異種族キャンプで全力スローライフを執行する……予定!

タジリユウ

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第5章 いろんな客とトラブルがやってきた!?

第192話 アウルクの歓迎会

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「そういえば名前はあるの?」

「ブルルル」

「名前みたいなものはないらしいニャ」

「ブルルル」

「好きなように呼んでほしいって言っているニャ」

 まあ魔物や動物社会において名前なんてものが存在しないのも、当然と言えば当然なのかもしれない。

「せっかくだからアルエちゃんが付けてあげたら?」

「ええ、アルエちゃんの気に入った名前にしましょう!」

「賛成です。どうやらこの子はアルエちゃんに一番懐いているみたいですから」

 俺の意見にソニアもサリアも賛成してくれている。どうやらこの子は一番アルエちゃんに懐いているようだ。アウルクの言葉を理解できるのはアルエちゃんだけだし、それ以上にアルエちゃんは優しくて良い子だもんな。

「……アリエスなんてどうかニャ?」

「ブルルル!」

「良かったニャ! ソニアお姉ちゃんとサリアお姉ちゃんみたいに強くて綺麗になるニャ!」

「ブルルル!」

「くすぐったいニャ!」

「………………」

 アルエちゃんが付けたアリエスという名前が気に入ったらしく、より一層アルエちゃんの頬をなめ始めた。壊滅的なネーミングセンスだったり、このアウルクが嫌がっていたらさすがに止めたが、どうやら問題ないようだ。

 というかそもそもこの子はメスだったのか……これだけ大きくて威圧感があったからオスにしか見えなかったぞ。もし俺が名前を付けるとしたら、格好いい系で中二系の名前にする気満々だった。危ないところだったぜ……




「ブルルル!」

 そんなわけで今日はアリエスの歓迎会だ。さすがにアリエスの巨体では管理棟の食堂に入ることはできないので、外に出てみんなでバーベキューだ。
 
 やはり新しい従業員が仲間になったのなら、まずはバーベキューからである。まあバーベキューなら嫌いなものを食べないで済むからな。

「アリエスは焼いた肉とか野菜とかは食べられそうか?」

「ブルルル!」

「食べたことはないけれど、たぶん大丈夫って言っているニャ」

 そりゃ自然界で焼いた肉や野菜なんかを食べる機会なんてないか。アルエちゃんに聞いてもらったら、アウルクは基本的に特定の草や葉っぱ、木の実、キノコ、野菜、小鳥、小動物など、本当に何でも食べるらしい。

 さっきはいろいろな具材の入っていたホットサンドをおいしいと食べていたし、大抵のものは大丈夫そうだ。

「とりあえずアリエスが何を食べられるかも把握しておきたいから、いろんな種類を食べてみてくれ。それと食べられないものは無理に食べなくていいからな」

「ブルルル!」

 たぶん分かったと言ってそうだ。

 雑食と言ってもどこまで食べられるのか分からない。元の世界でも動物は焼いた肉を食べられたはずだが、血抜きをしていない生の肉を食べないと栄養が足りなくなると聞いたことがある。

 そもそも魔物自体の身体の仕組みも分からないし、こればかりは少しずつ自分で味わって試してもらうしかないか。

「ブルルルルルル!」

「おお、うまいのか。そりゃよかった!」

 アリエスの言葉は分からないが、その表情によって多少の感情は伝わる。今はとてもおいしそうにバーベキューを頬張っている。

「今までこんなにおいしい食べ物は食べたことがないって言っているニャ!」

「調理したほうがいいのは人と同じか。それにしてもおいしそうに食べてくれるな」

 まあ野生の動物が普段は焼いた肉なんて食べたことがないだろう。どうやらアリエスは生の野菜や肉よりも火を通したり、味付けをした料理のほうを好むようだ。これだけおいしそうに食べてくれるのは嬉しいものである。

「ふむふむ、本当に今のところはなんでも大丈夫そうか」

 今回のバーベキューはいつもと同じようにいろんな種類の食材をそろえてある。牛、豚、羊に加えて魔物の肉、野菜に貝に魚などを焼いているのだが、そのどれもをおいしそうに食べている。

 それに結構な量を食べるな。まあ給料の半分くらいは飯代ということにすればいいか。あとは他にも何か気に入ったものがあれば買ってあげるとしよう。

「それにしてもエルフ村でもらった野菜はおいしいね」

「そうですね。やはり採れたての野菜というものはおいしいものです。柵の外でも大丈夫ですし、畑を作って簡単な野菜を育ててみてもいいかもしれませんね」

 アルジャの言う通り、採れたての野菜は収穫してからしばらくすると一気に鮮度が落ちる。市場で売っている野菜はどうしても収穫してから時間が経ったものになるからな。エルフ村で採れたばかりの野菜と全然違う。

 以前元の世界で友人に朝収穫したばかりの野菜をもらったことがあるのだが、普段食べている野菜とは段違いだった。特にアスパラガスやトマトなんかの野菜は本当においしかったな。

「畑を作るのなら、多少は力になれるぞ」

「僕も多少はお手伝いできると思います」

 そういえばウドもイドも村で育ったと言っていたな。サリアも農作業ができると言っていたし、今度うちのキャンプ場でも野菜を育ててみるとするか。

 新鮮獲れたての野菜がキャンプ場で食べられるのもいいかもしれない。それに農作業ならアリエスにも手伝ってもらえそうだ。少し考えてみるか。
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