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第二章
いつの間にか変わっていた【シャロン】
「もう起きていたんですか?今日はアカデミー休みなんですし、もっとゆっくりしたらいいのに」
「入るならノックぐらいしなさい」
「しましたよ?」
「嘘つかないで」
父さんに呼ばれたときには礼儀を弁えるくせに、どうして私だけにはこうなるのか。
勝手にソファーに座っては片付けていない資料に目を通す。
そんなクローンを見ていると私の視線に気付き、朝食にとパンを出した。
魔法が便利すぎる。ぐうたら生活には持ってこい。
「クローン。音消しの結界を張って」
これから話すことは誰にも聞かれてはいけない。
「貴方じゃないわよね?アリーに呪いをかけた呪術師って」
クローンは呪詛魔法を最も得意とする。クラウス様に唯一勝てる魔法はこれだけ。
強すぎるが故に簡単に呪い殺せてしまう力を持つ。加減すれば精神的に追い込み、廃人にすることも難しくない。
「どうして俺がそんなことを?」
「貴方がアリーを……嫌っているからよ」
ゆっくりと顔を上げたクローンの顔は仮面を付けたように笑っていた。
それがまたいつもと同じだから薄気味悪い。
クローンは常に笑顔でいることを心がける。笑顔でいれば表情を読まれることもない。
何も言わないのは「そうだ」と肯定しているから?
「俺以外にも呪詛師はいる」
「質問に答えなさい」
「なら教えてくれ。お嬢がアリアナお嬢様に執着する理由」
「執着って。変な言い方はやめて」
資料を置いたクローンは私のすぐ隣に移動して、肩を掴まれては目と目を合わせられる。
この手を払うことは簡単だけど、そんなことをしてもクローンは諦めない。しつこく聞いてくる。
「それは貴方には関係のないことよ」
冷たく突き放せば表情は崩れないものの、瞳が大きく揺れる。
盛大にダメージを受けたクローンはフラフラとソファーに座り込んだ。
「答えないのは肯定の証?」
「確かに俺はアリアナ・ローズは大嫌いだ。でも!!お嬢が悲しむ真似はしない。誓ってもいい」
いつからだろう。
アリーの話題になるとクローンの顔が歪むのは。
昔はにこやかに聞き流していた。
あからさまに顔に出したりはしなかったはず。
ここ最近は特に酷い。
アリーに協力するせいで私が狙われ、魅了香なんて物を押し付けられるわ、悪女認定されるわで、私の尊厳が傷つけられているからだとは思うんだけど。
──本当にそれだけ?
浮かんだ疑問は飲み込んだ。どうせ答えない。
「それならいいわ。それより占い師。敵なのよね?弱点とかないの」
「近隣ならともかく、ずっと向こうの大陸だからな。流石に時間がかかる」
「本当に未来が視えてると思う?」
「視えるわけがない。絶対に」
クローンは確信を持って言った。
そりゃそうよね。もし未来が視えていたら、私達が計画の邪魔をするのも視えているはず。それなのに何の対策もしてないのは占い師が未来を視ていない証拠。
占い師が第二王子に手を貸す理由がわからなかった。お金のためだと言うにはあまりにも……腑に落ちない。
占い師の狙いがわかれば、こちらに引き込む交渉材料に使えそうだけど、素性が掴めないうちから無謀な賭けに出るつもりはない。
「今からでも遅くない。もうこの件に関わるのはやめてくれ」
まるで、縋るような情けない声。
クローンの中では私が誘拐された恐怖は拭いきれてないんだ。
だから過保護になって、どれだけ私にウザがられても嫌悪感を抱かれても、傍にいたいと懇願する。
クローンの優先順位は私の命。未来じゃない。とにかく生きることを前提としていた。
私が死んだことは、当然のことながらクローンの耳にも入っている。
そのせいもあって私をアリーから、ううん。第二王子に関わること全般から遠ざけようとするようになった。
余計なことさえしなければ長生きは出来るし、理不尽な恨みを買うこともない。
そんなこと百も承知。
「今の言葉に嘘偽りはないのよね。私の悲しむ真似はしない。誓うって」
「あぁ。俺の全ては出会ったあの日からお嬢に捧げた」
「そう。なら私とアリー。同時に命の危機に晒されたらアリーを助けてくれるってことね」
安心したような笑みを浮かべると、クローンはとても従者とは思えないような、歪んだ顔をしてみせた。
こんなわかりやすい拒絶があってもいいのだろうか。
「どうしてクローンはさ。私に尽くそうとするの」
沈黙を避けるために適当な話題で場を繋ぐつもりで聞いたことを、クローンは答えなかった。
いや、答えはした。
質問の意味を充分に理解した上で、どう答えるのかがベストなのかを頭の中で探った後で。
命の恩人だからなんて最もらしいことを言った。それは嘘ではないだろうけど、本心ではない。
人の気持ちに疎い私でも、これだけ一緒にいるクローンの気持ちぐらいは読める。
簡単な嘘なら見抜けるようになった。
問いただしたところで素直に答えるとは思えないし、もう聞くのはやめよう。
