『億り人』になって田舎に家を買ったら、異世界と現代日本を行き来できるようになった件。~お金と文明の利器を使ってのんびり生活~

タジリユウ

文字の大きさ
9 / 110

第9話 壁の調査

しおりを挟む

「うう~ん……」

「キュウ!」

「おはよう、ハリー」

 目を覚ますと俺の隣にはハリーがいた。

 その愛くるしい顔に朝からとても癒される。頭とお腹を撫でてあげると嬉しそうにしていた。

 ネットで調べてみると、ハリネズミの針は威嚇している時や警戒している時は鋭く刺さりやすいが、リラックスしているときは大丈夫らしい。お腹はフサフサしていてとても柔らかい。そのお腹を守るために丸まって完全防御態勢になると獰猛な動物にも手が出せなくなるようだ。

「ベッドの寝心地は問題なかったか?」

「キュ!」

「そうか、それはよかった」

 買ってきておいたハリネズミ用のクッションベッドには満足してくれたようだな。昨日うちに泊まるかと聞いたけれど、ペットショップでハリネズミ用のエサを買ってきた時にベッド、トイレ、給水器などを購入しておいたのだ。

「さて、朝ご飯を食べたら今日も鏡の向こうの世界を調査だ」

 ちなみにハリーの朝食への反応は芳しくなかった。昨日あれだけうまい肉を食べた弊害だろうな。こればかりは仕方がない。



「……なるほど、どうやら反対側も見えない壁はあるみたいだ」

「キュ」

 朝ご飯を食べたあとは鏡を通って異世界へ行き、昨日と同様にドローンを使って魔物を引き付けて見えない壁を調査した。

 今日はオオカミのような生物がドローンを追いかけてきたが、やはり見えない壁に阻まれた。こいつもしばらくドローンを追ってきてくれたので、昨日とあわせて見えない壁の位置がだいたい把握できた。

 ゴブリンがいた反対側も見えない壁は存在しており、予想通りこの小屋を中心に円の形をしているようだ。

「でも小さなウサギはこの壁の中に入ってこられたんだよなあ。ハリーもそうだけれど、小さい生物は入れるのかな? でもそれだと俺は入れないことになるんだが……」

「キュウ?」

 さらに分かったことがあり、ハリー以外にも小さくておとなしいウサギがこの見えない壁の中に入ってきていた。ハリーだけが特別というわけではないらしい。ちなみにウサギだけど頭には角が生えていたな。

 これまで得た情報から考えると、一定の大きさ以上の生物は通さないという壁だろうか? そうなると俺が通れるというのはおかしな話だが、俺は別の世界から来たから特別という可能性もある。

 もうひとつ可能性があるとすれば、敵意のある者を通さない壁ということだ。クマ、ゴブリン、オオカミすべてに共通することだが、俺やドローンを認識してすぐに襲ってきたものばかりだ。俺、ハリー、角の生えたウサギに共通することは俺やドローンに対していきなり攻撃を仕掛けてこなかった点になる。

 敵意なんてどうやって判別できるのかとも思うが、そもそもあの見えない壁の仕組み自体さっぱりだからな。まあ少なくともあの大きなクマもどきを通さないような壁なのでほっとした。

「よし、覚悟を決めて行くか」

「キュウ!」

 見えない壁があってある程度安全ということはわかった。ここからはさらに安全となるように工夫していくとしよう。

 まずは見えない壁がどこまであるのかを目に見えてはっきりとわかるようにする。ドローンで周囲に危険そうな生物がいないことを確認してから、ゴブリンの死骸のある場所へと移動する。もちろん新しく購入したクマ撃退スプレーを持っているが、それでもあんなことがあったばかりだから少し怖い……。

「よし、ここだな」

 幸い危険な生き物に遭遇することなくゴブリンの死骸のある場所まで辿り着いた。すでに小動物なんかに食い荒らされて悪臭を放っている。あとで埋めた方がいいのかもしれない。

 そして引っ越しの時に使った荷造り用の紐テープを取り出し、見えない壁があると予想される場所に線を引いていく。昨日別のゴブリンがドローンを追って通った場所は草が踏まれていたり、足跡が残っている。

 多少危険だが、痕跡の残っているうちに目印を残しておく。紐テープだけだとすぐに風で飛ばされそうだから、所々で石をのせておき、今度街へ行った時に杭とロープでも購入しておくとしよう。

 反対側にも先ほどのオオカミが通った痕跡を頼りに紐テープを設置した。ゴブリンとオオカミの痕跡が残っていない箇所については予想となってしまうが、そこまでは完全に小屋を中心に円の形を描いていたので間違いはないだろう。

「あとはどれくらいの高さがあるかと湖の方も確認しておきたいところだな。湖の方は確か水中用のドローンがあったはずだ。高さの方は……少し難しいか」

「キュウ……」

 他にも小屋の周囲に防犯用の警報装置なんかを用意してもいいかもしれない。一昨日のこともあったし、安全には最大限気を遣うとしよう。

 だけどこの調子でいけばだいぶ安全性は確保できそうである。この湖のほとりのすばらしい景色を見ながらハリーと一緒にのんびりと過ごすのは楽しそうだ。あの鏡を割るという選択をしなくてよかったかもしれない。

 さて、次はこの小屋の改善だな。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

辻ヒーラー、謎のもふもふを拾う。社畜俺、ダンジョンから出てきたソレに懐かれたので配信をはじめます。

月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
 ブラック企業で働く社畜の辻風ハヤテは、ある日超人気ダンジョン配信者のひかるんがイレギュラーモンスターに襲われているところに遭遇する。  ひかるんに辻ヒールをして助けたハヤテは、偶然にもひかるんの配信に顔が映り込んでしまう。  ひかるんを助けた英雄であるハヤテは、辻ヒールのおじさんとして有名になってしまう。  ダンジョンから帰宅したハヤテは、後ろから謎のもふもふがついてきていることに気づく。  なんと、謎のもふもふの正体はダンジョンから出てきたモンスターだった。  もふもふは怪我をしていて、ハヤテに助けを求めてきた。  もふもふの怪我を治すと、懐いてきたので飼うことに。  モンスターをペットにしている動画を配信するハヤテ。  なんとペット動画に自分の顔が映り込んでしまう。  顔バレしたことで、世間に辻ヒールのおじさんだとバレてしまい……。  辻ヒールのおじさんがペット動画を出しているということで、またたくまに動画はバズっていくのだった。 他のサイトにも掲載 なろう日間1位 カクヨムブクマ7000  

精霊さんと一緒にスローライフ ~異世界でも現代知識とチートな精霊さんがいれば安心です~

ファンタジー
かわいい精霊さんと送る、スローライフ。 異世界に送り込まれたおっさんは、精霊さんと手を取り、スローライフをおくる。 夢は優しい国づくり。 『くに、つくりますか?』 『あめのぬぼこ、ぐるぐる』 『みぎまわりか、ひだりまわりか。それがもんだいなの』 いや、それはもう過ぎてますから。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

【完結】うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。

かの
ファンタジー
 孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。  ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

処理中です...