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違いのわかる女
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香織はひとつ気づいたことがあった。
「そういえば、わたしコーヒーって初めて飲むかも」
「マジで!」
「うん」
「じゃ愛洲が人生で初めて飲むコーヒーはわたしが作ったブッシュクラフトコーヒーってことね」
「そうなるか…ん?ブッシュクラフトコーヒー?」
香織は熱さを警戒しつつコーヒーをひと口飲んだ。
沙織もコーヒーを飲んで言った。
「ちょっと濃かったか」
「苦いけどキライじゃないかな」
香織はなぜかニヤけてコーヒーを飲み続けた。
「ナニ。どうしたの?」
「急に大人になった気がしたから」
「ま、高校生だからねもう」
「…違いがわかる女…」
「なにそれ」
「お父さんがよくコーヒー飲むと必ず言ってた。こう、見てて…」
香織は渋い顔をしてみせコーヒーを飲むと笑みを浮かべて「違いのわかる男…」
沙織は眉間にシワを寄せた。
「どゆこと?」
「知らない。たぶん昔のなんかのセリフじゃない?」
「あ~。うちらの知らない昭和ネタ的な?」
「そうそう」
沙織が宙を見て思い出しながら言った。
「昭和ってさぁ、なんていうか…ド~ンって感じじゃんなんでも」
「うん、なんかわかる」
「誰からも文句言われない堂々さっつうか」
「図々しさとも言える」
「あはははは。ネットがなかったからね」
「炎上を知らない世代…」
「あはははは。知らないよね。有名人でなくても下手なこと言えば誰になに言われるかわらないし」
「あのさ。テレビでね。3年したら浮気していいっていう歌がやっててね。うちの両親懐かしそうに聞いててさ」
「なにそれ~」
「3年目の浮気は大目に見るんだって」
「信じられないし、ありえな~い」
「なんかね。昔のアイドルの歌で制服を脱がさないで、みたいな曲もあったって聞いた」
「なにそれ~犯罪撲滅でっていう歌?」
と、沙織は嘲笑った。
「ん~。ま、そこまで知らないけど。スゴイ人気だったらしいよ。あの…坂道的なやつ」
「狂ってるよね、昭和」
「うちら違いがわかる女でよかったよねぇ」
「ほんとほんと!」
お互い目を見合わせると香織と沙織はケタケタと笑い出した。
「そういえば、わたしコーヒーって初めて飲むかも」
「マジで!」
「うん」
「じゃ愛洲が人生で初めて飲むコーヒーはわたしが作ったブッシュクラフトコーヒーってことね」
「そうなるか…ん?ブッシュクラフトコーヒー?」
香織は熱さを警戒しつつコーヒーをひと口飲んだ。
沙織もコーヒーを飲んで言った。
「ちょっと濃かったか」
「苦いけどキライじゃないかな」
香織はなぜかニヤけてコーヒーを飲み続けた。
「ナニ。どうしたの?」
「急に大人になった気がしたから」
「ま、高校生だからねもう」
「…違いがわかる女…」
「なにそれ」
「お父さんがよくコーヒー飲むと必ず言ってた。こう、見てて…」
香織は渋い顔をしてみせコーヒーを飲むと笑みを浮かべて「違いのわかる男…」
沙織は眉間にシワを寄せた。
「どゆこと?」
「知らない。たぶん昔のなんかのセリフじゃない?」
「あ~。うちらの知らない昭和ネタ的な?」
「そうそう」
沙織が宙を見て思い出しながら言った。
「昭和ってさぁ、なんていうか…ド~ンって感じじゃんなんでも」
「うん、なんかわかる」
「誰からも文句言われない堂々さっつうか」
「図々しさとも言える」
「あはははは。ネットがなかったからね」
「炎上を知らない世代…」
「あはははは。知らないよね。有名人でなくても下手なこと言えば誰になに言われるかわらないし」
「あのさ。テレビでね。3年したら浮気していいっていう歌がやっててね。うちの両親懐かしそうに聞いててさ」
「なにそれ~」
「3年目の浮気は大目に見るんだって」
「信じられないし、ありえな~い」
「なんかね。昔のアイドルの歌で制服を脱がさないで、みたいな曲もあったって聞いた」
「なにそれ~犯罪撲滅でっていう歌?」
と、沙織は嘲笑った。
「ん~。ま、そこまで知らないけど。スゴイ人気だったらしいよ。あの…坂道的なやつ」
「狂ってるよね、昭和」
「うちら違いがわかる女でよかったよねぇ」
「ほんとほんと!」
お互い目を見合わせると香織と沙織はケタケタと笑い出した。
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