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レースクイーンと男性ファンの入れ替わり
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照明の眩しいサーキットの控え室から離れ、レースクイーンの彩香は人混みを避けるようにトイレへと向かった。
ハイヒールの音がタイルに響く。化粧室の鏡の前には誰もいない。
「ふぅ…」と深呼吸し、艶やかな笑顔を一瞬ゆるめる。
化粧を直そうとポーチを開いたとき、ふと鼻先に小さな違和感。
周囲を確かめて個室に入る代わりに、鏡の前で立ったまま指先をそっと鼻に近づける。
細く長い指で、ためらいがちに――だが確実に――気になる箇所を探る。
その一瞬、さっきまで観客を魅了していた華やかなオーラは消え、
ただの人間らしい仕草がそこにあった。
しかし、誰にも見られなかったことを確認すると、彩香は再び鏡に向かって微笑み、
指先をハンカチで軽く拭き取り、何事もなかったかのようにポーズを作って化粧室を後にした。
午前のイベントを終え、控室に戻った彩香は、ヒールを脱いだ瞬間に足の疲れが一気に押し寄せてきた。
椅子に腰を下ろす間もなく、ふらりと床へ身を投げ出す。
冷たいカーペットの感触が、火照った肌に心地よい。
「はぁぁ……」と長いため息をつきながら、両手両足を大きく広げ、大の字になる。
艶やかなレースクイーン姿のまま、メイクも髪も完璧なままなのに、
その姿はステージ上のきらびやかさとはまるで別人のように無防備だった。
床を見つめてぼんやりと呼吸を整え、遠くで聞こえるエンジン音を子守歌のように感じながら、
「このまま寝ちゃってもいいかな…」と心の中で呟く。
誰もいないこの空間だけが、彼女にとって本当の休息だった。
控室の床で大の字になったまま、彩香はしばらく目を閉じて呼吸を整えていた。
イベントの熱気と衣装の締め付けで、背中や腰まわりにじっとりと汗がにじんでいるのを感じる。
ふと、スカートの下、腰のあたりにかゆみが走った。
「……んー」小さく唸りながら、片手をゆっくりと後ろに回す。
白いブーツを履いた足はだらりと伸びたまま、もう片方の腕で床を支える。
指先がヒップラインに届き、軽く掻くと、緊張がほぐれるような小さな安堵が広がった。
舞台の上では絶対に見せないだらしない仕草――だが、ここは控室。
誰もいないこの空間だからこそ、彩香は一瞬だけ、自分を飾らない姿に戻れるのだった。
腰のあたりのかゆみが収まると、彩香はほっと息をついた。
しかしすぐに、今度は胸元に小さな違和感が走る。
「えぇ…今度はここ?」と小声でつぶやきながら、衣装の胸のあたりを指先で軽くつまむ。
タイトなトップスの内側で、汗がじんわりとたまり、肌がきゅっと張り付いている感覚。
彩香は周囲に誰もいないことを確認し、遠慮なく指を差し入れて軽く掻いた。
指先が動くたびに、固く整えられた衣装のラインが微妙に崩れ、
彼女自身もくすぐったいような、解放感のあるような複雑な表情を浮かべる。
「はぁ…スッキリ」
控室の静けさの中、ほんの数秒の仕草。
舞台の上では決して見せられない、彩香の人間味あふれる瞬間だった。
胸元のかゆみも収まり、彩香は軽く息を吐いた。
だが、今度は足先にじんわりとしたむず痒さを感じる。
「今日はかゆい日だなぁ…」と苦笑しながら、彼女はゆっくりとあぐらをかいた。
タイトなミニスカートの裾を少し整え、片手で白いロングブーツのジッパーを下ろす。
ファスナーがスルスルと音を立て、足首まで開くと、彩香は片足を抜き取った。
閉ざされていた足が外気に触れ、ひやりとした解放感が広がる。
ブーツを横に置き、膝を立てるようにしてふくらはぎに手を伸ばす。
指先で軽く掻くと、積もっていた違和感が少しずつ消えていく。
「はぁ…やっと落ち着いた」
その姿は、ステージの華やかさとは真逆の、飾り気のない素顔そのものだった。
