188 / 351
第四章 縁と結びで縁結び
第二話 演目 神への願い
しおりを挟む
縁とスファーリアは色鳥の呼び掛けに答えた。
リッツェラ王国という場所に来てほしいと。
縁達は色鳥と街中で合流する、王国にしては小さい国だ。
しかし街中は市民の笑顔で溢れている。
「おう、縁、スファーリア」
「どうした? お前にしては顔がこわばってるが」
「縁、神としてお前に救ってもらいたい人達が居る」
「ん? まあ話を聞いてからだな」
何時もヘラヘラしている色鳥が、真面目な顔をしていた。
それだけで事の重大さを感じる縁達。
色鳥の案内で人が多い酒場の一番奥に案内された。
「依頼人はここに居る……王子、カンタパールさん、連れてきました」
色鳥はノックをして部屋へと入り、縁達もそれに続いた。
部屋の中にはスキンヘッドで軽装備の老兵。
隣には一目見て高貴な位と分かる少年が立っている。
「貴方が縁起身丈白兎神縁《えんぎみのたけしろうさぎのかみえにし》様ですか?」
「はい、失礼ですが貴方は?」
「私はアルマルガ・バーリバル、リッツェラ王国の王子です、彼は父の右腕のカンタパール」
「縁起身丈白兎神縁様、どうか私達を……お救い下さい」
カンタパールとアルマルガが深々と頭を下げると、縁は直ぐに首を振る。
「私は神としては位が低い、頭を上げて下さい」
縁はウサミミカチューシャを外して、何時もの神様モードへとなった。
顔を上げる2人、カンタパールは微動だにせず、アルマルガは縁の姿に驚いている。
「だが私に『神として』話を聞いてほしいならば、己の縁の強さを語れ」
「……わかりました、私のお話をさせていただきます」
カンタパールは一度深呼吸をして、ゆっくりと語り始めた。
「私が一番最初に仕えたのは、リッツェラ王国を建国した、ルフェル・バーリバル様です、私は赤ん坊で捨てられ、運良くルフェル様が見つけて下さりました、4歳の時に高齢だったルフェルはお亡くなりになりました……我が一族を頼むと残して」
縁は見定める様に話を聞いている、カンタパールの目には徐々に涙が溜まる。
「時が経ちルフェル様の息子、エレダナ様が王になりました、そしてまた……私の命はまた救われたのです、敵に捕らえられた私を、エレダナ様は単身で助けに来てくださいました、理由は『お前は父のお気に入りだった、そして私から見ればお前は息子同然だ』と」
そして一筋の涙がほほを伝う、その涙に対して縁の神も涙を一筋流した。
語る言葉からカンタパールの良き縁を感じ取ったのだ。
数少ない言葉でも縁を司る神には、物語を見るようにカンタパールの人生を見れる。
「……そのエレダナ様も……長生きされましたが……数年前に老衰でお亡くなりになりました」
カンタパールは震えた声で言い終わると、泣き叫びながら縁に進言した!
「縁起身丈白兎神縁様! 現国王のアチャルリラ・バーリバル様をお救い下さい! 今! 王は敵に捕らえられ! 屈辱に耐えております! この私を兄、兄弟、父と言って下さった我王を! どうか! どうか!」
「私からもお願い申し上げます! 父をお願い致します! 私達の国力では太刀打ちできません!」
土下座せん勢いでカンタパールとアルマルガは頭を下げようとしている。
縁はそれを手で止めて、声を震わせながら2人に言った。
「……顔を上げてくれ」
2人が顔を上げると縁の顔は悪鬼羅刹になっていた。
スファーリアも無表情だが怒りをあらわにしている。
色鳥の方をゆっくりと睨みながら向く。
「おい色鳥、どこのどいつだ? 良き縁を汚した奴は……俺の名の下に滅ぼす」
「メレセスカ王国、賭博で有名な大国だ、国としての差は歴然だから俺はお前を……神を呼んだ」
「色鳥、王は何故捕らえられた?」
「王は妻に送った結婚記念の品を取り戻したかったらしい、勝負方法は賭け事だった」
「……どうやら敵は心底俺を怒らせたいらしいな」
怒りの握り拳から血が流れる、縁はスファーリアを見て一度無理矢理深呼吸をした。
「すまないスファーリア、音で落ち着かせてくれ」
「わかった」
トライアングルの音が部屋に響いた。
その場に居る全員が、落ち着いた表情に戻る。
「そなた達の願い、私が聞き入れよう、話からこの国の縁の素晴らしいさを感じた」
