異種族キャンプで全力スローライフを執行する……予定!

タジリユウ

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第5章 いろんな客とトラブルがやってきた!?

第214話【閑話】とある古代竜の1日②

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「それでは少々お待ちくださいね」

「うむ!」

 サリアに案内されてキャンプ場の奥のほうへやってきて、ハンモックというものとタープというものを設置した。

 このキャンプ場に泊まる客は普通テントで宿泊するのじゃが、妾の場合は寝ぼけて元の姿に戻って危険な可能性があるから、ユウスケのやつが特別に用意してくれたものじゃ。

 ……まあその気遣いには感謝していなくもないぞ。

 

「サンドラ、いらっしゃい」

「いらっしゃいませニャ!」

「おお、ユウスケにアルエ。待ちわびていたぞ!」

 サリアが管理棟へ戻ってからしばらくすると、このキャンプ場の主人であるユウスケと、ここの従業員である獣人の少女のアルエが沢山の料理をかかえて持ってきてくれた。

「いつもどおり量を優先でいろいろと作って持ってきたぞ」

「うむ、それでいいぞ! まずは軽く腹ごしらえしなければのう!」

 広げたテーブルの上に次々と広げられていく料理の数々。ここの料理はどれも珍しくてうまい料理ばかりじゃから、まずはお任せでいろいろと持ってきてもらっておる。

 そこから妾の気に入った料理や甘いフルーツなどをゆっくりと楽しむようにしているわけじゃ。

「あとはビールだな。蓋を開けてここに置いておくぞ」

「うむ! やはりここに来たらまずはビールで決まりじゃな!」

 ここの酒はどれもおいしいのじゃが、ここに来た最初の一杯はこのビールという酒に決めておる。この酒は酒の割にとても飲みやすく、すっきりとした味わいが特徴的な酒じゃな。

 初めは冷やされた酒などと思っていたのじゃが、今では一杯目はこれ以外には考えられぬ。唯一言いたいことはここでは酒は5本までと決められておることじゃ。

 酒ごときに飲まれる妾ではないのじゃが、このキャンプ場に来たもの全員が従うルールとなっているので、妾だけそれを破って文句を言うわけにはいかんからのう。

「こちらもどうぞですニャ!」

「おお、いつもすまんのう。ほれ、ひとつ食べてみるのじゃ!」

「ふえっ!? ええっと……」

「別にそれくらい大丈夫だよ、アルエちゃん」

「それじゃあ、いただきますニャ」

 から揚げという料理をおいしそうに頬張るアルエ。

「うむ、子供は遠慮など不要じゃ。たくさん食べて大きく育つのじゃぞ」

「サンドラお姉ちゃん、ありがとうニャ!」

 うむ、子供というものは、どんな時代でどんな種族であっても可愛いものじゃ。子供が笑って過ごせるということは何よりも大切なことじゃな。

 ……ひとつ気になるのは妾がアルエやサリアと楽しそうにしているのをユウスケのやつが微笑ましそうに見ていることじゃ。

 たぶんこやつのことじゃから、妾には親しいものがいないとでも思っておるのじゃろうな。妾にだって友と呼べる者がおるわ!

 ……まあ数が少ないのは認めるがのう。今度こやつにも紹介してやるとしよう。





「ふう……悔しいがここで出される料理はどれもうまいのう」

 出された料理を20皿ほど平らげたところで、少し休憩じゃ。

 ここで出てくる料理はただ焼くだけではなく、煮たり蒸したり揚げたりといった普段妾がしない調理法でそれぞれの食材に合った調理をしているらしい。

 それに料理にかかっている香辛料や調味料というものはしょっぱかったり、すっぱかったり、甘かったりと様々な味を出して食材の味を引き立てておるようじゃ。

 たかが食事にこれほどまでの工夫を加えるのだから、人族というものは侮れん。いや、これらの料理を食べれば、たかが食事と言うのは誤りな気もするのう。

「サンドラ殿。ご一緒してもいいかな?」

「おお、オブリか。ちょうどひと段落したところじゃ。もちろん構わんぞ」

 少し腹が膨れて休んでいるとエルフのオブリがやってきた。

 何度かこのキャンプ場の訓練場でオブリが使っていた魔法を見たことはあるが、こやつはエルフにしてはかなりの魔法の使い手のようじゃ。なにやら訓練場でも面白そうなものを作っておるみたいじゃったしな。

 最近はオブリや獣人のランドやバーナルがいる時には一緒に酒を飲んでおることが多い。妾がドラゴンであることを知って、なおも関わろうとする者は非常に稀じゃから、妾にとってもありがたく思っておる。

「相変わらずサンドラ殿はよく食べるな」

「これでもまだまだじゃぞ。ドラゴンの姿になれば余裕で食べられるが、こちらの姿のほうが食事はうまく感じるからのう」

「ほう、それは興味深い。人化魔法という魔法もいろいろと奥が深そうであるな。そういえばサンドラ殿、これはワシらの村で作ったチーズなのだが、良かったら少し食べてみんか?」

「ほう、ありがたくもらうぞ!」

 とういってオブリが収納魔法によってテーブルの上に出したのは立派なチーズの塊じゃった。

「これは見事なものじゃ。確かチーズは牛の乳から作るのじゃったよな。本当に人族やエルフはよくこんなもの作れると感心するぞ」

「確かチーズの元は人族が作ったものだと聞いておる。ワシらエルフやサンドラ殿みたいに長い寿命がない分、人族はその知識を後の世に積み重ねて伝えていく。その多くの積み重ねが時にワシらには考え及ばぬものを産み出すようであるな」

「……まったく、これだから人族は侮れないのじゃ。うむ、このチーズはとてもうまいぞ!」

「サンドラ殿の口に合ったようでなによりである。ワシももう一杯ワインをいただくとするかな」

「そうじゃな、妾もワインを一杯もらうとしよう。これだけのうまいチーズにはワインが合うじゃろう!」

「夜にはまたユウスケ殿でも誘ってみるか」

「そうじゃな! ユウスケのやつにまた日本酒に合う料理でも作ってもらうとするのじゃ! このチーズの礼もちゃんとするからのう」

「なあに、たまにサンドラ殿の魔法を見せてもらえるだけで、それがなによりの報酬であるぞ」

 相変わらずオブリもユウスケもみな欲がないのじゃ。ユウスケのやつも妾にとってはガラクタにしか思えん宝石やら剣やらを絶対に必要以上は受け取らん。まったくこのキャンプ場におる者は変わった者ばかりじゃな。

 さて、礼などいらんと言われても、永き時を生きるドラゴンである妾がそんな無礼なことはできん。そうじゃな、久しぶりに海へ狩りにでも行くか。ユウスケとも変異種の食材の代わりに何か渡す約束をしておったしちょうどよい。

 サーペント……いや、クラーケンなど良いかもしれんな。あれをここの者達がどう料理するのか今から楽しみじゃ!
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