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見せつける身体、壊れる心
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昼過ぎのビーチ。
波の音と笑い声が交じる中、一組の男女の会話が聞こえてくる。
その女――**奈々(中身は元・地味な書店員)**は、白いビキニに身を包み、男を見つめていた。
「蒼一さん、こっち来て?」
唇の端にうっすら笑みを浮かべながら、指をくいっと曲げて男を呼ぶ。
男――蒼一は、一瞬視線を泳がせながらも、吸い寄せられるように近づいていった。
奈々はビーチベッドに腰をかけ、脚を優雅に組み替える。
谷間が揺れるたび、男の喉が鳴る音が聞こえた。
(私の身体を……その目で見てるのね)
奈々は心の中でそう囁きながら、髪をかき上げる仕草で“莉子の魅力”を最大限に演出した。
「日焼けしすぎたかも……蒼一さん、背中、ちょっと見てくれる?」
さりげなく、うつ伏せになる。
まるで自分の体の美しさを、“あたりまえ”のように晒す。
ビキニが張りついたヒップライン。
白くて滑らかな背中の曲線。
肩から腰まで、蒼一の目線がすっと這っていく。
彼は、無言のまま日焼け止めを取り、手を伸ばした。
◆ その様子を、陰から見ていた“本物”
ラッシュガード姿の莉子(中身:本物)は、ヤシの木の陰でその光景を見ていた。
まるで映画のワンシーンのように美しく、残酷だった。
(それ……私の身体なのに)
女が笑い、男が見惚れ、触れ、愛そうとしているその体は、かつて自分のものだった。
なのに、今の“自分”は――あの輪の中に、入ることすらできない。
蒼一は、何の迷いもなく彼女の肩にキスを落とした。
「莉子……今日、可愛すぎるよ」
(違う、それは“私”じゃない……!)
莉子の唇が震え、足が動きかけた。だが――
「……変な人、また来てない?」
奈々がわざとらしく囁く。
蒼一があたりを見渡す。その目が、一瞬、莉子の方を向いた。
(こっちを、見た――)
「……大丈夫。俺が守るから」
そう言って、奈々の腰を抱き寄せた。
莉子は、その場から逃げるように歩き出すしかなかった。
誰も、“本物”の声を聞いてはくれなかった。
◆ 誘う者と、拒絶される者
日が傾き、蒼一と奈々は、砂浜を手を繋いで歩いていた。
奈々は蒼一の肩にもたれかかりながら、囁いた。
「私、ほんとはずっと、誰にも見られない女だったの。
だけど今は、毎日が夢みたい。あなたといると、“莉子”でよかったって思えるの」
蒼一は気づかない。
その言葉の“歪み”にも、内に秘めた“他人の人生を盗んだ悦楽”にも。
ただ、彼は微笑んで言う。
「莉子は莉子だよ。ずっと俺の理想の人」
奈々は、その言葉を“勝利の証”として胸に刻んだ。
波の音と笑い声が交じる中、一組の男女の会話が聞こえてくる。
その女――**奈々(中身は元・地味な書店員)**は、白いビキニに身を包み、男を見つめていた。
「蒼一さん、こっち来て?」
唇の端にうっすら笑みを浮かべながら、指をくいっと曲げて男を呼ぶ。
男――蒼一は、一瞬視線を泳がせながらも、吸い寄せられるように近づいていった。
奈々はビーチベッドに腰をかけ、脚を優雅に組み替える。
谷間が揺れるたび、男の喉が鳴る音が聞こえた。
(私の身体を……その目で見てるのね)
奈々は心の中でそう囁きながら、髪をかき上げる仕草で“莉子の魅力”を最大限に演出した。
「日焼けしすぎたかも……蒼一さん、背中、ちょっと見てくれる?」
さりげなく、うつ伏せになる。
まるで自分の体の美しさを、“あたりまえ”のように晒す。
ビキニが張りついたヒップライン。
白くて滑らかな背中の曲線。
肩から腰まで、蒼一の目線がすっと這っていく。
彼は、無言のまま日焼け止めを取り、手を伸ばした。
◆ その様子を、陰から見ていた“本物”
ラッシュガード姿の莉子(中身:本物)は、ヤシの木の陰でその光景を見ていた。
まるで映画のワンシーンのように美しく、残酷だった。
(それ……私の身体なのに)
女が笑い、男が見惚れ、触れ、愛そうとしているその体は、かつて自分のものだった。
なのに、今の“自分”は――あの輪の中に、入ることすらできない。
蒼一は、何の迷いもなく彼女の肩にキスを落とした。
「莉子……今日、可愛すぎるよ」
(違う、それは“私”じゃない……!)
莉子の唇が震え、足が動きかけた。だが――
「……変な人、また来てない?」
奈々がわざとらしく囁く。
蒼一があたりを見渡す。その目が、一瞬、莉子の方を向いた。
(こっちを、見た――)
「……大丈夫。俺が守るから」
そう言って、奈々の腰を抱き寄せた。
莉子は、その場から逃げるように歩き出すしかなかった。
誰も、“本物”の声を聞いてはくれなかった。
◆ 誘う者と、拒絶される者
日が傾き、蒼一と奈々は、砂浜を手を繋いで歩いていた。
奈々は蒼一の肩にもたれかかりながら、囁いた。
「私、ほんとはずっと、誰にも見られない女だったの。
だけど今は、毎日が夢みたい。あなたといると、“莉子”でよかったって思えるの」
蒼一は気づかない。
その言葉の“歪み”にも、内に秘めた“他人の人生を盗んだ悦楽”にも。
ただ、彼は微笑んで言う。
「莉子は莉子だよ。ずっと俺の理想の人」
奈々は、その言葉を“勝利の証”として胸に刻んだ。
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