10 / 17
淑女の体力作り
しおりを挟む
身体がやけに重い。まるで自分のものではないようだ。
差し込む光に目を細める。天蓋付きの豪華なベッド、見慣れない調度品……ここは……どこだろう。
控えめなノックとともに声がした。
「クラリス様、お目覚めでしょうか……?」
――この声。そう、侍女のメリンダだ。
「メリンダ、今起きたわ」
いつも通り答えたはずなのに、自分の口から出たのは、ひどくかすれた小さな声だった。
扉が開き、メリンダがそっと入ってくる。
「クラリス様、いえ……奥様。おはようございます。お水をお持ちしました」
その言葉で、昨夜アランの妻となったことを思い出す。
顔が赤くなっていくのがわかるが、何でもない振りをして杯を受け取る。
水をひと口含むと、乾いた喉がようやく潤った。
「ありがとう。私、どれぐらい眠ってしまったのかしら」
「今は昼過ぎでございます。旦那様は朝早くからお仕事に向かわれ、しばらくは戻られないと」
「……お見送りできなかったわ。妻失格ね」
落ち込むように呟く。
「そんなことはありませんわ!」
メリンダは首を振り、声を強めた。
「むしろ、奥様はしっかり妻としてのお勤めを果たされました。その証にこうしてお疲れなのです。恥じることなどございません」
「そうだといいのだけれど……」
沈黙を破るようにメリンダが問う。
「お食事になさいますか?」
その言葉でようやく、自分が空腹なことを思い出した。
「えぇ、お願い――」
立ち上がろうとしたが、足に力が入らず崩れ落ちてしまう。
「奥様!」
慌てて駆け寄ったメリンダが支える。
「無理はなさらないでくださいませ。お食事はこちらにお持ちいたします」
力なく頷き、ベッドに身を預ける。
やがて外に控える使用人へ指示を飛ばした後、メリンダが戻ってきた。
「ねぇ、メリンダ聞いてくれる?」
唐突な問いかけになってしまったが、メリンダは静かに頷いてくれた。
「私に”淑女の何たるか”を教えてくれたスーザン先生が言うにはね、“淑女に体力は不要”だそうよ」
眼鏡をかけ、髪をきっちり結い上げているスーザン先生の姿を思い浮かべながらぽつりぽつりと話し出す。
「でもね……今この有様よ?淑女に体力は必要だわ、絶対に!」
話しているうちに熱が入り、次第に私の声は大きくなっていった。
「走り込みをして体力を付けようと思うのだけれど、いかがかしら?」
メリンダは目を瞬かせ、苦笑まじりに答える。
「……奥様。伯爵夫人になられた奥様が走り込みをなさるというのは、少々外聞がよろしくありませんわ」
「そう、よね……」
唇を噛む。けれど諦めるつもりはなかった。
「メリンダ、あのね――」
ひとつ妙案を思いつき、耳打ちすると、メリンダは少し驚いた顔をしたあと、笑みをこぼした。
「……なるほど。それなら問題ございません。すぐに手配をいたしますので、二、三日お待ちくださいませ」
「ええ、よろしく頼んだわ」
頷きながら、私は胸の奥で小さく拳を握った。
――三日後。
身体はすっかり元通りになり、心まで晴れやかだった。
窓辺で伸びをしていると、メリンダの声が響く。
「奥様、例の物が届きました」
「よくやったわ、メリンダ!」
勢いよく扉を開けると、彼女の横にがっしりとした使用人が立ち、荷を抱えていた。
「こちらに置いていただけるかしら」
部屋の床に荷が下ろされる。
「奥様、決して怪我などされませんよう……」
メリンダは心配そうに眉を寄せた。
「大丈夫よ。分かってるわ。心配しないで」
一人きりになると、胸の奥がわくわくと高鳴った。箱を開け、まずは一番軽いものを取り出す。
脚に巻く用のバンド型の重りだ。
慎重に装着し、ドレスを下ろして隠す。
「ふふっ、完璧ね!誰がどう見ても立派な淑女だわ!」
鏡の前で軽くターンし、にっこりと微笑んだ。
「庭を散歩してもよろしいかしら?」
扉越しにメリンダへ声をかける。
「私もご一緒いたします。ですが、その前に……」
メリンダが差し出したのは大ぶりのブローチだった。
「こちらは代々伯爵夫人が身につけてきたものです。大奥様よりお預かりしました。まだ奥様のお顔を知らぬ方もおられますので、しばらくは屋敷の中でも着けていただきますように」
「そんな大層なもの……なんだか緊張しちゃうわ」
掌にのせ、しばし見つめる。だが、すぐに顔を上げた。
「……っと、時間は有限よ!さあ、出かけましょう」
外の空気は、部屋にこもっていた身に沁みるほど心地よかった。
「基本的に屋敷の中はご自由に。ただし東側の離れには近づかぬよう、旦那様よりお達しがございます」
思わず足を止める。
「離れ?まさか、愛人がいらっしゃるの……? 仕方なく娶った妻には本邸で仕事をさせ、夫は離れで愛人と真実の愛を育む、ちょうど昨日まで読んでいた小説に書いてありましたわ……」
嫌な想像ほどまたたくまに膨らんでいく。小説で見た挿絵が、私とアランに置き換わって――
しかしそれは、メリンダによってすぐさま否定された。
「いえ、弟君のルシアン様がお住まいです。多感なお年頃ゆえ、しばらくは離れにいらっしゃるのです」
「……まぁ、弟がいるのね!私にもマティっていう弟がいて、とってもかわいいのよ。会えなくて寂しいわ……ルシアン様に会ってはいけないのかしら?」
「申し訳ございません。旦那様のお考えでございます」
「そう……残念だけれど、仕方ないわね」
気を取り直し、庭を歩く。体を動かすと、思った以上に気持ちがいい。
だが――
「あの、奥様……もう少し歩調を落としていただけますと……」
後ろからメリンダの息の上がった声がした。
「あら?先生のおっしゃった通り、水がこぼれない姿勢を保って歩いているつもりよ?」
「奥様のお姿は完璧です。ただ……わたくしの方が……」
メリンダの頬は赤く、肩で息をしていた。
「ごめんなさい、気づいてあげられなくて!ここからは一人で散歩するわ」
「ですが……」
「大丈夫よ。だいたいの地図は頭に入ったから、迷子にならないわ!」
「……承知いたしました。それでは私は先に戻っております」
メリンダを見送り、一人歩き出す。
だが――
「迷子にならない」なんて、どうして言い切ってしまったのだろう。
できるだけ速く、されど優雅な脚運びをすることに夢中になり、気づけばどこにいるか分からなくなっていた。
歩けば歩くほど、見覚えのない景色ばかり。
「ここ……どこなの……?」
思わず漏れた小さな問いかけに、答えてくれる人は誰一人としていない。
華やかに彩られた広い庭園に一人きり。
この状況がまさに今の自分を表しているようで、私は不安と寂しさで胸を押さえた。
差し込む光に目を細める。天蓋付きの豪華なベッド、見慣れない調度品……ここは……どこだろう。
控えめなノックとともに声がした。
「クラリス様、お目覚めでしょうか……?」
――この声。そう、侍女のメリンダだ。
「メリンダ、今起きたわ」
いつも通り答えたはずなのに、自分の口から出たのは、ひどくかすれた小さな声だった。
扉が開き、メリンダがそっと入ってくる。
「クラリス様、いえ……奥様。おはようございます。お水をお持ちしました」
その言葉で、昨夜アランの妻となったことを思い出す。
顔が赤くなっていくのがわかるが、何でもない振りをして杯を受け取る。
水をひと口含むと、乾いた喉がようやく潤った。
「ありがとう。私、どれぐらい眠ってしまったのかしら」
「今は昼過ぎでございます。旦那様は朝早くからお仕事に向かわれ、しばらくは戻られないと」
「……お見送りできなかったわ。妻失格ね」
落ち込むように呟く。
「そんなことはありませんわ!」
メリンダは首を振り、声を強めた。
「むしろ、奥様はしっかり妻としてのお勤めを果たされました。その証にこうしてお疲れなのです。恥じることなどございません」
「そうだといいのだけれど……」
沈黙を破るようにメリンダが問う。
「お食事になさいますか?」
その言葉でようやく、自分が空腹なことを思い出した。
「えぇ、お願い――」
立ち上がろうとしたが、足に力が入らず崩れ落ちてしまう。
「奥様!」
慌てて駆け寄ったメリンダが支える。
「無理はなさらないでくださいませ。お食事はこちらにお持ちいたします」
力なく頷き、ベッドに身を預ける。
やがて外に控える使用人へ指示を飛ばした後、メリンダが戻ってきた。
「ねぇ、メリンダ聞いてくれる?」
唐突な問いかけになってしまったが、メリンダは静かに頷いてくれた。
「私に”淑女の何たるか”を教えてくれたスーザン先生が言うにはね、“淑女に体力は不要”だそうよ」
眼鏡をかけ、髪をきっちり結い上げているスーザン先生の姿を思い浮かべながらぽつりぽつりと話し出す。
「でもね……今この有様よ?淑女に体力は必要だわ、絶対に!」
話しているうちに熱が入り、次第に私の声は大きくなっていった。
「走り込みをして体力を付けようと思うのだけれど、いかがかしら?」
メリンダは目を瞬かせ、苦笑まじりに答える。
「……奥様。伯爵夫人になられた奥様が走り込みをなさるというのは、少々外聞がよろしくありませんわ」
「そう、よね……」
唇を噛む。けれど諦めるつもりはなかった。
「メリンダ、あのね――」
ひとつ妙案を思いつき、耳打ちすると、メリンダは少し驚いた顔をしたあと、笑みをこぼした。
「……なるほど。それなら問題ございません。すぐに手配をいたしますので、二、三日お待ちくださいませ」
「ええ、よろしく頼んだわ」
頷きながら、私は胸の奥で小さく拳を握った。
――三日後。
身体はすっかり元通りになり、心まで晴れやかだった。
窓辺で伸びをしていると、メリンダの声が響く。
「奥様、例の物が届きました」
「よくやったわ、メリンダ!」
勢いよく扉を開けると、彼女の横にがっしりとした使用人が立ち、荷を抱えていた。
「こちらに置いていただけるかしら」
部屋の床に荷が下ろされる。
「奥様、決して怪我などされませんよう……」
メリンダは心配そうに眉を寄せた。
「大丈夫よ。分かってるわ。心配しないで」
一人きりになると、胸の奥がわくわくと高鳴った。箱を開け、まずは一番軽いものを取り出す。
脚に巻く用のバンド型の重りだ。
慎重に装着し、ドレスを下ろして隠す。
「ふふっ、完璧ね!誰がどう見ても立派な淑女だわ!」
鏡の前で軽くターンし、にっこりと微笑んだ。
「庭を散歩してもよろしいかしら?」
扉越しにメリンダへ声をかける。
「私もご一緒いたします。ですが、その前に……」
メリンダが差し出したのは大ぶりのブローチだった。
「こちらは代々伯爵夫人が身につけてきたものです。大奥様よりお預かりしました。まだ奥様のお顔を知らぬ方もおられますので、しばらくは屋敷の中でも着けていただきますように」
「そんな大層なもの……なんだか緊張しちゃうわ」
掌にのせ、しばし見つめる。だが、すぐに顔を上げた。
「……っと、時間は有限よ!さあ、出かけましょう」
外の空気は、部屋にこもっていた身に沁みるほど心地よかった。
「基本的に屋敷の中はご自由に。ただし東側の離れには近づかぬよう、旦那様よりお達しがございます」
思わず足を止める。
「離れ?まさか、愛人がいらっしゃるの……? 仕方なく娶った妻には本邸で仕事をさせ、夫は離れで愛人と真実の愛を育む、ちょうど昨日まで読んでいた小説に書いてありましたわ……」
