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美人OLの秘密のOJT
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黒髪ショートボブでメガネをかけた真面目な新入社員・葵(あおい)は、入社初日から緊張で背筋を固く伸ばしていた。
面接のとき、まぶしいほど華やかだった金髪の先輩社員を見かけたことが、この会社を選んだ理由のひとつだった。
その先輩こそ、憧れの美人社員・玲奈。オフィスでも一際目を引く彼女が、なんと葵のOJT担当に指名されたのだ。
「じゃあ、今日から私が一通り教えるね」
にっこりと微笑む玲奈。黒のキャミソールとタイトスカートというオフィスでは異彩を放つ姿なのに、不思議と嫌味がなく、むしろ自信に満ち溢れていて格好いい。
「は、はいっ! よろしくお願いします!」
緊張で声が裏返った葵に、玲奈はクスクス笑って、やさしく背中を軽く叩いた。
業務をひとつずつ説明されるたび、葵は自分のノートに几帳面にメモを取った。
それを覗き込んだ玲奈は「え、めっちゃ字きれいじゃん。すごいね」と褒めてくれる。
その言葉に頬を赤らめながら、葵は内心で思った。
(面接のときからずっと憧れていた人に、こんなふうに近づけるなんて……夢みたいだ)
一方で、ふとした瞬間に社内の男性社員たちの視線が玲奈へと集まるのを見て、
(やっぱり私は到底かなわないな……)と小さく胸が痛んだ。
昼休み、玲奈が笑顔で声をかけてきた。
「葵ちゃん、最初は緊張するよね。でも大丈夫、真面目な子はすぐにみんなに信頼されるから」
その一言に、葵の心は少し軽くなった。
(私は私のやり方で、この職場に居場所を作ればいい。憧れの先輩の隣で、もっと成長したい)
そして葵は、ペンを握る手に少しだけ力を込めた。
業務をひと通り説明したあと、玲奈がふと意味ありげに笑った。
「ここでのOJTは、ちょっと変わってるの。普通に仕事を教えるだけじゃないんだ」
葵が首をかしげると、玲奈は自分の首から提げていた社員証を外し、葵に差し出した。
「試しに、これと交換してみて」
戸惑いながらも、葵は自分の社員証を外し、玲奈のものと交換した。
――次の瞬間、胸元にかかったカードが淡く光り、二人の体を包み込むような衝撃が走った。
「えっ……!」
葵が声をあげたとき、その声は聞き慣れた玲奈のものだった。
鏡もないのに、視界が高く、手足がすらりと長く見える。
胸元に目を落とすと、そこにはタイトな黒いキャミソールと、見慣れない豊かな曲線が――。
一方の玲奈は、自分の胸にかかった社員証を見てから、小さくクスクス笑った。
「うん、ちゃんと入れ替わったみたいだね」
「こ、これ……私……?」
葵はおそるおそる自分の手を見て、さらに腰のラインや長い足を触って確かめる。
あれほど憧れていた“美人社員”の体が、自分のものになってしまった。
玲奈は、今度は葵の体に入りながら眼鏡を押し上げ、慣れた仕草で微笑む。
「これがうちのOJT。“相手の体を体験して学ぶ”ってやつ。どう? 新鮮でしょ?」
葵の体に入った玲奈は、鏡の前で腰に手を当てながら、ふっと笑みを浮かべた。
「さて……やるか」
社員証を首から外すと、そのままデスクの上に置き、メガネはかけたまま化粧ポーチを取り出す。
――そこからは、手慣れた動作だった。
ファンデーションを薄く整え、チークをさりげなく。葵が普段は避けていたリップグロスを唇に引き、つややかな光沢を与える。
アイラインを強めに入れ、つけまつげとマスカラで目元をぐっと引き立たせると、まるで別人のような華やかさが生まれた。
続いて服装。葵が着ていた無難なブラウスとスカートは脱ぎ捨て、玲奈自身の得意なスタイル――黒のキャミソールとタイトスカートに着替える。
