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女の子が地面に突き刺さっていた話
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「え、ええっ! そんなぁ!」
彼女は素っ頓狂な声を上げ、脚をパカパカさせる。だからV字開脚はやめなさいってば。
「そっちのことはよくわからないけど、少なくとも地球人は生身でスカイダイビングしたら死ぬし。こんな出オチ面白人間に誰も気づかない時点でおかしいでしょ」
果たして、宇宙人にも幽霊という概念があるのか疑問であるが。
「うん? ちょっと罵倒が含まれている気がしましたが、殆ど間違っていないと思います」
彼女は頷くように膝を二回曲げた。取り乱していた割に、あっさりと受け入れている。
「であれば、今の私は体からパージされたロロコ体ということになりますね」
「体からパージされた?」
「はい。我々モニョプネ星人はほぼ地球人と同じ構造をしています。あなた方の概念だと『魂』と『肉体』と言いますか」
「は、はぁ」
『ロロコ』ってもしかしなくても、『ココロ』を反転しただけじゃないのか。ネーミングもっと頑張れよ。
「ただし、我々の魂と肉体は地球人よりも明確に分かれおりまして……肉体が活動不能になる直前、安全装置が作動して魂を切り離すんです」
「それが、俺と同じ霊体のようなものになるってことか?」
「はい。死とはまた別の概念ですが、存在自体はあなたと同じ次元にいるのでしょう」
なんだか出オチから死生観の話になってきたな。どこに向かってるんだろう、俺。
とりあえず、どっちも幽霊ということは変わらないということだ。
「で、魂だけになったと気づかず、普通に落下して地面に刺さっていると?」
「そういうことです」
「馬鹿でしょ?」
何で物理的に刺さってんだよ。
「ところで、上空何メートルから落ちたの?」
魂がパージ? されたとはいえ、肉体はどこかに落下している筈だろう。
学校でもニュースでも、人間が落下してきたなんて誰も騒いではいない。それはそれでおかしい気がするが。
「大気圏からです」
「そんなん体燃え尽きますやん」
この宇宙人、めちゃくちゃ馬鹿なのでは?
「ソフトが無事ならハードは替えればいいんですぅ~! 別に問題ないんですぅ!」
「うーん、この人間味のない主張」
宇宙人とは価値観が違いすぎる。
仮に中身がこの子だとして、外側がムキムキマッチョマンだったら、多分同一人物だと認識できない。
やはり、肉体の消滅は死なんだろうなぁと思う地球人であった。
「私は霊体、あなたも霊体なら、きっと触れますよ! さぁ! 私を助けてください! ねっ!」
気づかれちまった。
どういう理論かわからないけど、霊体同士なら多分触れ合えるのだろう。
俺はフッと笑った。
助ければ、ここ最近続いていた奇妙な日常は終わるのだ。
「お断りします」
と、俺はその場を去った。
彼女は素っ頓狂な声を上げ、脚をパカパカさせる。だからV字開脚はやめなさいってば。
「そっちのことはよくわからないけど、少なくとも地球人は生身でスカイダイビングしたら死ぬし。こんな出オチ面白人間に誰も気づかない時点でおかしいでしょ」
果たして、宇宙人にも幽霊という概念があるのか疑問であるが。
「うん? ちょっと罵倒が含まれている気がしましたが、殆ど間違っていないと思います」
彼女は頷くように膝を二回曲げた。取り乱していた割に、あっさりと受け入れている。
「であれば、今の私は体からパージされたロロコ体ということになりますね」
「体からパージされた?」
「はい。我々モニョプネ星人はほぼ地球人と同じ構造をしています。あなた方の概念だと『魂』と『肉体』と言いますか」
「は、はぁ」
『ロロコ』ってもしかしなくても、『ココロ』を反転しただけじゃないのか。ネーミングもっと頑張れよ。
「ただし、我々の魂と肉体は地球人よりも明確に分かれおりまして……肉体が活動不能になる直前、安全装置が作動して魂を切り離すんです」
「それが、俺と同じ霊体のようなものになるってことか?」
「はい。死とはまた別の概念ですが、存在自体はあなたと同じ次元にいるのでしょう」
なんだか出オチから死生観の話になってきたな。どこに向かってるんだろう、俺。
とりあえず、どっちも幽霊ということは変わらないということだ。
「で、魂だけになったと気づかず、普通に落下して地面に刺さっていると?」
「そういうことです」
「馬鹿でしょ?」
何で物理的に刺さってんだよ。
「ところで、上空何メートルから落ちたの?」
魂がパージ? されたとはいえ、肉体はどこかに落下している筈だろう。
学校でもニュースでも、人間が落下してきたなんて誰も騒いではいない。それはそれでおかしい気がするが。
「大気圏からです」
「そんなん体燃え尽きますやん」
この宇宙人、めちゃくちゃ馬鹿なのでは?
「ソフトが無事ならハードは替えればいいんですぅ~! 別に問題ないんですぅ!」
「うーん、この人間味のない主張」
宇宙人とは価値観が違いすぎる。
仮に中身がこの子だとして、外側がムキムキマッチョマンだったら、多分同一人物だと認識できない。
やはり、肉体の消滅は死なんだろうなぁと思う地球人であった。
「私は霊体、あなたも霊体なら、きっと触れますよ! さぁ! 私を助けてください! ねっ!」
気づかれちまった。
どういう理論かわからないけど、霊体同士なら多分触れ合えるのだろう。
俺はフッと笑った。
助ければ、ここ最近続いていた奇妙な日常は終わるのだ。
「お断りします」
と、俺はその場を去った。
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