「あ! ありがとうございます! な、なんと……なんといっていいのか!」
感激の涙を流すカンタパール、対してアルマルガは凛とした顔で縁に話しかけた。
「縁様、私に出来る事があったら言って下さい」
「リッツェラ王国の剣、カンタパールを貸してもらいたい」
「わかりました、カンタパール」
「ハッ!」
「父を取り戻すまで、縁様を私の言葉として仕えよ」
「仰せのままに」
「他にありませんか?」
「では2つ」
「なんでしょうか」
「落ち着いたらカンタパールとの手合わせを希望したい」
「私と縁様でですか?」
「いや、我が妻となる結びとだ、今は訳あって魂を二つに分かれている、もう一つの半身は界牙流四代目だ」
「なんと! 界牙流! わかりました、お約束します」
「して縁様、もう一つは?」
「成功しても、国を上げて私を祀らないでくれ」
「な、何故ですか!?」
「私は人から祀られる立場には居ない、そして祈る事しかしない奴は嫌いだからだ、誤解ない様に言っておくが、何かを捧げろという訳ではない」
縁の言葉にアルマルガとカンタパールは驚きを隠せない。
そしてとても優しい目で2人を見る、神が救いの手を差し伸べる様に。
「私は努力する者達が好きだ、願いは神との約束で私はそれを見守るだけだ……だが、良き縁を汚す者が居るならば話は別だ」
「とても素敵な音、私も微力ながら手伝う」
「色鳥、王子を送り届けろ、自国とはいえ油断はしない方がいい」
「へいよ、カンタパールさんの代役はまかせろ」
「行くぞカンタパール、スファーリア」
「御意」
「ええ」
神の怒りがメレセスカ王国へと向かうのだった。
リッツェラ王国という場所に来てほしいと。
縁達は色鳥と街中で合流する、王国にしては小さい国だ。
しかし街中は市民の笑顔で溢れている。
「おう、縁、スファーリア」
「どうした? お前にしては顔がこわばってるが」
「縁、神としてお前に救ってもらいたい人達が居る」
「ん? まあ話を聞いてからだな」
何時もヘラヘラしている色鳥が、真面目な顔をしていた。
それだけで事の重大さを感じる縁達。
色鳥の案内で人が多い酒場の一番奥に案内された。
「依頼人はここに居る……王子、カンタパールさん、連れてきました」
色鳥はノックをして部屋へと入り、縁達もそれに続いた。
部屋の中にはスキンヘッドで軽装備の老兵。
隣には一目見て高貴な位と分かる少年が立っている。
「貴方が縁起身丈白兎神縁《えんぎみのたけしろうさぎのかみえにし》様ですか?」
「はい、失礼ですが貴方は?」
「私はアルマルガ・バーリバル、リッツェラ王国の王子です、彼は父の右腕のカンタパール」
「縁起身丈白兎神縁様、どうか私達を……お救い下さい」
カンタパールとアルマルガが深々と頭を下げると、縁は直ぐに首を振る。
「私は神としては位が低い、頭を上げて下さい」
縁はウサミミカチューシャを外して、何時もの神様モードへとなった。
顔を上げる2人、カンタパールは微動だにせず、アルマルガは縁の姿に驚いている。
「だが私に『神として』話を聞いてほしいならば、己の縁の強さを語れ」
「……わかりました、私のお話をさせていただきます」
カンタパールは一度深呼吸をして、ゆっくりと語り始めた。
「私が一番最初に仕えたのは、リッツェラ王国を建国した、ルフェル・バーリバル様です、私は赤ん坊で捨てられ、運良くルフェル様が見つけて下さりました、4歳の時に高齢だったルフェルはお亡くなりになりました……我が一族を頼むと残して」
縁は見定める様に話を聞いている、カンタパールの目には徐々に涙が溜まる。
「時が経ちルフェル様の息子、エレダナ様が王になりました、そしてまた……私の命はまた救われたのです、敵に捕らえられた私を、エレダナ様は単身で助けに来てくださいました、理由は『お前は父のお気に入りだった、そして私から見ればお前は息子同然だ』と」
そして一筋の涙がほほを伝う、その涙に対して縁の神も涙を一筋流した。
語る言葉からカンタパールの良き縁を感じ取ったのだ。
数少ない言葉でも縁を司る神には、物語を見るようにカンタパールの人生を見れる。
「……そのエレダナ様も……長生きされましたが……数年前に老衰でお亡くなりになりました」
カンタパールは震えた声で言い終わると、泣き叫びながら縁に進言した!
