昭和官能小説ショートショートショート

露木阿乱

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「EDになった夫の思いやりは、友人夫婦との温泉旅行だった」

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「あまり満足していないんだね」。
「そんなことない。充分に楽しませてもらった」。
 夫が依頼してくれた女性用風俗の若い男が帰った後のことだった。
 男は若いがプロ意識が強く、自らが会得(えとく)したテクニックを駆使して奉仕してくれた。
 しかし、確かに気持ちはよかったが、それだけだった。夫とのセックスで得られる一体感や、満足感には、程遠いものだった。

 私は、セックスで快感を得られるタイプの女だった。かといって、
 相手は誰でもいいというわけではない。心の通わない男とは、昔から真のエクスタシーは得られらなかった。ある意味、贅沢(ぜいたく)で面倒な体質だった。
 夫は、そんな面倒な私の性向を理解して、普通の夫では期待できないほどの努力をしてくれた。
 たとえ仕事で疲れていても、私が求めると満足するまで抱いてくれた。信じられないほどのできた夫だった。ところが、その夫が、還暦を迎える頃から、ED(勃起不全)で悩むようになった。最初は、薬を飲んで対応していたが、体質の関係か、次第に効果が期待できなくなった。考えあぐねた夫は、セックスの専門家に助けを求めたが、しかし、満足できる結果は得られなかった。

 私は、これ以上は夫に求めるべきではない、と思った。だが、しばらくは我慢できても、欲求不満がつのって、夫につらくあたるようになったら、との不安もあった。そこで、家族付き合いをしている吉絵(よしえ)さんに相談した。吉絵さんは、私の大学時代の先輩で、四十年ほどの付き合いがある。吉絵さんは、「私にまかせて」と気軽に応えてくれた。

 しばらくして、私たちと吉絵さんご夫婦四人で、温泉旅行に出掛けることになった。旅館では、露天風呂つきの離れに泊まった。吉絵さんの提案で、四人で風呂に入ることになっていた。そのあとは、全員でセックスする予定だった。吉絵さんのご主人は、私の兄のような存在で、この人ならと思わせる人だった。吉絵さんは、「勃起しなくても愉しむ方法はあるから」と笑っていた。

 これから、どうなるかは分からない。しかし、今後は、二人一緒に愉(たの)しめる新しいセックスを求めたいと思っている。
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