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After Story…My Dearest.49
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私は真っ直ぐにリヴィを見つめたまま「パートナー…?」と呟く。
リヴィは莉結にその眼差しを向けたまま答える。
『そう。パートナーよ。これはもう決められた事なの』
すると莉結が私とリヴィとの間に割り込む。ジッとリヴィを見つめるその視線はとても強いものだった。
『勝手な事…そんなのオリヴィアさんが決める事じゃない』
それは低く、小さな声だったが、その言葉に込められた気持ちは、怒りと軽蔑、それと悲しみの様なものが混ざり合ったようだった。
『そんな事…分かっているわ。だけどね、これは母の遺志なの』
「母の…意思?オリヴィアさんのお母さんって…」
『そうよ、アメリア・シュールマン…貴女の運命を変えてしまった元凶よ』
「元凶って…私は別に…」
『気にしてない?…そうかしら?この国の四季の様に穏やかに移り行く筈だった貴女の人生に、私の母はもう一つの季節を与えてしまったのよ?貴女はその変化を受け入れて、それを"普通の日常"として過ごしているだけ。少なくとも私の母はその事を悔いていたわ』
「だけど…手紙には"恩返しが出来る事が嬉しい"って」
『喜ぶでしょうね…せめてもの罪滅ぼしが出来るその日を待ち望んでいたから』
私は噛み合わない会話に事の真相が掴めずにいた。リヴィは嘘は付いていない…と思う。だけど私のパートナーになるという理由が未だに分からない。
きっと莉結も同じ思いだ…
眉間を寄せたままリヴィを睨みつける様な莉結のその眼差しを横目に映しながらも、私は核心に迫る質問をする事にした。
「つまり…お母さんの罪滅ぼしの為に私のパートナーになるって事?」
『違うわ。私は母の為に貴女のパートナーにはならない』
すると莉結が痺れを切らしたように『だったら何よ!オリヴィアさんは何が言いたいの?さっきから全然分かんない!私たちの邪魔しないでよ!』とリヴィに迫った。
リヴィはあくまでその人形のように変化の無い表情のまま、静かに視線を莉結へと移した。
その時だった。
突然リヴィが莉結の唇へと自らの口を重ねたのだ。そして小さく開いた口から自らの舌を絡ませた。
『ちょっ…何すんのよっ!!』
顔を深紅に染めた莉結がリヴィを突き飛ばす。
リヴィは表情を変える事なく腕で唇を拭う莉結を見つめてこう言った。
『どう思った?』
『あんた、頭…おかしいんじゃないの』
『ふふ…そうね。貴女は正しいわ。それが普通。だから貴女じゃなくて私がルイのパートナーになるのよ』
『どういう事よ…理由になってない』
『私は…二人の母に育てられた。当然、世間の目は冷たいものだったわ。けれど私は知る事が出来た。愛に性別…それ以外のものも全てが関係ない事を』
『何言ってんのよ…私だって別に…』
『なら何故私の愛を拒絶したのかしら?』
『あんなの愛でも何でも無いでしょ!』
『それを決めるのは私。ねぇルイ。私は貴女がどんな人間だろうとパートナーになると決めていたの。それが"私の生まれた意味"だから』
目の前での出来事を呆然と眺めていた私はそっと口を開く。
「私は…莉結じゃなきゃいやだ」
それは脳裏に浮かんだモノを無意識にそのまま口にしてしまったような、自然と口から溢れた言葉だった。
リヴィは莉結にその眼差しを向けたまま答える。
『そう。パートナーよ。これはもう決められた事なの』
すると莉結が私とリヴィとの間に割り込む。ジッとリヴィを見つめるその視線はとても強いものだった。
『勝手な事…そんなのオリヴィアさんが決める事じゃない』
それは低く、小さな声だったが、その言葉に込められた気持ちは、怒りと軽蔑、それと悲しみの様なものが混ざり合ったようだった。
『そんな事…分かっているわ。だけどね、これは母の遺志なの』
「母の…意思?オリヴィアさんのお母さんって…」
『そうよ、アメリア・シュールマン…貴女の運命を変えてしまった元凶よ』
「元凶って…私は別に…」
『気にしてない?…そうかしら?この国の四季の様に穏やかに移り行く筈だった貴女の人生に、私の母はもう一つの季節を与えてしまったのよ?貴女はその変化を受け入れて、それを"普通の日常"として過ごしているだけ。少なくとも私の母はその事を悔いていたわ』
「だけど…手紙には"恩返しが出来る事が嬉しい"って」
『喜ぶでしょうね…せめてもの罪滅ぼしが出来るその日を待ち望んでいたから』
私は噛み合わない会話に事の真相が掴めずにいた。リヴィは嘘は付いていない…と思う。だけど私のパートナーになるという理由が未だに分からない。
きっと莉結も同じ思いだ…
眉間を寄せたままリヴィを睨みつける様な莉結のその眼差しを横目に映しながらも、私は核心に迫る質問をする事にした。
「つまり…お母さんの罪滅ぼしの為に私のパートナーになるって事?」
『違うわ。私は母の為に貴女のパートナーにはならない』
すると莉結が痺れを切らしたように『だったら何よ!オリヴィアさんは何が言いたいの?さっきから全然分かんない!私たちの邪魔しないでよ!』とリヴィに迫った。
リヴィはあくまでその人形のように変化の無い表情のまま、静かに視線を莉結へと移した。
その時だった。
突然リヴィが莉結の唇へと自らの口を重ねたのだ。そして小さく開いた口から自らの舌を絡ませた。
『ちょっ…何すんのよっ!!』
顔を深紅に染めた莉結がリヴィを突き飛ばす。
リヴィは表情を変える事なく腕で唇を拭う莉結を見つめてこう言った。
『どう思った?』
『あんた、頭…おかしいんじゃないの』
『ふふ…そうね。貴女は正しいわ。それが普通。だから貴女じゃなくて私がルイのパートナーになるのよ』
『どういう事よ…理由になってない』
『私は…二人の母に育てられた。当然、世間の目は冷たいものだったわ。けれど私は知る事が出来た。愛に性別…それ以外のものも全てが関係ない事を』
『何言ってんのよ…私だって別に…』
『なら何故私の愛を拒絶したのかしら?』
『あんなの愛でも何でも無いでしょ!』
『それを決めるのは私。ねぇルイ。私は貴女がどんな人間だろうとパートナーになると決めていたの。それが"私の生まれた意味"だから』
目の前での出来事を呆然と眺めていた私はそっと口を開く。
「私は…莉結じゃなきゃいやだ」
それは脳裏に浮かんだモノを無意識にそのまま口にしてしまったような、自然と口から溢れた言葉だった。
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