何度でも(百合ものです)

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先生と彼女

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『先生~』

『好きだよ』

『本気だよ』

『大好きなんだ』

『先生と目が合った時から一目惚れしたんだ』







彼女は何度も私にそういった

会えない日は職員室にまで来て、
大好きだって

何度も何度も、
けど言いに来ない日もあった。
言いに来ない日の次の日はいつも以上に
私に大好きだと、言ってきた。
少し、ほんとに少しだけ嬉しかった。

私は言った

『そんなに毎日逢いに来て、飽きないの?』

まぁ、毎日ではないけど、
そしたら彼女は少し驚いて、こういったんだ



『毎日、、、そっか、うん。
飽きないよ。飽きるとこなんてあるはずないもん。こんなに好きなんだから、私は毎日先生に恋してるんだ!いいでしょ!』



そう、嬉しそうに笑みを向けて言ったんだ。





もう、卒業が近づいていた。



『卒業か、嫌だなぁ』

彼女が言った。

『なんでよ?いいじゃん出来るとこ増えるし』

『ん~そうなんだけど、先生に恋できなくなっちゃうー!!!
なんなんだよー。世界は私に厳しすぎる!!』

恋出来なくなるってなんだよ。


ムス
『いいじゃないか、また会いに来れば、、』


彼女なら喜ぶと思ったのに、
やったーーー。卒業したから、先生にプロポーズ出来る!!って茶化すと思ったのに。


その時、彼女は少しだけ悲しそうな顔で、


『そうだね。先生にプロポーズができちゃうね』


って言ったんだ。

いや、言ってることは同じだったけどさ!!
何妄想してんだ自分!!恥ずかし!!

随分と彼女に絆されていたことを自覚した日だった。








晴れて今日は卒業式
少し、寂しく感じるこの頃。



彼女は姿を消した。



それと同時に、
卒業してから彼女は私に愛を囁きに来ることは無かった。






なんだよ、、、プロポーズくらいされたら答えてやるくらいにはお前のこと好きだったのに。








その日は、少し曇っていた。


















彼女が死んだ。
そう頼りが届いたのは蒸し暑い雨の日だった。

彼女の親が、学校にまで来て、葬式に呼んでくれた。
葬式には、人が沢山いた。
彼女が愛されていた証拠だった。


久々にあった彼女は、私よりも随分と小さくなっていた。




『先生ちいさーい、ふふっ可愛い!!』

『ねぇねぇ先生見て!あの雲先生みたい~』

『ねえ先生、なんで先生と、付き合っちゃダメなのかな?』

『いいよ、私は、犯罪者になったって、大好きだもん』

『ねぇ先生、もし、もしかしたらだよ?
もし、先生にプロポーズしていいならさ、いいよって言ってくれる?』



彼女が、不安そうに話をしたのはその時だけだったな。
今頃、彼女との思い出が蘇ってきた。
もっと、早くに会いに行けばよかった。
待ってるだけじゃダメだった。
待ってれば、また彼女が逢いに来てくれるんじゃないか、って甘えてた。




葬式が終わり、人が消えていく中で、彼女の両親が私に話かけてきた。

伝えてきたのは、感謝だった。

『学校から帰ってくる時だけは、すごく楽しそうだったんです。』

『夕飯の時に、毎日あなたの話を嬉しそうにしてきてくれたんです。』

『大好きなんだって。そう毎日毎日言っていたんです。』

『あの子の事、否定しないでくれてありがとうございます。』と、涙を流しながら、

そこで知った。




彼女は、記憶喪失だった。


彼女が、覚えていられるのは、たったの1日

1日経つと、彼女は基本的なこと以外は忘れてしまう。

そう、私との思い出も全て

毎日忘れては、覚えてを繰り返していた。

彼女の言う通りだった。



『私、毎日先生に恋してるんだ』

『先生、大好きだよ』

『先生、あなたに一目惚れしました』









『ハハッ、なんだよそれ、、、言い逃げじゃん』






もう、彼女には会えない

声は聞けない

好きと、、、伝える事はできない。






どこかで彼女が笑った気がした。
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