胸元や腰のラインが際立ち、葵の体のシルエットが一気に大人びた雰囲気に変わる。
髪も金髪のウィッグをかぶり、ショートボブに整える。
仕上げにメガネを外し、カラコンを装着。くっきりとしたぱっちりお目々が鏡に映り込み、玲奈は満足そうに目を細めた。
鏡に立つのは、葵の体なのに、完全に「玲奈」にしか見えない美人。
玲奈はその姿に満足げに微笑んだ。
「やっぱり……いい素材を持ってたわね」
そう呟いた声には、勝ち誇ったような響きがあった。
葵は、玲奈の体に入ったまま自分を見下ろして驚いていた。
――いや、目の前にいるのは“葵の体に入った玲奈”だ。
そこには、地味だったはずの葵の体が、華やかに磨かれて金髪ショートボブの美女へと変貌していた。
「これが……私……?」
玲奈の体にいる葵は、思わず息をのむ。
一方で、葵の体にいる玲奈は涼しい顔で笑い、社員証を外しながら言った。
「これだけ変わっちゃったら、社員証も作り直さないとね」
玲奈は社員証を机に置き、くすりと笑った。
「実はね、体を入れ替えるのって簡単なのよ」
そう言うと、玲奈は葵の体のまま一歩近づき、二人の額を“ゴツン”と合わせた。
その瞬間、光がはじけるような感覚が走り、二人の意識は再び入れ替わった。
「……!」
元の自分の体に戻った葵は、鏡を見なくてもすぐに気づいた。
自分の髪は玲奈に整えられたショートボブの金髪、瞳はぱっちりと大きく、メイクも完璧。
かつての“地味な自分”の面影はどこにもなく、そこに立っているのは堂々たる美人だった。
「これが……私の体……?」
感動で声が震える。
玲奈は金髪ロングの姿で腕を組み、余裕の笑みを浮かべた。
「そう。素材のいい子を集めて、美人に仕立て上げてあげる。それがうちの業績がいい秘訣なの」
二人は顔を見合わせ、微笑む。
金髪ロングヘアの玲奈と、金髪ショートボブになった葵。
二人の美人が並んで颯爽とオフィスを飛び出す姿は、誰もが振り返るほどの輝きに満ちていた。
街を並んで歩きながら、玲奈がふと小さな声で言った。
「実はね、私も昔は葵ちゃんと同じ。地味で真面目な女の子だったの」
葵は目を丸くする。華やかで自信に満ちた今の玲奈からは、とても想像できなかった。
「でも、この見た目で“真面目”を貫くとね……本当にモテるのよ」
玲奈はからかうように笑い、軽く葵の肩を叩いた。
「試しに合コン、行ってみる?」
居酒屋の個室。数人の男性たちが集まり、料理やお酒が並んでいた。
玲奈は金髪ロングの髪をさらりと揺らし、隣の男性に上目遣いで話しかける。
「ねえ、趣味って何?」
その甘い声音と視線に、相手の男性はあっという間に夢中になった。
その様子を見ていた葵は、胸がドキドキしていた。
玲奈が笑いながら振り向く。
「ほら、あなたもやってみなさいよ」
金髪ショートボブの自分――“磨かれた葵”が、今まさに試される時だった。
緊張で手をぎゅっと握りしめながら、葵は隣の男性に視線を向け、そっと上目遣いで話しかけようとした。
葵が隣の男性におそるおそる視線を向けた瞬間、男性は一瞬で心を奪われた。
金髪ショートボブにぱっちりした瞳、真面目さをにじませる照れた表情――そのすべてが彼の胸を射抜いたのだ。
「……!」
男性は言葉を失い、ただ葵を見つめ続ける。
葵は頬が熱くなり、思わず視線を逸らした。
「れ、玲奈さん……! 視線を向けただけで……すごく見つめられて……。こんなの、初めてです……」
顔を真っ赤にしながら報告する葵に、玲奈はワインのグラスを軽く傾けて笑った。
「ふふっ……それが、あなた自身の力よ。私が磨いた見た目と、あなたの真面目さ。その組み合わせが、最強なの」
玲奈の言葉に、葵は胸の奥で何かが芽生えるのを感じた。
自分でも知らなかった「美しい自分」が、ここにいるのだ――。
