自分の知った事ではないと本人もおっしゃっているし……。

「こっち側のゲートはもう消えてしまったでしょうか?」俺の問いにマシウス博士が答えた。
「どうかしら。少なくとも今まで発見されたとの報告はないけど……スタンフォードの話だとちょっと上空に開いていた? だとすると捜索の盲点かもね。彼の証言を元に、もう少し捜索をお願いしてみましょう。だけどゲートが見つかったとしてどうするの?」マシウス博士が心配そうにシーナの顔を見る。
「ああー。あっち側は固定出来てんのよね? だとすればあっちはでもその状態をしてるはずよね。いやオヤジギャグじゃねーし……ああ、せめてプローブでもあれば、あっちの座標探れるかも知んないのにー。ねえ、スタンフォード。あんたあっちから恋人の遺灰以外何も持って来なかったの?」
「ああ。背負っていたリュックは邪魔だったので雪の中に捨てて来たが……ああ、あれにはシルベツ草で錬成したマナセンサーは入っていたぞ」
「えーーーー!? それって、プローブの先端に付けるやつよね?」
「だが……マナが無いこちらの世界では使えまい」
「Oh! マイガッ!!」シーナが英語で叫んだ。
「でも……もしかしたらまだ手はあるかも知れないわ。マシウス。お願いだからそのスタンフォードのリュックを探して! もしかしたらゲート本体より優先順位高いかも」シーナの依頼に、マシウス博士が分かったわと言ってそばにいた兵士にリュックの捜索を最優先する様に告げた。

 その後、食事をしながらスタンフォードといろいろな話をした。
 そうか。彼はトクラ村に行ったんだな。というか今度のあっちの固定ゲートはトクラ村にあるのか? そしてメロンにくっついていた人間の女の子って……多分花梨だよな? あいつ何やってんだ?? でも元気ならそれでいいか。
 そして強面のダークエルフって……多分シャーリンさんだよな。そしてシステンメドルにテシルカン様まで……そのメンツがいたってだけで分かる。あっちの世界の人達が必死にゲートを再開させようとしてくれていた事が……。
 その話を聞いていて、途中からクローデルさんも感極まったかの様に泣き出した。 シーナも自分のお姉さんが自分を助けようと必死になっていた事を知り嬉しそうだった。

「それで……ここまで話したのだ。俺は解放してもらえるのだろうな」
 スタンフォードがマシウス博士にそう言った。
「もちろんするわよ。だけど……もう少し、協力をお願い出来ないかしら。あなた、自然発生ゲートの予測が専門だったのでしょう? 今少し、そのスキルを私達の為に使って頂けないかしら。あなたやモー博士の様な不幸を、今後生み出さないためにも」
「……そこまで手伝う義理は……いや。よかろう。俺が通ったゲートがまだある確証もないし、それでは雄太があちらに帰れる保証にならん。あいつの為と言う事で、一肌だけ脱ごう。まあ、こっちには電卓どころかスーパーコンピュータもあるだろうしな」

 そして数日後、待ちに待った連絡があった。スタンフォードのリュックが発見されたのだ! ただ、その近くにあるはずのゲートは、上空含め影も形もなかったとの事で、多分もう消えてしまったのだろうと、シーナもスタンフォードも言っていた。

「うはー。間違いないわ。プローブの先端につけるマナセンサー! だけど、どうしよこれ」
「俺は、ゲートが固定された後の反対側のゲート探査が役目だったのでな。このセンサーは壊れやすいので別にして自分で持ち歩いていたのだが……これだけでは使えないだろ?」
 シーナとスタンフォードが頭をひねっていると、クローデルさんが話し掛けた。
「これって、マナで動かすのですよね? ですがこっちだとマナはないし……お陰で私も全く魔法が使えませんわ!」
「そうだよねー……魔法……マナ…………あーーーーーっ!! 閃いた! クローデル。あんた、私達の為に死んでくれない?」
「はあっ!? 突然一体、何を言い出しているんですの、この変温動物!」
「あーいやごめん。死ななくてもいいかも……いや、私、変温動物じゃねーし。いやね。あんたを魔法触媒にして、何等かのエネルギーをこのセンサーに通せないかなーってさ。自慢じゃないけど私。たいした魔力扱えなくてさ」
「??」クローデルさんもワケが分からずキョトンとしている。
「それって……もしかして、メロンがやったみたいに、電気をマナの力に変えるとか、そういう事か?」その俺の言葉にシーナが答える。
「そうだよ! 電気なんかこっちじゃ使い放題だし……うまくやればあっちのゲート吹っ飛ばす位の事は出来るかもよ!」シーナが興奮しながらそう言った。
「いやいや。吹っ飛ばすのはやめてくれ。でも……可能性があるなら試してみないとな!」
「そうだよ。次のゲート発見までどんだけ時間あるか分からないけど、やってみない事には……最悪、あっちの固定ゲートの座標だけでも分かれば、タグそこにセットして自然発生ゲートに飛び込む! まあバクチだけどね」
「いや。ゲートの発生予測も、引き続き、スタンフォードが取り組んでくれるらしいし、その方針で行こうや」
 マシウス博士も、電気とマナの変換というテーマに大いに興味をそそられた様で、協力を惜しまないと言ってくれた。
 
 よしっ! ちょっとだけど希望が見えてきたぞ!! 
 待っててくれ。星さん。花梨。
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