VRゲームでも運と愛し合おう!

藤島白兎

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第五章 幸せに向かって

第四話 幕開き 風呂敷が大きくなる

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 縁達はチーリメ学園がある、グリムアルまでやって来た。
 目的は縁が一本槍にあげた巻物の件、学園側には事前に経緯を書類で送っている。

「結びさん、どうするんだ? まさか正面から乗り込むのか?」
「んだよ? ってもちゃーんと許可取ってるから」
「訪問理由は?」
「単純に、おたくの生徒がやらかした事に対して、どう責任とるんですか? 対処しないなら、界牙流してお邪魔いたします」
「え? 何故そこで界牙流が出るんだ?」
「んん? 未来の旦那が託した巻物を、燃やされたからさ、てか神様視点では怒らないの?」
「それをすると天変地異を起こすが? 俺は他人の縁を壊すのは容赦しない」
「……いや、縁も人の事言えないじゃん」
「だったら安易に界牙流を出さないでくれ、説得力がないから」
「いや~バランスって難しいね~んじゃ、私が暴れる分、縁には落ち着いてもらおう」
「俺も人の事言えないけど、ブレーキをかけてくれ」

 縁達はチーリメ学園へと行くと、絵に描いた様な貫禄のいい男が待っていた。
 その男き縁達を見つけると、近寄ってきて頭を勢い良く何度も下げる。

「わざわざお越しくださいまして、ありがとうございます」
「おや? ……校長先生ですか?」
「はい、チーリメ学園の学園長をしている、ブリザラット・チーリメと申します」
「ああそうか、学園だから学園長か、失礼いたしました、風野音結びと申します」
「縁です」
「こ、ここここ、この度は――」

 明らかに動揺しているブリザラット、その時、今回の騒動の原因が通り過ぎた。
 一本槍の巻物を燃やした、地獄谷炎花じごくだにえんか一行だ、縁を見て笑い出す。

「おいおい、アレ見ろよ、ウサミミカチューシャにジャージって」
「だっさ!」
「お前らやめるにゃ、服を買うお金が無いのにゃ」
「うけるー」
「……おい、てめぇら、今なんて言った?」

 結びは相手がビビらない程度に威嚇した。
 この段階で、相手が格下でも更に格下だとわかる。
 少なくとも実力を隠しているかは、判断するべきだろう。

「ぷぷぷ、正論でブチギレてるにゃ」
「おーこわこわ! 学校に入ろうぜ」
「はははは!」

 スタコラサッサと、学園内に逃げる地獄谷達。
 結びはニコニコと笑いながら縁を見た。

「縁、弁償する予算てある?」
「それで君の気が住むなら安いね」
「ありがとう」

 ゆっくりと笑顔で門に近寄っていく、だが結界に阻まれる結び。

「何にゃ? この学校は部外者は絶対に入れないにゃ、強い結界があるにゃ」
「おいおい、正論でキレるなよおばあさ――」
「ほう? その結界は今、壊れたが?」
「にゃ?」

 そう、結びはノックをするように結界を破った。
 界牙流四代目に、この程度の結界は意味をなさない。
 状況が理解できない、地獄谷達4人、腰を抜かしている学園長。
 学園長は今まで、尻餅をついていたようだ。

「どうした? 続けろ? 正論でキレるおばさんがどうした?」
「な! はっ!」
「こ、壊した?」
「お! お前達! これ以上余計な事をしないでくれ!」

 学園長が縁の目の前で土下座をした。

縁起身丈白兎之神縁えんぎみのたけしろうさぎのかみえにしを怒らせるな! すみません! わが校の生徒が! くそ! やっと過去の傷が癒えて! 忘れ去ったと思ったのに!」

 結界を破った事と、学園長の大声で続々と人が集まってきた。
 縁は学園長に立ち上がる様に言うが、聞く耳を持たずにずっと土下座をしている。

「何だ何だ? またあいつら何かやらかしたのか?」
「え? 学園長土下座しているけど、どんな状況は……」
「てかあの女性凄くない? 門の結界破壊したの?」
「お前冷静だな、いや、あの力にはちょいと興味がある」

