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第3話「想いを紡いで」

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1986/3.26/WED
今日は少しいつもより体調が良かったので少し見晴らしのいい丘に登って海月とお弁当を食べた。私は海月と自分の分のお弁当を作って持っていった。海月に私のお弁当を食べてもらいたかったのだが、なんと海月も同じ考えだったらしく、2人で笑ってしまった。(少し字が震える)思い出しただけで笑っちゃった。せっかくなのでお互いのお弁当を食べた。海月は果物系のサンドイッチを作ってくれたみたいだ。私の好きなみかんも入っててすごく美味しかった。

私は海月の好きなおかかおにぎりを作って持っていった。海月が大袈裟なくらいに「美味しい」と言ってくれて凄く嬉しかった。余った分は勿体ないので夜ご飯も私の家で食べることにした。夜ご飯を食べながら話していたら辺りがすっかり暗くなっていたのでそのまま泊まってもらうことにした。

海月は泊まるのがそんなに嬉しかったのかすごくご機嫌だった。お風呂からあがったらいっしょにお裁縫をすることになった。海月は手先が器用で、よく私に可愛い花の刺繍が入った巾着袋などをくれる。この前くれた巾着袋に刺繍されてた花は多分「リナリア」だと思う。あんな小さい花が刺繍出来るなんて本当にすごいと思う!でもどうしてリナリアを選んだのかは分からない。特に好きと言った覚えもないのだけれど。まぁ可愛いから気にしないことにしよう!そろそろ海月がお風呂からあがりそうだから今日はこの辺りで。海月に刺繍教えて貰うの楽しみだよ…!


辺りを見渡すと確かに刺繍の入った巾着袋などがたくさんある。おばあちゃんもよく私に刺繍の入った服などをくれたな、子供の頃は出来なかったんだ、意外。くらげさんに教えてもらったからできるようになったんだねぇ、結構おばあちゃんも青春してるんだな…やっぱり人の日記を読むのは面白いな。まだ大人たちは話してるのでもうちょっとだけ読み進めることにした。
あれ?リナリアの花言葉って、確か―――
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