復讐姫の王国記

朝木 彩葉

文字の大きさ
13 / 32

しおりを挟む

わあ、本当に色々な屋台があるのね。
こんなにたくさん用意してくれてたなんて、お父様に感謝しなくちゃ。

広い中庭に屋台が見渡すだけでも30はある。

どこから回りましょうか。

食べ物も良いし、遊びの屋台もいいわ。

「ありす!わたしあのやたいにいきたいです!」

「もちもちやき?」

「はい!あれはもちもちしたたべものをとくべつな たれにつけてやいたもの、らしいです!」

「いいわね。しえるは?」

「ぼくもたべたいです。きょうはおひるごはんがはやくて おなかすいちゃいました。」

「じゃあいきましょう。」

屋台には騎士団の団員さんと思しきガタイの良いお兄さんがいた。

「もちもちやき、くださーい!!」

「はい!なんこにしましょう?」

「うーん、さんこ?」

「あ、まりとか、ついてきてくれてるみんなにもあげたいかも。」

「そっか!じゃあ10こください!」

「はい!かしこまりました!どうぞー!」

お兄さんが私たちに1つずつ手渡してくれる。

熱くないように紙の包み紙に出っ張った持ち手がある。

「ありす、かーら、あそこのテーブルでたべましょうか。」

そう、さすがに貴族がたくさん来るお祭りということで屋台に囲まれた真ん中のスペースはテーブルと椅子がたくさん置かれているのだ。

「そうしましょう。」

みんな少し駆け足気味にテーブルに向かう。

「…。とどきませんね。」

「とどかないわね!」

「こまった…。」

そうだわ。私たちこのテーブルの高さ、誰も座れないわ。

「殿下!あちらに低いテーブルが用意されてありました!」

マリが少し遠くを指さした。大人のテーブルに囲まれた中に子供たちが座りやすいように小さなテーブルと椅子が置いてある。

さすがお父様。子供への配慮が流石です。

「私が抱っこして差しあげても良かったのですが、今日は自由に降りれた方が楽しいと思いまして…。」

マリが少し残念そうに言う。

「ありがとうまり!」

「ふふぅ。もちろんですぅ!」

とたんにニヨニヨし始めた。
マリはよくわからない。

今度こそみんなで席についてかじる。

サクッとしたかと思うと中はもちもちしている。

特製ソースがとても合う。

香りも100点ね!

「これ、とてもおいしい…!」

「わたし、はじめのぱりぱりがすき!」

「ぼくもぱりぱりすきです。そーすがおいしいですね。」

「本当ね!」

そうして3人で色々な屋台をまわりキャッキャと過ごしたのだった。

さて、まだまだお祭りは続くけれど私たちの体力はそろそろ限界を迎えようとしている。

カーラは自分の限界に多分気付いていないし、シエルも疲れはみせていないけれど。

あれ?もしかして疲れてるの私だけ?