「縁起身丈白兎神縁様! 現国王のアチャルリラ・バーリバル様をお救い下さい! 今! 王は敵に捕らえられ! 屈辱に耐えております! この私を兄、兄弟、父と言って下さった我王を! どうか! どうか!」
「私からもお願い申し上げます! 父をお願い致します! 私達の国力では太刀打ちできません!」
土下座せん勢いでカンタパールとアルマルガは頭を下げようとしている。
縁はそれを手で止めて、声を震わせながら2人に言った。
「……顔を上げてくれ」
2人が顔を上げると縁の顔は悪鬼羅刹になっていた。
スファーリアも無表情だが怒りをあらわにしている。
色鳥の方をゆっくりと睨みながら向く。
「おい色鳥、どこのどいつだ? 良き縁を汚した奴は……俺の名の下に滅ぼす」
「メレセスカ王国、賭博で有名な大国だ、国としての差は歴然だから俺はお前を……神を呼んだ」
「色鳥、王は何故捕らえられた?」
「王は妻に送った結婚記念の品を取り戻したかったらしい、勝負方法は賭け事だった」
「……どうやら敵は心底俺を怒らせたいらしいな」
怒りの握り拳から血が流れる、縁はスファーリアを見て一度無理矢理深呼吸をした。
「すまないスファーリア、音で落ち着かせてくれ」
「わかった」
トライアングルの音が部屋に響いた。
その場に居る全員が、落ち着いた表情に戻る。
「そなた達の願い、私が聞き入れよう、話からこの国の縁の素晴らしいさを感じた」
「あ! ありがとうございます! な、なんと……なんといっていいのか!」
感激の涙を流すカンタパール、対してアルマルガは凛とした顔で縁に話しかけた。
「縁様、私に出来る事があったら言って下さい」
「リッツェラ王国の剣、カンタパールを貸してもらいたい」
「わかりました、カンタパール」
「ハッ!」
「父を取り戻すまで、縁様を私の言葉として仕えよ」
「仰せのままに」
「他にありませんか?」
「では2つ」
「なんでしょうか」
「落ち着いたらカンタパールとの手合わせを希望したい」
「私と縁様でですか?」
「いや、我が妻となる結びとだ、今は訳あって魂を二つに分かれている、もう一つの半身は界牙流四代目だ」
「なんと! 界牙流! わかりました、お約束します」
「して縁様、もう一つは?」
「成功しても、国を上げて私を祀らないでくれ」
「な、何故ですか!?」
「私は人から祀られる立場には居ない、そして祈る事しかしない奴は嫌いだからだ、誤解ない様に言っておくが、何かを捧げろという訳ではない」
縁の言葉にアルマルガとカンタパールは驚きを隠せない。
そしてとても優しい目で2人を見る、神が救いの手を差し伸べる様に。
「私は努力する者達が好きだ、願いは神との約束で私はそれを見守るだけだ……だが、良き縁を汚す者が居るならば話は別だ」
「とても素敵な音、私も微力ながら手伝う」
「色鳥、王子を送り届けろ、自国とはいえ油断はしない方がいい」
「へいよ、カンタパールさんの代役はまかせろ」
「行くぞカンタパール、スファーリア」
「御意」
「ええ」
神の怒りがメレセスカ王国へと向かうのだった。
0
あなたにおすすめの小説
職業ガチャで外れ職引いたけど、ダンジョン主に拾われて成り上がります
チャビューヘ
ファンタジー
いいね、ブックマークで応援いつもありがとうございます!
