『億り人』になって田舎に家を買ったら、異世界と現代日本を行き来できるようになった件。~お金と文明の利器を使ってのんびり生活~

タジリユウ

文字の大きさ
37 / 110

第37話 久しぶりの時間

しおりを挟む

「へえ~近くで見るとすごく可愛いな。それにすごく人懐っこいぞ」

「キュキュウ~♪」

 お茶を出して一息つく。

 雄二はソファに座って、テーブルに乗っているハリーの背中を優しく撫でている。ハリーの背中の針は普通の状態だと柔らかいからな。

「名前はハリーっていうんだ」

「ハリネズミだからハリーか。せっかくだから写真を撮らせてくれよ」

「キュ!」

「ああ、構わないぞ」

 パシャパシャとスマホでハリーの写真を撮る雄二。実は俺のスマホの中にもハリーの写真がいっぱい入っている。やっぱりハリーを最初に見た時にすることは一緒らしい。

「最近流行の動画配信者とかになってみたらどうだ? ああ、もうお金はあまり必要ないのか」

「そうだな。配信者になってお金を稼ぐとかは必要ないかな。だけどハリーの可愛さをみんなに見てもらいたい気はするぞ」

「キュウ?」

 首をかしげているハリーもこれまた可愛らしい。

 人気配信者になって投げ銭をもらってお金を稼ぐ必要性はないけれど、ハリーの可愛さを全世界に発信するという考えは悪くないかもしれない。

「それにしても仮想通貨かあ。勤め先がブラック企業だったのは嫌だが、大金を稼いでこの歳でリタイヤ生活はちょっとだけ羨ましいな」

「俺からしたら雄二の方が羨ましいぞ。いい会社に就職して、仕事も順調みたいじゃないか?」

「ありがたいことに仕事の方は順調だけれど、ストレスがないわけじゃないぞ。これまた上司が口うるさいのなんのって……」

「はは、上司のヤバさで言ったら、絶対に俺の方がヤバい自信はあるぞ。今日は泊っていくんだろう。早速酒でも飲みながら話そうじゃないか」

「おっ、いいねえ! 昼間っから飲む酒は最高だからな。酒とツマミはたくさん買ってきたから、これまでの話をじっくりと聞かせてもらおうじゃないか」

「ああ。そっちの近況も教えてくれよ」

「キュキュ」

 雄二はうちに泊っていって、明日の朝に帰るそうだ。ちなみに最近はまったく曜日の感覚がなくなっていたけれど、今日は土曜日だった。無職になると曜日感覚がなくなってくるな。



「そこまでヤバい上司がいるのか……。確かにそれと比べたら俺の上司なんて可愛いものだな」

「ああ、それで文句を言っていたら、全てのブラック企業の社畜たちからぶん殴られても文句は言えないぞ」

 お互いの上司の愚痴を言い合いながら、酒が進んでいく。

 雄二にはようやく元会社の実情を話せたことがあって、今まで胸につかえていた物が取れた気分だ。

「キュウ~♪」

 ハリーの方はというと、好きなサブスクのアニメを見つつ、雄二が酒のつまみとして買ってきてくれたジャーキーをおいしそうに食べていた。

「おっと、そろそろちゃんとした晩飯を食べるか。ちょうど良い肉があるんだ」

「ほう、そいつは楽しみだ」

「ああ、楽しみにしておいてくれ」

 雄二とハリーを居間へ残し、台所へとやってきた。

 急にうちへ来ることになったので準備はできていなかったが、せっかくなら雄二にはうまいものでも食べてほしかったので、今朝リリスの収納魔法から取り出してもらい冷蔵庫へ入れていたダナマベアの肉を用意する。

 リリスの収納魔法は入れた時点で時が止まるらしいので、冷蔵庫に入れておくよりも長持ちするのだ。

「ハリーも好きだったから前回食べた鍋でいいか。鍋のスープもまだ残っているからな」

 ダナマベアの肉を薄切りにしていく。野菜はベリスタ村でもらった物がまだ残っている。収穫したばかりの野菜には敵わないが、それでもこっちの世界のスーパーで購入した野菜よりもおいしいぞ。



「うおっ、こいつはうまいな! 肉も野菜も普通の鍋より全然うまいじゃないか!」

「はっはっは、そうだろう。特に肉は他じゃ味わえないと思うぞ」

「ああ。牛とも豚とも違う肉みたいだな。何の肉なんだ?」

「……え~と、クマの肉なんだ。実は知り合いにこの野菜と一緒にもらったんだよ」

 ……うん、嘘は言っていないぞ。ザイクたちから譲ってもらった肉と野菜だからな。まあ、異世界産の食材なのは言わぬが花というやつだ。

「へえ~クマの肉なんて食べるのは初めてだぜ! すごいな、健太。立派にここの生活に馴染んでいるじゃないか!」

「はは、まあな……」

 うん、多少は異世界での生活にも慣れてきたところだ。

「キュキュ♪」

「ハリーもよく食べるな。それにしても、ハリネズミって鍋とかでも食べられるものなんだな」

「あ、ああ。ハリネズミは雑食だからな。大抵のものは食べられるみたいだぞ」

「キュウ!」

 ……さすがに普通のハリネズミは鍋にした肉とかは食べないと思うけれど、そういうことにしておこう。

 そんな感じで夜遅くまで友人である雄二と久々に楽しく過ごした。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

辻ヒーラー、謎のもふもふを拾う。社畜俺、ダンジョンから出てきたソレに懐かれたので配信をはじめます。

月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
 ブラック企業で働く社畜の辻風ハヤテは、ある日超人気ダンジョン配信者のひかるんがイレギュラーモンスターに襲われているところに遭遇する。  ひかるんに辻ヒールをして助けたハヤテは、偶然にもひかるんの配信に顔が映り込んでしまう。  ひかるんを助けた英雄であるハヤテは、辻ヒールのおじさんとして有名になってしまう。  ダンジョンから帰宅したハヤテは、後ろから謎のもふもふがついてきていることに気づく。  なんと、謎のもふもふの正体はダンジョンから出てきたモンスターだった。  もふもふは怪我をしていて、ハヤテに助けを求めてきた。  もふもふの怪我を治すと、懐いてきたので飼うことに。  モンスターをペットにしている動画を配信するハヤテ。  なんとペット動画に自分の顔が映り込んでしまう。  顔バレしたことで、世間に辻ヒールのおじさんだとバレてしまい……。  辻ヒールのおじさんがペット動画を出しているということで、またたくまに動画はバズっていくのだった。 他のサイトにも掲載 なろう日間1位 カクヨムブクマ7000  

【完結】うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。

かの
ファンタジー
 孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。  ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

精霊さんと一緒にスローライフ ~異世界でも現代知識とチートな精霊さんがいれば安心です~

ファンタジー
かわいい精霊さんと送る、スローライフ。 異世界に送り込まれたおっさんは、精霊さんと手を取り、スローライフをおくる。 夢は優しい国づくり。 『くに、つくりますか?』 『あめのぬぼこ、ぐるぐる』 『みぎまわりか、ひだりまわりか。それがもんだいなの』 いや、それはもう過ぎてますから。

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

処理中です...