227 / 277
After Story…My Dearest.15
しおりを挟む
『ねぇ、これ見ようよっ♪』
髪を乾かし終えた私に、莉結は一冊のアルバムを持ってきた。
「中学の卒業アルバム??」
『うんっ、久しぶりに見たいなぁって思ってさ♪』
私は一瞬躊躇ったが、過去の自分だって今の自分なのだと受け入れる事にして頷いた。
卒業アルバムなんて見るのは多分、二回目くらい。中学の思い出に興味など無かった私は、自分の卒業アルバムが何処にあるのかさえ分からない。
ベッドに背を預けて座った私たちの並んだ膝の上にアルバムを置き、表紙を開いた。
すると懐かしい校舎の風景が目に映り、教員、そして見覚えのある同級生達の顔ぶれが広がった。
莉結は楽しそうに"この子はあそこの高校行ったんだよねぇ"とか"この子とこの子付き合ってたんだよっ"なんて私に説明をしながらページをめくっていった。
そして私のクラスメイトが目に映ると、すぐに愛想の無い一人の男子生徒と目が合った。
『あっ、瑠衣だ♪』
懐かしい響き。
この頃はこんな事になるなんて想像もしてなかったな…
今の自分を当たり前だと思って、毎日をただ何となく過ごしてた。
何処からどう見ても男なのにな。これが薬一つで造り上げられているなんて未だに信じられない。
そんな事を考えていたら、私は思わず鼻で笑ってしまった。
『なんで笑ってんの?』
「いや、もしこの頃の自分に会えるなら"騙されてるぞっ、ばーかっ"って言ってやりたいなって思ってさ♪」
『何それっ、変なの』
男として生きていた自分が写真の中で当たり前のように存在している。
そんな姿がなんだか馬鹿らしく思う反面、なんとも切ない気持ちにもなる。
そこに映るのは紛れも無い自分、それなのに自分では無い、そんな矛盾が、現状を受け入れた筈の私に自分が数奇な人生を歩んでいる事実を突きつけている。そんな気にさせたのだった。
「もうこの姿には戻れないんだよね」
不意に私の口から溢れたその言葉に、莉結は一瞬私の顔を見て、すぐにアルバムへと視線を移すとこう言った。
『私は瑠衣だって衣瑠だってキモチは変わらないよ、なんてね♪』
そう言い終わらないうちに私の肩に莉結の額が温もりを伝えた。
私はその髪に頬をそっと寄せ、アルバムをぱたんと閉じると、莉結の手に自らの手を重ねたのだった。
ぎゅっとその柔らかな手を握ればそれに応えるように返される莉結の手の感触。
それはまるで太陽と月のように変わることの無い永遠の安息を約束してくれるようだった。
髪を乾かし終えた私に、莉結は一冊のアルバムを持ってきた。
「中学の卒業アルバム??」
『うんっ、久しぶりに見たいなぁって思ってさ♪』
私は一瞬躊躇ったが、過去の自分だって今の自分なのだと受け入れる事にして頷いた。
卒業アルバムなんて見るのは多分、二回目くらい。中学の思い出に興味など無かった私は、自分の卒業アルバムが何処にあるのかさえ分からない。
ベッドに背を預けて座った私たちの並んだ膝の上にアルバムを置き、表紙を開いた。
すると懐かしい校舎の風景が目に映り、教員、そして見覚えのある同級生達の顔ぶれが広がった。
莉結は楽しそうに"この子はあそこの高校行ったんだよねぇ"とか"この子とこの子付き合ってたんだよっ"なんて私に説明をしながらページをめくっていった。
そして私のクラスメイトが目に映ると、すぐに愛想の無い一人の男子生徒と目が合った。
『あっ、瑠衣だ♪』
懐かしい響き。
この頃はこんな事になるなんて想像もしてなかったな…
今の自分を当たり前だと思って、毎日をただ何となく過ごしてた。
何処からどう見ても男なのにな。これが薬一つで造り上げられているなんて未だに信じられない。
そんな事を考えていたら、私は思わず鼻で笑ってしまった。
『なんで笑ってんの?』
「いや、もしこの頃の自分に会えるなら"騙されてるぞっ、ばーかっ"って言ってやりたいなって思ってさ♪」
『何それっ、変なの』
男として生きていた自分が写真の中で当たり前のように存在している。
そんな姿がなんだか馬鹿らしく思う反面、なんとも切ない気持ちにもなる。
そこに映るのは紛れも無い自分、それなのに自分では無い、そんな矛盾が、現状を受け入れた筈の私に自分が数奇な人生を歩んでいる事実を突きつけている。そんな気にさせたのだった。
「もうこの姿には戻れないんだよね」
不意に私の口から溢れたその言葉に、莉結は一瞬私の顔を見て、すぐにアルバムへと視線を移すとこう言った。
『私は瑠衣だって衣瑠だってキモチは変わらないよ、なんてね♪』
そう言い終わらないうちに私の肩に莉結の額が温もりを伝えた。
私はその髪に頬をそっと寄せ、アルバムをぱたんと閉じると、莉結の手に自らの手を重ねたのだった。
ぎゅっとその柔らかな手を握ればそれに応えるように返される莉結の手の感触。
それはまるで太陽と月のように変わることの無い永遠の安息を約束してくれるようだった。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
義姉妹百合恋愛
沢谷 暖日
青春
姫川瑞樹はある日、母親を交通事故でなくした。
「再婚するから」
そう言った父親が1ヶ月後連れてきたのは、新しい母親と、美人で可愛らしい義理の妹、楓だった。
次の日から、唐突に楓が急に積極的になる。
それもそのはず、楓にとっての瑞樹は幼稚園の頃の初恋相手だったのだ。
※他サイトにも掲載しております
ほのぼの学園百合小説 キタコミ!
水原渉
青春
ごくごく普通の女子高生の帰り道。
帰宅部の仲良し3人+1人が織り成す、ほのぼの学園百合小説。
♪ 野阪 千紗都(のさか ちさと):一人称の主人公。帰宅部部長。
♪ 猪谷 涼夏(いのや すずか):帰宅部。雑貨屋でバイトをしている。
♪ 西畑 絢音(にしはた あやね):帰宅部。塾に行っていて成績優秀。
♪ 今澤 奈都(いまざわ なつ):バトン部。千紗都の中学からの親友。
※本小説は小説家になろう等、他サイトにも掲載しております。
★Kindle情報★
1巻:https://www.amazon.co.jp/dp/B098XLYJG4
2巻:https://www.amazon.co.jp/dp/B09L6RM9SP
3巻:https://www.amazon.co.jp/dp/B09VTHS1W3
4巻:https://www.amazon.co.jp/dp/B0BNQRN12P
5巻:https://www.amazon.co.jp/dp/B0CHFX4THL
6巻:https://www.amazon.co.jp/dp/B0D9KFRSLZ
7巻:https://www.amazon.co.jp/dp/B0F7FLTV8P
Chit-Chat!1:https://www.amazon.co.jp/dp/B0CTHQX88H
Chit-Chat!2:https://www.amazon.co.jp/dp/B0FP9YBQSL
★YouTube情報★
第1話『アイス』朗読
https://www.youtube.com/watch?v=8hEfRp8JWwE
番外編『帰宅部活動 1.ホームドア』朗読
https://www.youtube.com/watch?v=98vgjHO25XI
Chit-Chat!1
https://www.youtube.com/watch?v=cKZypuc0R34
イラスト:tojo様(@tojonatori)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる