流言飛語を打ち破れ

家霊

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流言飛語を打ち破れ

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汚物に群がる小蠅のように私の人生には流言飛語が付きまとった。学生時代からそうだった。席替えにおいて女子と隣りになった場合は机を離す、という暗黙の了解がクラスにあり、私だけでなく彼女もきっと面倒臭いから離さなかっただけなのに、両想いに違いないとクラスの友人から囃し立てられた。それだけならまだしも、その友人がヤンキー共を扇動したため、進級するまでクラスの男子全員からイジメられることになった。友達だと思っていたのに。

奇跡的にラブレターを貰った時もそうだ。ラブレターには「今夜八時、あなたの家に電話するから絶対に出てね。そうじゃないと恥ずかしいから」と書かれており、「これは初彼女ゲットに違いない」とウキウキ気分で電話機の前に陣取り、八時ぴったりに電話が鳴ったと思ったら、一回の呼び出し音で切れてしまった。「ああ、からかわれていたんだな、クソビッチめ」と、はらわたが煮えくり返っていたら再び電話。どうせ出ても馬鹿にされるに違いないと思った私はその場から去った。翌日、ラブレターをくれた女子は「酷い、どうして出てくれなかったの」と泣き叫びながらビンタしてきた。若気の至りで私もビンタを仕返した。進級するまでクラスの女子全員からイジメられることになった。付き合うと思っていたのに。

しかし今から振り返ってみると、単に私のコミュニケーション不足だった可能性もある。机を離さなかった女子のことを友人は好きだったのかもしれない。だから嫌がらせをしたのではないか。ラブレターの彼女もそうだ。当時はワン切り詐欺が流行っていたから、あれは本物だった可能性もある。

目尻の笑い皺が消えない年齢になって気付くとは悲しいものだ。物事を歪曲していたのは私だったに違いない。コミュニケーションをしっかりと取ればデマが飛び交う世界でも真実を見抜けるはずだ。

そんなことを考えているとピンポンという音が聞こえてきた。おそらく注文していたピザが来たのだろう。カメラで確認すると帽子を深く被った男性二人が立っていた。一人は出刃包丁らしきものを右手に持っているが、ピザの姿はどこにもない。コミュニケーションをとっていない現在、彼らは強盗にしか見えないが誤解に違いない。話し合えば分かり合えるはずだ。インターフォンのカメラに包丁を持った男性が映っていたら強盗だ、というデマに惑わされてはいけない。きっと自分は勘違いをしているだけなんだ。学生時代のように。

流言飛語を打ち破った私は晴れやかな気持ちでドアを開けた。





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