足のかゆみも治まり、彩香は再びブーツを手に取った。
だが、その瞬間、脇の下にじっとりとした湿り気を感じる。
「あー…もう、今日はほんと汗ばっかり」
苦笑しながらバッグから小さなウェットティッシュを取り出す。
カサリと袋を開け、ひんやりとした香りが広がる。
彩香は片腕を大きく上げ、タイトなトップスの脇部分に指を差し込み、ウェットティッシュを滑らせた。
ひやっとした感触と共に、汗がすっと拭き取られ、肌が軽くなる。
鏡もない控室で、彩香は感触だけを頼りに丁寧に拭き取り、
「よし、これでスッキリ」と小さく呟いてティッシュを丸めて捨てた。
舞台に立つ前の、ほんの短いリフレッシュのひとときだった。
控室でのリフレッシュを終えた彩香は、衣装を整え、髪を手ぐしでなぞる。
鏡の前で一瞬、目元を引き締めるようにして表情を変えると、そこにはもう「素」の彩香はいなかった。
ステージへ向かう通路に足を踏み入れた瞬間、眩いスポットライトが視界を包む。
先ほどまでのだらしない姿は、まるで幻だったかのよう。
腰をひねり、片足を軽く前に出し、片手を高く掲げる――その動きには、観客を魅了するプロとしての自信と誇りが満ちている。
フラッシュが連続してたかれ、歓声が会場を揺らす。
彩香は口角を上げ、鋭くも艶やかな視線をカメラに送り続ける。
控室でのあのリラックスした姿を知る者は、この会場には誰ひとりとしていない。
ステージでのポーズを終え、スポットライトの余韻を背中に感じながら控室へ戻った彩香。
扉を閉めた途端、張り詰めていた空気が一気に緩み、肩の力が抜けた。
椅子に腰を下ろし、ミニスカートの裾を軽く持ち上げる。
先ほどまで照明と緊張で温まっていた肌が、ふとももに残る汗で少しべたついている。
「…かゆいな」
そう呟くと、指先でふとももを軽く掻き、円を描くように撫でる。
衣装の光沢越しに見えていた引き締まった脚も、今はただの彼女自身の身体。
「これでまた次のステージも頑張れる」
そう言って、彩香はふとももを一度ぽんと叩き、深く息をついた。
ふとももを軽く掻いたあと、彩香は椅子に背を預け、ふぅと一息ついた。
ふと、ステージ衣装のタイトさを思い出し、視線を自分の腹元に落とす。
観客の前では完璧なシルエットを見せるため、日頃から体型管理には人一倍気を使ってきた。
彼女はミニスカートのウエスト部分を少し持ち上げ、指先でへそのあたりをゆっくりと撫でる。
柔らかな感触を確かめながら、腹筋のラインを意識してなぞると、
「…よし、太ってない」
小さく呟き、安堵の笑みを浮かべた。
ライトに照らされた舞台では誰にも見せない、自己確認のための密やかな仕草。
その表情には、レースクイーンとしての自信と、舞台裏でしか見せない素顔の両方が宿っていた。
へそ周りを撫でながら、太っていないことを確かめた彩香は、ふと鏡を見た。
その視線は、これまでステージや控室で見せてきたものとは明らかに違っていた。
「……バレちゃった?」
彼女はゆっくりと足を組み直し、腰をひねってこちらに向き直る。
その笑みは艶やかでありながら、どこか底知れぬ企みを含んでいた。
「この体、実はね……本物の彩香じゃないんだ」
低く囁く声に、空気がひやりと揺れる。
「前から彩香のファンだった俺が、この体を手に入れた。中身はもう、俺」
そう言うと、彼女――いや、彼はスカートの裾を少し持ち上げ、
引き締まった腹筋や滑らかな太もも、完璧なヒップラインをわざと見せつけるようにポーズを取る。
「どう? 憧れてた彩香の体、今は俺だけのものなんだ」
そのニヤリとした笑みは、奪った体の魅力を誇示する征服者の表情だった。
「ふふ…やっぱり女の体って、全部が軽いな」
控室で椅子にもたれながら、彼――いや、今や“彩香の体を手に入れた男”は、自分の手のひらを見つめた。
男性だったころは節くれ立っていた指が、今は細くしなやかで、爪先まで丁寧に整えられている。
