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1話~プロローグ~
しおりを挟む日本だけど日本じゃない。
過去だけれど、未来の様な物語。
宇宙の銀河の果てに浮かぶ星、₦₭₮฿星。
宇宙の片隅に浮かぶその星は、地球の文明、それも現代の日本国に、星全体がとても似ていました。
地名や街並みや、交通機関、外食産業のそれすら、コピーをしたかの如く酷似していて
ただ少し違うのは、やたらと天井が高い建築物の造りであったり、現代の日本では不可能な交通機関の速度であったり。
例えをあげるならば、東京と大阪間も一瞬で移動が可能なそんな世界で、いわば箱は同じ仕様でありながら、中身は現代の日本の文明よりはるかに進んでいる、そんな星でありました。
その星の片田舎に、【沙羅】という女性が住んでいました。
金髪のロングヘア、腰をも越えるそのウェーブのかかった豊かな髪は、彼女の自慢でもありました。
彼女には家族がいました。
彼女の父親と、双子の妹【真琴】のふたり。
真琴は茶色のロングヘア、同じく腰をも越えるウェーブの髪。
双子の見分け方は髪色だけぐらいに、他の全てが
そっくりな双子姉妹でした。
母親は、長きに渡り繰り広げられている星間戦争で
生まれてすぐに亡くなっており、双子姉妹は父親によって、男手ひとつで育てられていました。
父親はかなり強いサイキッカーで、DNAを受け継いだ
双子姉妹も幼い頃から、自分の能力を自覚していました。
でも、父親はそれを世間にはひた隠しにしていました。
何故なら、能力者だとばれた瞬間、星の機関から能力テストを受けさせられ、レベルが上位になると機関に誘致され、確固たる保証と引き換えに、完全に自由が失われるからでした。
この星は、能力者はとても優遇されていて、あらゆる支援は約束されていました。
ただ、危険な目に遭う事も多く、父親は何よりもそれを危惧していました。
そんなある日の夜、双子姉妹が住む故郷が爆撃をされました。
空から無数に降り注ぐ光線は、暗闇を昼間の様に
明るく照らし、いとも簡単に命を次々と奪っていきました。
父親に連れられて、幼い双子姉妹は山奥の小屋に避難をしました。
息を殺しながら、窓からふたりで並んで外をみると、夜空はまるでショーが開催されているかの様な色とりどりの光線が渦を巻いてました。
「綺麗……。」
幼い双子姉妹は、それがとても恐ろしいものであると頭ではわかってはいたものの、気づけば、その光の数々に対して、その言葉を口にしていました。
彼女達は戦争がいつから始まったのか知りませんでした。
そして、いつ終わるのかさえ予測できませんでした。
ただ、生まれた時から、この光が飛び交う夜が定期的にくる事が当たり前で、そして、その時は必ずいち早く逃げなければいけない事だけは、身体に刻み込まれていきました。
そんな過酷な世界の中で、父親に守られて双子姉妹はやがて大人になっていったのです。
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