「ありす?そろそろおわりにしますか?」

「あれ?ありす、おつかれですか?」

あっ、2人が私に気付いてしまった。

「すこしつかれたかも…。ふたりはまだげんきなの?」

「わたしはげんきいーっぱい!ですよ!」

「ぼくも、もうすこしだいじょうぶです。」

「ええ!ふたりともたいりょくがあるのね。」

「わたしはいつもげんきなのです!」

「ぼくはさいきん、とれーにんぐをはじめました。けんはまださわれないですが。」

「そうなのね!わたしももっとふたりとあそびたかった…。うんどう、はじめるわ。」

「では、こんどはもっとたくさんあそべますね。」

「では!きねんにおそろいのおもちゃをかって、ばいばいにしましょう!」

カーラはそういうと私たちの手を取り、少し大きめの屋台の前にきた。

ここは雑貨が売ってあるお店みたい。

「このおほしさまのきーほるだー、とてもかわいいです!」

「ほんとだ。いろもたくさんありますね。」

「わたし、これがいいです。」

カーラが見つけたのは5cmくらいのふわふわの星のキーホルダー。
赤、青、黄色、ピンク、緑とたくさんの色があった。

「おや、それはお名前を入れることが出来ますよ。」

お店番のおばちゃんが言う。

「お名前!入れてもらいましょう!」

「あ、あの、よかったら、さんにんのなまえをいれたいです。」

「あら、ごめんなさいね、3人分は少し入らないかもしれないわ…。」

「あっ、そうですね…。」

この小ささだもの。無理よね。
せっかくお友達が出来たから、私の名前よりみんなの名前をいれたかったのだけど。

「ふむ。ありす、みんなのなまえのはじめのじなら、はいるのではないですか?」

「あ!ほんとだ。おばさま、どうでしょうか。」

「あらあら。賢い子たちですわね。それなら大丈夫ですよ。お入れしましょう。」

わぁ!やった!
2人の方を向いて手を握った。

「かーら、しえる!おそろい、です!」

「おそろい!うれしいです!」

「ぼくも、うれしいです!おへやにかざります。」

ふたりとも手を握り返してくれてニッコリ微笑んでくれた。

こんなに素敵な友達に恵まれていいのかしら。

秋祭りがこんなに素晴らしい日になるとは思わなかったわ。

これから何があってもこの星のキーホルダーは私の心の支えになる。そんな気がした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

無能妃候補は辞退したい

水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。 しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。 帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。 誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。 果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか? 誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。

公爵令嬢は結婚式当日に死んだ

白雲八鈴
恋愛
 今日はとある公爵令嬢の結婚式だ。幸せいっぱいの公爵令嬢の前に婚約者のレイモンドが現れる。 「今日の結婚式は俺と番であるナタリーの結婚式に変更だ!そのドレスをナタリーに渡せ!」  突然のことに公爵令嬢は何を言われたのか理解できなかった。いや、したくなかった。 婚約者のレイモンドは番という運命に出逢ってしまったという。  そして、真っ白な花嫁衣装を脱がされ、そのドレスは番だという女性に着させられる。周りの者達はめでたいと大喜びだ。  その場所に居ることが出来ず公爵令嬢は外に飛び出し……  生まれ変わった令嬢は復讐を誓ったのだった。  婚約者とその番という女性に 『一発ぐらい思いっきり殴ってもいいですわね?』 そして、つがいという者に囚われた者の存在が現れる。 *タグ注意 *不快であれば閉じてください。

ギルドの受付嬢はうごかない ~定時に帰りたいので、一歩も動かず事件を解きます~

ぱすた屋さん
ファンタジー
ギルドの受付嬢アイラは、冒険者たちから「鉄の女」と呼ばれ、畏怖されている。 絶世の美貌を持ちながら、常に無表情。そして何より、彼女は窓口から一歩も動かない。 彼女の前世は、某大手企業のコールセンター勤務。 営業成績トップを走り抜け、最後には「地獄のクレーム処理専門部署」で数多の暴言を鎮めてきた、対話術の怪物。 「次の方、どうぞ。……ご相談ですか?(クローズド・クエスチョン)」 転生した彼女に備わったのは、声の「真偽」が色で見える地味な能力。 だが、彼女の真の武器は能力ではなく、前世で培った「声のトーン操作」と「心理誘導」だった。 ある日、窓口に現れたのは「相棒が死んだ」と弔慰金をせしめようとする嘘つきな冒険者。 周囲が同情し、ギルドマスターさえ騙されかける中、アイラは座ったまま、静かにペンを走らせる。 「……五秒だけ、沈黙を差し上げます。その間に、嘘を塗り直すおつもりですか?」 戦略的沈黙、オウム返し、そして逃げ場を塞ぐイエス・セット。 現代のコールセンター術を叩きつけられた犯人は、自らその罪を吐き散らし、崩れ落ちる。 「あー、疲れた。一五分も残業しちゃった。……マスター、残業代三倍でお願いしますね」 これは、一歩も動きたくない受付嬢が、口先だけで悪を断罪し、定時退勤を目指す物語。

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~

二階堂吉乃
恋愛
 同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。  1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。  一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

大好きなおねえさまが死んだ

Ruhuna
ファンタジー
大好きなエステルおねえさまが死んでしまった まだ18歳という若さで

処理中です...