せっかく出してくれたパンを食べないのは気が引けて、私好みのふわふわのパンを食べているとアリーが訪ねてきたと父さんが呼びに来た。
朝早くに来るのは屋敷で何かしらの面倒事に巻き込まれそうになったから。
或いは、そうなったから。
私の手を掴むクローンは「行くな」とでも言いたそう。
「持ち場に戻りなさい」
その手を払ってアリーを出迎えに行った。
残されたクローンがどんな顔をしていたかなんて、私には知る由もない。
振り向こうともしなかったから。
アリーは自分では気付いてないけど、多分……きっと、ディルク殿下に好意を寄せている。
それなのに、せっかくの休みに私のとこに来るなんて。デートでも何でもして、第二王子が付け入る隙がないとアピールすればいいのに。
私の部屋に通して、アリーがお土産で持ってきてくれたコーヒーというものを淹れた。
く、黒い。香りはすごくいいのに飲むのを躊躇ってしまう。
アリーが勧めてくれるものだし、変なものでないのは確か。一口飲むと、口の中に吐き出したくなるような苦味が広がる。
「苦かったから砂糖やミルクを入れるといいのよ」
「先に言ってくれないかな」
「ごめんごめん。私は嫌いじゃないからシャロンはどうかなと思って」
飲めないことはないけど、好んでは飲まない。
甘ったるい物とセットで飲むのなら苦いままでもいいかな。
浮かない顔をするアリーに、どうして来たのか聞いてもいいのか悩む。
コーヒーを飲んで欲しいだけなら贈ればいい。
となると、アリーは私に用事がある。そういうことだ。
「ごめんなさい!!」
私が口を開くよりも先に何に対しての謝罪なのか、勢いよく謝られた。
「本当はもっと早くに謝るべきだったのに」
「待って待って。え、何?どういうこと」
「私はあの子達に復讐するって決めた。それなのに肝心の情報や証拠集めは全部シャロンに任せっきり。私自身は何も……」
「アリー!!それのどこが謝ることなの?私が好きで協力してることなのよ。それにもし、私が暗部を率いてないただの伯爵令嬢だったら、アリーは誰に情報収集を頼むの」
「それは……ヨゼフや、信用と信頼の置ける情報屋とか」
「そう!つまり私かそれ以外の人間かの違いでしょ?だったらアリーはもっと私のこと利用していいの。いい?わかった?はい、じゃあこの話終わり」
もっと深刻なことかと一瞬、身構えた。
真面目なアリーは私に危険なことを任せていることを気に病んでいる。
この世界は理不尽だ。真面目にコツコツ頑張ってるアリーだけが被害や損害を被って、逃げ道ばかり探して楽をしようとする卑怯者だけが得をする。
私がアリーに協力するのにも、理由がなければアリーは十字架を背負う。
「アリーが私を助けてくれたのよ。第二王子とあの連中が手を組んでいると知らなかった私は、愚かにも第二王子に真実を打ち明けてアリーを守ってもらおうとした」
アリーが第二王子を選ぶと、誰もが確信していた。だからこそアリーが選んだ第二王子だけは、アリーの味方であると信じていたかった。
潜入させていたレイウィスの報告に連中のことが記載されていなかったことも、信じてしまった原因の一つ。
レイウィスはラジットと違って屋敷全体の声が聞こえるわけではない。
もしもレイウィスとラジットの配属が逆だったら、アリーは殺されずに済んだのだろうか。裏切った連中を断罪出来ていたのだろうか。
無意味な仮説であることはわかっていた。
事は既に起きてしまったからこそ、アリーは時間を巻き戻ってここにいる。
ま、見事に期待を裏切っただけでなく、アリーを殺した第二王子とジーナ令嬢にはきっちり報いは受けてもらうけどね。
「私の命を救ってくれたから協力したい、じゃダメ?」
「それ。ダメって言えないよね私」
私が殺された以上、私は部外者ではない。
アリーと共に復讐する権利を与えられている。
「入るならノックぐらいしなさい」
「しましたよ?」
「嘘つかないで」
父さんに呼ばれたときには礼儀を弁えるくせに、どうして私だけにはこうなるのか。
勝手にソファーに座っては片付けていない資料に目を通す。
そんなクローンを見ていると私の視線に気付き、朝食にとパンを出した。
魔法が便利すぎる。ぐうたら生活には持ってこい。
「クローン。音消しの結界を張って」
これから話すことは誰にも聞かれてはいけない。
「貴方じゃないわよね?アリーに呪いをかけた呪術師って」
クローンは呪詛魔法を最も得意とする。クラウス様に唯一勝てる魔法はこれだけ。
強すぎるが故に簡単に呪い殺せてしまう力を持つ。加減すれば精神的に追い込み、廃人にすることも難しくない。
「どうして俺がそんなことを?」
「貴方がアリーを……嫌っているからよ」
ゆっくりと顔を上げたクローンの顔は仮面を付けたように笑っていた。
それがまたいつもと同じだから薄気味悪い。
クローンは常に笑顔でいることを心がける。笑顔でいれば表情を読まれることもない。
何も言わないのは「そうだ」と肯定しているから?
