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な
しおりを挟む「でも俺はやっぱり自分の作ったこの国が大好きでなぁ。
子孫たちも可愛いし、国民も可愛い。
ずっとこの国のことばかり見ていたんだよ。
そうしたらそれが創造神にバレてな。
もっと満遍なく見ないとダメだって叱られたんだ。
確かにそうだよな、ひとつの惑星、それもひとつの国だけを見るなんて神として失格だ。
だけどどうしても俺はお前たちのいるこの国を見ていたかったんだ。
だが創造神の忠告を無視していたのがわるかった。
ついに他の惑星で問題が起きたんだ。
でも運が悪かったのはこの国でも問題が起きた。
なんと俺の子孫が殺されて、黒魔術にやられているじゃないか。
国民たちも洗脳されてしまって、俺はもちろんこの国を先に何とかしようとしたんだ。
そしたらそこに創造神がやってきた。
俺はこの国の方が大切だが、創造神から言わせりゃほっとかれた挙句問題が起きても何もして貰えない惑星の方が可哀想なんだと。
それで俺は強制的にこの国をほったらかしてその惑星の対処に当たらされた。
急いでやったんだが、それでも戻ってきた時には既に遅かった。
お前さんたちは殺されて、国民も辛い毎日を送っていたんだ。」
「そうだったんだ…」
初代が神の子だったことに驚いたけれど、私たちが死にかけているうちにそんなことが天界で怒っていたとは…。
本当にタイミングが悪かったのね。
よしよしと私を撫でるじい様。
「それでお前さん達があまりにも可哀想で可哀想で、創造神に頼み込んだんだ。
何とか時を戻してくれとな。
さすがに号泣して頼み込む俺の熱意に負けたのか、自分がほかの惑星を優先させたことに負い目があったのか、時を巻き戻してくれると約束してくれたんだ。
ただし、時を巻き戻すにはルールがあってな。
何かを基準に時を戻さなければならない。
分かりやすく言うと、例えば枯れた花を種の状態まで戻したい時、その花の時を戻すと、実は周りの時にも少しその影響が出るんだ。
花の寿命くらいなら戻るまではいかなくて、時の進みが多少遅くなる程度だがな。
この場合、時の進みを遅くした、とも言えるが、花の時を戻した、とも言えるだろ?
このように、世界全体の時を操作する時は、花のような基準の一個体が必要になるのだ。」
「なるほど。
そのきじゅんってもしかして。」
「ああそうだ。
今回1番戻しやすかったのがお前さんだったんだよ、アリス。
本当はお前さんのお父さんにするつもりだったんだが、お前さんたち我が子が死んだのを知らないから、そのまま運命を受け入れてしまっていたんだ。
時を戻すのは創造神の力だけよりも、戻したいと、戻りたいと願っている本人の力が助けになるんだ。
お前さんのお父さんはその意思が小さすぎたから基準に選ぶのをやめたんだ。
その点お前さんは諦めたように見えてまだ心に炎が見えた。
だからお前さんにしたんだよ。」
「そうだったんだ…。」
「ここまではいいか?」
「うん。じいさま、ありがとうございます。」
「いいんだ。俺が未熟だったせいで止めることが出来なかったんだから。」
「ううん、じゅうぶんだよ。ありがとうございます。」
「そうか…。」
私とじい様がしんみりしていると、目の前のテーブルにはいつの間に用意されたのか、クッキーを頬張る妖精2人がいた。
「そうだ、アリス。
お前さん、こいつらに名前をやったか?」
「なまえ…。あっ。」
名前と聞いてバッと振り向く2人。
「名前、もしかして忘れてたんだぜ?」
「忘れてたわね。」
「忘れてたのか…。」
うっかりしてたわ。
そういえば名前はなんというのかしら。
ワタワタしていていつも2人とか妖精とか呼んでたわね。
「もとのおなまえ、ないの?」
「うーん、こいつらは識別する必要があまりないからなぁ。
俺は色で呼んでたな。」
「いろ…。」
「だからパパって呼ばれないんだぜ!
ふーん!だぜ!」
「王様は名前をくれないのよ!」
「こ、これにも理由があるんだぞ!?
お前さんらに契約してくれる人が現れたとき、既に名前があったら新しく名前を付けてもらいにくいだろうが!」
「その名前を紹介すればいいじゃない!」
「た、たしかに!?」
「王様あんまりかしこくないんだぜ!」
どうしよう。
じい様、急に残念な人に見えてきた。
「わ、わかった。なまえつけるよ。」
「わーい!なんだぜ!」
「きっと王様よりはセンスのいい名前を付けてくれるんだぜ!」
「ふふん!まかせて。」
しゅーんと、椅子から降りてジメジメしているじい様は無視して私は胸を張った。
今更ながらじっくり2人を観察する。
だぜ!ってよく言う方は、赤茶色の髪にこげ茶色の瞳。
クリームの服に緑の短パン。ヤンチャな男の子って感じ。
女の子の方は赤い髪の毛にオレンジの瞳、赤いワンピース。
白のピアスに白のヒールを履いていてオシャレさんね。
ふむふむ。
よーし、いい名前をつけてあげるわ。
私はうーんうーんと考えはじめた。
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