その艶やかな長い指をゆっくりと鼻先へ持っていくと、柔らかい肌がほんの少し触れる。
「…こんな仕草すら、絵になるな」
わざと鏡越しに自分の姿を確認しながら、長い指でそっと鼻をほじる。
男性の時ならただのだらしない行為も、今の自分では妙に艶めいて見えることに気づき、唇の端がまたゆるんだ。
「いい体だよ、本当に」
その言葉は、自分が奪い取った宝物を愛でる独占者の声だった。
長い指で鼻をほじる自分を鏡越しに見つめ、満足げに笑ったあと、
彼――彩香の体を乗っ取った男は、ふと全身の力を抜きたくなった。
「男の体のときよりも軽いけど、ステージはやっぱり疲れるな…」
独り言をつぶやきながら椅子から立ち上がり、控室の床にごろりと横たわる。
ひんやりとしたカーペットの感触が、柔らかい頬や腕に心地よい。
両手を左右に広げ、長い脚も大きく伸ばし、まるでステージ衣装のまま落ちた人形のように大の字になる。
胸元の膨らみと細い腰のラインを自分の呼吸で上下させ、
奪ったこの体の柔らかさとしなやかさを全身で味わうのだった。
カーペットのひんやりとした感触に身を委ねながら、ゆったりと呼吸を整える。
「はぁ…やっぱり女の体は軽いな…」と心の中で呟きつつ、彩香の体を乗っ取った男は目を細めた。
しかし、腰から下にふとしたむず痒さが走る。
「……おっと、これは男の時と違う感覚だな」
うつ伏せのまま、片手を後ろへ伸ばし、ヒップラインをなぞるようにして指先で軽く掻く。
レースクイーン衣装のタイトな生地越しに伝わる、丸みを帯びた柔らかな感触。
かつて自分の体だった硬い筋肉質な尻とはまるで別物で、そのギャップに思わず口元が緩む。
「いいな、この形…」
掻くというより、もはや確かめるように撫でながら、その体を自分のものにした実感をじっくり味わっていた。
ヒップの感触を確かめて満足そうに笑ったあと、
彩香の体を乗っ取った男は、再びうつ伏せから上体を起こした。
その拍子に、胸元にわずかなむず痒さが走る。
「……これは、男の時にはなかった感覚だな」
ゆっくりと片手を衣装の胸のあたりに持っていき、指先で軽く掻く。
タイトな生地越しに伝わる、柔らかく沈む感触が、
かゆみを和らげると同時に、自分が今どんな体を支配しているのかを改めて意識させた。
胸の起伏が呼吸に合わせて上下し、
「これも全部、俺のもの…」と小さく呟く。
その声は、確かめるたびに高まる征服感と、奪った快感を隠そうともしなかった。
胸元の衣装を整えたあと、彩香の体を乗っ取った男は、ふぅと息をついて床に腰を下ろした。
膝を開き、自然にあぐらをかくと、タイトなミニスカート越しにしなやかな太ももが露わになる。
「やっぱり…この座り方も、男の時と全然違う」
自分の視線が無意識に膝下へと向かい、片足に履いたロングブーツへ手を伸ばす。
ジッパーを下ろすと、外気がふわりと足首に触れ、解放感が広がった。
ブーツを脱ぎ、素足になった足を両手で持ち上げ、裏側を軽く掻く。
女性の足裏は想像していたより柔らかく、指先に吸いつくような感触が心地よい。
「前のゴツい足とは大違いだ…」
そう呟きながら、彼は奪ったこの体の柔らかさをもう一度味わうように撫で続けた。
片足のブーツを脱いで足裏を掻き、解放感に浸っていた彼――彩香の体を乗っ取った男は、ふと腕を上げた瞬間、脇の下にじっとりとした湿り気を感じた。
「おっと…これは男の時よりずっと敏感だな」
汗の感覚が、柔らかな肌に沿って伝わってくるのが妙にくすぐったい。
彼はバッグからウェットティッシュを取り出し、ひんやりとしたそれを手に取る。
そして、片腕を大きく上げ、衣装の袖口を少しずらして脇に滑らせる。
冷たい感触に一瞬息をのむが、すぐにじわっと心地よさが広がった。
「…ふぅ、これだ」
男性だったころには感じなかった肌のきめ細かさと、拭き取られたあとのすべすべ感。
奪った体の違いを、こんな些細な瞬間にまで実感してしまうのだった。