「俺以外にも呪詛師はいる」
「質問に答えなさい」
「なら教えてくれ。お嬢がアリアナお嬢様に執着する理由」
「執着って。変な言い方はやめて」
資料を置いたクローンは私のすぐ隣に移動して、肩を掴まれては目と目を合わせられる。
この手を払うことは簡単だけど、そんなことをしてもクローンは諦めない。しつこく聞いてくる。
「それは貴方には関係のないことよ」
冷たく突き放せば表情は崩れないものの、瞳が大きく揺れる。
盛大にダメージを受けたクローンはフラフラとソファーに座り込んだ。
「答えないのは肯定の証?」
「確かに俺はアリアナ・ローズは大嫌いだ。でも!!お嬢が悲しむ真似はしない。誓ってもいい」
いつからだろう。
アリーの話題になるとクローンの顔が歪むのは。
昔はにこやかに聞き流していた。
あからさまに顔に出したりはしなかったはず。
ここ最近は特に酷い。
アリーに協力するせいで私が狙われ、魅了香なんて物を押し付けられるわ、悪女認定されるわで、私の尊厳が傷つけられているからだとは思うんだけど。
──本当にそれだけ?
浮かんだ疑問は飲み込んだ。どうせ答えない。
「それならいいわ。それより占い師。敵なのよね?弱点とかないの」
「近隣ならともかく、ずっと向こうの大陸だからな。流石に時間がかかる」
「本当に未来が視えてると思う?」
「視えるわけがない。絶対に」
クローンは確信を持って言った。
そりゃそうよね。もし未来が視えていたら、私達が計画の邪魔をするのも視えているはず。それなのに何の対策もしてないのは占い師が未来を視ていない証拠。
占い師が第二王子に手を貸す理由がわからなかった。お金のためだと言うにはあまりにも……腑に落ちない。
占い師の狙いがわかれば、こちらに引き込む交渉材料に使えそうだけど、素性が掴めないうちから無謀な賭けに出るつもりはない。
「今からでも遅くない。もうこの件に関わるのはやめてくれ」
まるで、縋るような情けない声。
クローンの中では私が誘拐された恐怖は拭いきれてないんだ。
だから過保護になって、どれだけ私にウザがられても嫌悪感を抱かれても、傍にいたいと懇願する。
クローンの優先順位は私の命。未来じゃない。とにかく生きることを前提としていた。
私が死んだことは、当然のことながらクローンの耳にも入っている。
そのせいもあって私をアリーから、ううん。第二王子に関わること全般から遠ざけようとするようになった。
余計なことさえしなければ長生きは出来るし、理不尽な恨みを買うこともない。
そんなこと百も承知。
「今の言葉に嘘偽りはないのよね。私の悲しむ真似はしない。誓うって」
「あぁ。俺の全ては出会ったあの日からお嬢に捧げた」
「そう。なら私とアリー。同時に命の危機に晒されたらアリーを助けてくれるってことね」
安心したような笑みを浮かべると、クローンはとても従者とは思えないような、歪んだ顔をしてみせた。
こんなわかりやすい拒絶があってもいいのだろうか。
「どうしてクローンはさ。私に尽くそうとするの」
沈黙を避けるために適当な話題で場を繋ぐつもりで聞いたことを、クローンは答えなかった。
いや、答えはした。
質問の意味を充分に理解した上で、どう答えるのかがベストなのかを頭の中で探った後で。
命の恩人だからなんて最もらしいことを言った。それは嘘ではないだろうけど、本心ではない。
人の気持ちに疎い私でも、これだけ一緒にいるクローンの気持ちぐらいは読める。
簡単な嘘なら見抜けるようになった。
問いただしたところで素直に答えるとは思えないし、もう聞くのはやめよう。
せっかく出してくれたパンを食べないのは気が引けて、私好みのふわふわのパンを食べているとアリーが訪ねてきたと父さんが呼びに来た。