グラスが空になり、場が一番盛り上がっているところで、玲奈がスッと立ち上がった。
「――今日はこれくらいにしましょうか」
男性陣は一斉に「えっ、もう?」と名残惜しそうな声をあげた。
もっと話したい、もっと一緒にいたい――そんな気持ちが視線にあふれている。
だが玲奈は涼しい笑みを浮かべたまま、きっぱりと切り上げる。
「また機会があればね」
隣でその姿を見ていた葵は、思わずため息をついた。
「……かっこいい……」
憧れの先輩は、惹きつけるだけ惹きつけて、最後は自分のペースでスマートに場を去る。
男性陣の視線を背中に浴びながら、颯爽と出口へ向かう姿はまさに理想そのものだった。
葵は小さく笑い、肩をすくめる。
「モテるのも……大変なんですね」
玲奈は振り返り、軽くウィンク。
「慣れれば楽しいわよ」
二人は並んで夜の街へと歩き出した。
夜道を歩きながら、玲奈は横に並ぶ葵の笑顔をちらりと見た。
「ちょっと……可愛くしすぎちゃったかしら」
そう内心で呟く。
合コンでは、確かに男性陣の視線は自分に注がれていた。
けれど、いつの間にか葵の方にも熱い眼差しが集中していた。
それに気づいた瞬間、胸にチクリと嫉妬が走り――だからこそ、スパッと切り上げたのだ。
(……とんでもないライバルを作っちゃったわね)
玲奈は口元をゆるめ、ほくそ笑む。
やがて、二人は社内でペアの広報モデルに抜擢された。
美人コンビ――その名も「アオレナ」。
撮影スタジオでのポーズが特に話題を呼んだ。
玲奈は黒いキャミソールとタイトスカート姿で堂々とモデル立ち。
その足元にしゃがむのは、金髪ショートボブの葵。
カメラのフラッシュが連続して光り、二人のコントラストが鮮烈に焼き付けられる。
出来上がったポスターは社内に貼られ、瞬く間に話題となった。
「アオレナ、最高!」
「玲奈派か、葵派か……決められない!」
その人気は男女問わず広がり、オフィスは二人の話でもちきりに。
こうして、美人コンビ「アオレナ」は、社内の人気を二分する存在となっていったのだった。
面接のとき、まぶしいほど華やかだった金髪の先輩社員を見かけたことが、この会社を選んだ理由のひとつだった。
その先輩こそ、憧れの美人社員・玲奈。オフィスでも一際目を引く彼女が、なんと葵のOJT担当に指名されたのだ。
「じゃあ、今日から私が一通り教えるね」
にっこりと微笑む玲奈。黒のキャミソールとタイトスカートというオフィスでは異彩を放つ姿なのに、不思議と嫌味がなく、むしろ自信に満ち溢れていて格好いい。
「は、はいっ! よろしくお願いします!」
緊張で声が裏返った葵に、玲奈はクスクス笑って、やさしく背中を軽く叩いた。
業務をひとつずつ説明されるたび、葵は自分のノートに几帳面にメモを取った。
それを覗き込んだ玲奈は「え、めっちゃ字きれいじゃん。すごいね」と褒めてくれる。
その言葉に頬を赤らめながら、葵は内心で思った。
(面接のときからずっと憧れていた人に、こんなふうに近づけるなんて……夢みたいだ)
一方で、ふとした瞬間に社内の男性社員たちの視線が玲奈へと集まるのを見て、
(やっぱり私は到底かなわないな……)と小さく胸が痛んだ。
昼休み、玲奈が笑顔で声をかけてきた。
「葵ちゃん、最初は緊張するよね。でも大丈夫、真面目な子はすぐにみんなに信頼されるから」
その一言に、葵の心は少し軽くなった。
(私は私のやり方で、この職場に居場所を作ればいい。憧れの先輩の隣で、もっと成長したい)
そして葵は、ペンを握る手に少しだけ力を込めた。
業務をひと通り説明したあと、玲奈がふと意味ありげに笑った。
「ここでのOJTは、ちょっと変わってるの。普通に仕事を教えるだけじゃないんだ」
葵が首をかしげると、玲奈は自分の首から提げていた社員証を外し、葵に差し出した。
「試しに、これと交換してみて」