脇を拭き終えた彩香の体を乗っ取った男は、ひんやりとした肌触りを感じながらウェットティッシュをゴミ箱に放った。
ふと、ミニスカートの内側あたりに微かなかゆみが広がる。
「……おっと、ここも前とは違う感覚だ」
そう呟き、あぐらをかいたまま片手を太ももへ伸ばす。
指先で掻くたび、しっとりとした柔肌がわずかに沈み、男だった頃の筋張った太ももとはまるで別物の感触が伝わってくる。
「柔らかいな…こんなの、前の俺にはなかった」
衣装越しに掻きながら、その質感と温もりを確かめるように手の動きをゆっくりと続けた。
それは単なるかゆみを癒す行為というより、この体を支配している実感を噛みしめる仕草だった。
太もものかゆみが収まり、彩香の体を乗っ取った男は、自然と視線を腹元へ落とした。
タイトな衣装の上からでもわかる、引き締まりつつも柔らかなライン。
「男の時は、この腹が出てたんだよな…」
そう呟きながら、指先をスカートのウエスト部分にかけ、へそのあたりをそっと撫でる。
柔らかく沈む感触と、女性特有の温かさが手のひらに伝わり、思わず深く息を吐いた。
「軽いし、柔らかい…動きも全然違う」
撫でるというよりも、奪い取ったこの体の所有感を確かめるような仕草。
男だった頃にはなかった感触を、一瞬たりとも逃さないように感じ取っていた。
へそのあたりを確かめるように撫でていた手を離し、彩香の体を乗っ取った男は、深く息をついた。
さっきまでのくだけた姿を知っているのは、自分だけ――そう思うと口元にわずかな笑みが浮かぶ。
「さて…本番だ」
控室の扉を開け、眩しいライトの中へ踏み出す。
スポットライトが全身を包み、観客の歓声が一気に押し寄せる。
背筋をまっすぐに伸ばし、片足を一歩前に、腰をひねって片手を高く掲げる。
しなやかな腕の動きも、ヒール越しに引き締まって見える脚のラインも、男の体だった頃とはまるで違う。
「軽い…そして絵になる」
観客の視線が自分の一挙手一投足に釘付けになっているのを感じ、胸の奥が熱くなる。
その表情には、舞台裏のだらしなさを一切感じさせない、完璧なレースクイーンの自信と華やかさがあった。
ハイヒールの音がタイルに響く。化粧室の鏡の前には誰もいない。
「ふぅ…」と深呼吸し、艶やかな笑顔を一瞬ゆるめる。
化粧を直そうとポーチを開いたとき、ふと鼻先に小さな違和感。
周囲を確かめて個室に入る代わりに、鏡の前で立ったまま指先をそっと鼻に近づける。
細く長い指で、ためらいがちに――だが確実に――気になる箇所を探る。
その一瞬、さっきまで観客を魅了していた華やかなオーラは消え、
ただの人間らしい仕草がそこにあった。
しかし、誰にも見られなかったことを確認すると、彩香は再び鏡に向かって微笑み、
指先をハンカチで軽く拭き取り、何事もなかったかのようにポーズを作って化粧室を後にした。
午前のイベントを終え、控室に戻った彩香は、ヒールを脱いだ瞬間に足の疲れが一気に押し寄せてきた。
椅子に腰を下ろす間もなく、ふらりと床へ身を投げ出す。
冷たいカーペットの感触が、火照った肌に心地よい。
「はぁぁ……」と長いため息をつきながら、両手両足を大きく広げ、大の字になる。
艶やかなレースクイーン姿のまま、メイクも髪も完璧なままなのに、
その姿はステージ上のきらびやかさとはまるで別人のように無防備だった。
床を見つめてぼんやりと呼吸を整え、遠くで聞こえるエンジン音を子守歌のように感じながら、
「このまま寝ちゃってもいいかな…」と心の中で呟く。
誰もいないこの空間だけが、彼女にとって本当の休息だった。
控室の床で大の字になったまま、彩香はしばらく目を閉じて呼吸を整えていた。
イベントの熱気と衣装の締め付けで、背中や腰まわりにじっとりと汗がにじんでいるのを感じる。
ふと、スカートの下、腰のあたりにかゆみが走った。
「……んー」小さく唸りながら、片手をゆっくりと後ろに回す。
白いブーツを履いた足はだらりと伸びたまま、もう片方の腕で床を支える。
