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After Story…Aya.3
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『ごめんごめんお待たせッ!!いやぁー今日も暑いねぇーッ♪』
バスを小走りに降りてきた稚華は、手のひらで大袈裟に陽射しを遮るようにしてそう言うと、私の隣にストンと腰を下ろした。
「もぅ!!待ちくたびれちゃったじゃない。」
と私は不機嫌そうに言いつつも、自然と笑みが零れた。
そう、稚華には不思議なチカラがある。それは私の中の憂鬱なキモチを一瞬でどこかへ消し去ってしまう程の不思議なチカラが。きっとそれは私にしか影響しないトクベツなモノ…ううん、私だけのトクベツなモノなの…そうあって欲しい。
…表に出さないようにそんな事を考えていた私の内実に気づいたのか、稚華はニヤリと微笑んでウィンクを私へ投げかけた。
いや…そんな事ないわね、稚華だもの。
『アレッ、莉結ちゃんは?』
稚華はパッと表情を変えると、珍しい物を見るかのように衣瑠の周辺を見回した。
「稚華と同じ理由よっ。」
『あはは…そかそか。さてとっ…』
稚華は体裁悪そうに無邪気に笑うと、突然私の肩へ身体を預ける。私は"まったく…"と呆れたように呟くも、言葉とは裏腹に心が安らぐのを感じた。
『あー充電充電ッ♪昨日会えなかったからさぁーっ。』
そんな稚華を衣瑠が困ったように指差して
『ちょっとー、人前でイチャつかないっ!!』と小声で叱った。
そういう衣瑠だって普段は"そういうこと"してるじゃない、と私が衣瑠に向けてその心の声を視線に乗せるとわざとらしくゆっくりと視線を逸らされた。
『ごめーんッ!!待ったよね?待たせたよね?ほんっとゴメン!!』
不意に届いた声の先を見る。
するとバスの降車で混み合う人の影から莉結の顔が覗いた。人混みの中でちらちらと見え隠れさせるその姿は、まるで繁みに咲ける花のように思えた。
『待ったよぉ!!早く行こっ♪』
衣瑠に手を引かれ私の横を歩く莉結に「"恋ひ恋ひてあへる時だに愛(うつく)しき言(こと)つくしてよ長くと思はば"かしら?」と微笑むと、莉結が少し照れるように笑って頷いた。
バスターミナルから一度地下へと降り、再びエスカレーターを登ると駅の入り口へ出る。
鳥の囀りをかき消すような蝉の声が響く中、会社へと向かうスーツ姿の人々、1人座って歌を唄っている人、ジャージ姿の学生、首から看板を下げて何やら声をかけている人など、色々な人が各々の活動を始めている。
そんな中、手を繋ぎ改札へと向かっている私達へと向けられる物珍しそうな視線を何度か感じたが、私は稚華の身体を寄せ、その視線の先を鼻で笑って真っ白な光沢のある床を進んだ。
定刻より5分遅れの電車に乗って、莉結がバッグいっぱいに持ってきたお菓子を食べながらたわいも無い話に笑い声を響かせ車窓の景色が移り変わっていくのを眺めた。
"次は菊川、菊川です"
そして車内に響いたアナウンスに慌てて口一杯に残ったお菓子を詰め込んだ莉結を皆んなで笑いながら電車を降りた。
改札を抜けて駅前のタクシー乗り場へと出ると、焼き付けるような日差しに向かって稚華が腕を伸ばし『さぁーッ、タクシー捕まえて…レッツプール♪』と声を上げた。
バスを小走りに降りてきた稚華は、手のひらで大袈裟に陽射しを遮るようにしてそう言うと、私の隣にストンと腰を下ろした。
「もぅ!!待ちくたびれちゃったじゃない。」
と私は不機嫌そうに言いつつも、自然と笑みが零れた。
そう、稚華には不思議なチカラがある。それは私の中の憂鬱なキモチを一瞬でどこかへ消し去ってしまう程の不思議なチカラが。きっとそれは私にしか影響しないトクベツなモノ…ううん、私だけのトクベツなモノなの…そうあって欲しい。
…表に出さないようにそんな事を考えていた私の内実に気づいたのか、稚華はニヤリと微笑んでウィンクを私へ投げかけた。
いや…そんな事ないわね、稚華だもの。
『アレッ、莉結ちゃんは?』
稚華はパッと表情を変えると、珍しい物を見るかのように衣瑠の周辺を見回した。
「稚華と同じ理由よっ。」
『あはは…そかそか。さてとっ…』
稚華は体裁悪そうに無邪気に笑うと、突然私の肩へ身体を預ける。私は"まったく…"と呆れたように呟くも、言葉とは裏腹に心が安らぐのを感じた。
『あー充電充電ッ♪昨日会えなかったからさぁーっ。』
そんな稚華を衣瑠が困ったように指差して
『ちょっとー、人前でイチャつかないっ!!』と小声で叱った。
そういう衣瑠だって普段は"そういうこと"してるじゃない、と私が衣瑠に向けてその心の声を視線に乗せるとわざとらしくゆっくりと視線を逸らされた。
『ごめーんッ!!待ったよね?待たせたよね?ほんっとゴメン!!』
不意に届いた声の先を見る。
するとバスの降車で混み合う人の影から莉結の顔が覗いた。人混みの中でちらちらと見え隠れさせるその姿は、まるで繁みに咲ける花のように思えた。
『待ったよぉ!!早く行こっ♪』
衣瑠に手を引かれ私の横を歩く莉結に「"恋ひ恋ひてあへる時だに愛(うつく)しき言(こと)つくしてよ長くと思はば"かしら?」と微笑むと、莉結が少し照れるように笑って頷いた。
バスターミナルから一度地下へと降り、再びエスカレーターを登ると駅の入り口へ出る。
鳥の囀りをかき消すような蝉の声が響く中、会社へと向かうスーツ姿の人々、1人座って歌を唄っている人、ジャージ姿の学生、首から看板を下げて何やら声をかけている人など、色々な人が各々の活動を始めている。
そんな中、手を繋ぎ改札へと向かっている私達へと向けられる物珍しそうな視線を何度か感じたが、私は稚華の身体を寄せ、その視線の先を鼻で笑って真っ白な光沢のある床を進んだ。
定刻より5分遅れの電車に乗って、莉結がバッグいっぱいに持ってきたお菓子を食べながらたわいも無い話に笑い声を響かせ車窓の景色が移り変わっていくのを眺めた。
"次は菊川、菊川です"
そして車内に響いたアナウンスに慌てて口一杯に残ったお菓子を詰め込んだ莉結を皆んなで笑いながら電車を降りた。
改札を抜けて駅前のタクシー乗り場へと出ると、焼き付けるような日差しに向かって稚華が腕を伸ばし『さぁーッ、タクシー捕まえて…レッツプール♪』と声を上げた。
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