ある日突然、クラス全員が異世界に召喚された。
この世界では「職業ガチャ」で与えられた職業がすべてを決める。勇者、魔法使い、騎士――次々と強職を引き当てるクラスメイトたち。だが俺、蒼井拓海が引いたのは「情報分析官」。幼馴染の白石美咲は「清掃員」。
戦闘力ゼロ。
「お前らは足手まといだ」「誰もお荷物を抱えたくない」
親友にすら見捨てられ、パーティ編成から弾かれた俺たちは、たった二人で最低難易度ダンジョンに挑むしかなかった。案の定、モンスターに追われ、逃げ惑い――挙句、偶然遭遇したクラスメイトには囮として利用された。
「感謝するぜ、囮として」
嘲笑と共に去っていく彼ら。絶望の中、俺たちは偶然ダンジョンの最深部へ転落する。
そこで出会ったのは、銀髪の美少女ダンジョン主・リリア。
「あなたたち……私のダンジョンで働かない?」
情報分析でダンジョン構造を最適化し、清掃で魔力循環を改善する。気づけば生産効率は30%向上し、俺たちは魔王軍の特別顧問にまで成り上がっていた。
かつて俺たちを見下したクラスメイトたちは、ダンジョン攻略で消耗し、苦しんでいる。
見ろ、これが「外れ職」の本当の力だ――逆転と成り上がり、そして痛快なざまぁ劇が、今始まる。
魔道具は歌う~パーティ追放後に最高ランクになった俺を幼馴染は信じない。後で気づいてももう遅い、今まで支えてくれた人達がいるから~
喰寝丸太
ファンタジー
異世界転生者シナグルのスキルは傾聴。
音が良く聞こえるだけの取り柄のないものだった、
幼馴染と加入したパーティを追放され、魔道具に出会うまでは。
魔道具の秘密を解き明かしたシナグルは、魔道具職人と冒険者でSSSランクに登り詰めるのだった。
そして再び出会う幼馴染。
彼女は俺がSSSランクだとは信じなかった。
もういい。
密かにやってた支援も打ち切る。
俺以外にも魔道具職人はいるさ。
落ちぶれて行く追放したパーティ。
俺は客とほのぼのとした良い関係を築きながら、成長していくのだった。
スキルハンター~ぼっち&ひきこもり生活を配信し続けたら、【開眼】してスキルの覚え方を習得しちゃった件~
名無し
ファンタジー
主人公の時田カケルは、いつも同じダンジョンに一人でこもっていたため、《ひきこうもりハンター》と呼ばれていた。そんなカケルが動画の配信をしても当たり前のように登録者はほとんど集まらなかったが、彼は現状が楽だからと引きこもり続けていた。そんなある日、唯一見に来てくれていた視聴者がいなくなり、とうとう無の境地に達したカケル。そこで【開眼】という、スキルの覚え方がわかるというスキルを習得し、人生を大きく変えていくことになるのだった……。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
『イージス艦長、インパール最前線へ。――牟田口廉也に転生した俺は、地獄の餓死作戦を「鉄壁の兵站要塞」に変える』
月神世一
SF
【あらすじ】
「補給がなければ、戦場に立つ資格すらない」
坂上真一(さかがみ しんいち)、50歳。
かつてイージス艦長として鉄壁の防空網を指揮し、現在は海上自衛隊で次世代艦の兵站システムを設計する男。
背中には若き日の過ちである「仁王」の刺青を隠し持ち、北辰一刀流の達人でもある彼は、ある日、勤務中に仮眠をとる。
目が覚めると、そこは湿気と熱気に満ちた1944年のビルマだった。
鏡に映っていたのは、小太りで口髭の男――歴史の教科書で見た、あの「牟田口廉也」。
しかも時期は、日本陸軍史上最悪の汚点とされる「インパール作戦」決行の直前。
部下たちは「必勝の精神論」を叫び、無謀な突撃を今か今かと待っている。
(……ふざけるな。俺に、部下を餓死させろと言うのか?)
現代の知識と、冷徹な計算、そして海自仕込みのロジスティクス能力。
すべてを駆使して、坂上(中身)は歴史への介入を開始する。
精神論を振りかざすふりをして上層部を欺き、現地改修で兵器を強化し、密かに撤退路を整備する。
これは、「史上最も無能な指揮官」の皮を被った「現代の有能な指揮官」が、確定した敗北の運命をねじ伏せ、数万の命を救うために戦う、逆転の戦記ドラマ。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる