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藤島白兎

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第二章 ジャスティスジャッジメントの正義

第七話 幕切れ 世界に牙を剥く流派

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「お前……命を何だと思ってるんだ?」

 どこからか風が吹いてきて、風月を優しく包む。

「やれやれ、人を殺した奴の言葉とは思えないね」
「それ正論のつもり? 私は敵だ」
「やれやれ、僕には強力な蘇生魔法が有るんだ」
「へー」
「蘇れ! 神の蘇生ゴッドレイズ!」

 三日月春樹はドヤ顔しながら、高らかにそう宣言し天から光が降り注ぐ!
 兵士達を照らして暖かい光が……照らしただけだった、兵士達動かない。

「やれやれ、何かしたかな? 蘇らないじゃないか」
「本当に王様しているの? いずみから借りた、隷属の神が布教している『異世界転生』と同じだな?」

 風月は人をなめ腐った態度で、三日月春樹を見ていた。

「創作物としては文句ない、創作物なのだから自由だ、だがな、ここは現実なんだぞ? わからないならそれでいい」
「やれやれ――」
「てか取り巻き死んでるの、何で気付かないの?」
「は?」

 三日月春樹にべったりとしていた女達、喋らずに寄り添っていたのではなく、血も出さず綺麗なままで死んでいたからだ。 

「今は戦闘中だから……コラテラルダメージだっけ? それになるよね?」
「やれやれ、僕を怒らせたいのかな? この程度は想定内だ」
「ほー? 取り巻きには何か保険をかけていて、兵士達には何もしてないと、あんた暴君ってやつか? なるほどなるほど」
「そんなに僕を怒らせ――」
「おいゴミ、今は殺し合いの最中だろ? 私を殺せるならやってみろよ、ベラベラ喋ってないでさ」

 風月は身の毛もよだつ様な形相で、三日月春樹を見ていた。
 その言葉に初めて表情を変える、今まで散々ドヤ顔をして余裕ぶっこいてた王様がだ。

「そ――」
「何時になったら気付くんだ? 私が遊んでいるってさ」

 ただ喋ってるだけの敵にしびれを切らしたのか、風月は一瞬で目の前に移動して、相手の右手を持った。

「腕一本もげば、実力の違いがわかるか?」

 いとも簡単に風月は相手の右腕を引きちぎった。
 つまらなそうな顔をしながらその辺に投げ捨る。

「痛がらない……か、お前は必要なモノを色々と捨ててきたようだな?」

 それだけ言うと風月は元の位置に戻った。

「貴様……どうあっても俺と戦いたいようだな」
「いや、ザコがイキり散らすなよ?」
「口を閉じろ、殺すぞ?」
「縁、コイツ話が通じないんだけど」
「簡単さ『何があっても勝てる』と思っているからだ」
「は?」
「隷属の神の加護かは知らんが、身体と精神を色々としている」
「強化? 言い換えればさ、好き勝手身体をいじくられただけじゃん」
「転生者ほとんどに言える事だが、周囲に行動や考えを止める奴が居ないんだよ」
「そりゃダメだ、いい傀儡が出来上がる」
「基本、太鼓持ちしか居ないからな、否定する奴が居ても最終的には納得させられてしまうのだろう」

 三日月春樹は自分のちぎれた右腕を拾い、右肩に当て風月を睨みつけた。

「さっきからベラベラと好き勝手いいやがって、超回復呪文ルベラ!」
「気が変わった、街とお前を一撃ずつで葬ってやる」

 腕が元に戻った三日月春樹に対して、風月の顔が殺意に満ちた顔をする。
 それと同時に爽やかで緩やかな風が吹いて来た。

「先手はくれてやるよ? 仕留められるかな?」
「天に我有り! 下すは神の雷! 天空雷神の怒りゴッド・アンガー・サンダー!」

 挑発する風月に対して、早口で魔法を詠唱する三日月春樹。
 空が一瞬だけ光る、次の瞬間巨大な雷が風月に直撃して、近くに居た縁もその神に巻き込まれる!

「むははは! 他愛――」
「勝ち誇るなら、相手を確実に殺してからにしたら?」
「こういう奴は何を言っても無駄だ風月、俺も昔はこうだった……愛情を持って𠮟ってくれる他人の貴重だ」
「ま、とりあえず次は私の攻撃だね」

 高笑いしようとした三日月春樹の後ろに、怪我一つ無い風月達が立っていた。
 風月は三日月春樹ではなく、街に身体を向けた。

「界牙流、ただの蹴り」

 やる気なさげにドスを効かせた声で、前蹴りをする。
 その足からは、自然災害と呼ぶに相応しい暴風が巻き起こる!
 あっという間に人々の悲鳴と共に街は崩壊した。
 放った暴は風全てをさらっていって、風月達の目の前には不自然な更地だけが残った。

「これが本家の『界牙流ただの蹴り』か」
「これはおばあちゃんの……二代目様考案の必殺技だ」
「二代目の必殺技なのか」
「そうだ、正式名称は長いんだがな」
「ま、街が一瞬で……? い、いや、俺のチートスキルで守っていた、こ、これは何かの間違いだ」

 目の前の光景を全力で否定しようと膝を付き、ブツブツと何かを言っている三日月春樹。

「縁の慈悲で死んでおくべきだったな? 今この流れている風は『界牙流輪廻風殺かいがりゅうりんねふうさつ』だ、この中で死ぬと文字通り輪廻転生は出来ない」
「つまり死んであの世に行けないと? すげーな風月」
「ここで消す、縁の神社を壊し、私の願いを否定する奴に次は無い」

 風月はやっと少しでも、実力の違いに感づいた三日月春樹を見下ろした。

「界牙流」

 ゆっくりと蹴る準備をする。

「『絶対! 完全! 消滅! 私の人生邪魔するなら! 死ねぇぇぇぇぇ!』」

 身体全身を使った蹴りは、一点集中の竜巻を生み出した!
 先程街を消したあの暴風を集中させ、それを敵に放つ。
 対象者だけを巻き込んだその風は直に無くなった。
 後に残ったのは風月達と爽やかな風と自然。

「今のは?」
「界牙流ただの蹴りの正式名称」
「え?」

 縁はどう反応していいか少々困った。

「おばあちゃんが十代の時に付けた名前だからね~」
「……もしかして、恥ずかしくなったとか?」
「そそ、私はカッコイイと思うんだけどね」
「その人の魂とか生き様みたいなものだから?」
「うん、おばあちゃんの必殺技は、その人の『特性』を載せるの」
「特性?」
「私なら風だね、産まれた時にそういう祝福を受けたから」
「そいや言ってたな、あれ? 俺の場合は何になるんだ?」
「斬銀に放った時の事? あれは私や絆を守る、正に縁を守る一撃だね~」
「今考えたらおいそれと使っていいのか?」
「使えるならね、界牙流の反動に耐えられるなら」
「あー」

 縁は自分が使用した時の事を思い出した。
 凄まじい威力だったが、その反動で血反吐を吐いて、しばらく身体が傷んだ事を。

「考えたら界牙流は身体能力が高いのか?」
「反動に負けない身体作りってやつだね~」
「奥が深い」
「興味が有るなら里に来るかい? てか今度来て」
「唐突だな」
「おばあちゃんが縁に興味を持ってね」
「そうなの?」
「界牙流を放っても、生き残る婿殿を見ておきたいってさ」
「ん~それなら菓子折りの一つでも持っていかないとな」
「そうと決まれば帰ろうか、やる事やったし」
「ああ」

 その場に風だけを残して2人は消えた。
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