指先がヒップラインに届き、軽く掻くと、緊張がほぐれるような小さな安堵が広がった。
舞台の上では絶対に見せないだらしない仕草――だが、ここは控室。
誰もいないこの空間だからこそ、彩香は一瞬だけ、自分を飾らない姿に戻れるのだった。
腰のあたりのかゆみが収まると、彩香はほっと息をついた。
しかしすぐに、今度は胸元に小さな違和感が走る。
「えぇ…今度はここ?」と小声でつぶやきながら、衣装の胸のあたりを指先で軽くつまむ。
タイトなトップスの内側で、汗がじんわりとたまり、肌がきゅっと張り付いている感覚。
彩香は周囲に誰もいないことを確認し、遠慮なく指を差し入れて軽く掻いた。
指先が動くたびに、固く整えられた衣装のラインが微妙に崩れ、
彼女自身もくすぐったいような、解放感のあるような複雑な表情を浮かべる。
「はぁ…スッキリ」
控室の静けさの中、ほんの数秒の仕草。
舞台の上では決して見せられない、彩香の人間味あふれる瞬間だった。
胸元のかゆみも収まり、彩香は軽く息を吐いた。
だが、今度は足先にじんわりとしたむず痒さを感じる。
「今日はかゆい日だなぁ…」と苦笑しながら、彼女はゆっくりとあぐらをかいた。
タイトなミニスカートの裾を少し整え、片手で白いロングブーツのジッパーを下ろす。
ファスナーがスルスルと音を立て、足首まで開くと、彩香は片足を抜き取った。
閉ざされていた足が外気に触れ、ひやりとした解放感が広がる。
ブーツを横に置き、膝を立てるようにしてふくらはぎに手を伸ばす。
指先で軽く掻くと、積もっていた違和感が少しずつ消えていく。
「はぁ…やっと落ち着いた」
その姿は、ステージの華やかさとは真逆の、飾り気のない素顔そのものだった。
足のかゆみも治まり、彩香は再びブーツを手に取った。
だが、その瞬間、脇の下にじっとりとした湿り気を感じる。
「あー…もう、今日はほんと汗ばっかり」
苦笑しながらバッグから小さなウェットティッシュを取り出す。
カサリと袋を開け、ひんやりとした香りが広がる。
彩香は片腕を大きく上げ、タイトなトップスの脇部分に指を差し込み、ウェットティッシュを滑らせた。
ひやっとした感触と共に、汗がすっと拭き取られ、肌が軽くなる。
鏡もない控室で、彩香は感触だけを頼りに丁寧に拭き取り、
「よし、これでスッキリ」と小さく呟いてティッシュを丸めて捨てた。
舞台に立つ前の、ほんの短いリフレッシュのひとときだった。
控室でのリフレッシュを終えた彩香は、衣装を整え、髪を手ぐしでなぞる。
鏡の前で一瞬、目元を引き締めるようにして表情を変えると、そこにはもう「素」の彩香はいなかった。
ステージへ向かう通路に足を踏み入れた瞬間、眩いスポットライトが視界を包む。
先ほどまでのだらしない姿は、まるで幻だったかのよう。
腰をひねり、片足を軽く前に出し、片手を高く掲げる――その動きには、観客を魅了するプロとしての自信と誇りが満ちている。
フラッシュが連続してたかれ、歓声が会場を揺らす。
彩香は口角を上げ、鋭くも艶やかな視線をカメラに送り続ける。
控室でのあのリラックスした姿を知る者は、この会場には誰ひとりとしていない。
ステージでのポーズを終え、スポットライトの余韻を背中に感じながら控室へ戻った彩香。
扉を閉めた途端、張り詰めていた空気が一気に緩み、肩の力が抜けた。
椅子に腰を下ろし、ミニスカートの裾を軽く持ち上げる。
先ほどまで照明と緊張で温まっていた肌が、ふとももに残る汗で少しべたついている。
「…かゆいな」
そう呟くと、指先でふとももを軽く掻き、円を描くように撫でる。
衣装の光沢越しに見えていた引き締まった脚も、今はただの彼女自身の身体。
「これでまた次のステージも頑張れる」
そう言って、彩香はふとももを一度ぽんと叩き、深く息をついた。
ふとももを軽く掻いたあと、彩香は椅子に背を預け、ふぅと一息ついた。
ふと、ステージ衣装のタイトさを思い出し、視線を自分の腹元に落とす。
