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み
しおりを挟む「いらっしゃい!しえる!」
「ひさしぶりだね。」
お手紙のお返事を書いた日、すぐにシエルのおうちに手紙を届けてもらったのよね。
まさかその日のうちに返事が来るとは…
いつもの丁寧さがほんの少し崩れた文字がおもしろかったな。
もう今日は早速私の部屋に連れてきちゃった。
きっと話したいことと聞きたいことがたくさんあるだろうから。
それにしてもシエル、キョロキョロしすぎじゃないかな?
頭と体は落ち着いてるけど、目が部屋の隅々まで見てるの私気づいてるからね?
「しえる…」
「うわっ、ごめんね!あのときは おどろくことがおおくて おうちにかえってから よ…えっと、ふたりのことをおもいだして …」
確かにあの日は妖精よりもじい様のインパクトが強すぎたからなぁ。
おうちに帰ってからそういえば妖精がいたことに気付いたのか。
でもとりあえずテーブルにお茶とお菓子も用意してもらって、椅子にかけてもらう。
「みんなありがとう。これからしえるとあそぶね。まりいがい、さがってね。」
給仕のメイドたちをさげて、マリは扉に立ってもらっている。
「きになるよね、しかたがないよ。」
「ありがとう…」
「じゃあまずはどうしよう、わたしと けいやくしてる ふたりをつれてきたらいいかな。」
「い、いきなり!?」
「えっと、そうだね、たしかにうるさ、…にぎやかになるか。」
「いや!みれるなら!みたい!」
すごい、シエルの目がかつてないほど輝いてる。
本当に妖精が好きなんだなぁ。
「いいよ。よぶね。つーり、るーじゅ!」
耳の近くでシュン!と2つ音がして2人が現れた。
…ん?なんかいつもよりキリッとしてない…?
「ふわあああっ…!」
おお、シエルが立った!
「呼んだんだぜ?」
「来たわよ!」
ででーん、と効果音がつきそうなほどドヤっている2人と大興奮のシエル。
これは大変そうね…。
「うわあっ!あ、ありす!ようせい!ほんものだよ!」
ワクワクキラキラしてるシエルの視線を受けて2人は更に反り返っている。
そろそろリンボーができそうよ。
あれでよくひっくり返らないわね…。
「しえる、しょうかいするね。こっちがつーり、こっちがるーじゅだよ。わたしとなかよくしてくれてるようせい。」
「ツーリだぜ!ツーリって呼んでくれなんだぜ!」
「ルージュよ!私もルージュって呼んでくれていいわ!」
「つーり!るーじゅ!
あえてうれしい!よろしくね!」
「アリス!この子いいこだわ!」
「こんなに喜んでくれるなんて…アリスと大違いなんだぜ…」
なによ、私が悪いみたいな!
確かにシエルはいい子だけど!
「そういえば、しえるはどうしてようせいがすきなの?」
「えっとあのね!きょねんかな。よるさみしくてひとりでねむれなかったひがあったんだ!
そのときに、ようせいさんがぼくのところにきてくれたんだ。
それからねむれないひは ぼくのへやで いっしょにおしゃべりしてくれたんだよ!
それからたくさんようせいをしらべたの。
しればしるほど どんどんすきになっていったんだ!」
そっか、そんなことがあったのか。
「そのようせいは、いまもよるにあえるの?」
「ううん、さいきんはきてくれないんだ。
ぼくなにか いやなことしちゃったのかな。」
「しえるが…?そんなことないとおもうけど…。」
シエルが妖精の嫌がることをするはずないけど…。
妖精が来なくなる理由とかあるのかな。
仲良しだったっぽいから気まぐれではないと思うけど。
「つーり、るーじゅ、なかよしなようせいがとつぜんこなくなるって どういうときなの?」
「うーん、仲良しなのに急にいなくなることはあんまり無いんだぜ。」
「確かにそうね。契約している、していない関係なく気に入ってる人間には会いたくなるものだものね。」
「もしかして、なにかあったのかな…」
「えっ!だいじょうぶかな…!」
なんだかその妖精が心配になってきた…。
「じいさまにきいたらわかるかな…」
「うーん…とりあえず聞いてみたらいいと思うんだぜ!」
「妖精はそんなにすぐどうにかなっちゃう存在じゃないから、あんまり気にしなくていいと思うわよ!」
「そうなの?よかったねしえる!」
「よかったぁ…。いまどこにいるのかな…。だいじょうぶかな。」
「しんぱいなのはかわらないから じいさまにきいてみよう!」
「うん…ありがとうありす。」
無事でいてくれたらいいけど…。
「でも、まって。どうやってじいさまにきくの?」
「私たちが呼んであげるわ!」
「任せるんだぜ!」
「そうなの?じゃあおねがいしてもいいかしら。」
私たちはツーリとルージュに頼んでじい様に会いにいくことにした。
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