嫌な想像ほどまたたくまに膨らんでいく。小説で見た挿絵が、私とアランに置き換わって――
しかしそれは、メリンダによってすぐさま否定された。
「いえ、弟君のルシアン様がお住まいです。多感なお年頃ゆえ、しばらくは離れにいらっしゃるのです」
「……まぁ、弟がいるのね!私にもマティっていう弟がいて、とってもかわいいのよ。会えなくて寂しいわ……ルシアン様に会ってはいけないのかしら?」
「申し訳ございません。旦那様のお考えでございます」
「そう……残念だけれど、仕方ないわね」
気を取り直し、庭を歩く。体を動かすと、思った以上に気持ちがいい。
だが――
「あの、奥様……もう少し歩調を落としていただけますと……」
後ろからメリンダの息の上がった声がした。
「あら?先生のおっしゃった通り、水がこぼれない姿勢を保って歩いているつもりよ?」
「奥様のお姿は完璧です。ただ……わたくしの方が……」
メリンダの頬は赤く、肩で息をしていた。
「ごめんなさい、気づいてあげられなくて!ここからは一人で散歩するわ」
「ですが……」
「大丈夫よ。だいたいの地図は頭に入ったから、迷子にならないわ!」
「……承知いたしました。それでは私は先に戻っております」
メリンダを見送り、一人歩き出す。
だが――
「迷子にならない」なんて、どうして言い切ってしまったのだろう。
できるだけ速く、されど優雅な脚運びをすることに夢中になり、気づけばどこにいるか分からなくなっていた。
歩けば歩くほど、見覚えのない景色ばかり。
「ここ……どこなの……?」
思わず漏れた小さな問いかけに、答えてくれる人は誰一人としていない。
華やかに彩られた広い庭園に一人きり。
この状況がまさに今の自分を表しているようで、私は不安と寂しさで胸を押さえた。
25
あなたにおすすめの小説
バイトの時間なのでお先に失礼します!~普通科と特進科の相互理解~
スズキアカネ
恋愛
バイト三昧の変わり者な普通科の彼女と、美形・高身長・秀才の三拍子揃った特進科の彼。
何もかもが違う、相容れないはずの彼らの学園生活をハチャメチャに描いた和風青春現代ラブコメ。
◇◆◇
作品の転載転用は禁止です。著作権は放棄しておりません。
DO NOT REPOST.
私を嫌っていた冷徹魔導士が魅了の魔法にかかった結果、なぜか私にだけ愛を囁く
魚谷
恋愛
「好きだ、愛している」
帝国の英雄である将軍ジュリアは、幼馴染で、眉目秀麗な冷血魔導ギルフォードに抱きしめられ、愛を囁かれる。
混乱しながらも、ジュリアは長らく疎遠だった美形魔導師に胸をときめかせてしまう。
ギルフォードにもジュリアと長らく疎遠だったのには理由があって……。
これは不器用な魔導師と、そんな彼との関係を修復したいと願う主人公が、お互いに失ったものを取り戻し、恋する物語
私を愛してくれない婚約者の日記を読んでしまいました〜実は溺愛されていたようです〜
侑子
恋愛
成人間近の伯爵令嬢、セレナには悩みがあった。
デビュタントの日に一目惚れした公爵令息のカインと、家同士の取り決めですぐに婚約でき、喜んでいたのもつかの間。
「こんなふうに婚約することになり残念に思っている」と、婚約初日に言われてしまい、それから三年経った今も全く彼と上手くいっていないのだ。
色々と努力を重ねてみるも、会話は事務的なことばかりで、会うのは決まって月に一度だけ。
目も合わせてくれないし、誘いはことごとく断られてしまう。
有能な騎士であるたくましい彼には、十歳も年下で体も小さめな自分は恋愛対象にならないのかもしれないと落ち込む日々だが、ある日当主に招待された彼の公爵邸で、不思議な本を発見して……?