観客の前では完璧なシルエットを見せるため、日頃から体型管理には人一倍気を使ってきた。
彼女はミニスカートのウエスト部分を少し持ち上げ、指先でへそのあたりをゆっくりと撫でる。
柔らかな感触を確かめながら、腹筋のラインを意識してなぞると、
「…よし、太ってない」
小さく呟き、安堵の笑みを浮かべた。
ライトに照らされた舞台では誰にも見せない、自己確認のための密やかな仕草。
その表情には、レースクイーンとしての自信と、舞台裏でしか見せない素顔の両方が宿っていた。
へそ周りを撫でながら、太っていないことを確かめた彩香は、ふと鏡を見た。
その視線は、これまでステージや控室で見せてきたものとは明らかに違っていた。
「……バレちゃった?」
彼女はゆっくりと足を組み直し、腰をひねってこちらに向き直る。
その笑みは艶やかでありながら、どこか底知れぬ企みを含んでいた。
「この体、実はね……本物の彩香じゃないんだ」
低く囁く声に、空気がひやりと揺れる。
「前から彩香のファンだった俺が、この体を手に入れた。中身はもう、俺」
そう言うと、彼女――いや、彼はスカートの裾を少し持ち上げ、
引き締まった腹筋や滑らかな太もも、完璧なヒップラインをわざと見せつけるようにポーズを取る。
「どう? 憧れてた彩香の体、今は俺だけのものなんだ」
そのニヤリとした笑みは、奪った体の魅力を誇示する征服者の表情だった。
「ふふ…やっぱり女の体って、全部が軽いな」
控室で椅子にもたれながら、彼――いや、今や“彩香の体を手に入れた男”は、自分の手のひらを見つめた。
男性だったころは節くれ立っていた指が、今は細くしなやかで、爪先まで丁寧に整えられている。
その艶やかな長い指をゆっくりと鼻先へ持っていくと、柔らかい肌がほんの少し触れる。
「…こんな仕草すら、絵になるな」
わざと鏡越しに自分の姿を確認しながら、長い指でそっと鼻をほじる。
男性の時ならただのだらしない行為も、今の自分では妙に艶めいて見えることに気づき、唇の端がまたゆるんだ。
「いい体だよ、本当に」
その言葉は、自分が奪い取った宝物を愛でる独占者の声だった。
長い指で鼻をほじる自分を鏡越しに見つめ、満足げに笑ったあと、
彼――彩香の体を乗っ取った男は、ふと全身の力を抜きたくなった。
「男の体のときよりも軽いけど、ステージはやっぱり疲れるな…」
独り言をつぶやきながら椅子から立ち上がり、控室の床にごろりと横たわる。
ひんやりとしたカーペットの感触が、柔らかい頬や腕に心地よい。
両手を左右に広げ、長い脚も大きく伸ばし、まるでステージ衣装のまま落ちた人形のように大の字になる。
胸元の膨らみと細い腰のラインを自分の呼吸で上下させ、
奪ったこの体の柔らかさとしなやかさを全身で味わうのだった。
カーペットのひんやりとした感触に身を委ねながら、ゆったりと呼吸を整える。
「はぁ…やっぱり女の体は軽いな…」と心の中で呟きつつ、彩香の体を乗っ取った男は目を細めた。
しかし、腰から下にふとしたむず痒さが走る。
「……おっと、これは男の時と違う感覚だな」
うつ伏せのまま、片手を後ろへ伸ばし、ヒップラインをなぞるようにして指先で軽く掻く。
レースクイーン衣装のタイトな生地越しに伝わる、丸みを帯びた柔らかな感触。
かつて自分の体だった硬い筋肉質な尻とはまるで別物で、そのギャップに思わず口元が緩む。
「いいな、この形…」
掻くというより、もはや確かめるように撫でながら、その体を自分のものにした実感をじっくり味わっていた。
ヒップの感触を確かめて満足そうに笑ったあと、
彩香の体を乗っ取った男は、再びうつ伏せから上体を起こした。
その拍子に、胸元にわずかなむず痒さが走る。
「……これは、男の時にはなかった感覚だな」
ゆっくりと片手を衣装の胸のあたりに持っていき、指先で軽く掻く。
タイトな生地越しに伝わる、柔らかく沈む感触が、
かゆみを和らげると同時に、自分が今どんな体を支配しているのかを改めて意識させた。
