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す
しおりを挟むわあ、本当に色々な屋台があるのね。
こんなにたくさん用意してくれてたなんて、お父様に感謝しなくちゃ。
広い中庭に屋台が見渡すだけでも30はある。
どこから回りましょうか。
食べ物も良いし、遊びの屋台もいいわ。
「ありす!わたしあのやたいにいきたいです!」
「もちもちやき?」
「はい!あれはもちもちしたたべものをとくべつな たれにつけてやいたもの、らしいです!」
「いいわね。しえるは?」
「ぼくもたべたいです。きょうはおひるごはんがはやくて おなかすいちゃいました。」
「じゃあいきましょう。」
屋台には騎士団の団員さんと思しきガタイの良いお兄さんがいた。
「もちもちやき、くださーい!!」
「はい!なんこにしましょう?」
「うーん、さんこ?」
「あ、まりとか、ついてきてくれてるみんなにもあげたいかも。」
「そっか!じゃあ10こください!」
「はい!かしこまりました!どうぞー!」
お兄さんが私たちに1つずつ手渡してくれる。
熱くないように紙の包み紙に出っ張った持ち手がある。
「ありす、かーら、あそこのテーブルでたべましょうか。」
そう、さすがに貴族がたくさん来るお祭りということで屋台に囲まれた真ん中のスペースはテーブルと椅子がたくさん置かれているのだ。
「そうしましょう。」
みんな少し駆け足気味にテーブルに向かう。
「…。とどきませんね。」
「とどかないわね!」
「こまった…。」
そうだわ。私たちこのテーブルの高さ、誰も座れないわ。
「殿下!あちらに低いテーブルが用意されてありました!」
マリが少し遠くを指さした。大人のテーブルに囲まれた中に子供たちが座りやすいように小さなテーブルと椅子が置いてある。
さすがお父様。子供への配慮が流石です。
「私が抱っこして差しあげても良かったのですが、今日は自由に降りれた方が楽しいと思いまして…。」
マリが少し残念そうに言う。
「ありがとうまり!」
「ふふぅ。もちろんですぅ!」
とたんにニヨニヨし始めた。
マリはよくわからない。
今度こそみんなで席についてかじる。
サクッとしたかと思うと中はもちもちしている。
特製ソースがとても合う。
香りも100点ね!
「これ、とてもおいしい…!」
「わたし、はじめのぱりぱりがすき!」
「ぼくもぱりぱりすきです。そーすがおいしいですね。」
「本当ね!」
そうして3人で色々な屋台をまわりキャッキャと過ごしたのだった。
さて、まだまだお祭りは続くけれど私たちの体力はそろそろ限界を迎えようとしている。
カーラは自分の限界に多分気付いていないし、シエルも疲れはみせていないけれど。
あれ?もしかして疲れてるの私だけ?
「ありす?そろそろおわりにしますか?」
「あれ?ありす、おつかれですか?」
あっ、2人が私に気付いてしまった。
「すこしつかれたかも…。ふたりはまだげんきなの?」
「わたしはげんきいーっぱい!ですよ!」
「ぼくも、もうすこしだいじょうぶです。」
「ええ!ふたりともたいりょくがあるのね。」
「わたしはいつもげんきなのです!」
「ぼくはさいきん、とれーにんぐをはじめました。けんはまださわれないですが。」
「そうなのね!わたしももっとふたりとあそびたかった…。うんどう、はじめるわ。」
「では、こんどはもっとたくさんあそべますね。」
「では!きねんにおそろいのおもちゃをかって、ばいばいにしましょう!」
カーラはそういうと私たちの手を取り、少し大きめの屋台の前にきた。
ここは雑貨が売ってあるお店みたい。
「このおほしさまのきーほるだー、とてもかわいいです!」
「ほんとだ。いろもたくさんありますね。」
「わたし、これがいいです。」
カーラが見つけたのは5cmくらいのふわふわの星のキーホルダー。
赤、青、黄色、ピンク、緑とたくさんの色があった。
「おや、それはお名前を入れることが出来ますよ。」
お店番のおばちゃんが言う。
「お名前!入れてもらいましょう!」
「あ、あの、よかったら、さんにんのなまえをいれたいです。」
「あら、ごめんなさいね、3人分は少し入らないかもしれないわ…。」
「あっ、そうですね…。」
この小ささだもの。無理よね。
せっかくお友達が出来たから、私の名前よりみんなの名前をいれたかったのだけど。
「ふむ。ありす、みんなのなまえのはじめのじなら、はいるのではないですか?」
「あ!ほんとだ。おばさま、どうでしょうか。」
「あらあら。賢い子たちですわね。それなら大丈夫ですよ。お入れしましょう。」
わぁ!やった!
2人の方を向いて手を握った。
「かーら、しえる!おそろい、です!」
「おそろい!うれしいです!」
「ぼくも、うれしいです!おへやにかざります。」
ふたりとも手を握り返してくれてニッコリ微笑んでくれた。
こんなに素敵な友達に恵まれていいのかしら。
秋祭りがこんなに素晴らしい日になるとは思わなかったわ。
これから何があってもこの星のキーホルダーは私の心の支えになる。そんな気がした。
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