戸惑いながらも、葵は自分の社員証を外し、玲奈のものと交換した。
――次の瞬間、胸元にかかったカードが淡く光り、二人の体を包み込むような衝撃が走った。
「えっ……!」
葵が声をあげたとき、その声は聞き慣れた玲奈のものだった。
鏡もないのに、視界が高く、手足がすらりと長く見える。
胸元に目を落とすと、そこにはタイトな黒いキャミソールと、見慣れない豊かな曲線が――。
一方の玲奈は、自分の胸にかかった社員証を見てから、小さくクスクス笑った。
「うん、ちゃんと入れ替わったみたいだね」
「こ、これ……私……?」
葵はおそるおそる自分の手を見て、さらに腰のラインや長い足を触って確かめる。
あれほど憧れていた“美人社員”の体が、自分のものになってしまった。
玲奈は、今度は葵の体に入りながら眼鏡を押し上げ、慣れた仕草で微笑む。
「これがうちのOJT。“相手の体を体験して学ぶ”ってやつ。どう? 新鮮でしょ?」
葵の体に入った玲奈は、鏡の前で腰に手を当てながら、ふっと笑みを浮かべた。
「さて……やるか」
社員証を首から外すと、そのままデスクの上に置き、メガネはかけたまま化粧ポーチを取り出す。
――そこからは、手慣れた動作だった。
ファンデーションを薄く整え、チークをさりげなく。葵が普段は避けていたリップグロスを唇に引き、つややかな光沢を与える。
アイラインを強めに入れ、つけまつげとマスカラで目元をぐっと引き立たせると、まるで別人のような華やかさが生まれた。
続いて服装。葵が着ていた無難なブラウスとスカートは脱ぎ捨て、玲奈自身の得意なスタイル――黒のキャミソールとタイトスカートに着替える。
胸元や腰のラインが際立ち、葵の体のシルエットが一気に大人びた雰囲気に変わる。
髪も金髪のウィッグをかぶり、ショートボブに整える。
仕上げにメガネを外し、カラコンを装着。くっきりとしたぱっちりお目々が鏡に映り込み、玲奈は満足そうに目を細めた。
鏡に立つのは、葵の体なのに、完全に「玲奈」にしか見えない美人。
玲奈はその姿に満足げに微笑んだ。
「やっぱり……いい素材を持ってたわね」
そう呟いた声には、勝ち誇ったような響きがあった。
葵は、玲奈の体に入ったまま自分を見下ろして驚いていた。
――いや、目の前にいるのは“葵の体に入った玲奈”だ。
そこには、地味だったはずの葵の体が、華やかに磨かれて金髪ショートボブの美女へと変貌していた。
「これが……私……?」
玲奈の体にいる葵は、思わず息をのむ。
一方で、葵の体にいる玲奈は涼しい顔で笑い、社員証を外しながら言った。
「これだけ変わっちゃったら、社員証も作り直さないとね」
玲奈は社員証を机に置き、くすりと笑った。
「実はね、体を入れ替えるのって簡単なのよ」
そう言うと、玲奈は葵の体のまま一歩近づき、二人の額を“ゴツン”と合わせた。
その瞬間、光がはじけるような感覚が走り、二人の意識は再び入れ替わった。
「……!」
元の自分の体に戻った葵は、鏡を見なくてもすぐに気づいた。
自分の髪は玲奈に整えられたショートボブの金髪、瞳はぱっちりと大きく、メイクも完璧。
かつての“地味な自分”の面影はどこにもなく、そこに立っているのは堂々たる美人だった。
「これが……私の体……?」
感動で声が震える。
玲奈は金髪ロングの姿で腕を組み、余裕の笑みを浮かべた。
「そう。素材のいい子を集めて、美人に仕立て上げてあげる。それがうちの業績がいい秘訣なの」
二人は顔を見合わせ、微笑む。
金髪ロングヘアの玲奈と、金髪ショートボブになった葵。
二人の美人が並んで颯爽とオフィスを飛び出す姿は、誰もが振り返るほどの輝きに満ちていた。
街を並んで歩きながら、玲奈がふと小さな声で言った。
「実はね、私も昔は葵ちゃんと同じ。地味で真面目な女の子だったの」
