レティシアお嬢様、今日もやらかす 〜見習い天才魔術師と愛のお仕置き〜

聖sai

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第四話 領都の魅力とダブルブッキング

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 わたしの名前はレティシア・グラシエル。七歳にしてグラシエル公爵家の長女、そして魔術の天才──

 ポプリ先生の礼儀作法の授業が始まる前、わたしは自室で古いアクセサリーボックスをひっくり返していて、ひとつのブローチを見つけた。

「あれ? これ……宝石、削れてる?」

 透明なカットの角がすこし欠けていた。小さな傷だけど、気になって仕方ない。

「ちょっとだけ……街に持っていけば直せそうだよね。ほんとにすぐ戻ってくるし……」

 わたしは時計をちらりと見て──

「急いで行って帰ってくれば、授業、間に合うよね」

 わたしは急いで屋敷の裏手へいく。
 人気のないところで壁すり抜け魔法を起動。
 軽やかに裏門を抜けると、すぐに石畳の坂道が広がった。

 そこは領都の中心街。グラシエル家のお膝元。

 わたしは歩きながら、魔道具店や焼き菓子屋の前を通って、目的の宝石細工屋へ。

「すみませーん、これ修理お願いしたいんですけど~」

 職人さんに預けて、あとは戻るだけ……だった、はずなのに。

「……あ、あの魔道スリング……! 限定品だ! デザインもかっこいい!」

「焼き菓子屋さん、本日バター増量って書いてる……気になるぅ……」

 ちょっとだけ……ちょっとだけ覗いて……お店の人とお話して……

 ──気がついたら、小一時間経っていた。



 一方そのころ、屋敷では。

「お嬢様、授業にいらっしゃいません」

「お部屋にもおられません」

 ポプリ先生の報告を受けたエリィが、真っ青な顔で屋敷内を駆けまわった。

「まさか……また外に!? お嬢さまぁぁぁぁーーーっっ!!」

 屋敷は一気に騒然となった。

「結界、抜けられてます!」

「どこに向かわれたのでしょう!?」

「外出の記録なし! 護衛も同行してません!!」

 領地兵たちが、近隣を捜索する準備にかかる。そして──

 そんな中、問題のお嬢様は、鼻歌交じりで意気揚々と元気よく帰ってきた。



「ただいまー。ふふん、今日は大収穫──」

「お嬢さまぁぁぁぁあああああああああっ!!!!!」

「わっ!? エ、エリィ!? なんでそんな顔して──あっ、しまった! そうだった!」

 ──いきなり捕まってしまった。

 エリィはわたしの手を引いて一直線にわたしの部屋に向かい、そのままベッドに腰を下ろす。

「す、すぐ帰ってきたし……問題なかったし……」

「問題だらけですっ!! 護衛もつけずに、誰にも言わずに、また勝手に屋敷の外へ!? ほんとに……ほんとに心配したんですからぁっ!!」

 涙目のエリィがわたしの手を引っ張り、あっという間に自分の膝の上に寝かせる形に。

「ひゃあっ!? ちょっ、ちょっとまってっ、まだ気持ちの準備が──」

 スカートをめくられ、パンツをスルンと下ろされる。

「お、お願いっ、やめてぇぇええっ!!」

「やめませんっ!!!」

 そして──

 パァン!!

「いだっ!!」

「こんなこと、何回目だと思ってるんですかぁっ!!」

 パンッ! パンッ! パチン!

「やだっ、やだってばぁぁああ!! 戻ってきたもん~~っ!!」

「戻ってきたらいいって話じゃありませんっ!!」

 バン! バン! バン!

 お尻が熱くなって、平手のひとつひとつがジンジン刺さってくる。

 膝の上で足をばたばたさせても、逃げられない。

「いたい! ごめんなさい! もう二度と出ないからぁぁっ!!」

「信じませんっ!」

 やっとお仕置きが終わり、エリィにしばらく抱きしめられて、そして報告があるからと言って部屋を出ていった。
 残されたわたしはベッドの上に転がって、なみだ目でお尻をさする。

「……うぅ……ちょっとしか出てないのに……」

 ひりひりするお尻を出したまま、ひんやりとする空気で痛みを和らげ、うつ伏せでべったり。

 そして──

「お戻りでしたか」

 ガチャッとドアが開いて、ポプリ先生が静かに入ってきた。

「えっ?」

「本日の礼儀作法の授業を、無断で欠席なさいましたよね。そのお仕置きに伺いました」

「い、いま叩かれたばっかだよ!? ほんとにっ! ついさっきなのっ!! ほら、お尻見て! さっきエリィに──!」

「……それは“無断外出”への処分でしょう?」

 ポプリの足音が、静かにベッドへ近づいてくる。

「“授業のボイコット”は、別件です」

「ひどいぃぃぃ~~~~!!」


「そのままで結構です。うつ伏せのまま、動かないでください」

 わたしは抵抗もできず、ぐすぐす泣きながら枕にしがみついた。

 すると──

 パチン。

 乾いた音と、すでに熱を持っていたお尻に、強烈な痛みがはしった。

「いっっったあああっっ!!」

 パシン! パシン!

「うぎゃあっ! やっ、やめてぇぇっ!! もう叩かれてるのにいいぃっ!!」

「学ぶ機会を放棄した、その重みを理解しなさい」

 バチン! パンッ! パアンッ!!

「ひぃっ!! いたっ、いたいっっ! ほんとに、ほんとにもうやらな──きゃああああ!!」

「ほら、暴れない。きちんとお仕置きを受けなさい」

「いたいいぃぃぃ!! もういいからぁぁっ!!」

 パシッ! パァン! バンッ! バンッ!!

 冷徹なリズムで打ち下ろされる平手。
 左、右、真ん中、下部、外側。容赦ない打ち分け。

 お尻のすみずみまで、何度も叩かれて、熱が膨れ上がって、もう焼け石みたいになってるのに──

 ポプリの手は止まらない。

「“勉強より大事なことがある”というのなら、それを証明してから、休みなさい」

「ぐぅぅぅぅぅ……! いだいよぉ……!! ごめんなさいぃぃっ……!!」

「今日の授業内容は“貴族としての責任”。皮肉ですね」

 ピシャン! バチィッ!

「うわああああああんっっ!!」

 ようやく、平手が止まったとき。

 わたしは全身汗だくで、枕に涙と鼻水を染み込ませて、ぐったりと崩れ落ちていた。

 お尻は真っ赤に腫れあがり、空気が触れるだけでびくっと震える。

「……終了です。次回からは送れずにきちんと授業を受けてください、もし、またボイコットするようなら──」

「……しません、しませんから……やりませんからぁぁ……」

 ポプリは一礼して、扉を静かに閉めて出ていった。

 その瞬間、わたしは声も出せずに、べたーっとシーツに顔を埋めた。

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