 野次馬が好き勝手言っている、結びは地獄谷の目線を合わせた。

「まあ旦那の姿格好が、ちゃんちゃら可笑しいのは認めるよ、いやはや大人げない事をしてしまったね、ただ」

 そして本気で睨んだ、世界を滅ぼす勢いで。
 地獄谷達は声を上げる事も出来ずに、その場に座ってしまった。
 ただ、相手を見る事しか出来ていない。

「『外』で、正論でも知らない人に投げかける時は気を付けてね? 殺される可能性があるからさ、それは置いといて君達は……これから大変だ、穏便に済ませようって、話し合いをぶち壊したんだからさ」

 とても楽しそうに演説している結びに、縁は呆れながら近寄って声をかけた。

「待て待て結びさん、こっちからしかけといて、その言い分はちょっと」
「ん? このクソガキ共が私の気分を悪くしなかったら、何もしなかったよ?」
「いや、だから落ち着いて」
「界牙流四代目がな、正論だろうがなんだろうが、旦那笑われて黙ってられない流派なんでね」

 野次馬の中にいるメガネの男子生徒と、ツンツン頭の生徒の会話が響く。

「か、界牙流!? あの界牙流か!」
「ん? お前知っているのか?」
「界牙流は伴侶を優先して守る為の流派! その強さは一人で世界と戦えるとされている!」
「……え? そんな流派だったら、世界征服なんて簡単なんじゃないか?」
「俺も詳しくはな――」
「お、メガネ君、よく私の流派を知っているね、マイナー流派なのに」

 結びは笑顔で答えた、まるでファンサービスでもしている様に。

「答えは簡単、恋人、伴侶、家族、それを五体満足で守る流派だ、ただそれだけなんだよ、強いと色々と誤解されるよね~で、ただの子供に何をブチギレてるかというとね? 旦那が生徒にあげた巻物をさ、遊びで燃やしたのさ、ああ、旦那は神様なんだけどね」

 少し早口でペラペラと喋る結び、メガネの男子生徒は結びよりも縁をじっと見た。

「……いやいやいや、待て待て待て! お、思い出した! あの神の物を燃やしたのか!?」
「なあ……何を焦っているんだ? いや、やっちゃダメなのはわかるが」
「現代歴史でやっただろ! 縁起身丈白兎之神縁! 数十年前! 人々と戦争した神だ! ジャージとウサミミカチューシャで思い出した!」
「……あ! ああ! 一年生の時の最初の授業でやった神か! いやー忘れてたわ」
「一年生の最初の授業、つまりは一番最初に覚えておく事と考えてもいい!」
「な、なるほど? てか、お、落ち着けよ」
「落ち――」
「そうそう落ち着いて、当たり前の事を言うけどさ、縁は妹を殺そうとする奴らと戦っただけなんだよ」
「てか俺は……教科書になっていたのか」
「好き勝手かかれてそうだよね~」
「いや、それは別にいいんだ、好き勝手したしな……いや、てかこの状況どうするんだよ」
「さあ? 全てはそこのクソガキ共の好き勝手したツケじゃないか?」

 結びはもう一度地獄谷に目を合わせた、他の3人にも目を合わせる。
 無論目を合わせた瞬間、全員が目線をそらした。

「いいか? 状況説明するとさ、アンタの所の生徒が、神様が与えた巻物燃やしたんだけど謝ってくれない? と、学園に来たわけだ、で、穏便済まそうとしたら、ブチギレてる被害者に正論パンチだ」
「いや……正直言われ慣れて――」
「私も普段なら、あ~はいはいで済ませるけどさ」
「うん、落ち着いて、割とビックリしているから」
「ま、私の虫の居所が悪すぎた、縁が穏便な分、私がブチギレてるんだよ、優しいだろ? 縁の神、私の旦那は……本当ならこの街を消滅させてるってさ」
「だから、そういう事は言わなくてもいいんだって」
「言っとかなゃダメでしょ? だからこんなクソガキ共がのさばるんだよ、安易な行動が他人を、街を、世界を滅ぼす可能性があるってね~」
「待って下さい!」

 結びは、ニヤニヤと地獄谷達を追い詰めていると、猫耳男子生徒が声を上げて近寄って来た。

「……ほうほう、君は強いな! 面白い面白い!」

 結びの威嚇にもひるまない、それだけでも凄い。
 そして地獄谷をかばう様に、前にたったのだ。
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