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そ
しおりを挟む「あ、アリス?これは一体…」
呆然とする2人とは反対に妖精の2人はキャッキャと楽しそうに頭の上を飛んでいる。
「このふたりはようせいです。」
「妖精!?」
「そんな!さっきの話はまさか!」
「まさか?」
「い、いや!まさか、えーと、」
「まさか本当に私たちまで見えるようになると思わなかったから驚いたのよ!ね!あなた!」
「そ、そうだ!アリスは凄いんだなぁ!ははは!」
んー?なんか変だけど…。
「あの、このふたりはわたしといっしょにいたいそうです。」
「そ、そうなの?ちょっと待ってもらえるかしら、まだ頭が追いつかないわ。」
「ああ、父様もだ。ごめんだけど妖精について調べてみるから少し時間を貰ってもいいかい?」
「もちろんです。」
「危険はないのよね?」
「そうだ、それが一番大切だ。」
それまで頭を飛び回っていた妖精がピタッと止まって私の顔の前に来た。
「あるわけないぜ!なんてこと言うんだぜ!」
「契約したのよ!酷いことはしないわ!」
ぷんぷん、と効果音がつきそうなくらい怒っている。
「ちょっとじゃま。こっちきて。」
がし、と2人を掴んで私の隣に置く。
「おとうさまとおかあさまは、ようせいのこえはきこえないのですか?」
「ああ、声は聞こえないよ。」
「ええ、私も。」
「そうなのですね。このこたちは、わたしとけいやくしたのです。けいやくしゃをきずつけることはできないのです。たまに わたしのまりょくをすうみたいです。」
「そうなのか。ひとまず害がないのならそれでいい。」
「なにかわかったら伝えるわ。」
「わかりました。ありがとうございます。」
ふぅ、ひとまず安心ね。
次の音楽の授業のときに先生に報告しないと。
部屋に戻った私は宝箱を開けた。
実は秋祭り以降カーラとシエルとは手紙が続いてる。
昨日きた手紙にお返事を書かないと。
足をゆらゆら揺らしながらおそろいのキーホルダーを見て遊びに誘おうと決めた。
そういえばカーラもシエルも同い年。
貴族は早熟で優秀な人が多い。
だから私が前の記憶を引き継いでいても何とかなっているわけだけど。
2人も例に漏れず3歳にしては、いや、貴族だとしてもとても頭がいい。
でも手紙の文字はまだまだ可愛かった。
とかいう私も文字はまだ上手く書けない。
おかしいなぁ。前は上手くかけたのに。
どうしても書こうとするとこんがらがってしまうのだ。
むむむ、格闘しながら書くこと2時間。
二通のお手紙ができた。
「まり、これ、おてがみ かーらとしえるにあげるの。わたしてほしい。」
「かしこまりました!お渡してまいりますね!少しお部屋で待っていてくださいますか?騎士が階段におりますので何か御用の時はベルを鳴らしてくださいませ!」
王族の生活スペースは王宮のワンフロア丸々。
なので騎士は階段の上と下にいるのだ。
ところで、お手紙には王宮で一緒に遊ぼうと書いたけれど、大丈夫かしら。
でも私が2人のお家にいくととても大事になってしまうから…。
一緒に遊べますように…。
さて!
2人から返事が来るまでに私はお勉強を進めましょう!
マリはいまお手紙を郵便物を扱う部署まで届けに行ってるから歴史はあとね。
図書室から持ってきた初等部の算数の教科書で勉強する。
ここら辺からなのよね、ちゃんと勉強出来なくなったのは。
あの頃はあまり大切だと思っていなかったけれど、ある程度の計算が出来ないと証拠を証拠と判断出来ないかもしれないから。
でも楽しい。すごく楽しいわ。
知らないことを勉強するのってこんなに楽しいものだったかしら。
黙々と教科書に書いてある問題を解く。
ふむふむ。
教科書ってよく出来てるのね、読めば大抵はよく分かるわ。
幼年部と初等部に通っていた頃は回答の解説とか長い説明を読むのが苦手で全部先生に聞いて叱られたのよね。
まず先に解説をよみましょうって。
それはそうよね。こんなにわかりやすいんだもの。
幼年部に通い始めるまでに初等部の内容はマスターしておきたいなぁ。
教科書の範囲で分からなくなったらマリに聞きましょう。
マリは賢いから。
そうこうしているうちにマリが帰ってきたわ。
パタタタタタタと足音がする。
ありえない足音だから前に言ったことがあるの。
「どうやってあるいてるの?それともはしってるの?」
って。
そしたらマリったら
「走っておりませんよ!殿下、廊下は走っては行けないのです、歩きましょうね!」
って言ってきたわ。
でも明らかに歩くスピードじゃないのよね。
ほら、直ぐに来た。
「殿下!出してまいりましたぁ!いい子にしておられましたか?!元々とってもいい子ですけどもね!!」
「おかえりまり。いまさんすうしてたのよ。」
「まあ!さすが殿下!お勉強が得意なのですね!」
「ありがとう。まりもおべんきょうとくい。いっしょね。」
「まぁ!ふふふ!殿下に褒められちゃいました!おそろいですね!」
その日はそのままマリと一緒に問題を解いて雑談をしながら算数を進めたのだった。
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