VRゲームでも運と愛し合おう!

藤島白兎

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第四章 縁と結びで縁結び

第二話 幕切れ 物事はあっさりと終わる

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 レナバントは余裕の笑みを見せて高らかに笑った!

「くははは! 神ならばこの国にも居る! 賭博の神! 『ヘルメイス』が!」

 その時縁の隣に全身をローブで隠し、素顔に布を巻いている何者かが現れた。
 何者かは膝を付いて縁に頭を下げている、縁にはその者を見下ろした。

「縁様」
「ヘルメイス様の領土を荒らす事をしてしまった、申し訳ない」
「いえ、ヘルメイス様は『迷惑ついでに任せていいか』と」
「ああ、とはいえ後日謝罪に行く」
「わかりました、そう伝えます」
「ま、待て! ヘルメイスは私達を! この国を見捨てるのか!?」
「……」

 ヘルメイスの従者は何も言わずに消え去った。
 神に限らず侵略すれば、された側とひと悶着あるものだ。
 しかし相手は賭博の神、負けが見えている賭けにはのらない。
 そして、レナバントは予想が外れたのか、悲劇のヒーローみたいな顔で呆然としている。

「最後にお前の縁を試してやろう」
「この野郎!」

 しびれを切らした部下が縁に襲い掛かってきた。
 カンタパールが切り殺そうとするが、縁がそれを止めて一言言い放つ。

「お前はそこの王子に大切な人を取られたな? 散々弄ばれて他国に売られた、違うか?」
「なっ!」

 ズバリと言い当てられたのか、振りかぶった武器を落としながら一歩二歩と引いた。

「そこの弓を背負っている者は、自分の子供が亜人だな? 珍しいと見世物にされただろう?」
「……そうだ」

 そこからその場に居る者達の素性を全て言い当てた。
 その言い当てた言葉の数々は、部下が多種多様に搾取される話だった。
 一通り話し終えた縁はため息をした後、深呼吸をする。

「今一度問う、この王国に忠誠を誓いカンタパールに斬られるか、見捨てて自分の幸せを見つけるか?」

 カンタパールは切り捨てる気満々だ、部下達は縁の言葉に迷っている様だ。

「苦痛でもお前達は、自分の身の丈に合わない幸せを掴んだはずだ、納得はできなくてもその苦痛は幸せの対価だ、結局身の丈に合う幸せが一番だ、だが更なる幸せを望むならば、努力や人柄も欠かせん」

 縁は神様らしく、人々を救う様な顔付きで言った。

「つまりは愚か者と一緒に死ぬか、生きて人生やり直すかだ」
「お、お前達!?」

 縁の言葉が響いたのか、部下は次々と武器を納めてその場から去っていく。
 レナバントは情けなくすがるが吹き飛ばされる。

「お前に死して守る価値が無いだけだ、死ね」

 カンタパールはレナバントを一刀両断した。

「さ、国王様に会いに行こうか」
「御意」

 縁達は王宮へと向かう、広場の方が騒がしいが気にせず目指した。

「ふむ、さっきの場に居た奴ら以外は腐った縁しか感じない」
「ではこれ以降は、問答無用で切り捨てられますな」
「ああ、そしてこの偉そうな王宮に居る全員が、お前の王を嘲笑った」
「……」

 カンタパールの剣を握る力が強くなる。

「老いも若きも賢者も愚者も性別も関係ない、縁を汚す者は殺せ」
「御意」

 そこからは文字通り、縁を汚し邪魔をする者達をカンタパールは切り捨てていった。
 縁達は王座へとやって来た、だが王座は既に血の海だった。
 王が血で滴る剣を持ち、周辺には死体の山。

「こ、これは!?」
「ふむ、どうやらこの国の王は現人神に身体を乗っ取られた様だ」
「くっくっく、その通りだ、全ては七星了司《ななほしりょうじ》様の為、この身体に憑依したまでよ! 国の死を供物として! 我が主に!」
「またその名か、お前達の思想や理由はどうでもいい、お前は縁を汚した」

 今の縁に理由はいらない、縁を汚した奴を殺しに来ただけだ。
 この現人神はまだ状況を理解出来ていないのか、自分語りが続いている。
 縁は必要な部分だけをカンタパールに伝えた。 

「カンタパール、大した理由も無くお前の忠誠する王は恥ずかしめられたようだ」

 カンタパールは縁から授かった剣を持ち、現人神が憑依した王に近寄っていく。 

「はっはっは! 人間の攻撃など私に効かぬぞ!」
「……」
「は?」

 いとも簡単にカンタパールは首をねた。

「はっはっは、でも構わんよ、私もかのお方の供物になるまで」
「馬鹿か、なれると思ってるのか?」

 縁が手を合わせると兎の魔法陣が地面に現れた。
 それが国全体をおおう程デカくなる。

「これは……我が信仰心が! この――」
「お前の事情なぞ知らんと言ったはずだ」

 縁が右手の指を鳴らすと現人神は砂のように消えていった。

「終わってみるとあっさりでしたな」
「敵に壮大な理由を夢見るのは、物語だけだ、現実のほとんどはちゃっちい……帰るぞ」
「御意」

 縁達は広場へと戻ってくると、大量の死体の山が出迎えた。
 王が捕らえられていたいた檻は破壊されている。

「縁様、この死体の山は?」
「彼女らしい、我慢出来なかったのだろうな」
「迷いの無い攻撃ですな」
「恐ろしいか?」
「いえ……縁様、この国はこのまま放置で?」
「いや、私達が去った後に運良くこの国は何かの現象で消滅する」
「うむむ……今更ながら、理解が追いつきませぬ」
「カンタパール、理解出来たら神ではない、理解出来ないから神なのだ」
「肝に銘じておきます」
「うむ」

 転移魔法陣でリッツェラ王国へと向かう2人。
 帰ってくるなり、カンタパールは自分の王の元へと向かう。
 縁は依頼を受けた酒場の奥の部屋へと帰って来た。
 
 スファーリアが先に帰ってきいている。
 縁はウサミミカチューシャを付けて、何時ものジャージ姿になった。

「スファーリアさん、お疲れ様」
「お疲れ様、縁君が騒ぐ前に周囲を黙らせて王を持ち帰った」
「すまないね、どうしても相手をおちょくりたくなった」
「それは縁君が決める事、大丈夫、あの程度で苦戦する私ではない」

 スファーリアはイラつく気持ちをぶつけれたからか、物凄くスッキリとした顔をしている。
 部屋のドアが勢い良く開き、笑顔で泣いているカンタパールが入ってきた。

「縁様! ありがとうございました!」
「おっと、この姿の時は様は止めて下さい」
「失礼しました」
「王子は大丈夫ですか?」
「はい、色鳥さんが付いています」
「質問、王子と色鳥君はどんな関係?」
「ふとしたきっかけで友達になったとか」
「王子に変な事吹き込んでないだろうな、それが心配だ」
「縁さん、こちらをお返しします、剣の手入れはしておきました」
「手入れ? 速いですね」
「借り物ですから」

 カンタパールは縁から借りた剣と腕輪2つを渡した。
 腕輪を鞄に入れた後、縁は剣を抜いて見ると、新品同様の輝きを見せている。
 王の元へは行かずに、もしかして手入れをしていたのかもしれない。
 剣を鞘に納めて鞄へとしまった。

「……んじゃ長居は良くないから帰ろうか」
「そうね」
「縁さん、スファーリアさん、此度は誠にありがとうございました、今度遊びに来てください」
「ええ、その時は前もって連絡しますね」
「お待ちしております」

 カンタパールは縁達が去った後も、しばらく頭を下げているのだった。
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