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27.落陽
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「まだ食べ終わってないない班は無いなぁ? みんなお楽しみのキャンプファイアーやるから各班は全員揃ったのを確認してから本館後ろの広場に来るように!」
体育の山田先生が大きな声で叫んでいるのが聞こえた。
そして、私は周りを見渡すと、一人一人の様子を伺った。
……この中に私を良く思ってない人間が居る。
そう考えると、楽しそうに振る舞うその表情すらも偽りのものに見えてしまう自分がいた。
「衣瑠っ、服乾いた?」
暗闇の中から響いた声の先を見ると、振莉結が歩いてくるのが見えた。
「もうだいぶ乾いたよ。キャンプファイヤー楽しみだね」
本当は楽しみなんて気持ちはこれっぽっちも無くて、見当も付かない犯人の事ばかりが頭に浮かんでいたのに、私は莉結に心配をかけまいとそんな嘘をついてしまった。
「ホントにそう思ってる?」
莉結は冗談で言ったんだろうけど、"思ってないよ"なんて言えない。だって莉結の瞳がキラキラと輝いていたから。
「もちろん、楽しまなきゃ損だもん」
すると、隣に座っていた健太が「広場……移動しようぜ」と、呟いて立ち上がる。私は「あ、これ消してかないと……」と声を掛けたけど、健太には聞こえていないみたいだった。
「火消したら私達も移動しよっか」
白い蒸気を立ち昇らせながら消えていくオレンジ色を見届けると、私たちはキャンプファイヤーを行う広場へ移動していった。
広場に着くと、その中央には井形に組まれた丸太が背丈ほどの高さに積まれていた。そして、それを中心にして囲むように生徒が並んでいる。
こういう時ばかりは生徒も並び終わるのが早く、すぐにキャンプファイヤーが始められる体勢が整った。
「なんかわくわくしないっ?」
中央を見つめて莉結が目を輝かせた。
「言ってもただの焚き火でしょ?」
「何それっ! 楽しみだって言ってたくせに」
そんな会話をしながら着火を待っていると、にわかに先生たちの動きが慌ただしくなる。
すると突然、山田先生が積まれた木に登っていったのだ。当然、生徒達はそれを見て騒めきだし、調子に乗ったどこかの男子が「先生何やってんのーっ?」とヤジを飛ばし出す。
「山田先生どうしたんだろうね」
「まぁ、気が狂ったんじゃ無ければ何かあったんじゃないのっ? で、莉結はそんな焚き火が楽しみなの?」
私はそんな風に山田先生の行動について気に留める事もなかった。私には関係の無い事。
すると莉結が会話を遮ってキャンプファイヤーの方を指差してこう言った。
「衣瑠、先生何か持ってない?」
ふと目をやると、真剣な面持ちで組まれた焚き木から何かを持って降りてくる山田先生の姿が見えた。
「えっ? ホントだ。何持って……」
と、その瞬間、私は目を見開いたままその"何か"に視線が釘付けにされた。そしてまた心臓が物凄い速さで鼓動を加速していく。
なんで……? あれ、私のバッグじゃん。
私の視界に広がった景色がセピア色へと変わっていく。それと同時に耳の穴が閉じて消えてしまったように、音がすうっと小さくなっていき……、そして私は音の無い世界へと吸い込まれていった。
体育の山田先生が大きな声で叫んでいるのが聞こえた。
そして、私は周りを見渡すと、一人一人の様子を伺った。
……この中に私を良く思ってない人間が居る。
そう考えると、楽しそうに振る舞うその表情すらも偽りのものに見えてしまう自分がいた。
「衣瑠っ、服乾いた?」
暗闇の中から響いた声の先を見ると、振莉結が歩いてくるのが見えた。
「もうだいぶ乾いたよ。キャンプファイヤー楽しみだね」
本当は楽しみなんて気持ちはこれっぽっちも無くて、見当も付かない犯人の事ばかりが頭に浮かんでいたのに、私は莉結に心配をかけまいとそんな嘘をついてしまった。
「ホントにそう思ってる?」
莉結は冗談で言ったんだろうけど、"思ってないよ"なんて言えない。だって莉結の瞳がキラキラと輝いていたから。
「もちろん、楽しまなきゃ損だもん」
すると、隣に座っていた健太が「広場……移動しようぜ」と、呟いて立ち上がる。私は「あ、これ消してかないと……」と声を掛けたけど、健太には聞こえていないみたいだった。
「火消したら私達も移動しよっか」
白い蒸気を立ち昇らせながら消えていくオレンジ色を見届けると、私たちはキャンプファイヤーを行う広場へ移動していった。
広場に着くと、その中央には井形に組まれた丸太が背丈ほどの高さに積まれていた。そして、それを中心にして囲むように生徒が並んでいる。
こういう時ばかりは生徒も並び終わるのが早く、すぐにキャンプファイヤーが始められる体勢が整った。
「なんかわくわくしないっ?」
中央を見つめて莉結が目を輝かせた。
「言ってもただの焚き火でしょ?」
「何それっ! 楽しみだって言ってたくせに」
そんな会話をしながら着火を待っていると、にわかに先生たちの動きが慌ただしくなる。
すると突然、山田先生が積まれた木に登っていったのだ。当然、生徒達はそれを見て騒めきだし、調子に乗ったどこかの男子が「先生何やってんのーっ?」とヤジを飛ばし出す。
「山田先生どうしたんだろうね」
「まぁ、気が狂ったんじゃ無ければ何かあったんじゃないのっ? で、莉結はそんな焚き火が楽しみなの?」
私はそんな風に山田先生の行動について気に留める事もなかった。私には関係の無い事。
すると莉結が会話を遮ってキャンプファイヤーの方を指差してこう言った。
「衣瑠、先生何か持ってない?」
ふと目をやると、真剣な面持ちで組まれた焚き木から何かを持って降りてくる山田先生の姿が見えた。
「えっ? ホントだ。何持って……」
と、その瞬間、私は目を見開いたままその"何か"に視線が釘付けにされた。そしてまた心臓が物凄い速さで鼓動を加速していく。
なんで……? あれ、私のバッグじゃん。
私の視界に広がった景色がセピア色へと変わっていく。それと同時に耳の穴が閉じて消えてしまったように、音がすうっと小さくなっていき……、そして私は音の無い世界へと吸い込まれていった。
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