初恋をこじらせたやさぐれメイドは、振られたはずの騎士さまに求婚されました。
石河 翠
恋愛
騎士団の寮でメイドとして働いている主人公。彼女にちょっかいをかけてくる騎士がいるものの、彼女は彼をあっさりといなしていた。それというのも、彼女は5年前に彼に振られてしまっていたからだ。ところが、彼女を振ったはずの騎士から突然求婚されてしまう。しかも彼は、「振ったつもりはなかった」のだと言い始めて……。
色気たっぷりのイケメンのくせに、大事な部分がポンコツなダメンズ騎士と、初恋をこじらせたあげくやさぐれてしまったメイドの恋物語。
*この作品のヒーローはダメンズ、ヒロインはダメンズ好きです。苦手な方はご注意ください
この作品は、小説家になろう及びエブリスタにも投稿しております。
冷徹公爵閣下は、書庫の片隅で私に求婚なさった ~理由不明の政略結婚のはずが、なぜか溺愛されています~
白桃
恋愛
「お前を私の妻にする」――王宮書庫で働く地味な子爵令嬢エレノアは、ある日突然、<氷龍公爵>と恐れられる冷徹なヴァレリウス公爵から理由も告げられず求婚された。政略結婚だと割り切り、孤独と不安を抱えて嫁いだ先は、まるで氷の城のような公爵邸。しかし、彼女が唯一安らぎを見出したのは、埃まみれの広大な書庫だった。ひたすら書物と向き合う彼女の姿が、感情がないはずの公爵の心を少しずつ溶かし始め…?
全7話です。
白狼王の贄姫のはずが黒狼王子の番となって愛されることになりました
鳥花風星
恋愛
白狼王の生贄としてささげられた人間族の第二王女ライラは、白狼王から「生贄はいらない、第三王子のものになれ」と言われる。
第三王子レリウスは、手はボロボロでやせ細ったライラを見て王女ではなく偽物だと疑うが、ライラは正真正銘第二王女で、側妃の娘ということで正妃とその子供たちから酷い扱いを受けていたのだった。真相を知ったレリウスはライラを自分の屋敷に住まわせる。
いつも笑顔を絶やさず周囲の人間と馴染もうと努力するライラをレリウスもいつの間にか大切に思うようになるが、ライラが番かもしれないと分かるとなぜか黙り込んでしまう。
自分が人間だからレリウスは嫌なのだろうと思ったライラは、身を引く決心をして……。
両片思いからのハッピーエンドです。
堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
第零騎士団諜報部潜入班のエレオノーラは男装して酒場に潜入していた。そこで第一騎士団団長のジルベルトとぶつかってしまい、胸を触られてしまうという事故によって女性とバレてしまう。
ジルベルトは責任をとると言ってエレオノーラに求婚し、エレオノーラも責任をとって婚約者を演じると言う。
エレオノーラはジルベルト好みの婚約者を演じようとするが、彼の前ではうまく演じることができない。またジルベルトもいろんな顔を持つ彼女が気になり始め、他の男が彼女に触れようとすると牽制し始める。
そんなちょっとズレてる二人が今日も任務を遂行します!!
―――
完結しました。
※他サイトでも公開しております。
【完結済】春を迎えに~番という絆に導かれて~
廻野 久彩
恋愛
辺境の村から王都の星環教会へやってきた研修生アナベル・ウィンダーミア。
門で出会った王族直属騎士団副団長ルシアン・ヴァルセインと握手を交わした瞬間、二人の手首に金色の光が浮かび上がる。
それは"番"——神が定めた魂の半身の証。
物語の中でしか聞いたことのない奇跡的な出会いに胸を躍らせるアナベルだったが、ルシアンの口から告げられたのは冷酷な現実だった。
「俺には……すでに婚約者がいる」
その婚約者こそ、名門ルヴェリエ家の令嬢セレナ。国境の緊張が高まる中、彼女との政略結婚は王国の命運を左右する重要な政治的意味を持っていた。
番の衝動に身を焼かれながらも、決して越えてはならない一線を守ろうとするルシアン。
想い人を諦めきれずにいながら、彼の立場を理解しようと努めるアナベル。
そして、すべてを知りながらも優雅に微笑み続けるセレナ。
三人の心は複雑に絡み合い、それぞれが異なる痛みを抱えながら日々を過ごしていく。
政略と恋情、義務と本心、誠実さと衝動——
揺れ動く想いの果てに、それぞれが下す選択とは。
番という絆に翻弄されながらも、最後に自分自身の意志で道を選び取る三人の物語。
愛とは選ぶこと。
幸せとは、選んだ道を自分の足で歩くこと。
番の絆を軸に描かれる、大人のファンタジーロマンス。
全20話完結。
**【キーワード】**
番・運命の相手・政略結婚・三角関係・騎士・王都・ファンタジー・恋愛・完結済み・ハッピーエンド
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる