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フラグなど存在しない話
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女の子が落ちてきた。
どこから? 空から。この閑静な住宅街に。
今のご時世、空から女の子が降ってきたり、食パンくわえて曲がり角で素敵な出会い……そんなものは無いと思っていた。
だが、この目は確かに、空から落ちてきた女の子を捉えている。ついでに俺は食パンをくわえている。遅刻しそうなの。
空から落ちてきた女の子はというと、頭から首まで地面に突き刺さっている。
いや、比喩じゃなくてマジで。
コンクリートに穴あけて刺さってやんの。
身体は足の先までピン、と真っ直ぐで微動だにしない。両手もその真っ直ぐな身体に添えられていた。完全な一本の棒だ。
彼女の紺色のセーラー服が捲れ、色々とマズい絵面になっている。
目を逸らしたほうがいいのだろうが、逸らせない。
目の前の光景があまりにも衝撃的且つシュール過ぎて、全身の筋肉が固まっているのだ。
この状況、俺はどうしたらいいんだ?
「あのぅ、そこに誰かいますよね?」
くぐもった女の声が聞こえ、それが地面に突き刺さっている強制猥褻罪のものだと気付くまでには、少々時間を要した。
「あのー?」
黙っていたら、また声が聞こえた。
一応、返事でもしておこう。くわえていた食パンを一旦手に持った。
「はい、いますけど……」
「よかったぁ! 申し訳ありませんが、ちょっと助けてもらっていいですか?」
彼女は安堵の声を漏らした。心なしか、真っ直ぐに立っている身体の力が抜けたように見える。
ああ、そうか。今、この不可解な現場に立ち会っているのは俺だけか。
「お断りします」
俺は再び食パンをくわえ、学校に向かった。
***
「うっそぉ……」
現在、放課後。部活もないので帰宅中、俺は驚愕していた。
何故なら、今朝と同じように女の子が地面に刺さっているからだ。
え。俺が言えたことじゃないけど、何で誰も助けないの? 前衛的なオブジェだと思ってるの?
こんな異様な光景、『怪異! 刺さる女子高生!』みたいな見出しで全国紙に載るだろ。
少なくともSNS映えはするから拡散されてるだろ。
しかし、何の情報もない。何故か誰も気にしていない。
それはあまりにも不可解すぎる。
猫でさえ威嚇もせずに、前衛的オブジェの横を通り過ぎてしまった。
「あ、あのぅ~! その声、今朝の人ですよね? 助けてもらえませんか?」
俺はそっと立ち去った。
どこから? 空から。この閑静な住宅街に。
今のご時世、空から女の子が降ってきたり、食パンくわえて曲がり角で素敵な出会い……そんなものは無いと思っていた。
だが、この目は確かに、空から落ちてきた女の子を捉えている。ついでに俺は食パンをくわえている。遅刻しそうなの。
空から落ちてきた女の子はというと、頭から首まで地面に突き刺さっている。
いや、比喩じゃなくてマジで。
コンクリートに穴あけて刺さってやんの。
身体は足の先までピン、と真っ直ぐで微動だにしない。両手もその真っ直ぐな身体に添えられていた。完全な一本の棒だ。
彼女の紺色のセーラー服が捲れ、色々とマズい絵面になっている。
目を逸らしたほうがいいのだろうが、逸らせない。
目の前の光景があまりにも衝撃的且つシュール過ぎて、全身の筋肉が固まっているのだ。
この状況、俺はどうしたらいいんだ?
「あのぅ、そこに誰かいますよね?」
くぐもった女の声が聞こえ、それが地面に突き刺さっている強制猥褻罪のものだと気付くまでには、少々時間を要した。
「あのー?」
黙っていたら、また声が聞こえた。
一応、返事でもしておこう。くわえていた食パンを一旦手に持った。
「はい、いますけど……」
「よかったぁ! 申し訳ありませんが、ちょっと助けてもらっていいですか?」
彼女は安堵の声を漏らした。心なしか、真っ直ぐに立っている身体の力が抜けたように見える。
ああ、そうか。今、この不可解な現場に立ち会っているのは俺だけか。
「お断りします」
俺は再び食パンをくわえ、学校に向かった。
***
「うっそぉ……」
現在、放課後。部活もないので帰宅中、俺は驚愕していた。
何故なら、今朝と同じように女の子が地面に刺さっているからだ。
え。俺が言えたことじゃないけど、何で誰も助けないの? 前衛的なオブジェだと思ってるの?
こんな異様な光景、『怪異! 刺さる女子高生!』みたいな見出しで全国紙に載るだろ。
少なくともSNS映えはするから拡散されてるだろ。
しかし、何の情報もない。何故か誰も気にしていない。
それはあまりにも不可解すぎる。
猫でさえ威嚇もせずに、前衛的オブジェの横を通り過ぎてしまった。
「あ、あのぅ~! その声、今朝の人ですよね? 助けてもらえませんか?」
俺はそっと立ち去った。
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