仁川路朱鳥詩集

仁川路朱鳥

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高3前半

心臓の牢獄

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彼らは指し示す。道を見ては早々に寝る。
繰り返すことを百十年、私たちという意識は全く動くことをしない。人間は人間の容れ物にあるから人間なのであって、間違えても最初から人間として生まれてきたわけではない。
夢の遠く。車輪が回る。命を呼吸して回転する。私たちの胸に、背に、腹に、腰に、足に跨る管のありよう。出血する母親。ネコは鳴いて逃げ回る。回って回って回転する意識。
吐き気とともにワルツを踊ろう。円の領域を描くコンパスを足とした。片足を針とした円を描いて。延々と私たちは踊っていなければならないの。世界ってこの人間が理解できるようにしか造られていない。それが真実の発端。
人間が生きることができるのはあくまでこの世界だけであって、他の世界ではプランクトンすら危うい世界。夢。意識は幻、脳細胞の見た夢。脳細胞世界の脊髄。骨。鉄骨造の臓器。
肋骨に守られた臓器。肋骨の中の世界。牢獄の中の心臓。生命の牢獄。魂の牢獄。

深く立ち入ってなお、虫の本能は消えない。
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