VRゲームでも運と愛し合おう!

藤島白兎

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第四章 縁と結びで縁結び

第七話 幕開き 不釣り合い娯楽

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 縁と風月は、アフロ先生が運営する病院へとやって来た。
 絆からの連絡で、色鳥といずみが襲撃されたらしい。
 病院の入り口で絆と合流した。

「お兄様、お姉様、お久しぶりです」
「絆、何があった」
「色鳥といずみの『加護』が盗られました」
「色鳥はいいとして、いずみはまずいな」
「そりゃどうしてさ、縁」
「例えでいうなら、色鳥は装備品を取られた程度、いずみは魂を取られたといっていい」
「いやいや、それやばいじゃん」
「お兄様、いずみからメモを預かっています」
「あいつらしい」

 縁は渡されたメモを見た。

 こんにちは縁さんに風月さん!
 私は今昏睡状態でしょう!
 しかし、心配はご無用ですよ?
 縁さんの事でしょうから、私を先に救いたいでしょう?
 ですが色鳥さんからお願いいたします。
 ちなみに、色鳥さん今身体のだるさで病室に居ます。
 
 私の言葉を推してくれるのならば、敵と『遊んで』あげてください。
 アフロさんの病院にいる限り、私達は大丈夫ですので。
 メガネをクイッっとしてもこれを書いてますよ。
 では、よろしくお願いいたします。

 メモを見終わると、縁は呆れた顔をしながら鞄にしまう。

「……ふぅ、本当にあいつらしい」
「どゆこと?」
「俺の親友に手を出したんだ、なぶり殺しにしてやる」
「なるほど、いずみは縁の気持ちを組み取ったと」
「ではまいりましょう、お兄様、お姉様」
「ああ、場所はもう感知した、付いてて来てくれ」
「ほいよ~」

 病院から移動して、縁達がたどり着いたのは山だった。
 どこの国で誰の所有かは関係ない、ここに色鳥の力を奪った輩が居る。
 縁を先頭に山道を進んで行くと、ボロ小屋が見えてきた。
 切り株を椅子にして、薄汚い山賊風の男がニヤニヤとしている。

「ほう、俺の根城がわかったか、ま、神様なんだから隠し事は出来ねぇか、俺の名前は『娯楽』だ、まさに遊びの加護はを持つにふさわしいだろう?」

 血の滴っている分厚い刃物を、縁達に見せびらかした。

「この遊びの加護は素晴らしいな、試しに人里を襲撃したら大成功よ、これで好き勝手出来るぜ」
「……ふむ」
「お前達の目的はわかっている、奪われた能力を取り返しにきたんだろ?」
「そうだが――」
「縁と風月だったか? お前ら殺しあえ、生き残った方が俺と戦う権利をくれてやろう」
「なるほど……いいぞ」
「はっはっは! 面白い返答――」

 縁と風月は娯楽に向かって蹴りを放った。
 道楽に左右の同時攻撃、縁は右足で道楽の左ほほを、風月は左足で反対側。
 鈍い音が辺りに響いたが、娯楽は相変わらずニヤリとしていた。

「あら、死なないんだ、どうして縁?」
「遊びの加護はだからだな、終わってから説明するよ」
「……はっはーん、ピンときた! ま、後で答え合わせよろぴく」
「俺も全部知ってる訳じゃないが……絆、そいつにどう不釣り合いか説明してやってくれ」
「お兄様、承りましたわ」

 縁と風月は意気揚々と絆から離れて、お互いに向き合った。
 そして、今までニヤニヤしていた娯楽が苦しみだした。
 両手で喉を押さえて、のたうち回り、絆は無表情で見下ろしていた。

「では、一気に説明いたしますわね? 私も全て把握はしていませんが、遊びの加護は『ちゃんと相手にルールを最初に言っておくこと』ですわ、ギャンブル系の創作物でよくありますわよね? 長ったらしいルールを聞いて、抜け穴を見つける、貴方が提示した情報は『互いに殺しあえ、生き残った方と戦う』でしたわね?」
「ぐっ! ぎっ! しゃべ……れ……な!」
「お兄様とお姉様が最初に貴方を攻撃したのは、それ以上喋らせないためです、では何故そうしたのか? 『それ以上の誓約をさせないため』ですわ」
「き! さ!」
「最初に『最後まで聞け』と文言を入れておけばよかったのです、まあ、どんな制約でも貴方はここで死にますわ」
「ぐっ! がっ! ぎっ!」
「遊びの加護は詳しくは知りませんが、私が確実に言える事を言いますわね?」

 喉の苦しさから地面をジタバタしている娯楽。
 絆はそれはそれは楽しそうな顔で道楽を見下した。

「不釣り合いな力を持つから、早死にするんですのよ?」

 絆から離れた場所で、縁と風月はお互いやる気満々で向き合っている。  
 縁はウサミミカチューシャを外して、何時もの神様モードになった。

「縁、手加減しちゃだめだよ? ってその姿なら本気か」
「殺し合いだから全力だ、またとない機会だからな」
「あらあら、凄い殺意だこと」
「お互い様だろ」

 風月は自身の素早さを活かして先制攻撃をした。
 シンプルなハイキックで縁の頭を狙う。
 しかし縁は無傷で、よく見ればほんのりと縁の肌が赤みがかっていた。
 それに気付いた風月は、直ぐに縁から距離をとる。 

「この防御力は!? 斬銀の赤鬼か!」
「俺は親しい人達の力を使える、知ってるだろ?」
「うむむむ! 何故私じゃないんだ」
「現状、斬銀さんが一番の仲良しだからな」
「私じゃないんかい」
「人の縁はじっくりと育っていくものだ、特に愛は」
「だったら縁の神様に見せつける時だね?」

 風月から優しい白い色の光が溢れ、そよ風がそれと交わりふわふわと周りに浮いている。

「私がどれだけ縁を愛しているか、君の言葉を借りるなら……身の丈にあった恋愛の上限を上げる、つまりは縁と結婚してやる!」
「俺に勝っても婚期は早まらないぞ?」
「思い出の積み重ねが近道だよね~?」
「確かにそうだな」

 こうしてお互い殺し合い、もとい殺し愛が始まったのだが。
 この2人が無意味に殺し合うなんて事はしない。
 遊びの加護に隠された秘密が、2人の行動の理由なのだろうか。
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