朝早くに来るのは屋敷で何かしらの面倒事に巻き込まれそうになったから。
或いは、そうなったから。
私の手を掴むクローンは「行くな」とでも言いたそう。
「持ち場に戻りなさい」
その手を払ってアリーを出迎えに行った。
残されたクローンがどんな顔をしていたかなんて、私には知る由もない。
振り向こうともしなかったから。
アリーは自分では気付いてないけど、多分……きっと、ディルク殿下に好意を寄せている。
それなのに、せっかくの休みに私のとこに来るなんて。デートでも何でもして、第二王子が付け入る隙がないとアピールすればいいのに。
私の部屋に通して、アリーがお土産で持ってきてくれたコーヒーというものを淹れた。
く、黒い。香りはすごくいいのに飲むのを躊躇ってしまう。
アリーが勧めてくれるものだし、変なものでないのは確か。一口飲むと、口の中に吐き出したくなるような苦味が広がる。
「苦かったから砂糖やミルクを入れるといいのよ」
「先に言ってくれないかな」
「ごめんごめん。私は嫌いじゃないからシャロンはどうかなと思って」
飲めないことはないけど、好んでは飲まない。
甘ったるい物とセットで飲むのなら苦いままでもいいかな。
浮かない顔をするアリーに、どうして来たのか聞いてもいいのか悩む。
コーヒーを飲んで欲しいだけなら贈ればいい。
となると、アリーは私に用事がある。そういうことだ。
「ごめんなさい!!」
私が口を開くよりも先に何に対しての謝罪なのか、勢いよく謝られた。
「本当はもっと早くに謝るべきだったのに」
「待って待って。え、何?どういうこと」
「私はあの子達に復讐するって決めた。それなのに肝心の情報や証拠集めは全部シャロンに任せっきり。私自身は何も……」
「アリー!!それのどこが謝ることなの?私が好きで協力してることなのよ。それにもし、私が暗部を率いてないただの伯爵令嬢だったら、アリーは誰に情報収集を頼むの」
「それは……ヨゼフや、信用と信頼の置ける情報屋とか」
「そう!つまり私かそれ以外の人間かの違いでしょ?だったらアリーはもっと私のこと利用していいの。いい?わかった?はい、じゃあこの話終わり」
もっと深刻なことかと一瞬、身構えた。
真面目なアリーは私に危険なことを任せていることを気に病んでいる。
この世界は理不尽だ。真面目にコツコツ頑張ってるアリーだけが被害や損害を被って、逃げ道ばかり探して楽をしようとする卑怯者だけが得をする。
私がアリーに協力するのにも、理由がなければアリーは十字架を背負う。
「アリーが私を助けてくれたのよ。第二王子とあの連中が手を組んでいると知らなかった私は、愚かにも第二王子に真実を打ち明けてアリーを守ってもらおうとした」
アリーが第二王子を選ぶと、誰もが確信していた。だからこそアリーが選んだ第二王子だけは、アリーの味方であると信じていたかった。
潜入させていたレイウィスの報告に連中のことが記載されていなかったことも、信じてしまった原因の一つ。
レイウィスはラジットと違って屋敷全体の声が聞こえるわけではない。
もしもレイウィスとラジットの配属が逆だったら、アリーは殺されずに済んだのだろうか。裏切った連中を断罪出来ていたのだろうか。
無意味な仮説であることはわかっていた。
事は既に起きてしまったからこそ、アリーは時間を巻き戻ってここにいる。
ま、見事に期待を裏切っただけでなく、アリーを殺した第二王子とジーナ令嬢にはきっちり報いは受けてもらうけどね。
「私の命を救ってくれたから協力したい、じゃダメ?」
「それ。ダメって言えないよね私」
私が殺された以上、私は部外者ではない。
アリーと共に復讐する権利を与えられている。
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