葵は目を丸くする。華やかで自信に満ちた今の玲奈からは、とても想像できなかった。
「でも、この見た目で“真面目”を貫くとね……本当にモテるのよ」
玲奈はからかうように笑い、軽く葵の肩を叩いた。
「試しに合コン、行ってみる?」
居酒屋の個室。数人の男性たちが集まり、料理やお酒が並んでいた。
玲奈は金髪ロングの髪をさらりと揺らし、隣の男性に上目遣いで話しかける。
「ねえ、趣味って何?」
その甘い声音と視線に、相手の男性はあっという間に夢中になった。
その様子を見ていた葵は、胸がドキドキしていた。
玲奈が笑いながら振り向く。
「ほら、あなたもやってみなさいよ」
金髪ショートボブの自分――“磨かれた葵”が、今まさに試される時だった。
緊張で手をぎゅっと握りしめながら、葵は隣の男性に視線を向け、そっと上目遣いで話しかけようとした。
葵が隣の男性におそるおそる視線を向けた瞬間、男性は一瞬で心を奪われた。
金髪ショートボブにぱっちりした瞳、真面目さをにじませる照れた表情――そのすべてが彼の胸を射抜いたのだ。
「……!」
男性は言葉を失い、ただ葵を見つめ続ける。
葵は頬が熱くなり、思わず視線を逸らした。
「れ、玲奈さん……! 視線を向けただけで……すごく見つめられて……。こんなの、初めてです……」
顔を真っ赤にしながら報告する葵に、玲奈はワインのグラスを軽く傾けて笑った。
「ふふっ……それが、あなた自身の力よ。私が磨いた見た目と、あなたの真面目さ。その組み合わせが、最強なの」
玲奈の言葉に、葵は胸の奥で何かが芽生えるのを感じた。
自分でも知らなかった「美しい自分」が、ここにいるのだ――。
グラスが空になり、場が一番盛り上がっているところで、玲奈がスッと立ち上がった。
「――今日はこれくらいにしましょうか」
男性陣は一斉に「えっ、もう?」と名残惜しそうな声をあげた。
もっと話したい、もっと一緒にいたい――そんな気持ちが視線にあふれている。
だが玲奈は涼しい笑みを浮かべたまま、きっぱりと切り上げる。
「また機会があればね」
隣でその姿を見ていた葵は、思わずため息をついた。
「……かっこいい……」
憧れの先輩は、惹きつけるだけ惹きつけて、最後は自分のペースでスマートに場を去る。
男性陣の視線を背中に浴びながら、颯爽と出口へ向かう姿はまさに理想そのものだった。
葵は小さく笑い、肩をすくめる。
「モテるのも……大変なんですね」
玲奈は振り返り、軽くウィンク。
「慣れれば楽しいわよ」
二人は並んで夜の街へと歩き出した。
夜道を歩きながら、玲奈は横に並ぶ葵の笑顔をちらりと見た。
「ちょっと……可愛くしすぎちゃったかしら」
そう内心で呟く。
合コンでは、確かに男性陣の視線は自分に注がれていた。
けれど、いつの間にか葵の方にも熱い眼差しが集中していた。
それに気づいた瞬間、胸にチクリと嫉妬が走り――だからこそ、スパッと切り上げたのだ。
(……とんでもないライバルを作っちゃったわね)
玲奈は口元をゆるめ、ほくそ笑む。
やがて、二人は社内でペアの広報モデルに抜擢された。
美人コンビ――その名も「アオレナ」。
撮影スタジオでのポーズが特に話題を呼んだ。
玲奈は黒いキャミソールとタイトスカート姿で堂々とモデル立ち。
その足元にしゃがむのは、金髪ショートボブの葵。
カメラのフラッシュが連続して光り、二人のコントラストが鮮烈に焼き付けられる。
出来上がったポスターは社内に貼られ、瞬く間に話題となった。
「アオレナ、最高!」
「玲奈派か、葵派か……決められない!」
その人気は男女問わず広がり、オフィスは二人の話でもちきりに。
こうして、美人コンビ「アオレナ」は、社内の人気を二分する存在となっていったのだった。
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