胸の起伏が呼吸に合わせて上下し、
「これも全部、俺のもの…」と小さく呟く。
その声は、確かめるたびに高まる征服感と、奪った快感を隠そうともしなかった。
胸元の衣装を整えたあと、彩香の体を乗っ取った男は、ふぅと息をついて床に腰を下ろした。
膝を開き、自然にあぐらをかくと、タイトなミニスカート越しにしなやかな太ももが露わになる。
「やっぱり…この座り方も、男の時と全然違う」
自分の視線が無意識に膝下へと向かい、片足に履いたロングブーツへ手を伸ばす。
ジッパーを下ろすと、外気がふわりと足首に触れ、解放感が広がった。
ブーツを脱ぎ、素足になった足を両手で持ち上げ、裏側を軽く掻く。
女性の足裏は想像していたより柔らかく、指先に吸いつくような感触が心地よい。
「前のゴツい足とは大違いだ…」
そう呟きながら、彼は奪ったこの体の柔らかさをもう一度味わうように撫で続けた。
片足のブーツを脱いで足裏を掻き、解放感に浸っていた彼――彩香の体を乗っ取った男は、ふと腕を上げた瞬間、脇の下にじっとりとした湿り気を感じた。
「おっと…これは男の時よりずっと敏感だな」
汗の感覚が、柔らかな肌に沿って伝わってくるのが妙にくすぐったい。
彼はバッグからウェットティッシュを取り出し、ひんやりとしたそれを手に取る。
そして、片腕を大きく上げ、衣装の袖口を少しずらして脇に滑らせる。
冷たい感触に一瞬息をのむが、すぐにじわっと心地よさが広がった。
「…ふぅ、これだ」
男性だったころには感じなかった肌のきめ細かさと、拭き取られたあとのすべすべ感。
奪った体の違いを、こんな些細な瞬間にまで実感してしまうのだった。
脇を拭き終えた彩香の体を乗っ取った男は、ひんやりとした肌触りを感じながらウェットティッシュをゴミ箱に放った。
ふと、ミニスカートの内側あたりに微かなかゆみが広がる。
「……おっと、ここも前とは違う感覚だ」
そう呟き、あぐらをかいたまま片手を太ももへ伸ばす。
指先で掻くたび、しっとりとした柔肌がわずかに沈み、男だった頃の筋張った太ももとはまるで別物の感触が伝わってくる。
「柔らかいな…こんなの、前の俺にはなかった」
衣装越しに掻きながら、その質感と温もりを確かめるように手の動きをゆっくりと続けた。
それは単なるかゆみを癒す行為というより、この体を支配している実感を噛みしめる仕草だった。
太もものかゆみが収まり、彩香の体を乗っ取った男は、自然と視線を腹元へ落とした。
タイトな衣装の上からでもわかる、引き締まりつつも柔らかなライン。
「男の時は、この腹が出てたんだよな…」
そう呟きながら、指先をスカートのウエスト部分にかけ、へそのあたりをそっと撫でる。
柔らかく沈む感触と、女性特有の温かさが手のひらに伝わり、思わず深く息を吐いた。
「軽いし、柔らかい…動きも全然違う」
撫でるというよりも、奪い取ったこの体の所有感を確かめるような仕草。
男だった頃にはなかった感触を、一瞬たりとも逃さないように感じ取っていた。
へそのあたりを確かめるように撫でていた手を離し、彩香の体を乗っ取った男は、深く息をついた。
さっきまでのくだけた姿を知っているのは、自分だけ――そう思うと口元にわずかな笑みが浮かぶ。
「さて…本番だ」
控室の扉を開け、眩しいライトの中へ踏み出す。
スポットライトが全身を包み、観客の歓声が一気に押し寄せる。
背筋をまっすぐに伸ばし、片足を一歩前に、腰をひねって片手を高く掲げる。
しなやかな腕の動きも、ヒール越しに引き締まって見える脚のラインも、男の体だった頃とはまるで違う。
「軽い…そして絵になる」
観客の視線が自分の一挙手一投足に釘付けになっているのを感じ、胸の奥が熱くなる。
その表情には、舞台裏のだらしなさを一切感じさせない、完璧なレースクイーンの自信と華やかさがあった。
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