バイト先に男子更衣室がないので、女子更衣室を使う事になりました

あかせ2

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第6話 みんなと距離を縮める

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 星岡さん・赤澤さんが店を出たので、俺は店長さんとシフトがある青石さんに色々教えてもらう事にした。

「空松君、カウンターの中に入って来て」

「わかりました。…お邪魔します」

――ちょっと視点が違うだけなのに、すごく緊張する。慣れる気がしないぞ…。

「鈴ちゃん、緊張してる空松君に何か話してあげて」

「わかった~。翔お兄ちゃんって、休みの日は何してるの?」

「ゲームをしたりアニメを見る事が多いな」

「そうなんだ~。じゃあさ、名探偵〇ナン知ってる?」

「一応知ってる。前見てたから」

「知ってるんだったら、今度のゴールデンウィークに映画観に行こうよ!」

それは2人きりなのか? なんて事より…。

「誘ってくれるのは嬉しいが、多分内容に付いていけないぞ…」

「大丈夫大丈夫。そのへんはウチがちゃんと教えるから」

内容を理解できるかどうかの不安はこれで消えたな。次が本題だ。

「なぁ。映画は俺達2人で行く気なのか?」

「ううん。お姉ちゃんを入れた3人のつもりだけど…、2人きりが良かった?」
ニヤニヤする鈴さん。

「いや、青石さんもいてくれた方が嬉しいからそれで良いよ」
俺1人で鈴さんをどうにかできるとは思えない。

「青石ってどっちの事言ってるの~?」

会話の流れで普通わかるだろ! 星岡さんだけじゃなくて、俺もからかわれるのか。

「お姉ちゃんは『静』・ウチは『鈴』。遠慮なく呼んでみて♪」

――みんなの視線が俺に向けられる。恥ずかしいが、これから接客するんだから最初の試練だな。

「じゃあ…、『静さん』と『鈴さん』で良いか?」

「良いよ。ワタシは『空君』って呼ぶから」

「さん付けで呼ばれるのも変な感じだな~。まいっか」

「ねぇ空松君。わたしと梓も呼び分けてくれるかしら?」

「えっ? 『店長さん』と『星岡さん』で呼び分けるつもりなんですが…」
この2つで間違われる事はないだろ。

「店長さんとか硬過ぎるよね~、恵お姉さん?」

「そうね。壁を感じちゃうわ…」

そこでしょんぼりしないでくれ。罪悪感が出るじゃないか…。

「――『恵さん』で良いですか?」

「良いわよ♪ 梓もそう呼んであげてね♪」

「できる限り努力します…」
今の好感度で呼んで良いのかどうか…。

「空松君。そろそろ緊張はほぐれたかしら?」

「……言われてみれば、カウンターに入ってすぐの時より落ち着いてます」
これもみんなのおかげだ。

「最初は緊張をなくすところからスタートするのよ。今なら色々教えられそうね」

「はい、お願いします!」


 恵さんメインで時々静さんの補足が入りながら、調理道具の場所や接客について教えてもらう。今日は履歴書以外何も持ってきてないから、聴いた事をメモできないな…。

「大体こんな感じね。空松君がわかるまで教えるから安心してちょうだい♪」

「ありがとうございます」
とはいえ、なるべく早く覚えるようにしないと!

「そういえばさ~、結局映画はOKで良いの?」

鈴さんに言われてハッとする。名前で呼ぶ件や研修で忘れかけていた…。

「元々、静さんと2人で行く気だったんだよな? 俺邪魔だろ?」

「邪魔じゃないって! 翔お兄ちゃんと一緒に行きたい所があるの」

「俺と一緒に行きたい所ってどこだ?」

「それは着いてからのお楽しみ♪ 翔お兄ちゃん、絶対ビックリするよ~」

ビックリ? よくわからんが、俺がいても問題なさそうだ。

「ワタシも空君に来て欲しいかな。ワタシも好きなゲームやアニメの話をゆっくりしたいから」

あの時は確か“2人きり”と言っていたが、鈴さんはノーカンか。(2話参照)

「わかりました。そういう事なら一緒に行きます」

「やった~♪」

「ありがとう空君」

「空松君モテモテね~♪」

「そんなんじゃないですよ」

とは言ったものの、良い気分には変わりない。


 俺がこの店に来てからお客さんは来店しているものの、恵さん達はおしゃべりを止めたりしない。そして、お客さんはそれを気にする様子を一切見せない。

常連さんはここの空気というか雰囲気をわかっているようだ。やはり自由なのは個人店ならではだな。

「空松君、今日は長い間お疲れ様。もう上がって良いわよ」

「わかりました。今日は本当にありがとうございました」

「さっきも言ったけど、わかるまで何度も教えるから無理しないでね」

「はい」
恵さんは本当に優しい人だ。

「ウチもそろそろ帰ろうかな~」

「気を付けるのよ、空松君・鈴ちゃん」

俺と鈴さんは一緒に店を出る。
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